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第一章 好奇心の代償【現在 七色七奈】
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知っている地名で高速道路を降りる。しかしながら、私がこの土地を離れたのは小学生の頃だ。自らハンドルを握って通り過ぎる料金所は初めてであるし、そこから市街地へと伸びる道路も初めて走る。かつて住んでいた街ではあるが、子供が見ていた世界と、大人が見る世界はまるで別物だ。懐かしさなどは全くなく、ただただ知らない光景が広がっているだけだった。
車は市街地へと入る。そもそも、私が住んでいたところは、同じ街の名前を掲げていても、ここからかなり距離のある郊外中の郊外。辛うじて街の名前は背負わせてもらったものの、その実態は街とはいえない片田舎である。もっとも、それは小学生までの私の記憶であって、もしかすると多少なりとも開発が進み、便利になっているかもしれない。いや、それはないか。
正直なところ、かつて住んでいた街に帰ってきたという実感はなかった。この辺りの方々には申しわけないが、特別な思い入れがあった場所でもなく、ただただ小学生の途中まで暮らしていた場所――という印象が強すぎた。周りに何もない片田舎だから仕方がない。だからだろうか。あのミノタウロスの森のことだけは、鮮明に覚えている。
山肌の鬱蒼とした木々の間に見える鳥居。そこをくぐってしまったら死んでしまうものだと、子供の頃は本当に思っていた。森の中に悪い何かがいて、連れ去られてしまうものだと思っていた。実際にミノタウロスのイラストを見て、あまりの怖さに泣き出してしまった記憶もある。今でも、ミノタウロスの森の入り口のビジョンだけは、鮮明に思い出すことができた。できることならば、ミノタウロスの森の前を通り過ぎることさえ避け、どうしてもミノタウロスの森の前を通らねばならない時は、大きな声で歌いながら、絶対にミノタウロスの森のほうを見ないように、わざとらしく反対側のほうへと首を向けて通り過ぎたものだ。大人になった今でも、あの光景にはゾッとすることだろう。
ナビに従って、市街地から郊外へと抜ける。ようやく、頭の片隅に残っている記憶と合致する光景が確認できるようになった。きっと、市街地へと出た帰りなどに眺めていた光景なのであろう。
ふと、当時はなかったはずのコンビニが見えてきた。下手をすると、もうこの先にコンビニはないかもしれない。時代の流れと共に街の景色も変わっていくが、どうしても私には、あの場所が時代に取り残されているように思えて仕方がなかった。コンビニなんて不釣り合いなものがあるわけがない。
車は市街地へと入る。そもそも、私が住んでいたところは、同じ街の名前を掲げていても、ここからかなり距離のある郊外中の郊外。辛うじて街の名前は背負わせてもらったものの、その実態は街とはいえない片田舎である。もっとも、それは小学生までの私の記憶であって、もしかすると多少なりとも開発が進み、便利になっているかもしれない。いや、それはないか。
正直なところ、かつて住んでいた街に帰ってきたという実感はなかった。この辺りの方々には申しわけないが、特別な思い入れがあった場所でもなく、ただただ小学生の途中まで暮らしていた場所――という印象が強すぎた。周りに何もない片田舎だから仕方がない。だからだろうか。あのミノタウロスの森のことだけは、鮮明に覚えている。
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ふと、当時はなかったはずのコンビニが見えてきた。下手をすると、もうこの先にコンビニはないかもしれない。時代の流れと共に街の景色も変わっていくが、どうしても私には、あの場所が時代に取り残されているように思えて仕方がなかった。コンビニなんて不釣り合いなものがあるわけがない。
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