王子よ、貴方が責任取りなさい

天冨 七緒

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聖女時代

まさかの発見

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「折角の休みだけど、どこにも出かけられない」

 ベネデッタとの一件から、外出するのを躊躇してしまう。
 偶然出くわすのも、私が外出したと噂になり周り回って彼女の耳に入るのが気になってしまう。

「公爵令嬢の私が子爵令嬢を気にするなんて……」

 なるべく外出することなく、気分転換が出来るものをしたい。

「あっ! そうだった。調べたいことあったのよ」

 コルテーゼ領でルードヴィックに沼を案内された時に見た花。
 あれは以前、どこかの本に載っていた。
 勘違いなのかもしれないが、今はベネデッタを忘れられるなにかに集中したい。

「植物の本を全部部屋に持ってきて」

「畏まりました」

 届いた本を手あたり次第読んでいく。

「ないな……どこかで見た気がするんだよな……あの花……」

 沼に咲く、白い花。
 とても幻想的で、一度見たら忘れられない。

「似たような花は沢山あるんだけどな……」

 植物の判断は難しい。
 薬草だと思って採取すれば毒草だったりと、簡単に見分けられるものではない。 
 専門家ですら、間違ってしまう時はある。
 私のも、記憶違いなのかもしれない。
 だけど、もし正しかったら大発見だろう。

「これも違う……」

 簡単には見つからない。
 聖女教育が休みの日は、植物図鑑をひたすら読み耽る。
 
「ダメだ、分からない。今日は、花壇の手入れに行こう」

 聖女候補に任命されて二年目だっただろうか、母から「薬草の手入れをしてみたらどう?」と言われたのは。
 
「今年も順調に……育ち過ぎてるね」

 一年目に成功した薬草は、零れ種からあっという間に増殖。
 今では私が世話している花壇の一角だけ、小さな森が出来ている。
 手を抜いているわけではない。
 世話をしているが、摘んでも摘んでも成長が早い。
 お茶で飲んだり傷の手当てにいいと言われ実践しているが使い切るのは難しく、料理人にソースにして大量消費してもらっている。
 それでも季節によっては、爆発的に増殖してしまう。

「新しい薬草育ててみようかなぁ……薬草? そうだ、薬草だ」

 私は植物の本ばかり読んでいたが、以前調べていたのは薬草の本。
 急いで部屋に戻り、薬草の本を手に取る。

「……あったぁ……ブルニーマ・クラウト……昏睡状態の患者を導く薬草。沼地に生息し月明かりで成長。満月の夜に採取すれば、効能はより上がる。だが発見するのは難しく、栽培も困難。成功した例はない……って、すごい薬草じゃない……」

 これは領主への報告が必要な代物。

「急いでコルテーゼ侯爵に手紙を書かないと……あっ……」

 コルテーゼ侯爵に伝えたいのだが、あの沼地を案内してくれたのは令息のルードヴィック。
 そして、あの場所は彼の秘密の場所。
 侯爵に報告すれば、彼の安息の地を奪ってしまうことになる。
 
「侯爵じゃなく、ルードヴィックに伝えた方が良いわよね……」

 ルードヴィックに手紙を出す。

「お嬢様、コルテーゼ侯爵様より、お手紙が届いております」

 手紙は侯爵ではなく、ルードヴィックから。
 彼なりにブルニーマ・クラウトを調べ、沼地に咲く花と見比べると同一のものと判明。
 彼から侯爵に報告し、私も現地で確認してほしいと連絡をもらう。
 手紙をもらった翌日には司祭に許可をもらい、予定を組み翌月にコルテーゼの領地を目指す。
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