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第七章:恋を知る夜、愛に包まれる朝
第126話・揚げたての幸せ、寄り添う温もり
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思わずシルヴェールで2泊の足止めとなった一行は、まず腹ごしらえをしようと市場へ戻った。
朝の時間帯ということもあり、屋台はすでに大賑わい。
人々の声、焼き物の香ばしい匂いが入り混じり、整然と並ぶ屋台の列はどれも目を惹いた。
シグの腕に抱えられたままのルナフィエラは、普段より高い視線から市場を眺めていた。
色鮮やかな屋台の数々が目に飛び込み、胸がわくわくしてくる。
(……わぁ、どれも美味しそう……!)
けれど、あれもこれも気になってしまい、ひとつに絞ることができない。
視線をせわしなく動かす彼女の様子に、ヴィクトルが微笑む。
「楽しそうですね、ルナ様。せっかく時間もありますから、気になるものを少しずつ試してみてはいかがでしょうか」
「……うん……でも、そんなに食べられないし……」
小さく不安げに漏らすルナフィエラに、シグが短く断言する。
「食べきれなきゃ、俺たちが食う。だから気にすんな」
「そうだよ、ルナ!」
フィンも元気よく頷いた。
「気になったのを選んでいいよ。僕らも楽しみだし!」
その言葉に少し安心したルナフィエラの視線が、ふと立ち止まる。
艶やかな照りのタレをまとい、香ばしい匂いを放つ串が目に入ったのだ。
「これ、美味しそう……!」
待ってましたとばかりにフィンがにっこり笑い、屋台の店主に声をかけた。
「じゃあまずはこれからだね!」
フィンがにこにこと笑いながら、屋台で焼きたての串を買い求めてくれた。
先端には、白い小粒の実をぎゅっと固めて炙ったものが刺さっている。
香ばしい匂いがふわりと漂い、ルナフィエラの鼻先をくすぐった。
「はい、ルナ。あつあつだよ」
差し出された串を受け取り、ルナフィエラはそっと一口。
口いっぱいに広がったのは香ばしい香りと、ほろりとほどける柔らかさ。
見た目は固そうだったのに、噛むともちもちとした不思議な食感が舌を楽しませる。
「……おいしい……! こんな食べ物、初めて……!」
瞳を輝かせる彼女に、フィンが嬉しそうに笑った。
「でしょ? これは“ライス”っていう穀物なんだ。甘いタレを塗って焼くと最高なんだよ!」
隣で見ていたユリウスが補足するように口を開く。
「パンや麦と違って、一粒が小さい分消化もいい。人間の街では主食として重宝されている」
「ライス……」
ルナフィエラは小さく呟き、もう一口。
もちもちとした食感と、舌に絡む甘辛いたれに思わず頬を緩めてしまう。
その様子にフィンがさらに身を乗り出し、にこにこと尋ねる。
「もう少し食べる?」
ルナフィエラはこくんと頷き、差し出された串からもう一度小さくかじると、残りはフィンに返した。
「……ありがとう。すごくおいしかった」
「えへへ。よかった!」
嬉しそうなフィンの笑顔に、ルナフィエラの胸もまたじんわりと温かくなっていった。
次は、揚げ物の屋台から漂う香りに視線を奪われる。
油の中で揚がった丸い衣が、きつね色に色づき、かりりと音を立てて引き上げられる。
「……あれも、美味しそう……」
そんな小さな呟きを聞き逃さず、ヴィクトルがすぐに店先へ向かう。
揚げたてを受け取ると、片手で器用に割り分け、湯気を確かめてから彼女に差し出した。
「熱いので、私が……」
シグの腕の中で抱かれている彼女は、戸惑いながらも小さく頷く。
ヴィクトルの指先から口元へ運ばれるそれをそっと受け入れると、外はさくりと軽い歯触り、中からはほくほくとした芋の甘みと香草の香りが広がった。
「……あっ……美味しい……!」
幸せそうに頬を染めるルナフィエラを見て、ヴィクトルの瞳がやわらかに和らぐ。
そのまま指先が唇の端に触れ、衣の欠片を拭う仕草へと移った。
「……口元に。……ふふ、可愛らしい」
不意の仕草にルナフィエラは頬を赤らめ、小さく瞬きを繰り返す。
周囲から見ればまるでお姫様が大切に扱われている光景でしかない。
彼女にとっても、それは安心できる“いつもの形”だった。
朝の時間帯ということもあり、屋台はすでに大賑わい。
人々の声、焼き物の香ばしい匂いが入り混じり、整然と並ぶ屋台の列はどれも目を惹いた。
シグの腕に抱えられたままのルナフィエラは、普段より高い視線から市場を眺めていた。
色鮮やかな屋台の数々が目に飛び込み、胸がわくわくしてくる。
(……わぁ、どれも美味しそう……!)
けれど、あれもこれも気になってしまい、ひとつに絞ることができない。
視線をせわしなく動かす彼女の様子に、ヴィクトルが微笑む。
「楽しそうですね、ルナ様。せっかく時間もありますから、気になるものを少しずつ試してみてはいかがでしょうか」
「……うん……でも、そんなに食べられないし……」
小さく不安げに漏らすルナフィエラに、シグが短く断言する。
「食べきれなきゃ、俺たちが食う。だから気にすんな」
「そうだよ、ルナ!」
フィンも元気よく頷いた。
「気になったのを選んでいいよ。僕らも楽しみだし!」
その言葉に少し安心したルナフィエラの視線が、ふと立ち止まる。
艶やかな照りのタレをまとい、香ばしい匂いを放つ串が目に入ったのだ。
「これ、美味しそう……!」
待ってましたとばかりにフィンがにっこり笑い、屋台の店主に声をかけた。
「じゃあまずはこれからだね!」
フィンがにこにこと笑いながら、屋台で焼きたての串を買い求めてくれた。
先端には、白い小粒の実をぎゅっと固めて炙ったものが刺さっている。
香ばしい匂いがふわりと漂い、ルナフィエラの鼻先をくすぐった。
「はい、ルナ。あつあつだよ」
差し出された串を受け取り、ルナフィエラはそっと一口。
口いっぱいに広がったのは香ばしい香りと、ほろりとほどける柔らかさ。
見た目は固そうだったのに、噛むともちもちとした不思議な食感が舌を楽しませる。
「……おいしい……! こんな食べ物、初めて……!」
瞳を輝かせる彼女に、フィンが嬉しそうに笑った。
「でしょ? これは“ライス”っていう穀物なんだ。甘いタレを塗って焼くと最高なんだよ!」
隣で見ていたユリウスが補足するように口を開く。
「パンや麦と違って、一粒が小さい分消化もいい。人間の街では主食として重宝されている」
「ライス……」
ルナフィエラは小さく呟き、もう一口。
もちもちとした食感と、舌に絡む甘辛いたれに思わず頬を緩めてしまう。
その様子にフィンがさらに身を乗り出し、にこにこと尋ねる。
「もう少し食べる?」
ルナフィエラはこくんと頷き、差し出された串からもう一度小さくかじると、残りはフィンに返した。
「……ありがとう。すごくおいしかった」
「えへへ。よかった!」
嬉しそうなフィンの笑顔に、ルナフィエラの胸もまたじんわりと温かくなっていった。
次は、揚げ物の屋台から漂う香りに視線を奪われる。
油の中で揚がった丸い衣が、きつね色に色づき、かりりと音を立てて引き上げられる。
「……あれも、美味しそう……」
そんな小さな呟きを聞き逃さず、ヴィクトルがすぐに店先へ向かう。
揚げたてを受け取ると、片手で器用に割り分け、湯気を確かめてから彼女に差し出した。
「熱いので、私が……」
シグの腕の中で抱かれている彼女は、戸惑いながらも小さく頷く。
ヴィクトルの指先から口元へ運ばれるそれをそっと受け入れると、外はさくりと軽い歯触り、中からはほくほくとした芋の甘みと香草の香りが広がった。
「……あっ……美味しい……!」
幸せそうに頬を染めるルナフィエラを見て、ヴィクトルの瞳がやわらかに和らぐ。
そのまま指先が唇の端に触れ、衣の欠片を拭う仕草へと移った。
「……口元に。……ふふ、可愛らしい」
不意の仕草にルナフィエラは頬を赤らめ、小さく瞬きを繰り返す。
周囲から見ればまるでお姫様が大切に扱われている光景でしかない。
彼女にとっても、それは安心できる“いつもの形”だった。
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