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04 クレープを食べに
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わたしたちの言葉を聞き漏らすまいと、静かになった。
「そうね、マイケル今度の休み、一緒に街に行きましょう。クレープの美味しいお店を教えて貰ったの」と言うと
「いいね、迎えにいくよ」とマイケルは返事をした。わたしは
「じゃあ、その時に」と二人に手を振った。
休みの日。わたしは馬車が来るのをずっと待っていた。馬車が門を入って来ると急いで下に降りてドアを開けた。
「マイケル。おはよう待ってた」とこのまま出かけるつもりだったがマイケルの方は「おはよう。レイ」言いながら、わたしを通り過ぎて玄関からなかに入った。
「どうしたの?行かないの?」とわたしが言っているとお姉様が降りてきた。
マイケルはちらっとわたしを見てふっと笑うと
「義姉上。クリスティーン。おはようございます」と言った。
「おはよう。マイケル」とにっこり笑いかけた。それからわたしを見ると
「おはよう、レイ。あなたも一緒に行っていいのよ」と言った。
「そう、ありがとう。行かないから安心して」とわたしが答えるとお姉様は目を潤ませて
「レイ。ごめんなさい。マイケルがわたしに気を使ってくれるのが不愉快よね」と言い出した。
「レイ。意地悪だぞ。クリスティーンは婚約者がいなくて寂しいのを我慢して明るく振舞っているんだ。それを理解してあげるのは当然だろう」とマイケルが言い出した。
そこにお母様とお父様が来た。
「どうした?クリスティーン。かわいそうに。レイが何か言ったのか?」とお父様が言うと
「なんでもありませんの。わたしがレイを怒らせてしまって」とお姉様が言うと
「なんてことなの?クリスティーン泣かないで。レイ。説明して」とお母様がわたしを睨んだ。
「お姉様がマイケルと出かけると言うので一緒に行かないと言っただけです」と言うと
マイケルが
「クリスティーンが気を使ってレイを誘ったのに、レイが行かないと行ったんです」と言った。
「なんてこと。クリスティーンの優しさを踏みにじるなんて・・・」とお母様が言い出した。
「ほんとだ。なにが気に入らないのだ。二人が誘ってくれてるのに」とお父様はわたしに言った。
「良かった。これでレイもわかってくれると思うわ」とお姉様が言うと、さっきやって来た弟のバージルが
「レイ姉さまもわかったよね」と得意げに言った。
「そうだバージルのほうが道理をわかっているじゃないか」とお父様は言うと
「マイケル君、この我が儘も連れて行ってやってくれ」と笑いかけた。
「もちろんですよ。レイ。ふくれないでくれよ」とマイケルはわたしに言った。
クレープのお店についた。人気のお店だけあって並んでいる。わたしが一人で並んで順番を取った。その間二人はベンチに腰掛けておしゃべりをしていた。
時々お姉様は小さな拳で、マイケルの胸を叩いたり、腕を撫でたりしていた。
ここに学院生がいるのは承知しているのだ。だけどここまでならやって良いと計算しているのだ。
順番が近づいて来ると二人は列に戻ってわたしの前に並んだ。
姉は学院生の目を意識しているので、マイケルの腕にすがって
「ほんと、妹の婚約者があなたのように信頼出来る方で良かったわ」と言った。
妹の婚約者。この言葉は免罪符ってとこか。
「ありがとうございます。僕はお義姉様のように気の利いたことは言えませんが、常に誠実であろうとしております」とマイケルが答えた。
「レイ。ほんとにあなたには勿体ない方だわ。もっとわかってあげて」とお姉様はわたしに言った。
「そうね、マイケル今度の休み、一緒に街に行きましょう。クレープの美味しいお店を教えて貰ったの」と言うと
「いいね、迎えにいくよ」とマイケルは返事をした。わたしは
「じゃあ、その時に」と二人に手を振った。
休みの日。わたしは馬車が来るのをずっと待っていた。馬車が門を入って来ると急いで下に降りてドアを開けた。
「マイケル。おはよう待ってた」とこのまま出かけるつもりだったがマイケルの方は「おはよう。レイ」言いながら、わたしを通り過ぎて玄関からなかに入った。
「どうしたの?行かないの?」とわたしが言っているとお姉様が降りてきた。
マイケルはちらっとわたしを見てふっと笑うと
「義姉上。クリスティーン。おはようございます」と言った。
「おはよう。マイケル」とにっこり笑いかけた。それからわたしを見ると
「おはよう、レイ。あなたも一緒に行っていいのよ」と言った。
「そう、ありがとう。行かないから安心して」とわたしが答えるとお姉様は目を潤ませて
「レイ。ごめんなさい。マイケルがわたしに気を使ってくれるのが不愉快よね」と言い出した。
「レイ。意地悪だぞ。クリスティーンは婚約者がいなくて寂しいのを我慢して明るく振舞っているんだ。それを理解してあげるのは当然だろう」とマイケルが言い出した。
そこにお母様とお父様が来た。
「どうした?クリスティーン。かわいそうに。レイが何か言ったのか?」とお父様が言うと
「なんでもありませんの。わたしがレイを怒らせてしまって」とお姉様が言うと
「なんてことなの?クリスティーン泣かないで。レイ。説明して」とお母様がわたしを睨んだ。
「お姉様がマイケルと出かけると言うので一緒に行かないと言っただけです」と言うと
マイケルが
「クリスティーンが気を使ってレイを誘ったのに、レイが行かないと行ったんです」と言った。
「なんてこと。クリスティーンの優しさを踏みにじるなんて・・・」とお母様が言い出した。
「ほんとだ。なにが気に入らないのだ。二人が誘ってくれてるのに」とお父様はわたしに言った。
「良かった。これでレイもわかってくれると思うわ」とお姉様が言うと、さっきやって来た弟のバージルが
「レイ姉さまもわかったよね」と得意げに言った。
「そうだバージルのほうが道理をわかっているじゃないか」とお父様は言うと
「マイケル君、この我が儘も連れて行ってやってくれ」と笑いかけた。
「もちろんですよ。レイ。ふくれないでくれよ」とマイケルはわたしに言った。
クレープのお店についた。人気のお店だけあって並んでいる。わたしが一人で並んで順番を取った。その間二人はベンチに腰掛けておしゃべりをしていた。
時々お姉様は小さな拳で、マイケルの胸を叩いたり、腕を撫でたりしていた。
ここに学院生がいるのは承知しているのだ。だけどここまでならやって良いと計算しているのだ。
順番が近づいて来ると二人は列に戻ってわたしの前に並んだ。
姉は学院生の目を意識しているので、マイケルの腕にすがって
「ほんと、妹の婚約者があなたのように信頼出来る方で良かったわ」と言った。
妹の婚約者。この言葉は免罪符ってとこか。
「ありがとうございます。僕はお義姉様のように気の利いたことは言えませんが、常に誠実であろうとしております」とマイケルが答えた。
「レイ。ほんとにあなたには勿体ない方だわ。もっとわかってあげて」とお姉様はわたしに言った。
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