幼馴染と仲良くし過ぎている婚約者とは婚約破棄したい!

ルイス

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19話 エメラダ夫人の本性

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「ヨハン王子殿下、エレナ様。早急に話し合いをする必要が出て参りましたので……本来であれば、このような形でお帰しするのは失礼極まりないことは、承知しておりますが……申し訳ございません」

「いや、気にしないでくれ、エメラダ夫人。あなたの対応は正しいと思う。それに……エメラダ夫人のことは信用出来ると確信が出来たことも大きいな」

「私もです、エメラダ様。お気遣い、光栄でございますわ」

「そのようにおっしゃっていただき、感謝の言葉もございませんわ。本当に申し訳ございませんでした……!」


 エメラダ様は屋敷の入り口で、深々と私達に頭を下げていた。とても感情が籠っているように感じられるわね。流石は公爵夫人といったところかしら? バークス公爵家が存続出来ているのは、彼女の力によるところが大きいのだと思う。

 私はエメラダ様であれば、必ずバークス家を良い方向に持って行けるだろうと確信していた。ガイア様やリグリット様が当主だと、本当に不安だしね……。


「それでは、私はこれで失礼いたします……慰謝料などの話については、後日ということで」

「畏まりました、エメラダ様」

「それでは、失礼いたしますわ」


 そこまで言うと、彼女はすぐに振り返り、屋敷の中へと入っていった。今夜のバークス家は、とてつもない事態になりそうね……。


「これで良かったのでしょうか、ヨハン様」

「そうだな……とりあえずは良かったと言えるだろう。まあ、エメラダ夫人を信用し過ぎるのも危険かもしれないがな」

「ヨハン様……?」


 ヨハン様はそれ以上は何も言わなかったけれど、その心中には良からぬ思いが交錯している様子だった。エメラダ様を信用し過ぎるのは危険? それだけでも不穏な雰囲気が渦巻いているような……。



--------------------------



(ガイア公爵視点)


「エメラダ……本当に申し訳なかった。お前の手を煩わせてしまって……」

「どうでもいいわ、あなた。今に始まったことではないでしょう?」

「う、うむ……それは確かにその通りだが……」


 ヨハン王子殿下とエレナ嬢を上手く帰すことには成功したようだ。これも全て、私の妻であるエメラダの力であると言えるだろう。彼女はその場での状況対応力がずば抜けて高いのだ。不要な存在を切り捨て、必要なものだけを残しておく……その取捨選択の速度が尋常ではない。

 過去に何度、エメラダに助けられたか数えきれないな……まったく、私には勿体ないほどの敏腕なパートナーと言えるだろう。


「エレナ嬢はともかく、ヨハン王子殿下は完全には私のことを信用していないようにも見受けられたわ。とにかく、今後の方針として……」

「う、うむ。どうしたら良いだろうか?」

「議会が介入してくると非常にまずいわ。バークス公爵家の存続の為にも……リグリットは地方の領主程度としてほとぼりが冷めるまで、静かにさせておいた方が良いわね」

「やはりそれしかないか……」


 確かにあそこまでしてしまったリグリットを、バークス家の当主として迎え入れるのは、現状では難しいだろう。エメラダはその辺りも理解しているのだ。彼女は決して王家に逆らう反乱分子にはならない……そのギリギリを進む凄腕貴族といったところか。


「後は……アミーナ・ファルスの家族には生贄になってもらいましょうか。破産する程の慰謝料請求をするわよ。それをエレナ嬢の家族に渡すの。相場よりも大幅に高い慰謝料を提示することで信頼を勝ち取れるでしょうしね」


「なるほど……そういうことだったか……」


 これが私の愛しの妻の真の姿だ……とても逆らえない怖さを彼女は内包しているのだった。
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