「婚約破棄された聖女ですが、実は最強の『呪い解き』能力者でした〜追放された先で王太子が土下座してきました〜

鷹 綾

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第22話 一蹴の宣言 〜アリシアの拒絶と、シルヴァンの激重溺愛〜

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第22話 一蹴の宣言 ~アリシアの拒絶と、シルヴァンの激重溺愛~

ルミナス領の村は、穏やかな午後の光に包まれていた。  
アリシア・ルナミアは、村の広場で子供たちと花を編んでいた。  
笑い声が響き、老婆がスープを配り、農夫たちが畑から戻ってくる。  
すべてが、平和で温かかった。

シルヴァン・レイヴンが、アリシアの隣に座っていた。  
彼の銀色の瞳が、アリシアを優しく見つめ、離さない。  
ヤンデレの激しさが、静かに燃えていた。

「アリシア……王太子の土下座は、終わった。  
もう、あの男は二度と来ない」

アリシアは、優しく微笑んだ。

「ええ。  
もう、過去は終わったわ」

その時、遠くから馬の蹄の音が響いた。  
ヴァレンティン王太子が、再び単騎で現れた。  
彼の姿は、前回よりもさらに憔悴していた。  
マントはぼろぼろで、顔は青ざめ、瞳は虚ろだった。

ヴァレンティンは、馬から降り、アリシアの前に土下座した。  
額を地面に押しつけ、震える声で言った。

「アリシア……俺は、もう何もかも失った。  
国民から嘲笑され、フィオナは追放され、王都は救われたのに、俺の心は空っぽだ。  
お前がいなければ、生きていけない。  
もう一度……婚約を復活させてくれ」

村人たちが、息を呑む。  
ガレン・ブライトが、剣に手をかけ、警戒した。  
シルヴァンの瞳が、冷たく鋭くなった。

アリシアは、静かに立ち上がり、ヴァレンティンを見下ろした。

「ヴァレンティン様……ありがとう。  
土下座までしてくれて」

ヴァレンティンは、顔を上げ、希望の光を瞳に浮かべた。

「なら……」

アリシアは、穏やかだが、断固とした声で言った。

「結構です」

ヴァレンティンの表情が、凍りついた。

「アリシア……?」

アリシアは、優しく、しかしはっきりと続けた。

「私は、もうあなたと婚約しません。  
王都に戻るつもりもありません。  
ここが、私の居場所です。  
みんなと一緒に、笑って生きていくのが、私の幸せ」

ヴァレンティンは、地面に額を再び押しつけ、嗚咽を漏らした。

「俺は……お前を傷つけた。  
だから、許してくれないのは当然だ。  
でも、せめて……」

シルヴァンが、アリシアの前に立ち、ヴァレンティンを冷たく見下ろした。

「王太子……お前の土下座は、受け取った。  
だが、アリシアはもうお前のものではない。  
俺の婚約者だ。  
二度と、近づくな」

ヴァレンティンは、震える手で地面を掴んだ。

「シルヴァン……お前が……」

シルヴァンは、アリシアを強く抱き寄せた。  
その腕は、優しく、しかし絶対に離さない執着に満ちていた。

「アリシアは、俺の聖女だ。  
お前のような勘違い王子に、渡さない。  
お前が一番傷つけた男は、俺が殺す……と言ったはずだ」

ヴァレンティンは、絶望の表情で地面を見つめた。

「そうか……俺は、本当にすべてを失った……」

アリシアは、シルヴァンの胸に寄りかかり、静かにヴァレンティンに言った。

「ヴァレンティン様……ありがとう。  
王都は、もう救われました。  
謝罪文は、全国に公開されたわね。  
それで、十分です」

ヴァレンティンは、ゆっくりと立ち上がり、馬に跨った。  
背中を丸め、静かに去っていった。

「アリシア……永遠に、俺はお前を愛していた……」

アリシアは、後ろ姿を見送った。  
心に、わずかな痛みが残ったが、すぐに消えた。

シルヴァンは、アリシアを強く抱きしめた。  
その声は、低く、激重だった。

「アリシア……もう、誰もお前を傷つけない。  
俺がお前のすべてを守る。  
永遠に、離さない」

アリシアは、シルヴァンの胸に顔を埋め、微笑んだ。

「ありがとう……シルヴァン様。  
私も、あなたと一緒にいたい」

シルヴァンの瞳が、激しく輝いた。  
ヤンデレの執着が、溢れ出していた。

「俺の国へ、来てくれ。  
そこでなら、お前の力も、俺の力も、最大限に活かせる。  
お前は、俺のものだ」

アリシアは、静かに頷いた。

「ええ……シルヴァン様」

村人たちが、歓声を上げた。  
子供たちが、アリシアに駆け寄る。

「アリシアお姉ちゃん、王太子様はもう来ないの?」

アリシアは、優しく頷いた。

「ええ。  
もう、来ないわ。  
これからは、みんなで幸せに生きましょう」

ガレンが、静かに微笑んだ。

「アリシア様……おめでとうございます」

アリシアは、ガレンに微笑み返した。

「ありがとう、ガレン。  
あなたも、一緒に来てくれる?」

ガレンは、深く頭を下げた。

「もちろんです。  
アリシア様の騎士として、どこまでも」

シルヴァンは、アリシアを抱き上げ、馬に跨った。  
村人たちが、笑顔で見送る。

「アリシアお姉ちゃん、幸せになってね!」

アリシアは、手を振り返した。

「みんなも、ありがとう。  
また、会いましょう」

丘の上から、シルヴァンの軍勢が、王都へ向けて進軍を開始した。  
銀色の鷲の旗が、風に翻る。

アリシアは、シルヴァンの胸に寄りかかり、静かに呟いた。

「これで、本当に終わったわ」

シルヴァンは、アリシアの髪を優しく撫でた。

「これから、俺がお前のすべてだ」

アリシアの心は、温かく満たされていた。
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