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04 うまくいかない(父親視点)
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「クソッ、マリーの居場所はまだわからんのかっ!!」
家令が出て行ってから数時間が経つが、一向にマリー発見の報せは来ない。
屋敷の使用人も必要最低限の人数以外は総動員して探させておるが、いったいどこへ行ったというのだっ!
「ご主人様、ただいま戻りました」
「遅いっ! マリーはみつかったのかっ!?」
「いいえ。ですが、銀行の方から言伝をいただいたので、先に戻ってまいりました」
「……銀行から?」
「はい、ご主人様の委任状を見せたところ、家族でもない人間の口座は関与できない、とのことです」
「なっ!? マリーはワシの娘だぞ!」
「マリーお嬢様が預金を引き出す際に、魔法契約の解除も確認していたそうです。現在のマリーお嬢様の身分は平民、ご主人様とは縁が切れている状態です」
「ぐっ! クソッ!!!」
魔法契約を確認されているのなら、銀行の方はもうダメだろう。
銀行はギルドと同じで国をまたぐ組織だから、領主といえど踏み入ることが出来んのだ。
「鉄道や関の方はどうだ!? マリーらしき人間は通っていないのかっ!?」
「そちらの方も手を回していますが、芳しくありません」
「なぜだっ!?」
「なぜも何も、マリーお嬢様のように茶髪に茶目の人間など、この領ならずともどこにでもいます」
「だ……だが、領主の娘だぞっ! 目立つだろうっ!」
「そもそもマリーお嬢様はお披露目をされていません。薬草づくりやポーション関係で、親交のあった領民ならいざ知らず、大多数の領民はご主人様の子供はクロード様とジュリエット様しかいないと思っているでしょう」
ぐっ、痛いところをついてくる。確かにマリーはポーションづくりしかさせていなかったから、有力者が集まるパーティーはもちろん、領民とも触れ合わせていなかった。
領外に出るのもクロードやジュリエットばかりで、マリーは領外に出さなかったから、鉄道や関の人間がマリーのことを知らなくても無理はないだろう。
「だが、マリーくらいの年頃の人間がいたかどうかくらいは、わかるだろうっ!」
「ええ、そちらは調査済みです。鉄道と関、両方で茶髪の女性が確認されています。鉄道で向かったのは、王都方面に二人、南辺境に三人、西に一人。関の方は王都方面に一人、北に二人だそうです」
「そんなにいるのかっ!」
「マリーお嬢様くらいの年頃なら、出稼ぎに出る者も、嫁ぐ者もいますからね。人数の多い茶髪の女性なら、このくらいの人数にはなります」
「クソッ! 行き先はわかるんだろうな?」
「わかりますが、それは一時的な行き先だけです」
「はあっ!?」
「少しは考えてください。王都に向かった者が王都に居座るだけではないでしょう? そこから他の場所に移っていれば足取りを追うのは不可能です」
家令の言うことはもっともだ。ペルヴィス領にある鉄道や関だから、こうやって聞き取りができているが、他の領、まして王都や国外で聞き取りなぞした日にはこちらの方が怪しまれてしまう。
それに今は屋敷内の使用人を使っているから、金はかかっていないが、専門の人間を雇って捜索をすれば湯水のように金が消えていくのは目に見えている。
裏だろうが表だろうが、捜索のプロを雇うのなら、少なくとも行き先の目安くらいはないと、金がいくらあっても足りん。
「ええい! そんなことはわかっておるわ! だから足取りのヒントを探しに行けと言っている!」
「そちらは侍従長や侍従たちに任せてあります。私は本来の仕事に戻らなければなりませんからね」
「なんだとっ!?」
「今月までの支払いはマリーお嬢様のポーションを売った代金でどうにかなりますが、これからの金策を立てなければ困るのはご主人様ですよ?」
「ぐっ!」
「領内の薬草をポーションにするために薬師を雇うのか、それとも薬草を他領にそのまま卸すのか、どちらが良いのか試算してまいります」
家令の言っていることはいちいちもっともだ。マリーが居なくなったことで動揺していたが、そもそも家令は領の経営を手伝う人材で、こまごまとした雑用を頼む職種ではない。
それにポーションがこれ以上増えないということは、エルザたちが浪費した分を補填するほかの手段を講じなければ、いずれペルヴィス家は破産してしまう。
「ええいっ! だったら、さっさとまとめてこい!」
「ええ、そうさせていただきます」
家令は慇懃無礼な態度で出ていったが、能力があるだけに解雇するわけにもいかん。
「いや、それよりもワシのほうは貴族への対応を考えておかんといかんか」
ここまでの捜索結果で領内にマリーがいる確率は非常に下がっている……ならば、マリーはいないものとして、これからの対応を考えなければならん。
治療用のポーションは王都の騎士団に、美容関連の商品は王都を中心とした貴族の奥方に卸していたから、それがなくなったなんて知られたら暴動が起こるぞ。
家令が出て行ってから数時間が経つが、一向にマリー発見の報せは来ない。
屋敷の使用人も必要最低限の人数以外は総動員して探させておるが、いったいどこへ行ったというのだっ!
「ご主人様、ただいま戻りました」
「遅いっ! マリーはみつかったのかっ!?」
「いいえ。ですが、銀行の方から言伝をいただいたので、先に戻ってまいりました」
「……銀行から?」
「はい、ご主人様の委任状を見せたところ、家族でもない人間の口座は関与できない、とのことです」
「なっ!? マリーはワシの娘だぞ!」
「マリーお嬢様が預金を引き出す際に、魔法契約の解除も確認していたそうです。現在のマリーお嬢様の身分は平民、ご主人様とは縁が切れている状態です」
「ぐっ! クソッ!!!」
魔法契約を確認されているのなら、銀行の方はもうダメだろう。
銀行はギルドと同じで国をまたぐ組織だから、領主といえど踏み入ることが出来んのだ。
「鉄道や関の方はどうだ!? マリーらしき人間は通っていないのかっ!?」
「そちらの方も手を回していますが、芳しくありません」
「なぜだっ!?」
「なぜも何も、マリーお嬢様のように茶髪に茶目の人間など、この領ならずともどこにでもいます」
「だ……だが、領主の娘だぞっ! 目立つだろうっ!」
「そもそもマリーお嬢様はお披露目をされていません。薬草づくりやポーション関係で、親交のあった領民ならいざ知らず、大多数の領民はご主人様の子供はクロード様とジュリエット様しかいないと思っているでしょう」
ぐっ、痛いところをついてくる。確かにマリーはポーションづくりしかさせていなかったから、有力者が集まるパーティーはもちろん、領民とも触れ合わせていなかった。
領外に出るのもクロードやジュリエットばかりで、マリーは領外に出さなかったから、鉄道や関の人間がマリーのことを知らなくても無理はないだろう。
「だが、マリーくらいの年頃の人間がいたかどうかくらいは、わかるだろうっ!」
「ええ、そちらは調査済みです。鉄道と関、両方で茶髪の女性が確認されています。鉄道で向かったのは、王都方面に二人、南辺境に三人、西に一人。関の方は王都方面に一人、北に二人だそうです」
「そんなにいるのかっ!」
「マリーお嬢様くらいの年頃なら、出稼ぎに出る者も、嫁ぐ者もいますからね。人数の多い茶髪の女性なら、このくらいの人数にはなります」
「クソッ! 行き先はわかるんだろうな?」
「わかりますが、それは一時的な行き先だけです」
「はあっ!?」
「少しは考えてください。王都に向かった者が王都に居座るだけではないでしょう? そこから他の場所に移っていれば足取りを追うのは不可能です」
家令の言うことはもっともだ。ペルヴィス領にある鉄道や関だから、こうやって聞き取りができているが、他の領、まして王都や国外で聞き取りなぞした日にはこちらの方が怪しまれてしまう。
それに今は屋敷内の使用人を使っているから、金はかかっていないが、専門の人間を雇って捜索をすれば湯水のように金が消えていくのは目に見えている。
裏だろうが表だろうが、捜索のプロを雇うのなら、少なくとも行き先の目安くらいはないと、金がいくらあっても足りん。
「ええい! そんなことはわかっておるわ! だから足取りのヒントを探しに行けと言っている!」
「そちらは侍従長や侍従たちに任せてあります。私は本来の仕事に戻らなければなりませんからね」
「なんだとっ!?」
「今月までの支払いはマリーお嬢様のポーションを売った代金でどうにかなりますが、これからの金策を立てなければ困るのはご主人様ですよ?」
「ぐっ!」
「領内の薬草をポーションにするために薬師を雇うのか、それとも薬草を他領にそのまま卸すのか、どちらが良いのか試算してまいります」
家令の言っていることはいちいちもっともだ。マリーが居なくなったことで動揺していたが、そもそも家令は領の経営を手伝う人材で、こまごまとした雑用を頼む職種ではない。
それにポーションがこれ以上増えないということは、エルザたちが浪費した分を補填するほかの手段を講じなければ、いずれペルヴィス家は破産してしまう。
「ええいっ! だったら、さっさとまとめてこい!」
「ええ、そうさせていただきます」
家令は慇懃無礼な態度で出ていったが、能力があるだけに解雇するわけにもいかん。
「いや、それよりもワシのほうは貴族への対応を考えておかんといかんか」
ここまでの捜索結果で領内にマリーがいる確率は非常に下がっている……ならば、マリーはいないものとして、これからの対応を考えなければならん。
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