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18話 公爵夫人登場 その2
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「建設的な話……うむ、悪くない。流石はエメラダ夫人といったところか」
「ヨハン王子殿下、ありがとうございます。しかし、こんなことは当然のことですわ……公爵家に嫁いだ者として。しかし、リグリットの子育ては間違えてしまったようです……妻としては、私も失格です」
「いえ、エメラダ様が罪に感じられることではないと思います……」
「エレナ嬢、ありがとうございます。しかし、そのようなお気遣いは不要でございますのよ。私達には甘える材料にしかならないようですので……あなたの家系への慰謝料についても、しっかりとお支払い致しますのでご安心くださいね」
「えっ……?」
アミーナ様の家系に対して慰謝料を請求するのは理解できるけれど、私のところへ慰謝料を支払う? ということは……。
「待ってくれ、エメラダ。一体、どういうことだ? アミーナ嬢への慰謝料請求は分かるが、エレナ嬢に対しての慰謝料の支払い?」
私と同じくして、ガイア様も疑問に思ったのかエメラダ様に質問していた。立場的には理解できるけど、この場でガイア様が発言することではなかったと思う。
「当たり前でしょう? エレナ嬢はリグリットとの婚約の解消を望んでいるのよ?」
「エメラダ様……ということは」
「ええ、婚約の解消につきましてはお受けさせていただきますわ。こんな状況になってしまっては、リグリットとの婚約など、不安でしかないでしょうし。表向きは解消という形には致しますが、ご迷惑を掛けてしまった以上、慰謝料を支払わせていただきます」
「エメラダ様……! 本当によろしのですか!?」
婚約解消を行えるだけでなく、慰謝料まで受け取れるなんて。当然のことかもしれないけれど、ここまで話がスムーズに行くとは思っていなかっただけに、非常に嬉しい。
「は、母上……! エレナとの婚約は解消なのですか……!?」
リグリット様はとても不満気にエメラダ様に話しかける。この状況でよく、そんな言葉が出せるものだと感心したいくらいだわ。自分の置かれている状況が呑み込めていないのではないだろうか。
「何を言っているのかしら? 当り前でしょう?」
「そ、そんな……!」
「あなたはそんなことより、この屋敷に居られるのかどうかを心配した方が良いわよ。ねえ、あなた?」
「あっ……! う、うむ……その通りだ、エメラダの言う通りだと思うぞ!」
「ち、父上まで……そ、そんな……!」
う~ん……ガイア様の手のひら返しが凄かった。今の彼には息子を信じようという気概がまったく見られないし。それほどまでに奥様が怖いのでしょうね。それから、なぜか既視感があると思ったけれど、これは私が最初にリグリット様から婚約破棄をしないと言われた状況と似ているんだわ。
奇しくも今度はリグリット様が同じような立場に立たされているというわけね。私よりもはるかに酷い目に遭いそうだけれど……。
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「えっ……?」
アミーナ様の家系に対して慰謝料を請求するのは理解できるけれど、私のところへ慰謝料を支払う? ということは……。
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