21 / 177
第三章:堕ちた月、騎士たちの誓約
第21話・穏やかな日々/迫り来る魔の気配
しおりを挟む
ルナフィエラが騎士たちと共に暮らし始めてから、二週間が経った。
フィンの治癒魔法のおかげで、以前のように体調を崩すことは少なくなり、彼女の顔色も少しずつ良くなってきている。
古城での生活も落ち着き、5人の間には自然と穏やかな空気が流れるようになっていた。
ルナフィエラの日常に変化があった。
相変わらず本を読んで過ごす時間が多いが、最近は森へ散歩に行くことが習慣になっていた。
最初は体力の問題もあり短時間の散歩だったが、徐々に歩く時間も伸びてきている。
「外に出るのが好きになったんだな」
シグが何気なく言った。
「……うん。気分転換にもなるし、風が気持ちいい」
ルナフィエラは小さく微笑んだ。
この100年、ルナフィエラにとって外の世界は怖いものだった。
何かに狙われるのではないか、誰かに見つかるのではないか——そう考え、ひっそりと城の中で生きてきた。
しかし、今は 彼らが傍にいてくれる。
外へ出ることの恐怖よりも、森の緑やそよ風の心地よさの方が勝るようになっていた。
騎士たちの溺愛ぶりにも変化が——
ヴィクトル はいつもルナフィエラのそばを離れず、主として忠誠を誓いながらも細やかな気配りを欠かさない。
紅茶を淹れてくれたり、椅子を引いてくれたりと、何かと世話を焼く姿は 執事のよう だ。
「ルナ様、足元にお気をつけください」
散歩の際には必ず彼が隣に立ち、少しの段差でも手を差し伸べてくる。
ユリウス はからかうような態度を取りながらも、ルナフィエラのことをよく観察している。
「歩くのが随分と上手くなったね。……でも、少し頑張りすぎじゃない?」
「そんなことないわ」
「本当かな?」
ユリウスは 「君は嘘が下手だね」 と笑いながら、無理をしないよう釘を刺してくる。
シグ は無骨ながらも、不器用にルナフィエラを甘やかしていた。
「……お前、俺をもっと頼れ」
そう言いながら、ルナが疲れた素振りを見せると、何も言わずに背負ってしまう。
「ちょ、ちょっと!? 自分で歩けるわ!」
「歩く必要、ない」
「あるわよ!」
「……ない」
シグの言葉に有無を言わさぬ迫力があり、ルナフィエラは何も言えなくなる。
フィン はいつもルナフィエラの体調を最優先に考え、少しでも不調があればすぐに治癒魔法をかけてくれる。
「無理しないでね、ルナ」
「無理してないよ」
「じゃあ、僕の目を見て言って」
「……うぅ」
ルナフィエラが言葉に詰まると、フィンは優しく微笑みながら治癒魔法を施す。
そんな彼らとの穏やかな日々が続いていた。
しかし、ルナは 最近、どこか落ち着かない感覚 を覚えていた。
——何かに 見られている ような気がする。
——誰かの 視線を感じる。
しかし、周囲を見回しても、そこには何もない。
「どうした、ルナ?」
シグが怪訝そうに尋ねる。
「……ううん、何でもない」
言葉にはしなかったが、その 微かな違和感は日を追うごとに強くなっていた。
——————
ルナフィエラの違和感は、日に日に強まっていた。
まるで、何かが近づいてきているような……。
自分を “狙う” 何かが。
「……ルナ様?」
ヴィクトルが静かに呼びかける。
ルナはハッとして顔を上げた。
「……ごめんなさい、少し考え事をしてたの」
「顔色が優れません。戻られますか?」
「大丈夫よ」
ヴィクトルは納得していない様子だったが、それ以上は何も言わなかった。
それは、森の散歩から戻る直前のことだった——。
ゴゴゴゴゴ……ッ!
突然、 地面が震えた。
不吉な音が遠くから響いてくる。
「……何の音?」
ルナフィエラが足を止めた瞬間、 森の奥から禍々しい魔力の波動が広がる。
風が逆巻き、森の静寂が一瞬で破られた。
「これは……魔物か?」
シグが目を細め、獣のような気配を感じ取る。
「……ルナ」
ユリウスが表情を引き締める。
「おそらく、お前の魔力に引き寄せられたな」
「……え?」
「紅き月が近づくにつれ、お前の魔力は無意識に漏れ出している。おそらく、それに反応したんだ」
ユリウスの言葉に、ルナフィエラは息をのむ。
彼女自身、魔力を抑えようと努めていたが、それが完全に制御できていたわけではない。
「……ごめんなさい、私のせいで……」
「謝らないでください、ルナ様」
ヴィクトルが静かに言った。
「それよりも、すぐに城へ戻りましょう」
「だけど——」
「——遅い!!」
ガシャアアアッ!!!
突然、木々が弾け飛ぶように裂けた。
風圧とともに、巨大な影が姿を現す。
ルナフィエラは、 本能的な恐怖 を感じた。
漆黒の身体に、赤い瞳を持つ魔獣。
その体躯は人間の何倍も大きく、牙がギラリと光る。
魔力が異常に高く、ただの魔獣とは違う—— 「上位種」 の魔物だ。
「来たか……!」
シグが斧を構え、ユリウスは素早く魔法を展開する。
「フィン、ルナを頼む!」
「……わかった!」
フィンはすぐさまルナフィエラの腕を取り、後方へと下がる。
「ルナ、今は僕たちに任せて!」
ルナフィエラは唇を噛んだ。
自分が何もできないのが悔しい—— けれど、彼らの邪魔はしたくなかった。
「……お願い、気をつけて!」
ヴィクトルがルナフィエラを見つめ、静かに頷く。
「——ルナ様を、必ずお守りします」
そして、戦いが始まった。
「シグ、前衛を頼む!」
ユリウスが詠唱を開始しながら叫ぶ。
「言われなくても!」
シグが巨大な斧を振り上げ、魔獣の爪を受け止める。
ガキィィィン!!!
金属と爪が激しくぶつかり合い、火花が散る。
その隙に、ヴィクトルが魔力を纏った細剣を 一閃 させた。
「……チッ、硬ぇな」
シグが舌打ちする。
「こいつ……ただの魔物じゃない」
ユリウスの紫紺の瞳が鋭く光る。
「魔法耐性が異常に高い」
「つまり、力でねじ伏せるしかねぇってことか?」
シグが不敵に笑う。
「いや、俺に考えがある」
ユリウスが片手を掲げると、 地面に魔法陣が描かれる。
「シグ、ヴィクトル、奴をこの範囲に押し込めろ」
「……おもしれぇ!」
シグが笑いながら魔獣に突撃する。
「やってやろうじゃねぇか!」
その瞬間——
ユリウスの魔法が発動し、 魔獣が魔法陣に囚われる。
「今だ、ヴィクトル!」
「……了解!」
ヴィクトルは細剣に全魔力を集中させ、魔獣の急所を貫く——!
魔獣の断末魔が響き渡る。
その巨体が ドサリ と音を立てて地面に崩れ落ちた。
「……やった?」
ルナが恐る恐る口を開く。
「……はい」
ヴィクトルが息を整えながら答えた。
「ルナ様、ご無事で何よりです」
ルナフィエラは安堵の息をつく。
しかし—— 彼女の違和感は消えていなかった。
(こんな簡単に終わる……?)
何かが引っかかる。
魔獣の死骸を見つめるルナフィエラに、 ユリウスが小さく呟いた。
「……妙だな」
「何が?」
フィンが首を傾げる。
「いや……こいつの魔力、まだ完全には消えてない気がするんだよ」
その言葉に ルナフィエラの背筋が凍る。
まるで、この戦いがまだ「序章」にすぎないと言われているような気がした——。
フィンの治癒魔法のおかげで、以前のように体調を崩すことは少なくなり、彼女の顔色も少しずつ良くなってきている。
古城での生活も落ち着き、5人の間には自然と穏やかな空気が流れるようになっていた。
ルナフィエラの日常に変化があった。
相変わらず本を読んで過ごす時間が多いが、最近は森へ散歩に行くことが習慣になっていた。
最初は体力の問題もあり短時間の散歩だったが、徐々に歩く時間も伸びてきている。
「外に出るのが好きになったんだな」
シグが何気なく言った。
「……うん。気分転換にもなるし、風が気持ちいい」
ルナフィエラは小さく微笑んだ。
この100年、ルナフィエラにとって外の世界は怖いものだった。
何かに狙われるのではないか、誰かに見つかるのではないか——そう考え、ひっそりと城の中で生きてきた。
しかし、今は 彼らが傍にいてくれる。
外へ出ることの恐怖よりも、森の緑やそよ風の心地よさの方が勝るようになっていた。
騎士たちの溺愛ぶりにも変化が——
ヴィクトル はいつもルナフィエラのそばを離れず、主として忠誠を誓いながらも細やかな気配りを欠かさない。
紅茶を淹れてくれたり、椅子を引いてくれたりと、何かと世話を焼く姿は 執事のよう だ。
「ルナ様、足元にお気をつけください」
散歩の際には必ず彼が隣に立ち、少しの段差でも手を差し伸べてくる。
ユリウス はからかうような態度を取りながらも、ルナフィエラのことをよく観察している。
「歩くのが随分と上手くなったね。……でも、少し頑張りすぎじゃない?」
「そんなことないわ」
「本当かな?」
ユリウスは 「君は嘘が下手だね」 と笑いながら、無理をしないよう釘を刺してくる。
シグ は無骨ながらも、不器用にルナフィエラを甘やかしていた。
「……お前、俺をもっと頼れ」
そう言いながら、ルナが疲れた素振りを見せると、何も言わずに背負ってしまう。
「ちょ、ちょっと!? 自分で歩けるわ!」
「歩く必要、ない」
「あるわよ!」
「……ない」
シグの言葉に有無を言わさぬ迫力があり、ルナフィエラは何も言えなくなる。
フィン はいつもルナフィエラの体調を最優先に考え、少しでも不調があればすぐに治癒魔法をかけてくれる。
「無理しないでね、ルナ」
「無理してないよ」
「じゃあ、僕の目を見て言って」
「……うぅ」
ルナフィエラが言葉に詰まると、フィンは優しく微笑みながら治癒魔法を施す。
そんな彼らとの穏やかな日々が続いていた。
しかし、ルナは 最近、どこか落ち着かない感覚 を覚えていた。
——何かに 見られている ような気がする。
——誰かの 視線を感じる。
しかし、周囲を見回しても、そこには何もない。
「どうした、ルナ?」
シグが怪訝そうに尋ねる。
「……ううん、何でもない」
言葉にはしなかったが、その 微かな違和感は日を追うごとに強くなっていた。
——————
ルナフィエラの違和感は、日に日に強まっていた。
まるで、何かが近づいてきているような……。
自分を “狙う” 何かが。
「……ルナ様?」
ヴィクトルが静かに呼びかける。
ルナはハッとして顔を上げた。
「……ごめんなさい、少し考え事をしてたの」
「顔色が優れません。戻られますか?」
「大丈夫よ」
ヴィクトルは納得していない様子だったが、それ以上は何も言わなかった。
それは、森の散歩から戻る直前のことだった——。
ゴゴゴゴゴ……ッ!
突然、 地面が震えた。
不吉な音が遠くから響いてくる。
「……何の音?」
ルナフィエラが足を止めた瞬間、 森の奥から禍々しい魔力の波動が広がる。
風が逆巻き、森の静寂が一瞬で破られた。
「これは……魔物か?」
シグが目を細め、獣のような気配を感じ取る。
「……ルナ」
ユリウスが表情を引き締める。
「おそらく、お前の魔力に引き寄せられたな」
「……え?」
「紅き月が近づくにつれ、お前の魔力は無意識に漏れ出している。おそらく、それに反応したんだ」
ユリウスの言葉に、ルナフィエラは息をのむ。
彼女自身、魔力を抑えようと努めていたが、それが完全に制御できていたわけではない。
「……ごめんなさい、私のせいで……」
「謝らないでください、ルナ様」
ヴィクトルが静かに言った。
「それよりも、すぐに城へ戻りましょう」
「だけど——」
「——遅い!!」
ガシャアアアッ!!!
突然、木々が弾け飛ぶように裂けた。
風圧とともに、巨大な影が姿を現す。
ルナフィエラは、 本能的な恐怖 を感じた。
漆黒の身体に、赤い瞳を持つ魔獣。
その体躯は人間の何倍も大きく、牙がギラリと光る。
魔力が異常に高く、ただの魔獣とは違う—— 「上位種」 の魔物だ。
「来たか……!」
シグが斧を構え、ユリウスは素早く魔法を展開する。
「フィン、ルナを頼む!」
「……わかった!」
フィンはすぐさまルナフィエラの腕を取り、後方へと下がる。
「ルナ、今は僕たちに任せて!」
ルナフィエラは唇を噛んだ。
自分が何もできないのが悔しい—— けれど、彼らの邪魔はしたくなかった。
「……お願い、気をつけて!」
ヴィクトルがルナフィエラを見つめ、静かに頷く。
「——ルナ様を、必ずお守りします」
そして、戦いが始まった。
「シグ、前衛を頼む!」
ユリウスが詠唱を開始しながら叫ぶ。
「言われなくても!」
シグが巨大な斧を振り上げ、魔獣の爪を受け止める。
ガキィィィン!!!
金属と爪が激しくぶつかり合い、火花が散る。
その隙に、ヴィクトルが魔力を纏った細剣を 一閃 させた。
「……チッ、硬ぇな」
シグが舌打ちする。
「こいつ……ただの魔物じゃない」
ユリウスの紫紺の瞳が鋭く光る。
「魔法耐性が異常に高い」
「つまり、力でねじ伏せるしかねぇってことか?」
シグが不敵に笑う。
「いや、俺に考えがある」
ユリウスが片手を掲げると、 地面に魔法陣が描かれる。
「シグ、ヴィクトル、奴をこの範囲に押し込めろ」
「……おもしれぇ!」
シグが笑いながら魔獣に突撃する。
「やってやろうじゃねぇか!」
その瞬間——
ユリウスの魔法が発動し、 魔獣が魔法陣に囚われる。
「今だ、ヴィクトル!」
「……了解!」
ヴィクトルは細剣に全魔力を集中させ、魔獣の急所を貫く——!
魔獣の断末魔が響き渡る。
その巨体が ドサリ と音を立てて地面に崩れ落ちた。
「……やった?」
ルナが恐る恐る口を開く。
「……はい」
ヴィクトルが息を整えながら答えた。
「ルナ様、ご無事で何よりです」
ルナフィエラは安堵の息をつく。
しかし—— 彼女の違和感は消えていなかった。
(こんな簡単に終わる……?)
何かが引っかかる。
魔獣の死骸を見つめるルナフィエラに、 ユリウスが小さく呟いた。
「……妙だな」
「何が?」
フィンが首を傾げる。
「いや……こいつの魔力、まだ完全には消えてない気がするんだよ」
その言葉に ルナフィエラの背筋が凍る。
まるで、この戦いがまだ「序章」にすぎないと言われているような気がした——。
0
あなたにおすすめの小説
【長編版】孤独な少女が異世界転生した結果
下菊みこと
恋愛
身体は大人、頭脳は子供になっちゃった元悪役令嬢のお話の長編版です。
一話は短編そのまんまです。二話目から新しいお話が始まります。
純粋無垢な主人公テレーズが、年上の旦那様ボーモンと無自覚にイチャイチャしたり様々な問題を解決して活躍したりするお話です。
小説家になろう様でも投稿しています。
この世界に転生したらいろんな人に溺愛されちゃいました!
キムチ鍋
恋愛
前世は不慮の事故で死んだ(主人公)公爵令嬢ニコ・オリヴィアは最近前世の記憶を思い出す。
だが彼女は人生を楽しむことができなっかたので今世は幸せな人生を送ることを決意する。
「前世は不慮の事故で死んだのだから今世は楽しんで幸せな人生を送るぞ!」
そこからいろいろな人に愛されていく。
作者のキムチ鍋です!
不定期で投稿していきます‼️
19時投稿です‼️
【受賞&書籍化】先視の王女の謀(さきみのおうじょのはかりごと)
神宮寺 あおい
恋愛
謎解き×恋愛
女神の愛し子は神託の謎を解き明かす。
月の女神に愛された国、フォルトゥーナの第二王女ディアナ。
ある日ディアナは女神の神託により隣国のウィクトル帝国皇帝イーサンの元へ嫁ぐことになった。
そして閉鎖的と言われるくらい国外との交流のないフォルトゥーナからウィクトル帝国へ行ってみれば、イーサンは男爵令嬢のフィリアを溺愛している。
さらにディアナは仮初の皇后であり、いずれ離縁してフィリアを皇后にすると言い出す始末。
味方の少ない中ディアナは女神の神託にそって行動を起こすが、それにより事態は思わぬ方向に転がっていく。
誰が敵で誰が味方なのか。
そして白日の下に晒された事実を前に、ディアナの取った行動はーー。
カクヨムコンテスト10 ファンタジー恋愛部門 特別賞受賞。
異世界から来た娘が、たまらなく可愛いのだが(同感)〜こっちにきてから何故かイケメンに囲まれています〜
京
恋愛
普通の女子高生、朱璃はいつのまにか異世界に迷い込んでいた。
右も左もわからない状態で偶然出会った青年にしがみついた結果、なんとかお世話になることになる。一宿一飯の恩義を返そうと懸命に生きているうちに、国の一大事に巻き込まれたり巻き込んだり。気付くと個性豊かなイケメンたちに大切に大切にされていた。
そんな乙女ゲームのようなお話。
英雄の番が名乗るまで
長野 雪
恋愛
突然発生した魔物の大侵攻。西の果てから始まったそれは、いくつもの集落どころか国すら飲みこみ、世界中の国々が人種・宗教を越えて協力し、とうとう終息を迎えた。魔物の駆逐・殲滅に目覚ましい活躍を見せた5人は吟遊詩人によって「五英傑」と謳われ、これから彼らの活躍は英雄譚として広く知られていくのであろう。
大侵攻の終息を祝う宴の最中、己の番《つがい》の気配を感じた五英傑の一人、竜人フィルは見つけ出した途端、気を失ってしまった彼女に対し、番の誓約を行おうとするが失敗に終わる。番と己の寿命を等しくするため、何より番を手元に置き続けるためにフィルにとっては重要な誓約がどうして失敗したのか分からないものの、とにかく庇護したいフィルと、ぐいぐい溺愛モードに入ろうとする彼に一歩距離を置いてしまう番の女性との一進一退のおはなし。
※小説家になろうにも投稿
異世界もふもふ死にかけライフ☆異世界転移して毛玉な呪いにかけられたら、凶相騎士団長様に拾われました。
和島逆
恋愛
社会人一年目、休日の山登り中に事故に遭った私は、気づけばひとり見知らぬ森の中にいた。そしてなぜか、姿がもふもふな小動物に変わっていて……?
しかも早速モンスターっぽい何かに襲われて死にかけてるし!
危ういところを助けてくれたのは、大剣をたずさえた無愛想な大男。
彼の緋色の瞳は、どうやらこの世界では凶相と言われるらしい。でもでも、地位は高い騎士団長様。
頼む騎士様、どうか私を保護してください!
あれ、でもこの人なんか怖くない?
心臓がバクバクして止まらないし、なんなら息も苦しいし……?
どうやら私は恐怖耐性のなさすぎる聖獣に変身してしまったらしい。いや恐怖だけで死ぬってどんだけよ!
人間に戻るためには騎士団長の助けを借りるしかない。でも騎士団長の側にいると死にかける!
……うん、詰んだ。
★「小説家になろう」先行投稿中です★
銀狼の花嫁~動物の言葉がわかる獣医ですが、追放先の森で銀狼さんを介抱したら森の聖女と呼ばれるようになりました~
川上とむ
恋愛
森に囲まれた村で獣医として働くコルネリアは動物の言葉がわかる一方、その能力を気味悪がられていた。
そんなある日、コルネリアは村の習わしによって森の主である銀狼の花嫁に選ばれてしまう。
それは村からの追放を意味しており、彼女は絶望する。
村に助けてくれる者はおらず、銀狼の元へと送り込まれてしまう。
ところが出会った銀狼は怪我をしており、それを見たコルネリアは彼の傷の手当をする。
すると銀狼は彼女に一目惚れしたらしく、その場で結婚を申し込んでくる。
村に戻ることもできないコルネリアはそれを承諾。晴れて本当の銀狼の花嫁となる。
そのまま森で暮らすことになった彼女だが、動物と会話ができるという能力を活かし、第二の人生を謳歌していく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる