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6話 リグリットとの状況 その1
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私は婚約者であるリグリット・バークス公爵令息とその幼馴染であるアミーナ・ファルス伯爵令嬢との一件について、話すことにした。本当は自分で解決すべきことなのは分かっているけれど、心にわだかまりを持ったままヨハン様と会話をするのは失礼だと判断したからだ。
そして何より……彼には聞いてほしかったのだと思う。
「私とリグリット様が婚約しているのはご存知でしょうか?」
「リグリット・バークス公爵令息だな?」
「左様でございます」
「ああ、最近は君と会えていなかったので噂程度ではあったがな。エレナとは同じ歳でもあるし、上手く行くのだろうと考えていたよ。それから……陰ながら、祝福もしていた」
「ありがとうございます、ヨハン様」
「とんでもないことさ。幼馴染の幸せを願うのは、王子という立場を抜きにしても当然だろう?」
「ふふ、そうかもしれませんね」
「ああ、その通りさ」
ヨハン様に元気付けられてしまった。なんだか嬉しくなってしまう。
「それで……リグリット殿がどうしたのだ? 婚約関係でトラブルでもあったのか?」
ヨハン様はまだ婚約者は居ないようだけれど、婚約というのが様々なトラブルや争いの火種になることは、立場上理解しているのだと思う。私は彼に頷きながら続きを話す。
「リグリット様には幼馴染のアミーナ・ファルス伯爵令嬢が居たのです」
「ファルス家の息女か、なるほど……そんな繋がりがあったとはな。私とエレナのような関係性かな?」
「はい、左様でございます。私もその事実を聞かされた時は、祝福、違いますね……ええと、なんて言ったらいいのか難しいですが、二人の関係性を特に怪しんだりはしなかったのです」
「ふむ、なるほど」
ヨハン様はちょうどいい合間に相槌を打ちながら、私に視線を合わせて真剣に耳を傾けてくれている。そんなに見つめられると、なんだか妙な気持ちになってしまうけど、私はさらに話を続けた。
「ただそれから……リグリット様は変わられました」
「少しだけ、話の先が見えて来たな……」
ヨハン様はその先の話を想像しているようだった。多分、その予想は当たっていると思う。
「リグリット様とアミーナ様はとても仲が良かったのです。それ自体は微笑ましいことなのですが、リグリット様は公務に支障をきたす程にアミーナ様に夢中になっているようでして……」
「なんと、そんなことが……」
「この前の彼が主催したパーティーも結局は私が取り仕切った形になりました。このままではマズイと思い、アミーナ様との仲について、追求をしたのですが」
「結果はエレナが悲しむものだったというわけか……」
私は俯きながら、ヨハン様の言葉に同意した。リグリット様の態度はあまりにも酷かったと思う……その悲しみが一気に込み上げて来た。
「リグリット様は……彼は私との関係は完全に政略結婚なのだと切り捨てました。愛しているのはアミーナ様だともおっしゃっています」
「そうか……それでは、婚約関係を続けていくのは難しいかもしれないな」
ヨハン様も婚約破棄、という選択肢を考えているようだ。確かにそこに行きつくのは自然だと思う。私も実際、そうだったのだし。
「でも、リグリット様は私との婚約破棄は絶対に認めないようでした。私の家系が侯爵だからということで、もしも婚約破棄をしようものなら、公爵家としてどんな対応をするか分からない、と……」
「リグリット殿は、エレナを脅してきたと言うのか?」
「はい……私にはそのようにしか見えませんでした」
「そうか」
ヨハン様は一言、相槌を打つと無言になった。しかし……。
「ヨハン様……?」
彼の表情は幼馴染の私が見ても恐れてしまう程に冷たいものとなっていた。もちろん温度のことではない。大きな怒りが体現されたような、そんな表情だった。おそらく、彼のそんな表情を見たのは初めてだ。一体、何を考えているのか……この時の私には分からなかった。
そして何より……彼には聞いてほしかったのだと思う。
「私とリグリット様が婚約しているのはご存知でしょうか?」
「リグリット・バークス公爵令息だな?」
「左様でございます」
「ああ、最近は君と会えていなかったので噂程度ではあったがな。エレナとは同じ歳でもあるし、上手く行くのだろうと考えていたよ。それから……陰ながら、祝福もしていた」
「ありがとうございます、ヨハン様」
「とんでもないことさ。幼馴染の幸せを願うのは、王子という立場を抜きにしても当然だろう?」
「ふふ、そうかもしれませんね」
「ああ、その通りさ」
ヨハン様に元気付けられてしまった。なんだか嬉しくなってしまう。
「それで……リグリット殿がどうしたのだ? 婚約関係でトラブルでもあったのか?」
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「リグリット様には幼馴染のアミーナ・ファルス伯爵令嬢が居たのです」
「ファルス家の息女か、なるほど……そんな繋がりがあったとはな。私とエレナのような関係性かな?」
「はい、左様でございます。私もその事実を聞かされた時は、祝福、違いますね……ええと、なんて言ったらいいのか難しいですが、二人の関係性を特に怪しんだりはしなかったのです」
「ふむ、なるほど」
ヨハン様はちょうどいい合間に相槌を打ちながら、私に視線を合わせて真剣に耳を傾けてくれている。そんなに見つめられると、なんだか妙な気持ちになってしまうけど、私はさらに話を続けた。
「ただそれから……リグリット様は変わられました」
「少しだけ、話の先が見えて来たな……」
ヨハン様はその先の話を想像しているようだった。多分、その予想は当たっていると思う。
「リグリット様とアミーナ様はとても仲が良かったのです。それ自体は微笑ましいことなのですが、リグリット様は公務に支障をきたす程にアミーナ様に夢中になっているようでして……」
「なんと、そんなことが……」
「この前の彼が主催したパーティーも結局は私が取り仕切った形になりました。このままではマズイと思い、アミーナ様との仲について、追求をしたのですが」
「結果はエレナが悲しむものだったというわけか……」
私は俯きながら、ヨハン様の言葉に同意した。リグリット様の態度はあまりにも酷かったと思う……その悲しみが一気に込み上げて来た。
「リグリット様は……彼は私との関係は完全に政略結婚なのだと切り捨てました。愛しているのはアミーナ様だともおっしゃっています」
「そうか……それでは、婚約関係を続けていくのは難しいかもしれないな」
ヨハン様も婚約破棄、という選択肢を考えているようだ。確かにそこに行きつくのは自然だと思う。私も実際、そうだったのだし。
「でも、リグリット様は私との婚約破棄は絶対に認めないようでした。私の家系が侯爵だからということで、もしも婚約破棄をしようものなら、公爵家としてどんな対応をするか分からない、と……」
「リグリット殿は、エレナを脅してきたと言うのか?」
「はい……私にはそのようにしか見えませんでした」
「そうか」
ヨハン様は一言、相槌を打つと無言になった。しかし……。
「ヨハン様……?」
彼の表情は幼馴染の私が見ても恐れてしまう程に冷たいものとなっていた。もちろん温度のことではない。大きな怒りが体現されたような、そんな表情だった。おそらく、彼のそんな表情を見たのは初めてだ。一体、何を考えているのか……この時の私には分からなかった。
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