溺愛彼氏は消防士!?

すずなり。

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飲み放題。

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雄大side・・・




雪華がてきぱきと仕事をしてる様子を、コーヒーを飲みながらチラチラ見ていた俺は、心の中で雪華のことを考えていた。



雄大(脈はありそうだけど・・・どうかなぁ。)



キッチンで仕事をしてる雪華。

じーっと見てると何やら店員とこそこそ話をしてるのが目に入った。

やがてその店員は皿を持って客席のほうに来て・・・俺の前で立ち止まった。




雄大「?」

店長「こちら、せっちゃんの彼氏さんへのサービスです。」




そう言ってミニサイズのケーキが3つ乗った皿をテーブルの上に置いた。


雄大「え?」




訳が分からず皿のケーキを眺めてると、その店員は俺の向かいの席に座った。



店長「・・・せっちゃんの彼氏・・・なんですよね?」

雄大「せっちゃんって・・・雪華のことですか?」

店長「そう。あ、私はこのカフェの店長をしてます。」

雄大「店長って・・・あー、いつも雪華がお世話になってます。」




俺は座ったまま深く礼をした。




店長「で、せっちゃんの彼氏?」

雄大「彼氏・・・ではないですね。」





一度は『付き合って』といったけれどもまだ雪華からは返事をもらってない。




店長「はぁー・・・彼氏だと思うのに。」

雄大「・・・はい?」

店長「だってせっちゃん、あなたと出会ってからすごく楽しそうよ?」

雄大「それは・・・嬉しいですけど・・・。」

店長「でも前の彼氏と別れたばっかりで新しい恋を始めていいものか悩んでたけどね。」

雄大「え・・・それってどういう・・・・」

店長「あ、戻らなきゃ。・・・もうすぐせっちゃん上がらせるんで待っててくださいねー。」





言うだけ言って、店長さんはキッチンに戻って行った。

雪華がなにやら怒り気味に店長さんと話をしてるのが見える。




雄大(そっか・・・俺と出会ってから楽しそうなのか・・・。)



俺は一人、ニヤけながらケーキを食べた。

どれもこれも甘かったけど・・・甘い物が全然平気は俺はぺろっと食べてしまえる。




雄大(そっかー・・。)




雪華を待ちながら外の景色を見てると、仕事を終わらせた雪華が俺のところにやってきた。




雪華「お待たせっ。」

雄大「大丈夫、行こうか。」

雪華「はいっ。」




俺は会計をして、雪華と一緒にカフェを出た。

出た時に雪華に向かって手を差し出した。



雄大「ん。」

雪華「・・・。」




雪華は悩みながら俺の手を眺めてる。



雪華「えっと・・・あの・・・・」

雄大「『手』、いい?」



くぃくぃっと手を動かすと、雪華は顔を赤くしながら俺の手を取った。

初めて雪華と手を繋いだ俺は内心ドキドキしていた。

なぜならまだ付き合ってもいないからだ。





雪華「・・・大きい手。」




雪華は俺の手を確かめるようにしてきゅっと握った。




雄大「雪華の手はちっさいな。グーして?」

雪華「?」




繋いでいた手を離して、グーをした雪華。

俺はその手を・・・自分の手で上から覆いこんだ。



雪華「!?」

雄大「ほら、ちっさい。」




すっぽり包めた雪華の手。

自分でやっときながら少し照れそうになった。




雪華「すごいですねっ。背も高いから手も大きいのかな。」

雄大「どうかな。雪華は小さいよね。身長いくつ?」

雪華「私?150センチですよ?」

雄大「俺は188センチ。」

雪華「ふふ。顔を見るたびに見上げるから首を痛めそう(笑)」




俺たちはまた手を繋ぎ、飲み放題のある店に向かった。







ーーーーー







雪華「すごい種類のお酒・・・。」

雄大「ほんとだな、何種類あるんだ?」




着いた飲み放題のお店は制限時間が2時間。

お酒の飲み放題が売りだからか、とてつもない種類のお酒がカウンターに並べられていた。




雪華「どっちが先に酔いますかねー?」

雄大「どっちもザルなんだから酔わないだろ(笑)」

雪華「でも競争ですよ?」

雄大「臨むところだ。」




制限時間内だったらいくら飲んでも構わないこの店。

セルフサービスらしくて自分で注ぎにいく。

俺たちは片っ端から酒を注いで飲んでいった。




雪華「雄大さんっ、あの紫のお酒おいしかったですよっ。」

雄大「雪華はこっちのピンク飲んだ?結構甘かった。」

雪華「飲む飲むっ。」



サラダやポテトを摘まみながら俺たちは飲み続けた。

お互いの仕事の話をし、笑ったり・・・共感したりしながら。




雪華「え!?雄大さんって28歳なんですか!?」

雄大「結構オッサンでごめん・・。」

雪華「いやいや、そんなことないですよ。私だって25歳ですし。」





そんな楽しい時間はあっという間に過ぎていき、1時間半くらい経ったところで雪華がギブアップ宣言をした。




雪華「もう入んない・・・・。」

雄大「お?ギブ?」

雪華「ギブギブ・・・。」



テーブルの上に置かれてる空のジョッキは全部で15本。

雪華の腹の容量がいっぱいになったようだ。



雄大「俺、まだ入るよ?」

雪華「お腹がいっぱいなだけで酔ってはいないですよ?」

雄大「俺もだけど。」




ジョッキに残ってる酒を口に含んだ。

雪華は空になったジョッキをきれいに並べ始めてる。




雄大「・・・雪華?」

雪華「ん?なんですか?」

雄大「俺と付き合う気になった?」

雪華「え・・・えぇ?」

雄大「俺、大事にするよ?」




そう言うと雪華は背筋を伸ばしてまっすぐに俺を見た。




雪華「私、彼氏に振られた理由言いましたよね?」

雄大「・・・・・。」




雪華が振られた理由は・・・キスより先に進めないこと。

それは聞いていたけどほんとかどうかはわからない。

それに・・・雪華のせいだけじゃない気がしていた。




雄大「聞いた。だから何?」




雪華は俺の言葉に俯いた。

自分の手を膝の上でこねこねしながらぼそぼそと呟くように言う。




雪華「こないだ別れたとこなのに・・・もう他の誰かと付き合うとか・・・いいんでしょうか・・・。」



その台詞から、雪華が真面目な子だということがわかった。

雪華の中でちゃんと区切りがつかないと前に進めないタイプだ。

だから別れた罪悪感みたいなものを背負ってしまってる。



雄大「俺は・・・昨日まで誰か他の人と付き合ってて今日から俺と付き合うって言われても平気だよ?俺さえ見てくれるのなら。」

雪華「・・・。」

雄大「雪華はどうする?いつまでも前の男のこと引きずる?」




嫌な言い方をしてることくらいわかってる。

それでも雪華には俺のことを見て欲しかった。




雪華「私は・・・前に進みます!よろしくお願いします!」

雄大「・・・こちらこそ。」




こうして俺たちは付き合うことになった。

飲み放題の制限時間があと30分くらい残ってるから二人で話をしながら残ってるご飯を平らげながら俺たちは話し続けた。











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