嘘はいっていない

コーヤダーイ

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蛇足編 ひろきとフロイラインその2

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どうも、俺です。

冒険者になる前にうっかり結婚しちゃった元高校生のひろきです。

所持金50Gで異世界にやってきちゃって、どうしようかと思っていたんだけど、奴隷を助けたらそのまま結婚しちゃったよ、というのがこれまでのお話ね。

で、ここからが本日の議題です。



「元いた世界では俺まだ未成年で、結婚も認められない年なんだけど、この国では結婚しちゃって大丈夫だったのかな?」

まあ結婚証明までしてもらって、今さらだよね、あはは。

って笑ったら、誰一人笑ってくれなかった。

あ、フロウが固まった、ついでに朝食を一緒に摂っていたみんなも固まっている。

フロウと俺が結婚してからは朝食はできれば家族みんなで摂ろうよ、って話になって実践しているんだけど。
昼も夜もご飯は大勢で食べるのが美味しいけど、そこは仕事があったり忙しいからね。
朝全員で顔を合わせると、その日の予定とかちょっとした相談なんかもできて、非常に便利。
朝の朝礼みたいなもんだもんね、学校で当たり前にやってたことって理にかなっていたんだなって実感している。



そういえばこの間お昼ご飯の話になって、俺は部屋にメイドさんが持ってきてくれるんだけど、一人で食べるのは寂しいからって、最近はメイドさんや執事さんなんかの休憩室で、一緒に食べさせてもらっているって話をした。

フロウは日中仕事へ出かけるんだけど、昼ご飯はどうしてるの?って聞いたら、城の食堂で食べているって言っていた。
へぇー、お城って行ってみたい気もするな!お城の食堂とか美味しそうだし。
やっぱりA定食とかB定食とかあるの?って質問したら、フロウに質問を質問で返されたよ。

なんと食堂のお昼メニューは選択肢なしらしいです、一択ですって。
並んだら即出てくる、受け取る、食べる、ですって。

味気ない、それは寂しいよ。だって選びたいじゃない、悩みたいじゃない。
今日の定食AとBは何かなー、カツカレーもいいよなー、でも今日は金欠だから惣菜パンにしよ。
みたいになるじゃない?んでもってパック牛乳飲むでしょ、そこがいいんじゃない?

って熱く語ったら、定食とは何ぞやから始まって、AとBにカツカレー、惣菜パンにパック牛乳まで全部細かく説明を求められたよ。
ついでにデザートも選べるようにしたら、喜ぶ人はけっこういるんじゃないかな?と思ったから、それも話しておいた。

上手く説明できたのかはわからないけど、しばらくしたらフロウのお兄さんがすっごい笑顔で俺の肩を抱いて、定食をありがとうって言ったんだ。
お城の食堂に日替わり定食なんかのメニューが増えたらしい。
今までは昼はずっと同じメニューというのが当たり前で、みんな飽きても毎日同じものを食べていて、それしかメニューがなければ仕方ないよね。

昼食の時間が楽しみだからとお城で働く女性が食堂に来ることが増えて、それを目当てに城勤めの男性もやってきて。
メニューの内容について騎士が厨房の女性に質問して、身体を作るための食事を取り入れ始めたり。
そりゃ内勤の文官と騎士では食べる量も違うよね、むしろ何で今まで同じもの食べていたんだろうね。

ま、とにかくお兄さんにも褒められて、フロウに褒められたよーって伝えたら、城のみんなもひろきの知識に感謝しているって言われてチュッとされて。
ここでまたレベルが上がって。



そうそう、最初はエッチなことするとレベルが上がるのかと思って、どんなだと思っていたんだけど。
どうやら俺がものすごく幸せを感じると、レベルが上がるらしい。

落ち人ってそんなに数がいないし、保護した国も情報を公開したがらないから、わかっていないことだらけなんだって。
落ち人が幸運をもたらす、というのはどこの国でも有名で、ただし具体的な話はあまり聞かないみたい。

だいぶ昔に落ち人が生きてさえいればいい、と閉じ込めた国があって、幸運をもたらすどころか国がどんどん荒んで結局滅びたって話があるんだって。
それから落ち人は見つけ次第国を挙げて手厚く保護せよ、幸せは幸せで返る、ってことになったらしいよ。
ありがたい話だよね、俺なんか毎日すっげー幸せだもん。



あ、そういえばフロウのお兄さんの話だけど、かわいい弟が見つかったんだから、私もすぐに結婚するよー、って軽く言ってたんだ。
そしたら翌日、奥さんですって背の高い女の人が、金髪のちっちゃい子供4人連れてやって来た。

上から女女男男で、長女7歳は女の人そっくり、次女5歳はフロウのお兄さんそっくり、長男4歳はフロウそっくり、次男2歳は女の人そっくり。
っていうね、もうびっくりでしょ、結婚する前に子供は4人生まれてますって。
結婚は証明だから、別に先に子供がいても構わないみたい、お兄さんの人生がフロウのために暗くなっていたわけじゃなくて良かった。

4人の子供たちはとっても素直で、フロウよりもまず俺に懐いてくれて、毎日一緒に色んなことして遊んでいるんだ。
そりゃあもうかわいくて、俺はニヘニヘほっぺた緩みっぱなしよ。

長女ちゃんなんて、わたくしおとなになったらひろきと結婚してさしあげてもよくてよ、って言うんだよ、かわいいでしょう。
長男くんも一緒になって真面目な顔で、わたしはしょうらいおおさまになるのでひろきはおきさきさまになってほしい、って言うんだ、かーわいいよねえ。
次女ちゃんは自分のお父様と結婚したくって、次男くんはまだママにべったりだよ。

ほんっとかわいくてたまんないよ、って夜になってもベッドの中でデレデレしていたら、フロウが翌朝の朝食の席で宣言した。

「ひろきは私フロイラインの伴侶であるから、お前たちとの結婚は了承しかねる」

長女ちゃんは無言でわななくとひっそり涙を流してお母様にすがり、髪の毛をなでなでされていた。
長男くんは真っ赤な顔で自分の目の前のお皿を睨んで、唇を噛んで何かをこらえている。
次女ちゃんはマイペースにパンを口に運び、次男くんはママに抱っこされて寝ていた。

てか、子供相手にすごいドヤ顔って本気かフロウ!いや、ヤキモチも嬉しいけどね。
あ、レベル上がったし。

ここで俺が気がついたわけです、俺まだ17歳だった。



「元いた世界では俺まだ未成年で、結婚も認められない年なんだけど、この国では結婚しちゃって大丈夫だったのかな?」

で、寝ている幼児以外が全員固まってて、フロウにお父さんお兄さんお兄さんの奥さん子供4人、執事さんにメイドさんが3人、総勢12名と俺。

「……ひろきは何歳なのかな?」

一番先に動きだしたのはお兄さんで、顔に笑顔がはりついている。

「17歳です」

「「「「「ふうぅーーーーーーっ」」」」」

なんか俺以外の大人たちが、盛大なため息をはいた。
お父さんと執事さんは気のせいか汗をかいている。

「この国では15歳で成人なのよ、結婚は16歳になれば証明を受けられるわ」

お兄さんの奥さんがにっこり微笑んで教えてくれた。
あぁ良かった、安心したよ。



そういえばフロウって何歳なんだろう?出会ってすぐに結婚しちゃったから、お互いのことまだ全部知り合えてないんだよね。

名前の話は聞いていて、フロイラインって産まれる前から女の子を楽しみにしていたお母さんが用意して待っていた名前で、産まれたら男の子だったけどそのままつけられたらしい。

フロウは亡くなったお母さんのつけてくれた名前だけど、女の子の名前だから気に入っていなくて、ひろきにはフロウと呼んでほしいって言われた。
お兄さんは嫌がるのを知っていてフロイラインって呼んでいるみたい。

フロウは仕事があるし、俺はお屋敷のなかでこの世界のことを勉強中だ、高校時代より真面目に家庭教師の先生について教えてもらっている。

貴族だからか、お辞儀の仕方、お茶の飲み方、食事の仕方、人とのお付き合いをする上での作法なんかも教わっている、俺かなりお上品になった。

貴族の絵姿を見ながら名前を覚える授業もあって、名前自体が聞きなれないから覚えにくくて大変。
せっかくだから楽しくと思って、一人ずつ名前を書いた紙を床に置いて、貴族の絵姿をメイドさんが一枚見せたら、その人物の名前の紙を拾うというゲーム仕立てにしてみた。

貴族絵カルタと名付けて遊んでいるんだけど、慣れてきたら余裕が出てくる。
さらに上級者版として、名前の紙を拾った貴族の領地の特色と特産品まで言うことにした。
特産品というのが案外難しくて出てこない、ぶー間違いですーとか正解を教えてあげたり。
これが結構楽しくて、フロウのお兄さんの子供たちと一緒にやっている。

子供から話を聞いたのだろうフロウのお兄さんも見学に来て、ふぅん面白いねと頷いていた。
しばらくして貴族の間で、貴族絵カルタが広まったらしい。
やっぱりみんな覚えにくいと思っていたんだな、すごい勢いで売れているようだ。

ついでに諸外国のカルタも作ったら、遊びながら覚えられて楽しいんじゃない、と提案したら即採用された。
うん、こっちも子供たちと楽しく遊んでいます。



勉強だけでは身体がなまっちゃうから、運動場よりぜんぜん広い敷地内で走ったり護身術を習ったりもしている。
身体を動かすのは好きだから、護身術を習うのはすごく楽しい。

長剣は生半可にやるのは逆に危ないから、と体術の基本から始まったんだけど拳法みたいな型を、身体が覚えるまで何度も繰り返しているところ。
護身術の先生の型は、ピタッ、ピタッと決まってめちゃくちゃ恰好良い。
俺も真剣に身につけたいから、朝と夜に部屋で自主練している。

勉強と運動を始めてから俺のHPとMPが上がりだした。
やっぱり体力、すばやさ、かしこさ、とかあるのかな、ステータス確認できないからわからないけど。
この世界探せばもしかして世界樹の葉とか、ちからの種とかあるのかもね。



フロウと本当に二人きりになるのは夜寝るときだけだ。
貴族らしく夫婦の部屋として、執務室、衣裳室、居室、浴室、寝室がある。
居室の横に控えの間っていうキッチン付きの広いワンルームみたいな部屋もあって、ここにメイドさんたちがいてくれる。

メイドさんはお茶を入れて、お菓子を用意してくれるお仕事かと思っていたら大間違い。
お茶もお菓子もちゃんと好みを憶えて、常に何種類もストックされている。

「お茶ください」

例えば俺がそう言うでしょ、温かいのか冷たいのか、緑茶にコーヒーに紅茶に薬草茶、俺が今どんな飲み物を欲しがっているか予測して、持ってきてくれるわけ。
お菓子もそう、ちょっと口寂しいのか結構お腹が空いているのか、俺はそんなこと言わないのにぴったりはまるものを用意されちゃうわけ。

「どうぞ」
「ありがとう」

流れるような美しい所作で、音も立てず温かい緑茶が置かれる、俺は笑顔でお礼を言う。
完璧だと思うよ?でもね、このメイドさんは後で先輩に注意を受けるらしい。
なぜって俺が居室のソファーに腰掛けたら、すぐお茶が出ないといけないから、それがメイドルールだからっていうんだよ。

別にね、いいじゃない、お茶なんて飲みたい人が飲みたい分だけ入れれば。
お茶飲む人ー?って聞いて、はーいって欲しい人が手を上げたら、冷蔵庫から麦茶のポットを出して人数分のお茶を入れて持っていく。
そういう生活をしてきたから、今の生活が息苦しいときもある。

常に誰か傍にいて見られて、いや見守られている感じが、ありがたいんだけど正直面倒くさい。
たまに自分のことは自分でする日、っていうのがあってもいいんじゃないかなと思っている。
今度フロウに相談してみようかな。



ところで、メイドさんのお仕事はまだまだ終わらない。
お茶を終えたら空気を入れ替えたり、カーテン閉めてランプを灯したり、湯あみのお手伝いを、なんて真顔で言われた俺が真っ赤になって断ったり。
洗濯物を片づけ、着替えを準備してくれるのもメイドさん。
朝食を食べに出ている間に全ての部屋を清掃して整えるのだって、メイドさんのお仕事だ。
つまり朝から夜まで、すごく忙しい、いや忙しくさせちゃってごめんなさい。

だから俺たちが夕食を食べに部屋を出たら、お仕事は終了でいいよって話になった。
夜は早めに仕事を切り上げてもらって、自分の時間を大事にしてほしいんだ。

というのは建前で、最初は浴室を使うまでメイドさんが控えてくれていたんだけど、フロウがお風呂で俺にいたずらするから恥ずかしくて、メイドさんには以後退出を願うことにした。
お風呂のお湯くらい自分で張れるし、湯舟の栓は上がるときちゃんと抜くようにしている。

浴室内にあらぬ液汚れがあちこちに残ったのを見られるのが嫌で、俺が朝起きてからせっせと風呂掃除をしていたら、フロウがそこまで気にしなくても……と言いながら、浄化をかけてくれるようになった。
浴室乾燥つきの浄化魔法なんてさすがフロウ、すごい。



まあそんなわけでようやく二人きりの夜です。
イチャイチャしているのを他人に知られたくないから、二人きりのときにしかイチャイチャはしません。

結婚した最初のころは何も知らないで、夜に体力を使い果たすと俺が翌日使い物にならないからってセーブしてもらっていた。
今夜はダメ一回だけにして、ってフロウにお願いして翌日の体力を温存していたんだけど、フロウに求められるままに結局朝から致してしまったりする。

でね、イチャイチャしたあとにフロウがお風呂に入れてくれるんだけど、寝室に戻るとシーツが綺麗になっているの。
俺それまでずっと気がつかなかったんだけど、なんだかフロウと朝から盛っちゃって、朝ご飯も食べないで寝室に籠っていたらね、フロウは仕事の呼び出しが入っちゃって執事さんが呼びに来たわけ。

フロウは俺を朝風呂に入れてから、元気に機嫌良く出かけたんだけど、俺は一人で寝室ダウンコース。
居室のドアまでフロウを見送ってキスをして、よろよろと寝室に行ったらば。
メイドさんが今まさに汚れ物をカゴに入れて退出するのと、鉢合わせ。

わかるでしょ?あれやこれやの汚れ物よ、いつでも適温で入れるお風呂の準備よ、戻れば清潔なシーツよ、そして致しているときの俺の声よ!

俺心の中で思いっきり叫んだ、そして心折れた。

その日はすっごい落ち込んで、仕事から戻ったフロウは俺が落ち込む理由を話しても理解できなくて。
メイドに見られて何が恥ずかしいのだ?って聞かれたら、全部だろって答えるよね、それが普通と思う。
これだから貴族は、って俺思ってたんだ。



で、そういえばと思い出してフロウに年齢を聞いたら25歳だと教えてもらった。
フロウのお兄さんは27歳だって。
貴族の男性は20歳くらいが適齢期らしいから、フロウはこの年齢で本当に愛する人と結婚できて嬉しいと話していた。
頬をそっと撫でられて、耳元で愛しているなんて掠れた声でささやくから、一気に空気が甘くなる。

耳にかかるくらいまで伸びた俺の黒髪を、フロウが綺麗だって言いながら指で梳く。
俺はね、フロウの方がよっぽど綺麗だと思うよ?薄い色の金髪だってこんなにサラサラしちゃって、とフロウの髪の毛を一房手にとって、金色がサラリと手から流れていくのに目を奪われる。

お風呂上がりに羽織る薄手のガウンの開いた襟元から、フロウの胸筋がちらりと覗く。
前は食べ物も十分でなかったから痩せて身体の肉が落ちていたけど、最近は筋肉がついて胸板なんて2倍くらいになった。
俺はぜい肉も筋肉もつきにくいから、その腹筋羨ましいとガウンの上からグイグイ押してみる。

「……ふふっ、ひろき、くすぐったいよ」

こそばゆいって顔で笑うフロウがすごく可愛く見えたから、いたずら心でベッドの上で座っているフロウのガウンを腹までバッと開くと、腹筋に舌を這わせてみた。

「………っっ」

ビクッとなったのが面白くて腹筋をペロペロ舐めまくって、おへそも舌先でツンツンしてみて、腹筋の凹凸を舌でなぞりながらフロウの表情を確認してみた。

……あれ?フロウの瞳がギラギラしているよ?

「……ちょうどいい、今夜はひろきに楽しませてもらおうか」

あ、悪いこと考えてるみたいな顔で笑ったフロウも恰好良い。

「そのまま私のものを舐めて」

触ったことはあるけど、口に入れたことはないフロウのものを舐める……

ガウンのヒモをほどくと、ガウンがスルッとフロウの身体から滑り落ちた。
露わになったそそり立つものを見て、ごくん、と唾を飲みこんだ俺はチラッとフロウを見上げる。
す、すごい見てるな…

よぉし、と唇を舐めて湿らせてから、フロウの先端に舌を落とした。
ブルっと先端が震えて透明の液が零れるのをチュゥッと吸い、先っぽを口の中に迎え入れて舌でグルっと押してみる。
そのまま一気に口の奥に入る分だけ滑りこませ、うん根元までは入りきらないなって再確認する。
ちょっと首が動いたからか、喉の奥の方にフロウがギュッと入ってきて苦しくなる。
慌ててフロウの根元を両手で支えて、口の中からフロウのものを抜けば。

「……はっ…くっっぅっ…」

フロウが感じているのであろう掠れた声が漏れた。
先っぽだけ咥えて根元をゆるゆると両手でしごいて見上げれば、フロウが目を細めて眉を寄せている。

ものすっっごい色っぽい、俺はその顔を見て完全勃起した。

フロウをもっと気持ちよくさせたい、そういえば俺いつもフロウにしてもらうばっかりで、お返ししたことなかったな。

フロウがしてくれるのを思い出しながら両手を使って上下にしごきつつ、ふたつの玉も片方ずつパクっと咥えて転がす、たまに全体をべろーんと舐めたりして、また先っぽに戻って咥える。
歯を立てたら怖いからゆるゆると頭を前後に揺すり、先っぽを上顎で擦りながら舌で棒を強くなぞる。

これ気持ちいいんだよね、フロウがしてくれると俺いつもすぐイッちゃうんだ。

フロウも気持ちいいって感じてくれてるかな、いっぱいまで咥えたままフロウの顔を見上げたら。

冷たい表情でグレーの瞳だけギラギラさせて、俺を見下ろしているフロウがいた。

「どこで習った……誰のを咥えた……」
「…え……?」

引きはがすように肩を掴まれて、そのまま押し倒されて後ろ穴を浄化して解された。
性急に指を入れられて引き抜かれ、すぐ指を増やされて穴に突っ込まれる。
ひっくり返るくらい尻を持ち上げられて、香油の瓶から直接穴に注がれる。
俺の身体を離したフロウが自分のものに残りの香油をかけると、そのまま瓶を床に投げ捨てる。

絨毯が敷いてあるから割れないけど、あれ油だ、シミにならないかな……
と香油の瓶が転がる方を目で追っていたら。

「よそ事か、余裕だな」

足首を持って大きく足を開かれて、そのままゆっくりと奥まで貫かれた。

「……ふわぁっ…ぁっ…っっ」
「慣れぬからと抱き潰さぬよう気を遣っていたが、その必要はなさそうだ」

ズズ…ズンッ、ズズ…ズンッ、ゆっくり引いて、ゆっくり押し入られる。
何度も何度も感じるところを擦られて、俺は触れられてもいないのに射精してしまう。

「あぁっ、あっ、フ、フロウゥッ……っぁぁっ」
「……気持ちいいな、ひろき、もっと啼け」

今は私のものだ、と掠れた声で何度も繰り返すフロウにひろきは何度も、違うと言った。
ひろきは最初からフロウのものだし、他の誰のことも受け入れたことなどない。

そう伝えたかったのだが、ひろきが違うと口にするだけでフロウの熱はさらに高まり、結局ひろきは最後まで言葉を紡ぐことなどできなかった。

正面から抱かれ、そのまま抱き起こして下から突き上げられるように抱かれ、一旦抜かれたと思ったら四つん這いにして獣のように後ろから突かれ、力の抜けた身体を腕が支えられず顔から崩れたところを腰だけ持ち上げられて貫かれ、フロウが果てるまで抱かれた。

嬌声などすでに出ない、喉から出ているのは声ではなく突かれて押し出される音だ。
うつ伏せで横たわるひろきの尻を両手で押し開いて挿入したフロウは、いまだ腰を振り続けている。
互いがぴっちりと足を閉じていても、フロウの固く長いものは抜けずに優しい律動を繰り返す。
何度もひろきの中で果てた白濁がくぷっ、くぷっと泡立って滴り飛び散る。
ふいにフロウがブルリと震え、最後の白濁をひろきの中に吐き出すと大きく息をついた。

気のすむまで抱いて終わってみれば、意識のないひろきの顔も髪も飛び散った白濁にまみれ、胸の頂は赤く腫れ身体全体に強く吸って残された執着の跡。

ごめんなさいと最後には謝りだし、ブルブルと泣いて震えるだけのひろきをフロウは文字通り抱き潰した。

嫉妬に狂い好きなようにしてもスッキリするわけもなく。
愛するひろきを苦しめるような行いは、かつて奴隷だった自分がされたのと同じではないかと一層心が重くなる。

こんなに愛しているのになぜ、という思いも強い。
いつ、どこで、誰がひろきにあのような行為を。

暗い気持ちで湯をため、意識のないひろきの身体を抱いて浸かり清めてやる。
抱えた足が湯の中で揺れて動くと、後ろの穴から白濁が大量に流れ出てきて哀しくなる。
すまなかった、と掠れた声でつぶやくとその細い身体を強く抱いて浄化をかけた。





おぉい身体が動かない、朝かな…おはよう?
どうやらベッドに一人で寝ている、フロウは仕事かな?
喉が痛いから水分をとろうと起き上がろうとしたら無理だった、これデジャヴ。
メイドさんを呼ぼうかな、と思ったけど喉がつぶれて何も声が出なかった、嘘でしょ。

確かに昨日のフロウは激しすぎた、しかも何か勘違いしてたし。
これはちょっと今後のこともあるし話し合いが必要だな、と目だけを向けてギョッとした。
ベッドから離れたところに置いてある椅子に、誰かが座っていた。

一瞬びっくりしたけど、よく見たらフロウだった。
暗い顔してぼんやりこっちを見ている。
ど、どうした??フロウも流石に疲れたか?

っていう顔じゃないよな、あれはすごく後悔している人の顔だ。

「…………フロー……」

出ない声を振り絞って呼べば、フロウがあからさまにビクゥッとする。
俺に声を掛けようか近づこうかどうしようか、悩んでる風だったので呼び寄せる。

「のどいたい…水飲ませて」

慌ててすっ飛んできて、俺の身体を起こして背中にクッションを当てて支えにし、水をグラスに入れて持ってきてくれる。
腕も上がらないから一口ずつ飲ませてもらう。

ようやく一息ついてフロウを見る。
俺のついたため息にまた肩を揺らして、フロウは俺と目を合わせようとしない。

「フロウ……たぶん勘違いしてる」

フロウが目だけで俺を見る、勘違い?って顔をしている。
 
「俺は元の世界にいたときから、誰とも付き合ったことないしキスも初めてはフロウだ」

フロウはパチパチまばたきをする。

「エッチなことするのにフロウ以外の裸に触ったことなんてない」

フロウの顔が青い、俺を支えている手が震えている。

「俺は初めてが全部フロウだし、俺を触るのだってフロウだけなんだよ」

そんなこと知ってるだろう?と勢いをつけて額をぶつけてやる、ゴツンと音がして結構痛い。

「だって…そんな……」
「昨日俺がく、…口でしたのだって、いつもフロウが同じことしてくれてるだろ…」
「……そんな……じゃあ私は…」

フロウが頭を下げるんじゃないかなと思って、俺は先に口を開いた。

「謝らなくていいよ、怒ってないし許すよ」
「ひろき………」
「昨日はちょっと嫉妬して激しすぎただけだ」
「…………」

フロウが唇を噛みしめている、そんなに噛んだら唇切れちゃうぞー。

「心の傷ってさ、癒えるのに時間がかかるじゃない?」

突然始まった俺の話に、フロウはしかし耳を傾けてくれる。

「フロウの心もさ、自分で大丈夫って思ってても、たぶんまだほんとは時間がかかるんだと思うんだ。だから昨日のはその傷の膿を出したようなもんだって、俺は思ってる。それはフロウには必要なことだった」

フロウには言ってないんだけど、たまに夜中うなされているんだよね。
そんなときはギュッと抱きしめていると落ち着くみたいなんだけど。

「俺たち夫婦だからね、フロウのことは俺が受け止めるよ」

グレーの瞳が揺れてくしゃっとなった。

「だから嬉しいのも苦しいのも、ぜんぶ半分こしよ」

動かない身体の俺にフロウがすがりついて、後ろに倒れた俺の頭がヘッドボードをゴンと鳴らした。
俺が笑ってて、フロウが泣いて。

「大好きだよフロウ」

もっともっと幸せになろう?

俺のレベルがまた上がった。




抱き潰された俺は結局その日ベッドから動けなかった。
朝食という名の朝礼もすっぽかしたから、家族が順番にお見舞いに来てくれた。
体調が悪いわけでもない、エッチなことしすぎて動けないだけなのに申し訳ない、いたたまれない。

ベッドの脇に置かれた椅子に腰掛けているのは、仕事に出掛ける前のフロウのお父さんだ。
フロウのお父さんも城勤めっていうから仕事内容を聞いてみたら、人の話を聞いて仲良くなったりハンコを押したりしているよ、って言っていた。
あれだな、上役ってやつだ。うん、なんかそんな感じする。

今度城に遊びにおいでよ、って誘われたからぜひ行きたいです、って答えたら、嬉しそうに待ってるねー、と手を振って退室していった。



お父さんが出て行ったらお兄さんがやって来て、なんかフロイラインが盛っちゃってごめんね?と面白そうな顔で謝られた。
これってみんなにバレてるのか、恥ずかしすぎる。

ちなみに聞いてみたお兄さんの仕事内容は、要約すると事務仕事だって。
お金のことにも関わったり、たまに人事のお手伝いもするっていってたから、相当デキる事務の人だね。
おにいさんは私が動くより、周りの優秀な人がやってくれるから、って謙遜していたけど。

お父さんに誘われたし、今度城に遊びに行きたいと思うって言ったら、すごい面白そうな笑顔でうんうん、楽しみに待っているよ、と退室していった。
仕事、結構暇な職場なのかな?



フロウは前に魔法の研究が主な仕事内容だって言ってた。
街の外には魔物がいて、研究のために獲ってきたりするのも仕事だって話していたから、研究職というより結構肉体派な仕事なんだろう。

みんなすごいな、俺ももう少しここの生活に慣れたら、何か仕事手伝えないかな。

お兄さんの奥さんと子供たちが最後に入ってきて、ベッドの上でひとしきり騒いで転がったあと、今度お城に遊びに行こうと約束して帰っていった。





後日約束を果たして子供たちと護衛の騎士を引き連れて、お城へ遊びに行ったよ。
馬車に乗って移動したんだけどお城、家の隣の建物だった。

お城に入って行きたいところを聞かれたから、食堂に連れて行ってもらったらみんなにお辞儀をされる。
仕方ないから俺もペコペコお辞儀を返して歩いた。
お城で働く人ってみんなほんと腰が低いのね。

食堂のメニューも見せてもらって、美味しそうだから今度フロウと食べに来てもいいですか、って言ったら案内してくれたおじさんがぜひお越しくださいませ、って笑顔を返してくれた。

子供たちと護衛の騎士とぞろぞろ歩いて、案内の人の説明を受けながら上の階に行く。
こんな風に丁寧に訪れる人間を案内していたら大変だなあと、美術館に来た気持ちでキョロキョロしていたら。

「ここが謁見の間でございます」

と扉の脇に鎧をつけた騎士が立っている、大きな扉が左右に音もなく開かれた。

「やぁひろきくん、いらっしゃい」

部屋の奥、据えられた金色の大きな玉座に、お父さんがニコニコ座っていた。
お父さんの横にお兄さんがいい笑顔で立っている。

この国ってヴァスコーネスっていうんだって、俺の名前にも入っちゃってるよヴァスコーネス。
諸外国カルタにも貴族カルタにも家族が入ってないと思ったら、お兄さんの仕業だった。

RPGの世界の人と結婚したら、フロウまさかの王族、お父さん王様でお兄さん王太子だった。

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戦時中のある日、特攻隊として選ばれた私は友人と別れて仲間と共に敵陣へ飛び込んだ。 死を覚悟したその時、光に包み込まれ機体ごと何かに引き寄せられて、異世界に。 そこは魔力持ちも世界であり、私を番いと呼ぶ物に囲われた。

転生して王子になったボクは、王様になるまでノラリクラリと生きるはずだった

angel
BL
つまらないことで死んでしまったボクを不憫に思った神様が1つのゲームを持ちかけてきた。 『転生先で王様になれたら元の体に戻してあげる』と。 生まれ変わったボクは美貌の第一王子で兄弟もなく、将来王様になることが約束されていた。 「イージーゲームすぎね?」とは思ったが、この好条件をありがたく受け止め 現世に戻れるまでノラリクラリと王子様生活を楽しむはずだった…。 完結しました。

無能扱いの聖職者は聖女代理に選ばれました

芳一
BL
無能扱いを受けていた聖職者が、聖女代理として瘴気に塗れた地に赴き諦めたものを色々と取り戻していく話。(あらすじ修正あり)***4話に描写のミスがあったので修正させて頂きました(10月11日)

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