19 / 203
第一章 好奇心の代償【現在 七色七奈】
6
しおりを挟む
ここは言わば現在と過去との狭間。あちら側に行ってしまったら、二度と戻ってこれない気がする――少しずつ寂れていく景色に、少し不安になっていたのかもしれない。
時刻はちょうど日付け変更線をまたごうとしていた。ほとんど思いつきで有給を取り、そのまま家に帰って準備をして出てきたわけであるが、さすがにこの時間から宿などとれるとは思っていない。初日が車中泊になるというのは覚悟のうえだった。
車通りのあまりない道路に面したコンビニ。辺りにある民家の数もまばらであり、客も私しかいない。こんな場所で深夜まで店を開けていても、ただただ赤字になるだけではないのだろか。まぁ、こんな時間にコンビニに寄ってしまった私からすれば、これほどありがたいことはないのだが。
車はあえて駐車場の端のほうに停めさせてもらった。少なくとも、エンジンをかけっぱなしでもお店の人の迷惑にならない距離、なおかつ、近所迷惑にもならないような場所に停めたつもりでいる。すなわち、今日の宿はここ――コンビニの駐車場だ。
慣れない車中泊ということもあり、私は睡眠導入剤の代わりとして、わざと度数の強いチューハイを選んで購入。こんな時間に飲食とは実に罪深いのであるが、サラミスティックとジャーキーを購入した。
念のためにトイレを済ませて車へと戻ると、いつもよりかなり時間の遅い晩酌を始める。わざわざめかし込んだ格好で地元に帰る必要はないと考えたため、格好はいつも新聞社にいくようなパンツスーツスタイルである。出る前にシャワーは浴びたし、その際に着替えたものであるから、このまま就寝し、明日もこの格好で動くつもりだ。
いつもならば簡単に酔えるはずなのに、やはり慣れない環境のせいか、ただただ気持ちが悪くなるばかりだった。つまみもそこそこにして、私は運転席のシートを倒した。夜になって大分気温は落ち着いていたものの、やはり外はじめじめとしている。ただでさえ慣れない環境なのに、ここに蒸し暑さなどの外的要因が加わるのはよろしくない。また、静か過ぎるのも落ち着かないため、小さい音量でラジオを流しながら寝ることにした。
変な酔い方をしてしまったようで、いつもならば睡眠導入剤の代わりになるはずのお酒が、まるで気付け薬であるかのごとく、意識を鮮明にさせる。それでも寝ようと奮闘するのであるが、意識すれば意識するほど、目が冴えてくる。結局、少しだけ意識が飛んだのは、外が明るくなり始めてからのことだったか。
時刻はちょうど日付け変更線をまたごうとしていた。ほとんど思いつきで有給を取り、そのまま家に帰って準備をして出てきたわけであるが、さすがにこの時間から宿などとれるとは思っていない。初日が車中泊になるというのは覚悟のうえだった。
車通りのあまりない道路に面したコンビニ。辺りにある民家の数もまばらであり、客も私しかいない。こんな場所で深夜まで店を開けていても、ただただ赤字になるだけではないのだろか。まぁ、こんな時間にコンビニに寄ってしまった私からすれば、これほどありがたいことはないのだが。
車はあえて駐車場の端のほうに停めさせてもらった。少なくとも、エンジンをかけっぱなしでもお店の人の迷惑にならない距離、なおかつ、近所迷惑にもならないような場所に停めたつもりでいる。すなわち、今日の宿はここ――コンビニの駐車場だ。
慣れない車中泊ということもあり、私は睡眠導入剤の代わりとして、わざと度数の強いチューハイを選んで購入。こんな時間に飲食とは実に罪深いのであるが、サラミスティックとジャーキーを購入した。
念のためにトイレを済ませて車へと戻ると、いつもよりかなり時間の遅い晩酌を始める。わざわざめかし込んだ格好で地元に帰る必要はないと考えたため、格好はいつも新聞社にいくようなパンツスーツスタイルである。出る前にシャワーは浴びたし、その際に着替えたものであるから、このまま就寝し、明日もこの格好で動くつもりだ。
いつもならば簡単に酔えるはずなのに、やはり慣れない環境のせいか、ただただ気持ちが悪くなるばかりだった。つまみもそこそこにして、私は運転席のシートを倒した。夜になって大分気温は落ち着いていたものの、やはり外はじめじめとしている。ただでさえ慣れない環境なのに、ここに蒸し暑さなどの外的要因が加わるのはよろしくない。また、静か過ぎるのも落ち着かないため、小さい音量でラジオを流しながら寝ることにした。
変な酔い方をしてしまったようで、いつもならば睡眠導入剤の代わりになるはずのお酒が、まるで気付け薬であるかのごとく、意識を鮮明にさせる。それでも寝ようと奮闘するのであるが、意識すれば意識するほど、目が冴えてくる。結局、少しだけ意識が飛んだのは、外が明るくなり始めてからのことだったか。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
ト・カ・リ・ナ〜時を止めるアイテムを手にしたら気になる彼女と距離が近くなった件〜
遊馬友仁
青春
高校二年生の坂井夏生(さかいなつき)は、十七歳の誕生日に、亡くなった祖父からの贈り物だという不思議な木製のオカリナを譲り受ける。試しに自室で息を吹き込むと、周囲のヒトやモノがすべて動きを止めてしまった!
木製細工の能力に不安を感じながらも、夏生は、その能力の使い途を思いつく……。
「そうだ!教室の前の席に座っている、いつも、マスクを外さない小嶋夏海(こじまなつみ)の素顔を見てやろう」
そうして、自身のアイデアを実行に映した夏生であったがーーーーーー。
里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります>
政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
裏長屋の若殿、限られた自由を満喫する
克全
歴史・時代
貧乏人が肩を寄せ合って暮らす聖天長屋に徳田新之丞と名乗る人品卑しからぬ若侍がいた。月のうち数日しか長屋にいないのだが、いる時には自ら竈で米を炊き七輪で魚を焼く小まめな男だった。
月の綺麗な夜に終わりゆく君と
石原唯人
恋愛
ある日、十七才の春に僕は病院で色のない少女と出会う。
それは、この場所で出会わなければ一生関わる事のなかった色のない彼女とモノクロな僕の
秘密の交流。
彼女との交流によって諦観でモノクロだった僕の世界は少しずつ色づき始める。
十七歳、大人でも子どもでもないトクベツな時間。
日常の無い二人は限られて時間の中で諦めていた当たり前の青春へと手を伸ばす。
不器用な僕らの織り成す物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる