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記憶
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自販機に小銭を入れながら「冬弥さんのことも忘れたのか?」と隆弘が言うので、「隆弘、俺達が動じてたら雪翔が不審がる」と強がってみせる。
「あ、あのさ、俺制服着ない方がいいよね?」
「そうだな。海都は会うときは私服にした方がいいな」
「どうする?」
「どうするも何も、暫く冬弥さんの話はしないってことでどうだ?」
「賢司さんに賛成。堀内さんにも言っておかないと」
「俺から話すわ。隆弘じゃ今は無理だろ?」
「悪いな……ジュースとか買って置いたら一旦帰ろうか」
炭酸以外のものを買い、冷蔵庫にしまってから栞に一度下宿に戻ると告げる。
「私も一回戻ります」
「那智さんは?」
「俺も少ししたら戻るから。また下宿に顔出すし、経過も報告するようにしよう」
その後寝ている雪翔に凛が癒しの力を使うが、一度に出来るのは限りがあると言うので、一日三回来て治療してくれと頼み、紫狐を無理矢理影に入れて病室を後にする。
「うわぁぁぁーーーー!いやだーーーー!」
ガシャーン!と大きな音に気づき部屋に入ると雪翔が暴れ、ギプスの付いた手を振り回しているのを二人の看護婦が抑え、点滴に注射をしているところだった。
「ゆ、雪翔君?何があったんですか?」
「後で……話します。足抑えてください」
「はい……」
暫くして寝息が聞こえてやっと、部屋が静かになる。
「ここではちょっと……ナースセンターの横の部屋に来てもらえますか?」
着いていき、部屋に入り何があったのかを聞く。
「検温に行ったんです。私達は薬や注射などをトレーに置いてワゴンに乗せていくのですが、パソコンも使うので、予備のバッテリーも持ち歩くんです。多分ですが、そのコードを見て反応したのかも知れません。後、食事の容器はプラスチックなんですけど、ガチャっという音にも敏感に反応してましたので、今は静かな環境がいいのかもしれません。ですが、昨夜は点滴が漏れていたので刺し直したんですが、その際にも暴れまして…… 先生とも話したのですが、拘束を……」
「拘束?」
「暴れて自分を傷つけないように、足は骨折しているので動きませんが、上半身は動けるので腕を……ベッドから降りる事は出来なくなります」
「そんな……」
「暴れると点滴も抜けてしまいますし、何より治りかけの肋骨も落ちたらまた折れてしまいます。これが同意書です。ご相談されて早めに出してください」
「はい……」
そのまま使いを出して那智を呼び、聞いた話をそのままする。
「那智様、わたし、見ていられません……雪翔君は大人しい子なんです。とても穏やかで優しくて、笑顔の可愛い子なんです!それを動けなくするなんて……」
「サイン……しましょう。俺が書きます」
「那智様!」
「俺だって嫌だが、雪翔がこれ以上怪我する姿も見たくない。少しの辛抱で落ち着くのならその方がいい!」
「……分かりました」
「それと、今から妖街に行ってくる」
「どうしてですか?まさか冬弥様がいらっしゃるんですか?」
「一時戻った話は聞いたが、すぐにまた居なくなったと。多分天狐の事かと思うんだが……だとすれば、今呼ぶわけには行かない。だから冬弥のご両親、叔父……いや、おじい様とおばあ様をこちらにお連れします。そこで少しずつ冬弥のことを話させて認識させたらどうかと。そうすれば、誰かがいつもそばにいることになり、落ち着くことも出来るのではないかと思うんだが。栞さん、あなたは今かなり疲れてる。下宿屋の仕事もして付き添って。みんなに任せて休みなさい」
「でも……まだ高校生の子がいます」
「あの子達ならみんなで協力しあえる。あなたが信じなくて誰が信じるんだ?」
「帰ってみんなと話し合います……」
「今日と明日はあの兄弟に任せていく。すぐに戻るから、それまでゆっくりしてなさい」
「はい」
「それと、凛と煌輝を置いていくから、雪翔の守りと治療以外でも使って構わん」
「ありがとうございます。もう、行かれるのですか?」
「これを出したらすぐに」
栞が帰るのを見届け、ナースセンターに提出して拘束具をされるのを見届けてから、妖街へと向かう。
岩戸の警護に緊急だと言い、役所までの最短ルートを走り、たしかこの変だったと家を探す。
「家に何か用かね?」
「冬弥のお父様ですか?」
「いかにも」
「冬弥は今どこに?」
「お主は?」
「失礼しました。南の社を守っております那智と申します。今、息子の雪翔が大変なこととなっており、お力添えを願いに来ました」
話は人目もあるので自宅へどうぞと言われ、客間で事の起こりからすべて話す。そして協力してほしいと。
「あ、あのさ、俺制服着ない方がいいよね?」
「そうだな。海都は会うときは私服にした方がいいな」
「どうする?」
「どうするも何も、暫く冬弥さんの話はしないってことでどうだ?」
「賢司さんに賛成。堀内さんにも言っておかないと」
「俺から話すわ。隆弘じゃ今は無理だろ?」
「悪いな……ジュースとか買って置いたら一旦帰ろうか」
炭酸以外のものを買い、冷蔵庫にしまってから栞に一度下宿に戻ると告げる。
「私も一回戻ります」
「那智さんは?」
「俺も少ししたら戻るから。また下宿に顔出すし、経過も報告するようにしよう」
その後寝ている雪翔に凛が癒しの力を使うが、一度に出来るのは限りがあると言うので、一日三回来て治療してくれと頼み、紫狐を無理矢理影に入れて病室を後にする。
「うわぁぁぁーーーー!いやだーーーー!」
ガシャーン!と大きな音に気づき部屋に入ると雪翔が暴れ、ギプスの付いた手を振り回しているのを二人の看護婦が抑え、点滴に注射をしているところだった。
「ゆ、雪翔君?何があったんですか?」
「後で……話します。足抑えてください」
「はい……」
暫くして寝息が聞こえてやっと、部屋が静かになる。
「ここではちょっと……ナースセンターの横の部屋に来てもらえますか?」
着いていき、部屋に入り何があったのかを聞く。
「検温に行ったんです。私達は薬や注射などをトレーに置いてワゴンに乗せていくのですが、パソコンも使うので、予備のバッテリーも持ち歩くんです。多分ですが、そのコードを見て反応したのかも知れません。後、食事の容器はプラスチックなんですけど、ガチャっという音にも敏感に反応してましたので、今は静かな環境がいいのかもしれません。ですが、昨夜は点滴が漏れていたので刺し直したんですが、その際にも暴れまして…… 先生とも話したのですが、拘束を……」
「拘束?」
「暴れて自分を傷つけないように、足は骨折しているので動きませんが、上半身は動けるので腕を……ベッドから降りる事は出来なくなります」
「そんな……」
「暴れると点滴も抜けてしまいますし、何より治りかけの肋骨も落ちたらまた折れてしまいます。これが同意書です。ご相談されて早めに出してください」
「はい……」
そのまま使いを出して那智を呼び、聞いた話をそのままする。
「那智様、わたし、見ていられません……雪翔君は大人しい子なんです。とても穏やかで優しくて、笑顔の可愛い子なんです!それを動けなくするなんて……」
「サイン……しましょう。俺が書きます」
「那智様!」
「俺だって嫌だが、雪翔がこれ以上怪我する姿も見たくない。少しの辛抱で落ち着くのならその方がいい!」
「……分かりました」
「それと、今から妖街に行ってくる」
「どうしてですか?まさか冬弥様がいらっしゃるんですか?」
「一時戻った話は聞いたが、すぐにまた居なくなったと。多分天狐の事かと思うんだが……だとすれば、今呼ぶわけには行かない。だから冬弥のご両親、叔父……いや、おじい様とおばあ様をこちらにお連れします。そこで少しずつ冬弥のことを話させて認識させたらどうかと。そうすれば、誰かがいつもそばにいることになり、落ち着くことも出来るのではないかと思うんだが。栞さん、あなたは今かなり疲れてる。下宿屋の仕事もして付き添って。みんなに任せて休みなさい」
「でも……まだ高校生の子がいます」
「あの子達ならみんなで協力しあえる。あなたが信じなくて誰が信じるんだ?」
「帰ってみんなと話し合います……」
「今日と明日はあの兄弟に任せていく。すぐに戻るから、それまでゆっくりしてなさい」
「はい」
「それと、凛と煌輝を置いていくから、雪翔の守りと治療以外でも使って構わん」
「ありがとうございます。もう、行かれるのですか?」
「これを出したらすぐに」
栞が帰るのを見届け、ナースセンターに提出して拘束具をされるのを見届けてから、妖街へと向かう。
岩戸の警護に緊急だと言い、役所までの最短ルートを走り、たしかこの変だったと家を探す。
「家に何か用かね?」
「冬弥のお父様ですか?」
「いかにも」
「冬弥は今どこに?」
「お主は?」
「失礼しました。南の社を守っております那智と申します。今、息子の雪翔が大変なこととなっており、お力添えを願いに来ました」
話は人目もあるので自宅へどうぞと言われ、客間で事の起こりからすべて話す。そして協力してほしいと。
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