あなたの事は好きですが私が邪魔者なので諦めようと思ったのですが…様子がおかしいです

Karamimi

文字の大きさ
28 / 34

第28話:初めて腹を割ってアルト様と話が出来た気がします

しおりを挟む
 必死にアルト様に謝った。

「だからカナリアは、僕に最近冷たかったのだね…僕は君に避けられ、どれほど辛かったか…」

「本当に申し訳ございませんでした。でも今日、シャーラ様とアルト様がそんな関係ではないという事が、はっきりと分かりました。私はきっと、あの熱のせいで、思考回路が停止していたのかもしれません」

 本当はあの熱のせいで前世の記憶を取り戻したのだが、さすがにそんな事は言えない。ただ、シャーラ様とアルト様が恋仲だと疑っていたのは、事実だ。だからその事実だけは、きちんと伝えた方がいいと思ったのだ。

 それから、もう一つ私が伝えなければいけないことがある。

「アルト様、私は物心ついた時から、アルト様をお慕いしておりました。あなた様と婚約できた時は、天にも昇るほど嬉しかったのです。これからはアルト様と一緒にいられる、少しでもアルト様を支えられたら、そう思っておりました。でも、あの夢のせいで、私はすっかり自信を無くしてしまって…アルト様の幸せの為に、私が身を引くべきだと考えたのです。今思えば、きちんとアルト様と話をするべきでしたわ。そうすれば、自分がいかに愚かな勘違いをしているか、すぐにわかったはずなのに…」

 私の完全な勘違いのせいで、アルト様にはたくさん心配をかけてしまったし、悲しい思いをさせてしまったのだ。それに私自身も、随分苦しみ、悲しい思いをした。

「それを言うなら、僕も同じだよ。僕がもっと、カナリアの話に耳を傾けていれば…もっとカナリアと話をしていれば、カナリアが変な勘違いをする事はなかったのかもしれない。これからは、少しでも不安な事や気になる事があったら、何でも話をしよう。カナリア、僕もね、物心ついた時から、カナリアが大好きだ。でも、カナリアの気持ちが分からなくて、ずっと不安だった。今日、カナリアの素直な気持ちが聞けて嬉しいよ」

「アルト様…こんな私ですが、これからもずっと傍にいて下さいますか?」

「もちろんだよ、僕はずっとずっとカナリアと一緒にいるよ。君がいないと、僕は生きていけない程、君を愛している。カナリアこそ、僕を置いて国を出たりしないよね?」

「ええ、もちろんですわ。私もアルト様が大好きです!これからも、ずっとずっと一緒です!」

 ギュッとアルト様に抱き着いた。アルト様と一緒にいられるのなら、国を出る必要はない。確かに旅は楽しみだったが、アルト様の方がずっとずっと大切なのだ。

「あぁ…また僕のカナリアが戻ってきてくれた!もう二度と離さないよ」

 ポロポロと涙を流し、私を抱きしめるアルト様。私も涙が溢れだす。

「私ももう二度とアルト様から離れません。ずっとずっと一緒にいたいです!」

 前世の記憶が戻った時は、本当に悲しくて辛かった。アルト様の為に、彼を忘れなければと、必死になった事もあった。

 でも…

 全て私の勘違いだったのよね…

 私は本当に、何をやっているのかしら?でも、確かにあの物語に転生したと思ったのに…

 もうどうでもいいか。だって、アルト様は今でも私を愛してくれているのだから。アルト様があの時助けてくれたから、今私はここにいられる。本当に幸せね。

 ただ…

「アルト様、どうして私たちの居場所が分かったのですか?」

 密かに疑問に思っていたことがある。それは、どうして私たちの居場所が分かったかという事だ。

「それはね、居場所を特定できるブローチと、撮影機能が付いたピアスを君に付けていたからだよ」

「えっ?居場所が特定できるブローチと、撮影機能が付いたピアス?」

「そうだよ、このブローチとピアスがそうだ。だからすぐに、カナリアの居場所が分かったんだ。それにこの撮影機能のお陰で、ルミン嬢の悪事も暴けそうだしね。このピアスは、カナリアの様子をリアルタイムで見られるんだ。あの女!カナリアを誘拐するだなんて許せない。それに、カナリアに触れたあの男たち、絶対にただでは済まさないから…」

 それはそれは悪い顔をしているアルト様。この人、まさか私にそんな物を付けていただなんて…だから私の居場所を、瞬時に突き止めて、どんな時でも私の元に駆けつけていたのね…全く気が付かなかったわ。

「ただ公爵家は警備が厳しいうえ、電波の妨害を受けていて、公爵家内でのカナリアの様子は全く分からなくてね。本当に不安だったんだ。カナリア、これを持っていてくれるかい?」

「あの…これは?」

「これはね、電波妨害を阻止する機械なんだ。この機械をカナリアが持っていてくれたら、カナリアの様子がいつでもわかるんだよ。もちろん僕は、カナリア以外に興味がないから、公爵家に不利益を与える事はないから、安心して」

「えっと…その…」

 それはこれからも、私をずっと監視するという事よね…さすがにずっと見られているのは、嫌だわ…

「あの、アルト様、さすがにずっと監視されているのは、ちょっと…それに家族のプライバシーもありますし…さすがにピアスの方は…」

 百歩譲って居場所を特定されるのはいいとしても、私の行動を逐一みられているのは、さすがに耐えられない。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

好きでした、婚約破棄を受け入れます

たぬきち25番
恋愛
シャルロッテ子爵令嬢には、幼い頃から愛し合っている婚約者がいた。優しくて自分を大切にしてくれる婚約者のハンス。彼と結婚できる幸せな未来を、心待ちにして努力していた。ところがそんな未来に暗雲が立ち込める。永遠の愛を信じて、傷つき、涙するシャルロッテの運命はいかに……? ※十章を改稿しました。エンディングが変わりました。

全てを捨てて消え去ろうとしたのですが…なぜか殿下に執着されています

Karamimi
恋愛
侯爵令嬢のセーラは、1人崖から海を見つめていた。大好きだった父は、2ヶ月前に事故死。愛していた婚約者、ワイアームは、公爵令嬢のレイリスに夢中。 さらにレイリスに酷い事をしたという噂まで流されたセーラは、貴族世界で完全に孤立していた。独りぼっちになってしまった彼女は、絶望の中海を見つめる。 “私さえいなくなれば、皆幸せになれる” そう強く思ったセーラは、子供の頃から大好きだった歌を口ずさみながら、海に身を投げたのだった。 一方、婚約者でもあるワイアームもまた、一人孤独な戦いをしていた。それもこれも、愛するセーラを守るため。 そんなワイアームの気持ちなど全く知らないセーラは… 龍の血を受け継いだワイアームと、海神の娘の血を受け継いだセーラの恋の物語です。 ご都合主義全開、ファンタジー要素が強め?な作品です。 よろしくお願いいたします。 ※カクヨム、小説家になろうでも同時配信しています。

記憶を失くした悪役令嬢~私に婚約者なんておりましたでしょうか~

Blue
恋愛
マッツォレーラ侯爵の娘、エレオノーラ・マッツォレーラは、第一王子の婚約者。しかし、その婚約者を奪った男爵令嬢を助けようとして今正に、階段から二人まとめて落ちようとしていた。 走馬灯のように、第一王子との思い出を思い出す彼女は、強い衝撃と共に意識を失ったのだった。

【完結】そんなに嫌いなら婚約破棄して下さい! と口にした後、婚約者が記憶喪失になりまして

Rohdea
恋愛
──ある日、婚約者が記憶喪失になりました。 伯爵令嬢のアリーチェには、幼い頃からの想い人でもある婚約者のエドワードがいる。 幼馴染でもある彼は、ある日を境に無口で無愛想な人に変わってしまっていた。 素っ気無い態度を取られても一途にエドワードを想ってきたアリーチェだったけど、 ある日、つい心にも無い言葉……婚約破棄を口走ってしまう。 だけど、その事を謝る前にエドワードが事故にあってしまい、目を覚ました彼はこれまでの記憶を全て失っていた。 記憶を失ったエドワードは、まるで昔の彼に戻ったかのように優しく、 また婚約者のアリーチェを一途に愛してくれるようになったけど──…… そしてある日、一人の女性がエドワードを訪ねて来る。 ※婚約者をざまぁする話ではありません ※2022.1.1 “謎の女”が登場したのでタグ追加しました

突然決められた婚約者は人気者だそうです。押し付けられたに違いないので断ってもらおうと思います。

橘ハルシ
恋愛
 ごくごく普通の伯爵令嬢リーディアに、突然、降って湧いた婚約話。相手は、騎士団長の叔父の部下。侍女に聞くと、どうやら社交界で超人気の男性らしい。こんな釣り合わない相手、絶対に叔父が権力を使って、無理強いしたに違いない!  リーディアは相手に遠慮なく断ってくれるよう頼みに騎士団へ乗り込むが、両親も叔父も相手のことを教えてくれなかったため、全く知らない相手を一人で探す羽目になる。  怪しい変装をして、騎士団内をうろついていたリーディアは一人の青年と出会い、そのまま一緒に婚約者候補を探すことに。  しかしその青年といるうちに、リーディアは彼に好意を抱いてしまう。 全21話(本編20話+番外編1話)です。

愛を求めることはやめましたので、ご安心いただけますと幸いです!

風見ゆうみ
恋愛
わたしの婚約者はレンジロード・ブロフコス侯爵令息。彼に愛されたくて、自分なりに努力してきたつもりだった。でも、彼には昔から好きな人がいた。 結婚式当日、レンジロード様から「君も知っていると思うが、私には愛する女性がいる。君と結婚しても、彼女のことを忘れたくないから忘れない。そして、私と君の結婚式を彼女に見られたくない」と言われ、結婚式を中止にするためにと階段から突き落とされてしまう。 レンジロード様に突き落とされたと訴えても、信じてくれる人は少数だけ。レンジロード様はわたしが階段を踏み外したと言う上に、わたしには話を合わせろと言う。 こんな人のどこが良かったのかしら??? 家族に相談し、離婚に向けて動き出すわたしだったが、わたしの変化に気がついたレンジロード様が、なぜかわたしにかまうようになり――

婚約者に愛する人が出来たので、身を引く事にしました

Blue
恋愛
 幼い頃から家族ぐるみで仲が良かったサーラとトンマーゾ。彼が学園に通うようになってしばらくして、彼から告白されて婚約者になった。サーラも彼を好きだと自覚してからは、穏やかに付き合いを続けていたのだが、そんな幸せは壊れてしまう事になる。

【完結】消えた姉の婚約者と結婚しました。愛し愛されたかったけどどうやら無理みたいです

金峯蓮華
恋愛
侯爵令嬢のベアトリーチェは消えた姉の代わりに、姉の婚約者だった公爵家の子息ランスロットと結婚した。 夫とは愛し愛されたいと夢みていたベアトリーチェだったが、夫を見ていてやっぱり無理かもと思いはじめている。 ベアトリーチェはランスロットと愛し愛される夫婦になることを諦め、楽しい次期公爵夫人生活を過ごそうと決めた。 一方夫のランスロットは……。 作者の頭の中の異世界が舞台の緩い設定のお話です。 ご都合主義です。 以前公開していた『政略結婚して次期侯爵夫人になりました。愛し愛されたかったのにどうやら無理みたいです』の改訂版です。少し内容を変更して書き直しています。前のを読んだ方にも楽しんでいただけると嬉しいです。

処理中です...