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第十章:星霜の果て、巡り逢う
第164話・この胸が覚えている──彼女の気配
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廊下の向こうから、急ぎ足の気配が3つ重なって近づいてきた。
「……来た」
フィンが小さく呟くと同時に、角の先から勢いよくシグが飛び出してくる。
そのすぐ後ろには──
黒髪の青年と、白金の髪の青年が並んで続いた。
ヴィクトルとユリウス。
3人は呼吸も整えず、そのままこちらへ駆け寄ってくる。
ルナは思わず足をすくませた。
だがフィンは、そっとその手を支えたまま微笑む。
「フィン……お前、本当に……?」
ユリウスの声は、震えていた。
けれど、震えていたのは彼だけではない。
ルナを見た瞬間、ヴィクトルの表情が完全に崩れた。
唇が震え、瞳に一瞬で涙が滲む。
「……ルナ…様…?」
その声は、嗚咽の手前だった。
黒髪が揺れるほど前へ踏み出し、まるで今すぐにでも抱き寄せてしまいそうな勢いでルナへ向かう。
「ヴィクトル、待て」
伸びかけた手を、ユリウスが後ろから掴んだ。
制止の力は強くない。
けれど確かな“理性”がそこにあった。
「……ここは学内だ。人目がある」
低く、押し殺した声。
ヴィクトルは肩ごと止まり、苦しそうに喉を震わせた。
それでも、視線だけはルナから離れない。
ヴィクトルとユリウスの反応を見て、フィンは胸の奥がじんわり温かくなるのを感じる。
(……よかった。二人も同じで)
その事実が、フィンの心にふっと安堵を落とす。
ユリウスはヴィクトルの肩を押さえたまま、すぐに周囲を観察した。
優秀で冷静──前世と変わらない。
廊下では、あちこちから好奇の目が向けられている。
(まずいね……このままだと)
フィンが少し身構えたその時、ユリウスが低い声で言った。
「……ここでは落ち着いて話せない。僕のサロンへ行こう」
ヴィクトルがはっと顔を上げる。
シグも即座に頷いた。
フィンは一歩前へ出て、ルナの手をそっと握り直す。
「王女殿下、少し場所を移しましょう。安全ですから、ご安心ください」
言葉は丁寧に選んだ。
けれど押し隠した“熱”が、声の端に滲んでしまう。
──この手を絶対に離したくない。
そんな想いが、鼓動に合わせて胸の奥で揺れた。
ルナは驚いたように瞬きをしたが、やはり不思議なほど自然に頷く。
「……はい」
(この反応も……前世と変わらないな)
ルナは、理由が分からなくても安心感を覚えるとき、迷わずついてきてくれる。
そしてその“理由のなさ”こそが、フィンにとっては何より嬉しいことだった。
ユリウスが先頭に立ち、人目の少ない廊下へ進む。
そのすぐ後ろを、ルナとフィンが並び、さらにその背後から、ヴィクトルとシグがついてくる。
ルナの銀髪が、歩くたびに淡い光をすくって揺れる。
その隣を歩くだけで、胸の奥がふわりと温かく満ちていくのを感じた。
また、こうして一緒に歩ける。
さらに──
シグも、ユリウスも、ヴィクトルも。
ルナを見て、気づいて、震えていた。
(……みんな、同じ)
4人で必死に探して、それでも見つけられなかったルナが、今こうして“手の届く場所”にいる。
(もう一度……みんなで、一緒にいたい)
前を歩くユリウスが振り返り、目で問いかける。
そして、静かに頷いた。
その仕草だけで、全部伝わった。
フィンはルナの小さな手を包み直し、そっと息を吸い込む。
(ここからまた始めたい……5人で)
学園の廊下を進む足音が重なり合い、
懐かしくて、眩しいほど温かい“再会の続き”へと
5つの影を導いていった。
「……来た」
フィンが小さく呟くと同時に、角の先から勢いよくシグが飛び出してくる。
そのすぐ後ろには──
黒髪の青年と、白金の髪の青年が並んで続いた。
ヴィクトルとユリウス。
3人は呼吸も整えず、そのままこちらへ駆け寄ってくる。
ルナは思わず足をすくませた。
だがフィンは、そっとその手を支えたまま微笑む。
「フィン……お前、本当に……?」
ユリウスの声は、震えていた。
けれど、震えていたのは彼だけではない。
ルナを見た瞬間、ヴィクトルの表情が完全に崩れた。
唇が震え、瞳に一瞬で涙が滲む。
「……ルナ…様…?」
その声は、嗚咽の手前だった。
黒髪が揺れるほど前へ踏み出し、まるで今すぐにでも抱き寄せてしまいそうな勢いでルナへ向かう。
「ヴィクトル、待て」
伸びかけた手を、ユリウスが後ろから掴んだ。
制止の力は強くない。
けれど確かな“理性”がそこにあった。
「……ここは学内だ。人目がある」
低く、押し殺した声。
ヴィクトルは肩ごと止まり、苦しそうに喉を震わせた。
それでも、視線だけはルナから離れない。
ヴィクトルとユリウスの反応を見て、フィンは胸の奥がじんわり温かくなるのを感じる。
(……よかった。二人も同じで)
その事実が、フィンの心にふっと安堵を落とす。
ユリウスはヴィクトルの肩を押さえたまま、すぐに周囲を観察した。
優秀で冷静──前世と変わらない。
廊下では、あちこちから好奇の目が向けられている。
(まずいね……このままだと)
フィンが少し身構えたその時、ユリウスが低い声で言った。
「……ここでは落ち着いて話せない。僕のサロンへ行こう」
ヴィクトルがはっと顔を上げる。
シグも即座に頷いた。
フィンは一歩前へ出て、ルナの手をそっと握り直す。
「王女殿下、少し場所を移しましょう。安全ですから、ご安心ください」
言葉は丁寧に選んだ。
けれど押し隠した“熱”が、声の端に滲んでしまう。
──この手を絶対に離したくない。
そんな想いが、鼓動に合わせて胸の奥で揺れた。
ルナは驚いたように瞬きをしたが、やはり不思議なほど自然に頷く。
「……はい」
(この反応も……前世と変わらないな)
ルナは、理由が分からなくても安心感を覚えるとき、迷わずついてきてくれる。
そしてその“理由のなさ”こそが、フィンにとっては何より嬉しいことだった。
ユリウスが先頭に立ち、人目の少ない廊下へ進む。
そのすぐ後ろを、ルナとフィンが並び、さらにその背後から、ヴィクトルとシグがついてくる。
ルナの銀髪が、歩くたびに淡い光をすくって揺れる。
その隣を歩くだけで、胸の奥がふわりと温かく満ちていくのを感じた。
また、こうして一緒に歩ける。
さらに──
シグも、ユリウスも、ヴィクトルも。
ルナを見て、気づいて、震えていた。
(……みんな、同じ)
4人で必死に探して、それでも見つけられなかったルナが、今こうして“手の届く場所”にいる。
(もう一度……みんなで、一緒にいたい)
前を歩くユリウスが振り返り、目で問いかける。
そして、静かに頷いた。
その仕草だけで、全部伝わった。
フィンはルナの小さな手を包み直し、そっと息を吸い込む。
(ここからまた始めたい……5人で)
学園の廊下を進む足音が重なり合い、
懐かしくて、眩しいほど温かい“再会の続き”へと
5つの影を導いていった。
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