公女様は愛されたいと願うのやめました。～態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか？～

81話

    ディーノは、修練があるらしく少しの間抜けることになった。

  「それにしても、こんな大きな神獣フェンリル様とまさか、従魔契約するとは思いませんでしたよ。」

マリアナがフェンリルについて驚きを隠せないでいた。

   「本当ですよね。騎士の方々から聞いたのですけど、刺客を一人で一瞬のうちに倒したんですよね。相当お強いだとか。」

ルーシーはやはり、情報入手が早いな。騎士団にまで親しい間柄の人がいるのか。

   「我は、フェンリル様だからな。これからは"ステラ様'と呼ぶがいい。」

褒められて嬉しいのか、尻尾をふりふりしている。ちょっと図々しいけどね。

   「こら、あんまり調子に乗らないの。」

私の話を聞きもしない様子であった。もぅ。

   「ふふ、そうですね。ステラ様、お嬢様をお守り下さりありがとうございました。」

マリアナは、改めてステラにお礼を言ってた。自分を守ってくれて感謝ではなく、私を守ってくれたことへの感謝だった。やっぱり自分の体より、私を気にしている。

   「ねぇ、マリアナ。お兄様達はどうしたの？」

   「お嬢様が帰ってきて、こちらでお休みになられている時、ずっとお二方は公爵様と一緒にいらっしゃいましたよ。今ですと、リアム様は騎士団の皆様と修練していますよ。ギルバート様は、公爵様と一緒に黒幕を探している最中だそうです。」

 「そうなんだ。お姉様は、今どうしているのかな。」

   「…それが。」

何やら言いづらいことでもあるのだろうか。

   「お姉様何かあったの？」

   「あの刺客襲撃の衝撃により、高熱を出されまして。」

   「…え。」

なるほど、それなら納得がいく。
お姉様のことだから私の目が覚めたことにより、直ぐに私の部屋に来ると思ったけど来なかったのは、体に支障があるから。

   「私、お姉様のお見舞いに行ってくる。」

   「今は、安静にされた方がよろしいですよっ。」

マリアナは、私の身を心配していたがお姉様のことが心配だったため、一切立ち止まる気はなかった。

   「ステラ、一緒に行こ。」

   「あぁ。」

ティアナとステラは、勢いよく扉を開けお姉様の部屋に向かった。

   「ティアナ、急いでいるのなら我の背中に乗るといい。」

   「え、いいの？」

   「ほら。」

ステラは、私が急いでいることを悟ると私が背中に乗りやすいように屈んでくれた。

   「ありがとう。」

   「こんなことで、お礼なんて述べてたらキリがないぞ。お前は、優しすぎだ。」

   「誰にでも、良くしてもらったら感謝しなきゃね。ステラもだよ。」

   「ふんっ。わかったよ。これから飛ばすからしっかり捕まっているんだぞ。」

ステラがそう言い終わると、一気に走った。

   「はっやっ。」

ちょっとでも手を話したら、飛ばされそう。

    「まって、横から人がっ。」

曲がり角のところで人とぶつかりそうになり、急ブレーキをした。ちょっとでもズレていたらぶつかっていたよ。もはや、車かな。

    「わっ、ギルバートお兄様！」

 ぶつかりそうになったのは、ギルバートであった。