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第十章:星霜の果て、巡り逢う
第179話・当然のように、同じ班
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その日、掲示板の前には、朝から大きな人だかりができていた。
今日の課外授業は1・2年合同。
班分けは「成績・戦闘能力・適性を総合的に判断し、教師が決定する」と事前に告知されている。
だからこそ、生徒たちは皆そわそわしていていた。
ルナもフィンと並び、掲示板の前へと向かう。
視線を滑らせ──名前を見つけた瞬間。
3班
・ユリウス・ゼルファリア
・ヴィクトル・ノワルデイン
・シグ・オスティナイト
・フィン・ノクスフェルド
・ルナ・レーヴェンティア
「……え?」
思わず、瞬きをした。
(え、これ……“いつもの5人”……? いいの……?)
周囲からも、ざわっと驚きの声が上がる。
「おい、3班……強すぎないか」
「あれって……ユリウス様の班?」
「ていうか、あの子……隣国の王女でしょ?なんで?」
騒ぎ始めた生徒たちとは裏腹に、ルナはただ戸惑うしかなかった。
その時──
「ルナ」
柔らかな呼び声とともに、ヴィクトル、ユリウス、シグが人混みを割って現れる。
示し合わせたわけでもないのに、ルナの両脇と背後を自然に囲う配置。
フィンが胸を張る。
「見て~! 一緒の班だよ! やったね!」
「え、えっと……う、嬉しいけど……」
ルナは指をもじもじさせて、恐る恐る聞いた。
「……大丈夫なの? 先生が決めるんだよね……?」
わずかに滲む不安。
その不安を受け取ったかのように、ユリウスが軽く肩をすくめた。
「“先生が決める”という建前は正しいよ」
(……ということは……)
「ただ、少しだけお願いをしただけだ」
「おねがい……?」
ユリウスは微笑む。
けれど、その目は一切笑っていない。
「ルナを他の男と組ませるわけにはいかないだろう?」
ヴィクトルも落ち着いた声で続ける。
「安全面を考えても……ルナ様は、我々と共にいるのが最善です」
シグは腕を組んで、当然という表情で頷く。
(……こ、この人たち……)
フィンがにこにこしながら補足する。
「先生も“はいはい、任せたよ”って感じだったよ~」
(そんな軽い感じでいいの……?)
でも──
みんなと一緒なのはやっぱり嬉しくて、胸が温かくなった。
集合場所には、課外授業用の馬車が綺麗に並んでいる。
各班一台ずつ。
教師が説明する。
「馬車は1台につき4人まで。班は4人1組で行動するように」
ルナは4人の顔を順に見て、首を傾げた。
「え……じゃあ……どうするの? 5人は……乗れないよね?」
その瞬間。
4人が、同時に沈黙した。
誰も何も言わない。
ただ、ルナを見ている。
(え……なに……?)
フィンがそっとルナの手を握る。
「大丈夫だよ。ぜーんぜん問題ないから」
(いや、問題はあるはずなんだけど……?)
やがて、順番が回ってくる。
乗り込む直前──
ユリウスが、何のためらいもなくルナの腰に手を添え、軽々と持ち上げた。
「ひゃっ……!?」
そのまま、自分の膝の上にちょこんと座らせる。
「これで解決だ」
(……そういう解決なの……!?)
向かいには、ヴィクトルが自然に腰を下ろす。
「ルナ様、帰りは私の膝の上にお座りくださいね」
シグは腕を組んで隣に座り、あからさまに不満そうに鼻を鳴らした。
「まあ、こうなるよな」
フィンはルナの片手を離さず、座席の端に寄って頬を緩める。
「ルナ、狭くない? 大丈夫?」
状況についていけていないのは、ルナだけだった。
「え、あの、みんな……これって……」
ユリウスが耳元で静かに囁く。
「ルナが不快でなければ、それでいい」
視線が絡む。
(……不快じゃない。むしろ……)
胸が熱くなり、視線を逸らす。
ルナはユリウスの膝の上で揺られながら、
その腕の中に守られて、出発した。
馬車は、Aランク魔獣討伐区域へと向かっていた。
外では風が木々を揺らし、時折遠くで魔獣の唸り声が響く。
後方の馬車では、緊張した面持ちの先生が2名。
──なのに。
ルナの乗る馬車は、異様なほど平和だった。
フィンはルナの手を握ったまま、楽しそうにどんな魔法を使うか話している。
ヴィクトルは「寒くありませんか」と上着をかけようとし、シグは無言のまま隣に座り、身体を盾のように寄せる。
ユリウスは膝の上のルナを片腕で支えながら、静かに本をめくっていた。
(……これ、本当に魔獣討伐の前……だよね……?)
ルナだけが少しそわそわしていた。
森の奥。
魔獣の目撃情報があった開けた場所に到着すると──
ユリウスがルナを抱いたまま降り立ち、4人は自然と“あの日々と同じ”陣形に散る。
前衛:ヴィクトル、シグ
後衛:ユリウス、フィン
支援:ルナ
この日のために、ルナはユリウスとフィンから治癒魔法と強化魔法を徹底的に教え込まれていた。
フィンが振り返って笑う。
「ルナ、魔法はゆっくりでいいからね。僕らが守るよ」
「……一切、怪我はさせません」
ヴィクトルは静かに剣を抜く。
「ルナの魔法があれば、問題ない」
ユリウスの声は落ち着いていた。
「危なくなったら俺の後ろに来い」
シグは短く言い残し、一歩踏み出す。
その瞬間──
森が揺れ、魔獣が姿を現し、咆哮した。
緊張が走る。
──走ったのは、ルナと教師と、御者だけだった。
4人は、まったく動じていない。
むしろ──
「早く終わらせて帰るか」
「そうだな」
まるで、日常の買い物レベルのテンションだった。
今日の課外授業は1・2年合同。
班分けは「成績・戦闘能力・適性を総合的に判断し、教師が決定する」と事前に告知されている。
だからこそ、生徒たちは皆そわそわしていていた。
ルナもフィンと並び、掲示板の前へと向かう。
視線を滑らせ──名前を見つけた瞬間。
3班
・ユリウス・ゼルファリア
・ヴィクトル・ノワルデイン
・シグ・オスティナイト
・フィン・ノクスフェルド
・ルナ・レーヴェンティア
「……え?」
思わず、瞬きをした。
(え、これ……“いつもの5人”……? いいの……?)
周囲からも、ざわっと驚きの声が上がる。
「おい、3班……強すぎないか」
「あれって……ユリウス様の班?」
「ていうか、あの子……隣国の王女でしょ?なんで?」
騒ぎ始めた生徒たちとは裏腹に、ルナはただ戸惑うしかなかった。
その時──
「ルナ」
柔らかな呼び声とともに、ヴィクトル、ユリウス、シグが人混みを割って現れる。
示し合わせたわけでもないのに、ルナの両脇と背後を自然に囲う配置。
フィンが胸を張る。
「見て~! 一緒の班だよ! やったね!」
「え、えっと……う、嬉しいけど……」
ルナは指をもじもじさせて、恐る恐る聞いた。
「……大丈夫なの? 先生が決めるんだよね……?」
わずかに滲む不安。
その不安を受け取ったかのように、ユリウスが軽く肩をすくめた。
「“先生が決める”という建前は正しいよ」
(……ということは……)
「ただ、少しだけお願いをしただけだ」
「おねがい……?」
ユリウスは微笑む。
けれど、その目は一切笑っていない。
「ルナを他の男と組ませるわけにはいかないだろう?」
ヴィクトルも落ち着いた声で続ける。
「安全面を考えても……ルナ様は、我々と共にいるのが最善です」
シグは腕を組んで、当然という表情で頷く。
(……こ、この人たち……)
フィンがにこにこしながら補足する。
「先生も“はいはい、任せたよ”って感じだったよ~」
(そんな軽い感じでいいの……?)
でも──
みんなと一緒なのはやっぱり嬉しくて、胸が温かくなった。
集合場所には、課外授業用の馬車が綺麗に並んでいる。
各班一台ずつ。
教師が説明する。
「馬車は1台につき4人まで。班は4人1組で行動するように」
ルナは4人の顔を順に見て、首を傾げた。
「え……じゃあ……どうするの? 5人は……乗れないよね?」
その瞬間。
4人が、同時に沈黙した。
誰も何も言わない。
ただ、ルナを見ている。
(え……なに……?)
フィンがそっとルナの手を握る。
「大丈夫だよ。ぜーんぜん問題ないから」
(いや、問題はあるはずなんだけど……?)
やがて、順番が回ってくる。
乗り込む直前──
ユリウスが、何のためらいもなくルナの腰に手を添え、軽々と持ち上げた。
「ひゃっ……!?」
そのまま、自分の膝の上にちょこんと座らせる。
「これで解決だ」
(……そういう解決なの……!?)
向かいには、ヴィクトルが自然に腰を下ろす。
「ルナ様、帰りは私の膝の上にお座りくださいね」
シグは腕を組んで隣に座り、あからさまに不満そうに鼻を鳴らした。
「まあ、こうなるよな」
フィンはルナの片手を離さず、座席の端に寄って頬を緩める。
「ルナ、狭くない? 大丈夫?」
状況についていけていないのは、ルナだけだった。
「え、あの、みんな……これって……」
ユリウスが耳元で静かに囁く。
「ルナが不快でなければ、それでいい」
視線が絡む。
(……不快じゃない。むしろ……)
胸が熱くなり、視線を逸らす。
ルナはユリウスの膝の上で揺られながら、
その腕の中に守られて、出発した。
馬車は、Aランク魔獣討伐区域へと向かっていた。
外では風が木々を揺らし、時折遠くで魔獣の唸り声が響く。
後方の馬車では、緊張した面持ちの先生が2名。
──なのに。
ルナの乗る馬車は、異様なほど平和だった。
フィンはルナの手を握ったまま、楽しそうにどんな魔法を使うか話している。
ヴィクトルは「寒くありませんか」と上着をかけようとし、シグは無言のまま隣に座り、身体を盾のように寄せる。
ユリウスは膝の上のルナを片腕で支えながら、静かに本をめくっていた。
(……これ、本当に魔獣討伐の前……だよね……?)
ルナだけが少しそわそわしていた。
森の奥。
魔獣の目撃情報があった開けた場所に到着すると──
ユリウスがルナを抱いたまま降り立ち、4人は自然と“あの日々と同じ”陣形に散る。
前衛:ヴィクトル、シグ
後衛:ユリウス、フィン
支援:ルナ
この日のために、ルナはユリウスとフィンから治癒魔法と強化魔法を徹底的に教え込まれていた。
フィンが振り返って笑う。
「ルナ、魔法はゆっくりでいいからね。僕らが守るよ」
「……一切、怪我はさせません」
ヴィクトルは静かに剣を抜く。
「ルナの魔法があれば、問題ない」
ユリウスの声は落ち着いていた。
「危なくなったら俺の後ろに来い」
シグは短く言い残し、一歩踏み出す。
その瞬間──
森が揺れ、魔獣が姿を現し、咆哮した。
緊張が走る。
──走ったのは、ルナと教師と、御者だけだった。
4人は、まったく動じていない。
むしろ──
「早く終わらせて帰るか」
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