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「できたよ」というアレンの声で、エイルリスは我に返る。
右手を見ると、きれいに包帯が巻かれている。
「…どうも」
「これなら一日取れないと思うよ。今夜も俺が巻くから」
「いい」
「遠慮しないで、俺のこと頼れよ」
「……」
エイルリスは無言で立ち上がる。そして出口へと向かう。
「あっ、ルリス!」とアレンも急いでついて来る。
今から食堂に行こうと思っていたのだけど、絶対にアレンもついて来るよな。仕方がない。昨日、俺が眠っていた間の講義のことも聞きたいから、同行を許してやろう。
「食堂に行く?」
「ああ」
アレンの問いに頷き、嫌だけどアレンと並んで歩いた。
四つの寮に囲まれた建物の中にある食堂は、とても広い。年に数回催されるパーティ会場にもなる。だからピアノが置いてある。
そのピアノを横目に見ながら、エイルリスは、医務室でアレンに聞かれたことを思い出した。
ピアノとか弾いてなかったのか…?
はっきりと答えなかったけれど、弾ける。
本当はピアノを習っていた。人前で弾ける程度には上手だ。だが、悲しいことを思い出すから弾かない。二度と弾くことはない。
エイルリスは、アレンが自分を見ていることに気づき、すぐにピアノから視線を逸らした。
食堂はビュッフェ形式になっている。
昨日、昼は食べ損ね、夜もパンしか食べなかった。だからエイルリスは、お腹が空いていた。それに寝不足で体がだるい。
エイルリスは、隣にピタリとくっついて立っているアレンを見て、いいことを思いつく。
こいつが好きでついて来たんだから利用してやろう。
エイルリスは、アレンを見上げて「おい」と声をかけた。
「なに?」
「俺は手が痛い。料理を取ってきてくれ」
「いいよ。何がいい?」
「そこのパンと野菜スープ。俺は先に座って…」
「わかった。持って行くから、ルリスは座って待ってて。飲み物はジュース?」
「いや…紅茶」
「ん、了解」
アレンが嬉しそうにトレイに皿を乗せる。
エイルリスは物足りない様子で席に着く。
少しでも不満な態度を見せたら、もっと強く言ってやろうと思ってたのに。あいつ、喜んでなかったか?鈍いのか?それともヤバいやつなのか?
パンを皿に乗せ、スープを深皿に入れるアレンを目で追う。
その時、アレンが振り返ったので、慌てて目を伏せた。
足音が近づき、アレンが来る。
「はいルリス。先に食べてて。他に食べたい物があれば言えよな。すぐに持ってくるから」
「…ああ」
エイルリスは頷き、スプーンを持った。
しかし、アレンが席を離れると、スプーンを置いた。
料理を皿に乗せていくアレンを、ぼんやりと眺める。
あいつ、よく食べるな。体が大きいもんな。それなのに、一昨日はパンケーキ食べてたよな。絶対に足りなかっただろ。
パンケーキを頬張るアレンを思い出し、エイルリスは思わず笑った。笑ったといっても、微笑む程度だけど。
しかし、すぐに真顔に戻る。
笑ったことが不本意で、一つ咳をしてスプーンを手にする。でも、どうしてか先に食べてはいけない気がして、アレンが戻ってくるのを待った。
戻ってきたアレンは、エイルリスが待ってくれていたことに感激して、ルリスは天使だとか言ってうるさかった。
エイルリスは、やはり先に食べておけばよかったと後悔した。
右手を見ると、きれいに包帯が巻かれている。
「…どうも」
「これなら一日取れないと思うよ。今夜も俺が巻くから」
「いい」
「遠慮しないで、俺のこと頼れよ」
「……」
エイルリスは無言で立ち上がる。そして出口へと向かう。
「あっ、ルリス!」とアレンも急いでついて来る。
今から食堂に行こうと思っていたのだけど、絶対にアレンもついて来るよな。仕方がない。昨日、俺が眠っていた間の講義のことも聞きたいから、同行を許してやろう。
「食堂に行く?」
「ああ」
アレンの問いに頷き、嫌だけどアレンと並んで歩いた。
四つの寮に囲まれた建物の中にある食堂は、とても広い。年に数回催されるパーティ会場にもなる。だからピアノが置いてある。
そのピアノを横目に見ながら、エイルリスは、医務室でアレンに聞かれたことを思い出した。
ピアノとか弾いてなかったのか…?
はっきりと答えなかったけれど、弾ける。
本当はピアノを習っていた。人前で弾ける程度には上手だ。だが、悲しいことを思い出すから弾かない。二度と弾くことはない。
エイルリスは、アレンが自分を見ていることに気づき、すぐにピアノから視線を逸らした。
食堂はビュッフェ形式になっている。
昨日、昼は食べ損ね、夜もパンしか食べなかった。だからエイルリスは、お腹が空いていた。それに寝不足で体がだるい。
エイルリスは、隣にピタリとくっついて立っているアレンを見て、いいことを思いつく。
こいつが好きでついて来たんだから利用してやろう。
エイルリスは、アレンを見上げて「おい」と声をかけた。
「なに?」
「俺は手が痛い。料理を取ってきてくれ」
「いいよ。何がいい?」
「そこのパンと野菜スープ。俺は先に座って…」
「わかった。持って行くから、ルリスは座って待ってて。飲み物はジュース?」
「いや…紅茶」
「ん、了解」
アレンが嬉しそうにトレイに皿を乗せる。
エイルリスは物足りない様子で席に着く。
少しでも不満な態度を見せたら、もっと強く言ってやろうと思ってたのに。あいつ、喜んでなかったか?鈍いのか?それともヤバいやつなのか?
パンを皿に乗せ、スープを深皿に入れるアレンを目で追う。
その時、アレンが振り返ったので、慌てて目を伏せた。
足音が近づき、アレンが来る。
「はいルリス。先に食べてて。他に食べたい物があれば言えよな。すぐに持ってくるから」
「…ああ」
エイルリスは頷き、スプーンを持った。
しかし、アレンが席を離れると、スプーンを置いた。
料理を皿に乗せていくアレンを、ぼんやりと眺める。
あいつ、よく食べるな。体が大きいもんな。それなのに、一昨日はパンケーキ食べてたよな。絶対に足りなかっただろ。
パンケーキを頬張るアレンを思い出し、エイルリスは思わず笑った。笑ったといっても、微笑む程度だけど。
しかし、すぐに真顔に戻る。
笑ったことが不本意で、一つ咳をしてスプーンを手にする。でも、どうしてか先に食べてはいけない気がして、アレンが戻ってくるのを待った。
戻ってきたアレンは、エイルリスが待ってくれていたことに感激して、ルリスは天使だとか言ってうるさかった。
エイルリスは、やはり先に食べておけばよかったと後悔した。
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