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03 気にしてない振り
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わたしが、学院に行くと友人のメアリーとマリリンがやって来た。
「昨日は大変だったわね」
「見てた?」
「見てた。婚約者と久しぶりだったから、ごめん。見捨てた」とマリリンが手を合わせると
「彼が急いでいたから、早く帰ったの」とメアリーも手を合わせてきた。
「いいのよ。返って気を使わせてこっちこそ申し訳ないわ。今度、マイケルになにか買って貰って笑って終わり」とわたしは明るく答えた。
ほんの少し予感があるけど、そこまでひどいことは起きないと思う。
だってわたしだったら婚約者が留学している間はその苦労を思って身を慎むから、お姉さまも同じだと思ったから。
だけど、わたしの期待は期待に終わった。予想はしていたけど・・・
だからマイケルとお姉様は最近ずっと一緒だ。
一人が嫌なら女ともだちと過ごせばいいのだ。だけどお姉様は自分に正直だ。
当然のようにマイケルと過ごすのを選んだ。婚約者と離れて寂しい自分を気づかって妹の婚約者が奉仕してくれている。お姉様の筋書きだ。
お姉様の設定はこうだ。
妹の婚約者のマイケルは義姉を崇拝している。婚約したいと熱心に望んだが、かなわなかった。義姉はアレクサンダー様と婚約した。義姉の婚約者は留学して留守だ。だからマイケルは美しく繊細な義姉を守ろうとそばに侍っている。
マイケルは決して認めないが義姉を女として愛している。それを隠して未来の義弟としてそばに侍っている。誰が見てもマイケルの気持ちは丸分かりだが、自分クリスティーンはそれに気がつかない。ってことだ。
そしてそれは本当に便利だ。大抵のことを正当化する。なにか噂になっても義姉を守っているマイケル。妹の婚約者ですもの疚しいことなどないわ。二人はそう主張するだろう。
妹のレイチャル。つまり、このわたしが
「姉を一番守れるのはマイケルだから、そうお願いしましたのよ。そんな噂下らない」と言えば姉にもマイケルにも傷はつかない。両家の名誉も。
ただ、心がずたずたになったわたしがそこにいるだけだ。たった一人で。
確かに女性に対する気遣いならアレクサンダー様よりマイケルの方が上だと思う。だからお姉様はすごくいい気持ちだと思う。
アレクサンダー様は、見た目の王子様仕様とは違って学究肌の朴念仁だから。
結婚相手としては、宰相の嫡男だから最高。だから彼が留学を終えて帰って来たらお姉様はアレクサンダー様を貞淑な顔で出迎えるだろう。
お姉様にとってマイケルとわたしは、自分が好きに扱っていい相手だ。妹と、一度は自分の婚約者にしようと思った相手だ。
自分が望むのだから従うのは当たり前だ。お姉様はそう思っているのだ。
もしわたしが抗議するとお母様はどう言うだろう。
「婚約者がそばにいない寂しい思いをしているクリスティーンに思いやりがないの?ひどい子ね」と言うだろう。
長く子供をやっていると予測がつくわね。
わたしは厄介事が起きないように明るく気にしてないと振舞えばいいのだ。
でも、二人が寄り添って食堂に向かうのを見たり、中庭で一緒にバスケットからサンドイッチを食べているのを見るのは辛かった。
わたしはマイケルのことが初対面から好きで、今は愛していると言えるくらいなのだ。
気にしてない振りをする為に中庭で、食事をしている二人に近寄り、話しかけた。
「マイケル。お姉様を好きになってはダメよ。お姉様は魅力的だから」
「わかってるよ。お姉様は僕なんかの手が届く人じゃないよ。今は義弟として守らせて貰ってるだけだよ」
「まぁ、マイケルったら」とお姉様は言った。そしてわたしに向かって
「でも、レイ。マイケルと最近話してないじゃない。マイケルが気の毒だわ」と言った。
その言葉を耳にした回りのベンチに座っている人たちが一斉にこちらに注目した。
「昨日は大変だったわね」
「見てた?」
「見てた。婚約者と久しぶりだったから、ごめん。見捨てた」とマリリンが手を合わせると
「彼が急いでいたから、早く帰ったの」とメアリーも手を合わせてきた。
「いいのよ。返って気を使わせてこっちこそ申し訳ないわ。今度、マイケルになにか買って貰って笑って終わり」とわたしは明るく答えた。
ほんの少し予感があるけど、そこまでひどいことは起きないと思う。
だってわたしだったら婚約者が留学している間はその苦労を思って身を慎むから、お姉さまも同じだと思ったから。
だけど、わたしの期待は期待に終わった。予想はしていたけど・・・
だからマイケルとお姉様は最近ずっと一緒だ。
一人が嫌なら女ともだちと過ごせばいいのだ。だけどお姉様は自分に正直だ。
当然のようにマイケルと過ごすのを選んだ。婚約者と離れて寂しい自分を気づかって妹の婚約者が奉仕してくれている。お姉様の筋書きだ。
お姉様の設定はこうだ。
妹の婚約者のマイケルは義姉を崇拝している。婚約したいと熱心に望んだが、かなわなかった。義姉はアレクサンダー様と婚約した。義姉の婚約者は留学して留守だ。だからマイケルは美しく繊細な義姉を守ろうとそばに侍っている。
マイケルは決して認めないが義姉を女として愛している。それを隠して未来の義弟としてそばに侍っている。誰が見てもマイケルの気持ちは丸分かりだが、自分クリスティーンはそれに気がつかない。ってことだ。
そしてそれは本当に便利だ。大抵のことを正当化する。なにか噂になっても義姉を守っているマイケル。妹の婚約者ですもの疚しいことなどないわ。二人はそう主張するだろう。
妹のレイチャル。つまり、このわたしが
「姉を一番守れるのはマイケルだから、そうお願いしましたのよ。そんな噂下らない」と言えば姉にもマイケルにも傷はつかない。両家の名誉も。
ただ、心がずたずたになったわたしがそこにいるだけだ。たった一人で。
確かに女性に対する気遣いならアレクサンダー様よりマイケルの方が上だと思う。だからお姉様はすごくいい気持ちだと思う。
アレクサンダー様は、見た目の王子様仕様とは違って学究肌の朴念仁だから。
結婚相手としては、宰相の嫡男だから最高。だから彼が留学を終えて帰って来たらお姉様はアレクサンダー様を貞淑な顔で出迎えるだろう。
お姉様にとってマイケルとわたしは、自分が好きに扱っていい相手だ。妹と、一度は自分の婚約者にしようと思った相手だ。
自分が望むのだから従うのは当たり前だ。お姉様はそう思っているのだ。
もしわたしが抗議するとお母様はどう言うだろう。
「婚約者がそばにいない寂しい思いをしているクリスティーンに思いやりがないの?ひどい子ね」と言うだろう。
長く子供をやっていると予測がつくわね。
わたしは厄介事が起きないように明るく気にしてないと振舞えばいいのだ。
でも、二人が寄り添って食堂に向かうのを見たり、中庭で一緒にバスケットからサンドイッチを食べているのを見るのは辛かった。
わたしはマイケルのことが初対面から好きで、今は愛していると言えるくらいなのだ。
気にしてない振りをする為に中庭で、食事をしている二人に近寄り、話しかけた。
「マイケル。お姉様を好きになってはダメよ。お姉様は魅力的だから」
「わかってるよ。お姉様は僕なんかの手が届く人じゃないよ。今は義弟として守らせて貰ってるだけだよ」
「まぁ、マイケルったら」とお姉様は言った。そしてわたしに向かって
「でも、レイ。マイケルと最近話してないじゃない。マイケルが気の毒だわ」と言った。
その言葉を耳にした回りのベンチに座っている人たちが一斉にこちらに注目した。
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