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15話 父と陛下
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ユーグside
「旦那様、アバズリー男爵令嬢がいらっしゃいましたがいかが致しましょうか?」
いつもはあまり表情を崩さないノアであったが、今回ばかりは顔を酷く顰めて聞いてきた。
シエラが居なくなってから5日後、私は離婚の手続きを順調に進め、執務も無事にこなしていた。
普通は手紙でも何かしらの連絡を入れてから来訪するのが当たり前なのだが、男爵家で教わらなかったのだろうか?
「はぁ......面倒だが、仕方ないから客間に通しておいてくれ。茶などは出さなくていいぞ」
と言うと、ノアは、かしこまりました、と言って部屋を出ていった。
「全く...男爵家では娘の教育もまともに出来んのか......シエラはアイツのせいで...いや、私のせいでもあるか」
私は陛下に言われたことを思い出していた。
マノンは話をしてみると、リリー・アバズリーと関わらなければ真面目だし好感をもてるところがあった。
それに、マノンの両親から息子は改心してリリー・アバズリーと関わりを切った、と聞いたから婚姻を許した。
もちろん、その際には我が家の秘密部隊に調査をさせた。その時には本当に取り巻きから抜けていた為、改心した、というのは本当なんだと思っていた。
「はぁ...仕方ない。もう少ししてから客間に向かうしかないか」
と呟いて、頭が痛くなるのを必死に押さえ込んだ。
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
陛下side
「これからどうすべきか...」
執務室で書類を片付けながら、シエラが居なくなってから毎日のように同じ言葉を呟いていた。
「やはり、国中の皆に聖女だ、と言っておいた方がよかったか?」
「...お言葉ですが陛下、前聖女はそれによって命を落とされています。どちらが正しい、とは決められないのでは?」
そう言うのは宰相である
「確かにその通りだが...」
前聖女のときは貴族から国民にまでその存在を示していた。その方が本人も肩身狭い思いをせずにいれると思ったからだ。
だが、国中に知られると必然的に他国にも伝わることになる。
我が国にも聖女の力を貸してほしい、という希望が殺到した。
前聖女に相談すると治療だけなら、という約束の元、医者では治せない重傷者の治療ばかりを行った。
その結果、他国との繋がりは強くなったものの力を使いすぎた前聖女は歳を若くして亡くなってしまった。
そんなとき、シエラが聖女として覚醒した。希望が見えたと同時に公表すべきか悩んだ。
その結果、前回のようにならないようにと、陛下、宰相、ハーヴェスト夫妻のみに伝えられた。
「はぁ......」
このような原因をつくった奴らに対する苛立ちが日が経つにつれて増えてきている。
それを気力として仕事をしていると言っても過言ではない。
まずはこの国が潰れないようにする方法を考えるしかない、ということはわかっているが方法が全く思いつかない。
今までナリス国は、聖女がいない時の方が少なかったから思いつかないのも無理はない。
「陛下、領主達から作物が育たなくなっている、ギルドから魔物が強くなっていると、それぞれ報告を受けています。......既に聖女がいなくなった影響が出てきています」
「それはわかっておる...。だが、どうすればいいんだ......」
「...他国がどのように作物を育てているのか聞いてみてはどうでしょう?」
宰相の言葉に、なるほど、と思ったが、なぜ前聖女が亡くなってすぐ聞かなかったのか、と疑われないだろうか?
しかし、それしか今は方法が無いのか...。
「はぁ......」
陛下は何度目かわからない溜息をついた。
「旦那様、アバズリー男爵令嬢がいらっしゃいましたがいかが致しましょうか?」
いつもはあまり表情を崩さないノアであったが、今回ばかりは顔を酷く顰めて聞いてきた。
シエラが居なくなってから5日後、私は離婚の手続きを順調に進め、執務も無事にこなしていた。
普通は手紙でも何かしらの連絡を入れてから来訪するのが当たり前なのだが、男爵家で教わらなかったのだろうか?
「はぁ......面倒だが、仕方ないから客間に通しておいてくれ。茶などは出さなくていいぞ」
と言うと、ノアは、かしこまりました、と言って部屋を出ていった。
「全く...男爵家では娘の教育もまともに出来んのか......シエラはアイツのせいで...いや、私のせいでもあるか」
私は陛下に言われたことを思い出していた。
マノンは話をしてみると、リリー・アバズリーと関わらなければ真面目だし好感をもてるところがあった。
それに、マノンの両親から息子は改心してリリー・アバズリーと関わりを切った、と聞いたから婚姻を許した。
もちろん、その際には我が家の秘密部隊に調査をさせた。その時には本当に取り巻きから抜けていた為、改心した、というのは本当なんだと思っていた。
「はぁ...仕方ない。もう少ししてから客間に向かうしかないか」
と呟いて、頭が痛くなるのを必死に押さえ込んだ。
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陛下side
「これからどうすべきか...」
執務室で書類を片付けながら、シエラが居なくなってから毎日のように同じ言葉を呟いていた。
「やはり、国中の皆に聖女だ、と言っておいた方がよかったか?」
「...お言葉ですが陛下、前聖女はそれによって命を落とされています。どちらが正しい、とは決められないのでは?」
そう言うのは宰相である
「確かにその通りだが...」
前聖女のときは貴族から国民にまでその存在を示していた。その方が本人も肩身狭い思いをせずにいれると思ったからだ。
だが、国中に知られると必然的に他国にも伝わることになる。
我が国にも聖女の力を貸してほしい、という希望が殺到した。
前聖女に相談すると治療だけなら、という約束の元、医者では治せない重傷者の治療ばかりを行った。
その結果、他国との繋がりは強くなったものの力を使いすぎた前聖女は歳を若くして亡くなってしまった。
そんなとき、シエラが聖女として覚醒した。希望が見えたと同時に公表すべきか悩んだ。
その結果、前回のようにならないようにと、陛下、宰相、ハーヴェスト夫妻のみに伝えられた。
「はぁ......」
このような原因をつくった奴らに対する苛立ちが日が経つにつれて増えてきている。
それを気力として仕事をしていると言っても過言ではない。
まずはこの国が潰れないようにする方法を考えるしかない、ということはわかっているが方法が全く思いつかない。
今までナリス国は、聖女がいない時の方が少なかったから思いつかないのも無理はない。
「陛下、領主達から作物が育たなくなっている、ギルドから魔物が強くなっていると、それぞれ報告を受けています。......既に聖女がいなくなった影響が出てきています」
「それはわかっておる...。だが、どうすればいいんだ......」
「...他国がどのように作物を育てているのか聞いてみてはどうでしょう?」
宰相の言葉に、なるほど、と思ったが、なぜ前聖女が亡くなってすぐ聞かなかったのか、と疑われないだろうか?
しかし、それしか今は方法が無いのか...。
「はぁ......」
陛下は何度目かわからない溜息をついた。
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