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9 異母妹から友達へ
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近々スリール子爵の家に行ってみる、とミュゼットは締めくくっていた。
ちなみにスリール子爵家は、うちやお祖父様の子爵家よりはずっと小さい家なのだという。
事業よりは、学問に走ったのだと。
現在は写真よりはずいぶん歳を食った母親と二人暮らしなのだ、と。
そしてミュゼットは聞いてみたのだ。
「十何年か昔、アルマヴィータという女性と付き合ってませんでしたか?」
すると彼は非常に驚いたのだという。
アルマヴィータ、というのは夫人の名だ。
姓はミュゼットも知らないらしい。
夫人は過去の話を娘にもしなかったようだ。
いや、そもそもミュゼットに対し、初潮が来たから、女になったから見たくない、出ていけ、などという親だ。
自分の過去のことなど決して言う訳がないだろう。
ともかく、夫人の言っていたことが逆に事実だったかもしれないということだ。
ミュゼットはそのスリール子爵の娘なのかもしれない。
だとしたら異母妹ではなくなってしまうのだけど……
私は少しばかり寂しい気がした。
ミュゼットとは何だかんだ言って、二年間隣の部屋で暮らしてきたのだ。
そして仕事を教え、出来ないところは手伝ったり。
一方で私が学び損ねてきたものを彼女は私に伝えてくれた。
異母妹という関係があってもなくても、友達でありえたらいい、と思う。
*
しばらくして、スリール子爵の家に行ってきた、という手紙が届いた。
「驚きです。
十何年か前に子爵が母様と仲良く写っている写真が沢山ありました。
子爵とも何度かそういう仲になったそうです。
そして子爵のお母様――まあ奥様としておきます――にも会うことができました。
何と言ったらいいでしょうか。
向こうも酷く驚いていました。
というのも、私が、子爵の妹――亡くした妹にそっくりだ、とおっしゃるのです。
そして誕生日を聞かれました。
すると子爵は指を折って何やら数え始めました。
そして言いました。
その時期確かに自分は彼女と付き合っていた、と。
だけどそれから少しして、自分の前から去っていった、ハイロール男爵の元に行っていたとは知らなかった、と。
私は聞きました。
では貴方は私の本当のお父様なのか、と。
子爵はこう言いました。
自分としてはそう思いたい、と。
彼は母様のことをずっと気にしつつ、格別他の女の方に手を出すこともせずに、仕事に打ち込んでずっと来てしまったとのことです。
結婚をしない息子に奥様は気を揉んでいたそうですが、もし私が孫娘だとしたら嬉しいと言われました。
ちなみに子爵の父上はもう亡くなっており、本当にお家の方には二人と、あとは通いの雑役女中だけだということです。 子爵と言っても、本当に小さな家です。
私がその昔、母様と共に住んでいた囲われの家より小さいのではないでしょうか。
でも、とても暖かい雰囲気に満ちていました。
だから私は子爵と奥様には、色んなものごとがはっきりしたら、その話をじっくりさせて欲しい、と言いました。
だって、まずは貴女に言われたことの方が先ですもの。
そして子爵には、とりあえず当時の男爵のことを聞きたい、と。
ただ、これに関しては大した収穫はありませんでした。
ハイロール男爵とスリール子爵では、活動する場所がまるで違っていたのです。
たまたま母様がその接点に居ただけ、ということらしいです。
そして母様は他の男のことは決して口にしなかったそうです。
だからこそ、このスリール子爵は二股三股かけられているとはあまり思えなくて、ずっと気になっていたのだと……
何って人が善いのだ、と羨ましく思います」
ちなみにスリール子爵家は、うちやお祖父様の子爵家よりはずっと小さい家なのだという。
事業よりは、学問に走ったのだと。
現在は写真よりはずいぶん歳を食った母親と二人暮らしなのだ、と。
そしてミュゼットは聞いてみたのだ。
「十何年か昔、アルマヴィータという女性と付き合ってませんでしたか?」
すると彼は非常に驚いたのだという。
アルマヴィータ、というのは夫人の名だ。
姓はミュゼットも知らないらしい。
夫人は過去の話を娘にもしなかったようだ。
いや、そもそもミュゼットに対し、初潮が来たから、女になったから見たくない、出ていけ、などという親だ。
自分の過去のことなど決して言う訳がないだろう。
ともかく、夫人の言っていたことが逆に事実だったかもしれないということだ。
ミュゼットはそのスリール子爵の娘なのかもしれない。
だとしたら異母妹ではなくなってしまうのだけど……
私は少しばかり寂しい気がした。
ミュゼットとは何だかんだ言って、二年間隣の部屋で暮らしてきたのだ。
そして仕事を教え、出来ないところは手伝ったり。
一方で私が学び損ねてきたものを彼女は私に伝えてくれた。
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しばらくして、スリール子爵の家に行ってきた、という手紙が届いた。
「驚きです。
十何年か前に子爵が母様と仲良く写っている写真が沢山ありました。
子爵とも何度かそういう仲になったそうです。
そして子爵のお母様――まあ奥様としておきます――にも会うことができました。
何と言ったらいいでしょうか。
向こうも酷く驚いていました。
というのも、私が、子爵の妹――亡くした妹にそっくりだ、とおっしゃるのです。
そして誕生日を聞かれました。
すると子爵は指を折って何やら数え始めました。
そして言いました。
その時期確かに自分は彼女と付き合っていた、と。
だけどそれから少しして、自分の前から去っていった、ハイロール男爵の元に行っていたとは知らなかった、と。
私は聞きました。
では貴方は私の本当のお父様なのか、と。
子爵はこう言いました。
自分としてはそう思いたい、と。
彼は母様のことをずっと気にしつつ、格別他の女の方に手を出すこともせずに、仕事に打ち込んでずっと来てしまったとのことです。
結婚をしない息子に奥様は気を揉んでいたそうですが、もし私が孫娘だとしたら嬉しいと言われました。
ちなみに子爵の父上はもう亡くなっており、本当にお家の方には二人と、あとは通いの雑役女中だけだということです。 子爵と言っても、本当に小さな家です。
私がその昔、母様と共に住んでいた囲われの家より小さいのではないでしょうか。
でも、とても暖かい雰囲気に満ちていました。
だから私は子爵と奥様には、色んなものごとがはっきりしたら、その話をじっくりさせて欲しい、と言いました。
だって、まずは貴女に言われたことの方が先ですもの。
そして子爵には、とりあえず当時の男爵のことを聞きたい、と。
ただ、これに関しては大した収穫はありませんでした。
ハイロール男爵とスリール子爵では、活動する場所がまるで違っていたのです。
たまたま母様がその接点に居ただけ、ということらしいです。
そして母様は他の男のことは決して口にしなかったそうです。
だからこそ、このスリール子爵は二股三股かけられているとはあまり思えなくて、ずっと気になっていたのだと……
何って人が善いのだ、と羨ましく思います」
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