下宿屋 東風荘 2

浅井 ことは

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全ての始まりと終わり

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テストのことを言うとみんなが喜んでくれたが、反対に心配もされてしまった。

「わざと間違えればよかったの?」

「そうじゃない。前もそれが原因だったんだから注意しろってことだよ」

言い合っているのは隆弘。
心配してくれているのは良くわかるが、出来ることをしただけだと言い、その結果が出ただけだと譲らなかった。成績に関してはいいと言っていたが、その後のことを注意しろと散々言われたので、つい喧嘩腰になってしまった。

「お前ら熱くなるなって。事件のこともあるから生徒も自粛するだろ?」と賢司が宥めてくれて話はそこで終わった。

部屋に戻り、藍ちゃんに僕謝らないとと愚痴を聞いてもらう。

「なら、早いほうがいいですから行きましょう」と強制的に隆弘の元まで運ばれる。

ノックをして、さっきはゴメンなさいと言ったら、何故か隆弘にまで頭をなでなでされてしまった……

補習は名ばかりの、ほぼ受験生がするような問題を教えられ、すぐに吸収していくと、先生達は驚きながらも喜び、そこで苦手教科が出てきたことを教えられる。

国語と英語。

出来ないわけではなく、合格の範囲内だが所々でスペルや漢字を間違えるから、そこを直していくようにしようと言われた。

「先生……普段は宿題だけでいいんですか?」

「構わないよ?まだ薬も飲んでるって聞いてるから、無理はしないようにね」

帰り道に、商店街の本屋によって参考書などの売り場で足を止める。

全国統一と、書かれた問題集を手に取ってレジに行き、新刊と一緒に買ってお金を払い本を膝の上に乗せて家まで戻る。

「冬弥さん、ただいま」

「おかえりなさい。カバンを置いたら先にお風呂に入ってくださいねぇ。今日は兄もいますから、雪翔の部屋で食べたいそうですよ?」

「いいけど、珍しいね?」

「やっと一段落したみたいですねぇ」

「お風呂入ってくるね」

部屋にカバンを置いてお風呂に入り、栞が運んできてくれた夕食を、京弥さんが帰ってきたと同時に食べる。

「ここでどんな仕事してるの?」

「社の狐がいるでしょう?今いない社の確認をしてて、宮司の有無も調べてますよ?いつもは下っ端がする仕事なんだけどね、みんな数が多すぎて無理って言うから、調査の手伝いをする代わりにとここのエリア担当と変わってもらって来たんです」

「いろんな仕事あるんだね?冬弥さんも夜に出かけてるみたい。おじいちゃんが来てから……知らないふりしてた方がいいのかなって思って」

「そのうち話してくれると思うけどねぇ……天狐ともなれば、言えない事もあるのかもしれない。父がそうだったしね」

「そうだよね」

「学校はどう?」

「テストで一番だったよ……」

「凄いじゃないか。でもみんな心配してるのは前のことだろうね。雪翔がちゃんと前を向いていたらいい事だよ?君は下を向きすぎる」

「そうかな……?」

「向こうでも思ってはいたけど、自信の無い時は特に下を向くね。なくても前をむいていないと道を間違えてしまうこともあるよ?」

「だから、暗いとか言われるのかな?」
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