あなたの事は好きですが私が邪魔者なので諦めようと思ったのですが…様子がおかしいです

Karamimi

文字の大きさ
33 / 34

第33話:とんだ勘違いをしていました

しおりを挟む
「申し訳ございません、何でもありませんわ。ただ…カナリア様がヒロインとかなんとかおっしゃっていたので、気になって。もしかしてその…前世の記憶とか…いえ、何でもありませんわ」

 シャーラ様が、慌てて口を押えた。もしかしてシャーラ様も…

「あなた達、シャーラ様と2人で話がしたいの。少し席を外してくれるかしら?」

 近くに控えていた使用人たちを、部屋の外へと誘導した。これでよし!

「シャーラ様、私は前世の記憶がございます。前世では、日本という国で生きておりました。もしかしてあなた様も?」

「ええ、私も前世の記憶がありますわ!私も日本人でした。もしかしてカナリア様も、この小説を読んでいたのですか?私、自分が転生したと知った時は驚きましたわ。まさか私が、前世で好きだった小説のヒロインに転生するだなんて」

「やっぱりシャーラ様は、ヒロインだったのですね。でも、それならどうしてヒーローのアルト様と、恋に落ちなかったのですか?それが理解できたなく…」

「えっ?」

 目を大きく見開き、口元に手を当て固まっているシャーラ様。一体どうしたのだろう?

「あの…カナリア様、何をおっしゃっているのですか?ヒロインは確かに私ですが、ヒーローは公爵令息のシモン様、そして悪役令嬢に公爵令嬢のルミン様というキャスティングですわよ。題名は何だったかしら?ほら、書籍化もされた作品ですわ」

「えっ?書籍化された作品?」

「ええ、ヒーローでもあるシモン様は、密かに幼馴染で公爵令嬢のカナリア様を愛していた。でも、カナリア様は幼馴染のアルト殿下と婚約。アルト殿下のカナリア様への執着は恐ろしく、ろくに話をする事も出来なくなったシモン様。傷心の中たまたま訪れたカスティーノ領でシャーラに出会い、2人はいつしか惹かれ合っていくの。ただ、シモン様はずっと伯爵領にいる訳にもいかず、2人は離れ離れに」


「そんな中、貴族学院で2人は再会し、愛を育んでいくのだけれど、そこに待ち受けていたのが、シモン様を愛しているルミン様。彼女からの数々の嫌がらせを乗り越え、シャーラとシモン様は結ばれるところで、ハッピーエンドよ」

 嬉しそうにシャーラ様が話してくれた。確かにシャーラ様とシモン様は愛し合っている様だし、ルミン様はシャーラ様を誘拐して、今まさに断罪されようとしている。

 という事は…

「私は転生先の物語を間違えていたという事なの?待って、シモン様は私の事を嫌っていたのではないの?」

「シモン様は、カナリア様の事がずっと好きだったのです。ただ、あの嫉妬深い腹黒王子が、カナリア様に近づかせないようにしていただけ。本当に嫉妬深くて、気持ち悪くなるわ…カナリア様、もしかして前世の記憶を取り戻して、あの嫉妬深い王子の事が嫌になって、必死に逃げようとしていたのですか?」

 真顔でシャーラ様が、問いかけて来た。

「わ…私はアルト様を愛していますわ。私はその…転生した物語を勘違いしていて…私が思っていた物語は、シャーラ様とアルト様が恋に落ち、駆け落ちをしようとしたが失敗して、シャーラ様は殺されてしまう。シャーラ様を深く愛していたアルト様は、ショックで海に身投げしてしまう。同じくアルト様を愛していた婚約者のカナリアも、彼の後を追うという、とても悲しいお話に転生したと思っておりましたの」

「そのお話、私も読みましたわ。私は基本的にハッピーエンドが好きなので、読んだ後モヤモヤしてどうしようもなかったのを覚えています。でもあの話、確かにヒロインはシャーラと言う名前でしたが、子爵令嬢ですし、ヒーローはアルトではなくて、ライトですわよ。それにライトの婚約者も、カナリアではなくカリーナですし…」

「えっ?そうだったかしら?私、お酒を飲みながら読んでいたから、記憶があいまいで…」

「よくその様な記憶で、その物語に転生したと思いましたわね…あまりにもストーリーが違いすぎて、途中で気が付きそうなものですが…アルト殿下のカナリア様への執着は、大概なものでしたし…」

 心底残念な者を見る様な目つきで、シャーラ様が呟いている。確かに私も途中でなんだかおかしい様な気もしていた。

 でも、完全にあの小説に入り込んでいると思い込んでいたのだ。だから疑う余地なんて、私にはなかった。

「そんな顔をしないで下さい。カナリア様が物語通り動いて下さらなかったから、少しひやひやしましたが、それでも要所要所ではきちんと動いて下さいましたので、助かりましたわ」

「あの、シャーラ様、私は小説内では、どういった立ち位置だったのですか?」

「カナリア様は、私の最大の協力者でしたわ。私がルミン様の取り巻きに暴言を吐かれているところを助けていただいた事をきっかけに、カナリア様とは仲を深めていくという感じですわね。カナリア様はシャーラの最大の協力者なのですが、何分婚約者が嫉妬深かったので…ただ、最後ルミン様に連れ去られたときのカナリア様の動きは、小説どおりでしたわよ。もちろん、アルト殿下も」

「そうだったのですね…あの、もしかして小説でも、アルト様によって助け出されたのですか?」

「ええ、そうですわ。アルト様は小説でも非常に嫉妬深く、カナリア様を束縛しておりましたので。私が連れ去られ絶望するシモン様が、アルト殿下のお陰で助け出された事で、シモン様も少し病んでしまわれて…私もアルト殿下程ではありませんが、シモン様から今、束縛されつつありますわ。私のこのブローチには、居場所が特定できる機械が付いておりますの」

 にっこり笑ってブローチを見せてくれたシャーラ様。アルト様に対してはかなり辛口だが、それでも私はヒロインでもあるシャーラ様を助けられてよかったわ。

 ただ…

 まさか全く違う物語に転生していただなんてね…


 ※次回、最終話です。
 よろしくお願いします。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

好きでした、婚約破棄を受け入れます

たぬきち25番
恋愛
シャルロッテ子爵令嬢には、幼い頃から愛し合っている婚約者がいた。優しくて自分を大切にしてくれる婚約者のハンス。彼と結婚できる幸せな未来を、心待ちにして努力していた。ところがそんな未来に暗雲が立ち込める。永遠の愛を信じて、傷つき、涙するシャルロッテの運命はいかに……? ※十章を改稿しました。エンディングが変わりました。

全てを捨てて消え去ろうとしたのですが…なぜか殿下に執着されています

Karamimi
恋愛
侯爵令嬢のセーラは、1人崖から海を見つめていた。大好きだった父は、2ヶ月前に事故死。愛していた婚約者、ワイアームは、公爵令嬢のレイリスに夢中。 さらにレイリスに酷い事をしたという噂まで流されたセーラは、貴族世界で完全に孤立していた。独りぼっちになってしまった彼女は、絶望の中海を見つめる。 “私さえいなくなれば、皆幸せになれる” そう強く思ったセーラは、子供の頃から大好きだった歌を口ずさみながら、海に身を投げたのだった。 一方、婚約者でもあるワイアームもまた、一人孤独な戦いをしていた。それもこれも、愛するセーラを守るため。 そんなワイアームの気持ちなど全く知らないセーラは… 龍の血を受け継いだワイアームと、海神の娘の血を受け継いだセーラの恋の物語です。 ご都合主義全開、ファンタジー要素が強め?な作品です。 よろしくお願いいたします。 ※カクヨム、小説家になろうでも同時配信しています。

記憶を失くした悪役令嬢~私に婚約者なんておりましたでしょうか~

Blue
恋愛
マッツォレーラ侯爵の娘、エレオノーラ・マッツォレーラは、第一王子の婚約者。しかし、その婚約者を奪った男爵令嬢を助けようとして今正に、階段から二人まとめて落ちようとしていた。 走馬灯のように、第一王子との思い出を思い出す彼女は、強い衝撃と共に意識を失ったのだった。

【完結】そんなに嫌いなら婚約破棄して下さい! と口にした後、婚約者が記憶喪失になりまして

Rohdea
恋愛
──ある日、婚約者が記憶喪失になりました。 伯爵令嬢のアリーチェには、幼い頃からの想い人でもある婚約者のエドワードがいる。 幼馴染でもある彼は、ある日を境に無口で無愛想な人に変わってしまっていた。 素っ気無い態度を取られても一途にエドワードを想ってきたアリーチェだったけど、 ある日、つい心にも無い言葉……婚約破棄を口走ってしまう。 だけど、その事を謝る前にエドワードが事故にあってしまい、目を覚ました彼はこれまでの記憶を全て失っていた。 記憶を失ったエドワードは、まるで昔の彼に戻ったかのように優しく、 また婚約者のアリーチェを一途に愛してくれるようになったけど──…… そしてある日、一人の女性がエドワードを訪ねて来る。 ※婚約者をざまぁする話ではありません ※2022.1.1 “謎の女”が登場したのでタグ追加しました

突然決められた婚約者は人気者だそうです。押し付けられたに違いないので断ってもらおうと思います。

橘ハルシ
恋愛
 ごくごく普通の伯爵令嬢リーディアに、突然、降って湧いた婚約話。相手は、騎士団長の叔父の部下。侍女に聞くと、どうやら社交界で超人気の男性らしい。こんな釣り合わない相手、絶対に叔父が権力を使って、無理強いしたに違いない!  リーディアは相手に遠慮なく断ってくれるよう頼みに騎士団へ乗り込むが、両親も叔父も相手のことを教えてくれなかったため、全く知らない相手を一人で探す羽目になる。  怪しい変装をして、騎士団内をうろついていたリーディアは一人の青年と出会い、そのまま一緒に婚約者候補を探すことに。  しかしその青年といるうちに、リーディアは彼に好意を抱いてしまう。 全21話(本編20話+番外編1話)です。

愛を求めることはやめましたので、ご安心いただけますと幸いです!

風見ゆうみ
恋愛
わたしの婚約者はレンジロード・ブロフコス侯爵令息。彼に愛されたくて、自分なりに努力してきたつもりだった。でも、彼には昔から好きな人がいた。 結婚式当日、レンジロード様から「君も知っていると思うが、私には愛する女性がいる。君と結婚しても、彼女のことを忘れたくないから忘れない。そして、私と君の結婚式を彼女に見られたくない」と言われ、結婚式を中止にするためにと階段から突き落とされてしまう。 レンジロード様に突き落とされたと訴えても、信じてくれる人は少数だけ。レンジロード様はわたしが階段を踏み外したと言う上に、わたしには話を合わせろと言う。 こんな人のどこが良かったのかしら??? 家族に相談し、離婚に向けて動き出すわたしだったが、わたしの変化に気がついたレンジロード様が、なぜかわたしにかまうようになり――

婚約者に愛する人が出来たので、身を引く事にしました

Blue
恋愛
 幼い頃から家族ぐるみで仲が良かったサーラとトンマーゾ。彼が学園に通うようになってしばらくして、彼から告白されて婚約者になった。サーラも彼を好きだと自覚してからは、穏やかに付き合いを続けていたのだが、そんな幸せは壊れてしまう事になる。

【完結】消えた姉の婚約者と結婚しました。愛し愛されたかったけどどうやら無理みたいです

金峯蓮華
恋愛
侯爵令嬢のベアトリーチェは消えた姉の代わりに、姉の婚約者だった公爵家の子息ランスロットと結婚した。 夫とは愛し愛されたいと夢みていたベアトリーチェだったが、夫を見ていてやっぱり無理かもと思いはじめている。 ベアトリーチェはランスロットと愛し愛される夫婦になることを諦め、楽しい次期公爵夫人生活を過ごそうと決めた。 一方夫のランスロットは……。 作者の頭の中の異世界が舞台の緩い設定のお話です。 ご都合主義です。 以前公開していた『政略結婚して次期侯爵夫人になりました。愛し愛されたかったのにどうやら無理みたいです』の改訂版です。少し内容を変更して書き直しています。前のを読んだ方にも楽しんでいただけると嬉しいです。

処理中です...