絶対に笑える作者の日常・爆笑した話集

湯川仁美

文字の大きさ
25 / 60

㉒尿検査を忘れた担任

しおりを挟む
何年前だっただろうか?

「湯川先生!ごめん!尿検査の容器、配り忘れた!ほんま!ごめん!!!すまない!!」
半泣きで走ってやってきたのは、30代半ばの男性教諭。
5年3組の担任、小島先生。

「管理職にも自分で報告しました!本当にごめんなさい!!!」
「良いですよ~。明日も回収日なので今日配って子供達に明日持ってくるようお願いします。10人以上、明日、忘れた場合は、近隣校の学校に電話して持ち込みで業者に渡しますからご安心くださいね。10人以下の場合は2次検査の時に1時検査を出して引っ掛かったら小児科にでも保護者さんに行ってもらいますね」

「ほんまにごめん!」
「良いですよ~。そんな事より、顔色悪いけど大丈夫ですか?」
「いやぁ。心臓バクバク」
「そうなりますよね。湯川の保健室はわりと柔軟なので、ご安心ください」
「前任者の先生やったら、めちゃくちゃ、怒られてたと思う」
「あはは。めちゃくちゃ怒られてそう」

-----翌日
「全員提出!」
小島は袋いっぱいの尿検査のキットを持ってやってきた。
「すごーい!優秀すぎる!小島先生、ほんとお疲れ様」

「以後気を付けます」
「はぁい。お願い申し上げます」

梨乃はくすくす笑いながら小島を保健室から見送る。
平和な休み時間。
「湯川先生」
やってきたのは、5年生3組の女の子たち。
「はぁい。どうしたの?」
「尿検査。大丈夫だった?」
「業者さん、回収してくれたよ」
「全員提出?」
「そうだよ。どした?」

彼女達は顔を見合わせる。
「昨日さ、30分に一回。小島先生。おしっこ、尿検査、やばいを連発しててん」
「そーやねん!給食の時間にも言っててさ、終わりの会で。全員で、明日は尿検査の回収日ですって合唱してん」
「宿題も一つ、減らしてくれてん。そんなに回収できないとやばいん?」

彼女の言葉に梨乃はあはははっと声をあげて笑う。
「給食の時間はお上品にお尿の事は忘れて食べたいね。うーん。尿検査の提出は義務ではないんだけど、みんなの腎臓元気かな?って、調べる大切な検査で病気が本当に見つかるお友達もいるからね。・・・皆が忘れちゃったりするのは仕方ないけど。検査キットを渡すのを忘れて検査の機会をとっちゃったかもしれない。奪ったら大変!って、小島先生、責任感強いからすごーく焦ったんだと思うよ」

そっかー。
昨日は、1日中。
おしっこ、尿検査を連呼してたんだ。
検査キットを配らなかった担任には、非しかないし。
保護者からしても、しっかりして~っと思うだろうし。

あれだけ焦ってたから、梨乃は何も言わなかったが、ふふふ。
子供も苦労が絶えないね。
「小島先生に協力してあげてありがとうね」

梨乃は彼女達を見送ると、職員室に向かう。
もちろん、教頭も5年3組の尿検査については気になる所だったらしく。
「回収率はどうでした?」

「5年3組さんは100%でしたよ。昨日は1日中、尿検査っ尿検査って小島先生。言ってたらしいので」
「それも、それで、ベクトルがなぁ」
梨乃はくすくす笑いながら職員室を後にした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

とある男の包〇治療体験記

moz34
エッセイ・ノンフィクション
手術の体験記

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

野球部の女の子

S.H.L
青春
中学に入り野球部に入ることを決意した美咲、それと同時に坊主になった。

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

処理中です...