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14話 ギルドマスターです
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ギルドの奥に案内された私とメイリスは、置いてあるソファーに腰をかけていた。
正面にはさっきの男性と受付のお姉さんが座っている。
「紹介が遅れたな。俺はギルドマスターをしているガルだ」
すると、隣に座っているお姉さんは、はいはーい、と手を挙げて
「私は副ギルドマスターのサーヤって言います!」
と言った。
「えっ!副ギルドマスターでしたの?」
私は驚いて少し失礼なことを言ってしまった。しかし、サーヤは全く気にしていないようで
「副、なんて付いてるけど歴が長いだけで名前だけですよ!受付は私が好きでやってるんです!」
そう言うサーヤは本当に受付が好きなんだろうな、とわかるくらい楽しそうにしていた。
「そうだったんですの」
そんな話をしていると、ガルは
「そんなことより、2人は聖女と愛子のことは知っているか?」
と聞いてきた。隣で、そんなことって何よー!とサーヤが言っているのをガルは聞こえないふりしていた。
「いえ...私もメイリスも急にそんなことを言われて戸惑ってますの」
ねぇ、メイリス。と言うと
「はい。確かに、私もお嬢様も他の人よりは魔力も身体能力も高いですが、これくらいそこら辺にいると思ってましたので」
とメイリスも頷いた。
メイリスの言葉に何か引っかかることがあったのか、ガルは眉をひそめながら
「......少し気になったんだが、2人はどこから来たんだ?お嬢様って呼ばれてるってことは貴族かなんかだろ?」
と聞いてきた。
「私達はナリス国から来ましたの」
「ほぉ、なぜ わざわざ隣国に来て冒険者登録を?ナリスでも出来ただろ?」
...ガルさんは疑ってるのかしら?少し空気がピリついた気がしますわ。
私は、嘘を言ってもしょうがないので理由は言わず、説明した。
「私は昔から冒険者になりたかったんですの。でも両親に反対されたので、諦めていましたが色々あって......国を出て冒険者になろうと思いましたの」
「色々.......か。何とは聞かないが」
そう言うとさっきのピリついた空気がいくらかなくなった。ガルは溜息をついた後、
「聖女というのは国の結界を維持する為に常に魔力を吸い取られる。国を出ることによって魔力が吸い取られなくなる......知っていたか?」
と聞いてきた。もちろん初めて聞く内容だった。
「いえ、聖女だというのも先程知りましたし......あ、だから国を出てから調子が良かったんですのね」
国を出てフォスト達を治療する時に物凄く治癒魔法の調子が良かった。もしかすると、今まで無意識に魔力を消費していたから本来の力が出せなかったのね。
ガルとの話が一区切りついてから
「んじゃ、私からは愛子の説明しますねっ!」
そう言って、サーヤはピョンっとソファーの上に立ち上がった。
「愛子っていうのは、字のままですが精霊に愛されている子、のことを言います!今確認されてる愛子はメイリスさんを合わせて4人です!火が2人、水が1人、風が、メイリスさん貴方です!」
ビシっとメイリスを指差すサーヤは何故かドヤ顔気味になっていた。
一方、メイリスは指を刺されたことに少し戸惑いながらもそれを聞いていた。
「意外と少ないんですね」
とメイリスが言うと
「愛子は自覚さえ芽生えると、精霊とお話することも出来ますし、精霊の力を借りて戦うことも、国を良くすることも出来ます!なので愛子は、誘拐されたりとかもあるので注意して下さいね!!」
お話できるなんて羨ましいです!とサーヤは言うが流石に最後に言ったことをスルー出来なかった。
「さらっと言いましたが、最後のは衝撃的ですわ」
メイリス、気をつけるのよ。と私が言うと
「本当ですね。私が誘拐なんてされたらお嬢様がどうなるんだって話ですよ」
と想像していた言葉と違う言葉が返ってきた。
「いや、そういう意味で言ったわけじゃありませんのよ?」
メイリスがいなくなるのは確かに困りまくりですが、それよりメイリスが危険な目に合う方が嫌なんですが...
そんなことを思っていると、少し気になることがあった。
「あら?愛子はそういうことがあるのに、聖女は誘拐みたいな危険はないんですの?」
と聞くとガルが答えてくれた。
「あぁ、聖女も無いとは言えんが前に聖女を誘拐した国が潰れかけたことがあってな。それから皆やらなくなった、ってとこだ」
なるほど...聖女に何かあったら国自体に影響があるんですね。.........あれ?ということは今のナリス国は結構ヤバい状態なのでは?
メイリスを見ると同じことを考えていたみたいで、少し顔が強ばっていた。
...何も起こってなければいいのですが。
正面にはさっきの男性と受付のお姉さんが座っている。
「紹介が遅れたな。俺はギルドマスターをしているガルだ」
すると、隣に座っているお姉さんは、はいはーい、と手を挙げて
「私は副ギルドマスターのサーヤって言います!」
と言った。
「えっ!副ギルドマスターでしたの?」
私は驚いて少し失礼なことを言ってしまった。しかし、サーヤは全く気にしていないようで
「副、なんて付いてるけど歴が長いだけで名前だけですよ!受付は私が好きでやってるんです!」
そう言うサーヤは本当に受付が好きなんだろうな、とわかるくらい楽しそうにしていた。
「そうだったんですの」
そんな話をしていると、ガルは
「そんなことより、2人は聖女と愛子のことは知っているか?」
と聞いてきた。隣で、そんなことって何よー!とサーヤが言っているのをガルは聞こえないふりしていた。
「いえ...私もメイリスも急にそんなことを言われて戸惑ってますの」
ねぇ、メイリス。と言うと
「はい。確かに、私もお嬢様も他の人よりは魔力も身体能力も高いですが、これくらいそこら辺にいると思ってましたので」
とメイリスも頷いた。
メイリスの言葉に何か引っかかることがあったのか、ガルは眉をひそめながら
「......少し気になったんだが、2人はどこから来たんだ?お嬢様って呼ばれてるってことは貴族かなんかだろ?」
と聞いてきた。
「私達はナリス国から来ましたの」
「ほぉ、なぜ わざわざ隣国に来て冒険者登録を?ナリスでも出来ただろ?」
...ガルさんは疑ってるのかしら?少し空気がピリついた気がしますわ。
私は、嘘を言ってもしょうがないので理由は言わず、説明した。
「私は昔から冒険者になりたかったんですの。でも両親に反対されたので、諦めていましたが色々あって......国を出て冒険者になろうと思いましたの」
「色々.......か。何とは聞かないが」
そう言うとさっきのピリついた空気がいくらかなくなった。ガルは溜息をついた後、
「聖女というのは国の結界を維持する為に常に魔力を吸い取られる。国を出ることによって魔力が吸い取られなくなる......知っていたか?」
と聞いてきた。もちろん初めて聞く内容だった。
「いえ、聖女だというのも先程知りましたし......あ、だから国を出てから調子が良かったんですのね」
国を出てフォスト達を治療する時に物凄く治癒魔法の調子が良かった。もしかすると、今まで無意識に魔力を消費していたから本来の力が出せなかったのね。
ガルとの話が一区切りついてから
「んじゃ、私からは愛子の説明しますねっ!」
そう言って、サーヤはピョンっとソファーの上に立ち上がった。
「愛子っていうのは、字のままですが精霊に愛されている子、のことを言います!今確認されてる愛子はメイリスさんを合わせて4人です!火が2人、水が1人、風が、メイリスさん貴方です!」
ビシっとメイリスを指差すサーヤは何故かドヤ顔気味になっていた。
一方、メイリスは指を刺されたことに少し戸惑いながらもそれを聞いていた。
「意外と少ないんですね」
とメイリスが言うと
「愛子は自覚さえ芽生えると、精霊とお話することも出来ますし、精霊の力を借りて戦うことも、国を良くすることも出来ます!なので愛子は、誘拐されたりとかもあるので注意して下さいね!!」
お話できるなんて羨ましいです!とサーヤは言うが流石に最後に言ったことをスルー出来なかった。
「さらっと言いましたが、最後のは衝撃的ですわ」
メイリス、気をつけるのよ。と私が言うと
「本当ですね。私が誘拐なんてされたらお嬢様がどうなるんだって話ですよ」
と想像していた言葉と違う言葉が返ってきた。
「いや、そういう意味で言ったわけじゃありませんのよ?」
メイリスがいなくなるのは確かに困りまくりですが、それよりメイリスが危険な目に合う方が嫌なんですが...
そんなことを思っていると、少し気になることがあった。
「あら?愛子はそういうことがあるのに、聖女は誘拐みたいな危険はないんですの?」
と聞くとガルが答えてくれた。
「あぁ、聖女も無いとは言えんが前に聖女を誘拐した国が潰れかけたことがあってな。それから皆やらなくなった、ってとこだ」
なるほど...聖女に何かあったら国自体に影響があるんですね。.........あれ?ということは今のナリス国は結構ヤバい状態なのでは?
メイリスを見ると同じことを考えていたみたいで、少し顔が強ばっていた。
...何も起こってなければいいのですが。
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