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93 色々考えることや報告する事はあるけど、帝王様も来て貰いました。
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――華姫side――
そこは、見たことも無いような白亜の工場で……思わず呆然と立ち尽くしたのです。
――いつも雨の降っていてジメジメしていた鉄の国サカマル帝国とは違い、からっとした空気に熱い日差し。
わたくしもあの国のようにジメジメしていたのでは行けませんわね。
胸を張り、兄様の為にユリ殿を説得せねば!!
ユリ様の後を追い、階段をあがり二階へと向かうと、わたくしたちは作業場のような場所へと案内されました。
「どうしたユリ、お客様か?」
「ええ、あ、私の夫のエンジュさんです」
「初めまして。わたくしは鉄の国サカマル帝国の王族が一人、華姫(かひ)と申します」
「は? 姫様が何でここにいんのさ」
「帝国は一体どうしたの?」
「えっと、その事をユリ様にお話すべくこちらに……その! 助けを乞いに参りました!」
よもやここにいる数名が鉄の国サカマル帝国の者とは知らず、言葉が震えてしまったのは許して欲しい。
この様な人前に出るのは初めてなのです!
「ハク達が話を一度聞けと」
「なるほど」
「なら良いんじゃない?」
「も、申し訳ありせぬ」
「気にしないで下さい。どうぞ椅子に腰かけられて。作業椅子なので良いものではありませんが」
「いいえ、そのような事は気に致しませぬ!」
そう言って私とヒイラギは椅子に座り、これまでの事を説明した。
幼少の頃より兄上は賢き子で、男尊女卑をとても憂いていた事。
また、帝王の座について色々仕事をする中で、法改正に力を入れており、400年変わらなかった男尊女卑を取り消そうとしていた事。
そんななおり、毒を飲まされ倒れた事も伝えた。
毒を飲ませたのは上層部の者達で、兄様が倒れたら進んでいた法改正を元に全て戻し、自分たちの都合のいいように国を動かし始めた事。
スタンピードも自分達の欲にかられ兵を動かした挙句負けた事を、全て寝たきりの兄様の所為に仕立て上げた事。
成功は自分たちのモノ。失敗は寝たきりの兄様の者にしたことを伝えた。
「兄様が毒で死ねば己たちの罪はリセットされると思っているのです」
「酷いな」
「上層部しか知らない事なのですか?」
「はい……国民には知らされておりません」
「上が馬鹿だと……って思ったけど、一番のトップが毒を下から受けて眠っているのなら、本当の今のトップはその上層部って事ね。一掃しないと駄目なのよね~……」
「一掃出来ればそれに越したことは御座いません。ですがそれもまた難しく」
「ソウ? ボクナラ ナントカデキソウダケド」
「タキちゃんそうなの?」
「おお、そうじゃったな。ワシ等はこの前のスタンピードの戦いでスキルが増えたのじゃよ」
「まぁ!?」
「タキは擬態と姿を消すことが可能になった。その兄様と言う帝王も治すことは可能じゃろうし、暫し帝王をこの国に隔離する事も可能じゃろう。新しい木偶の帝王が生まれなければじゃが」
「帝王は代々とある魔道具を持つ事で帝王と定められます。それさえあれば、次の王を選定したところで新たな帝王とは呼ぶことは不可能なのです」
「では、その病床にいる帝王を保護する所から始めたらどうかのう?」
そう言ったフェアリードラゴン様に周りの方々は驚き、ユリ様とユリ様の旦那様は――。
「まぁ、陛下に言わなくていいかしら?」
「お忍びだろう? 暫く家で囲ってもいいんじゃないか?」
「兄上、そうは言いますが一国の帝王ですよ?」
「だが命の危険にあるのなら、何とか出来る方法が俺達にあるならするべきだと思うが?」
「それは言えてるわね……詳しい情報も聞きたいし。どれだけ上層部が腐っているのかも知りたいし。ほら、タキちゃんが結界張った金鉱山、あそこも今凄いんでしょう?」
「スゴイネ ベッタベタダネ」
「そこも踏まえて、陛下にも伝えないといけないし……でも、帝王様と姫様が二人こっちに来ていてあの国成り立つかしら?」
「成り立っているから大変な事になっているのです!! 好きかってしてこのままでは帝国は本当に滅んでしまいます!」
思わず叫ぶと鉄の国サカマル帝国の女性二人と男性一人は溜息を吐き、わたくしは、わたくしはこれ以上何と言えばいいのか分からず涙が零れ落ちる。
嗚呼、兄様……やはりわたくしでは役不足だったのかも知れません。
そう思ったその時、わたくしは小さな手でポンポンと頭を叩かれ、顔を上げるとユリ様が笑顔で笑っておられました。
「タキちゃん、寝込んでいる帝王に擬態して、もう一匹で透明化して様子伺える?」
「イイヨ イロイロ キキミミ タテテクルネ」
「半年様子を見てから、動き出しましょうか。それからハクは帝王様をお迎えにお空の散歩できるかしら?」
「よかろう! 罪もない賢き者が毒を飲まされるのは、我としても面白くない。その様な真似をした者達には鉄槌を下さねばならぬと、我は思うが? 爺様はどうだ」
「ふむ……まぁ、お忍びならよいのではないか? 一応陛下には一言伝えねばならんだろうが、敢えて名目上はお忍び。理由は静養の為でよいじゃろう。何か言われたらワシ等が決めたと言えば文句も言うまい。やれやれ、城への報告はワシとユリとドマとで行くかのう」
そう言うとフットワークが早いのだろうか……ホワイトタイガーのレジェンド様の上に小さきレジェンドスライム様が乗り、「イッテキマース」と言うと去って行った。
あ、兄様は助かるのでしょうか……。
「あの、本当に兄様はこちらに?」
「来ると思います……ので、気を確かに持ってくださいね? 取り敢えずベッドは二つあるので倒れても問題はありませんが」
その言葉にフラリとしたわたくしをヒイラギが支え、氷と言う高価なものが入ったお茶を出されて一口飲む……。
ヒイラギの分も少女? 少年? どっちであろうか、やさし気な者に入れて貰いホッとした途端お腹が鳴ってしまった。
一週間水だけできたので今頃になってお腹が……。
「え! 一週間も食べずに来たんですか!?」
「はい……」
「僕、お粥を用意します」
「三人分お願いします」
「分かりました。卵は入れていいでしょうか?」
「卵は二日目くらいからで」
「分かりました!」
「ブンレツー タキガ オコメミルヨー」
と、此処の者達は本当にレジェンド様の行動を何とも思っていないのでしょうか?
それとも慣れ? 慣れの問題でしょうか?
「せめて糖分補給はした方がいいんじゃないかね?」
「ああ、それならいいものがありますよ。皆さんも食べます?」
そう言ってユリ様はアイテムボックスの中に手を入れて木皿に入った黒い何かを取り出しました……これは何でしょう?
「わ――! チョコレート!」
「疲れた時は甘い物ですよね。えっと、カヒさんとヒイラギさんも此方をどうぞ。甘いですよ」
「甘いのですか!?」
「ええ、甘味です」
その言葉にわたくしたちはドキドキしながら袋を開けて口に入れると――何という美味!
口の中で蕩ける甘さと滑らかさ……初めて食べた魅惑の甘さです!!
「姫様これは……」
「なんと甘い……」
「お一人三つ程どうぞ」
「いただきますわ!」
「わたくしも!」
こうして魅惑のチョコレートなるものを頂き、ホッと安堵していると兄様にも是非食べて頂きたいと思い一つだけ残しました。
それはヒイラギも。
「三つともお食べになって宜しいですよ?」
「いえ、一つは兄様に残して行こうかと」
「私も」
「ああ、沢山あるので気にしないで下さい。まずは糖分を取って休憩です」
「ですが……」
「良いのでしょうか?」
「良いのです!」
そう言って微笑んで頷いたユリ様に最後の一つを食べると、ホロホロと涙が溢れ……。
嗚呼、ユリ様に助けを乞えと言われたのに、わたくしの方が助けられて情けない!!
わたくしに出来る事は何でもして差し上げなくては!!
「ユリ様、わたくしに出来ることが御座いましたら何なりとお申し付け下さい! 兄様と鉄の国サカマル帝国の為、何でも致します!!」
「私も微力ながら!!」
「では、後でお手伝いして頂きたいことがあるので、後で手伝って下さいね?」
「「はい!!」」
「それと、そろそろお兄様がお付きになりますよ」
「「は、え!?」」
此処までの距離はとてもある筈なのにもう!?
そう思っていると空を走りながらやってくるホワイトタイガーのハク様の背に、お兄様が必死にしがみ付いておられますわ!?
「兄様!!」
「う……もう着いたのか……」
「ドクモ カラダガヨワッタ トコロモ ゼンブ チリョウズミダヨ!」
「流石タキちゃんです!」
「お粥出来ました~~! こちらでどうぞー!」
「いいタイミングです! お三方まずは食事にしましょう!」
「お茶持ってくるよ」
「ありがとう御座います!」
寝間着姿の兄様を見ても皆さん何の反応もなし……これは、何と言いましょうか?
興味がない訳ではないのでしょうが……肝が据わっていると言うのでしょうか?
「失礼、帝王様。一人で歩くのがお辛いようでしたら肩をお貸ししますが?」
「すまない青年、頼めるだろうか」
そう言ってドマと言う青年はお兄様を支えて椅子まで連れて行くと、わたくしたちも後ろに伴って席に付き、目の前には土鍋でお作りになったお粥が三つ……。
とても食欲をそそられ、その間にエンジュ様がお兄様用のお茶まで用意して下さると、お互い顔を見合わせ手を合わせてから頂きました。
熱い……あの帝国では熱いご飯等食べた事はありません。
必ず毒見役がいるので温かいご飯など皆無です。
しかもなんと美味……ただのお粥なのに、何故ここまで美味しいのでしょう。
絶妙な塩加減にお米本来の甘さ……わたくしたちは涙を流しながら食べましたわ。
でも、食べ終わるとホッとしたのか眠くなってしまって……。
支えられながら部屋に案内されると、二つあるベッドのうち一つに兄様を。
わたくしはもう一つのベッドを。
ヒイラギは椅子に座って眠り始めました。
起きたらもっと話さねば……そう思いながら意識を手放しました。
そこは、見たことも無いような白亜の工場で……思わず呆然と立ち尽くしたのです。
――いつも雨の降っていてジメジメしていた鉄の国サカマル帝国とは違い、からっとした空気に熱い日差し。
わたくしもあの国のようにジメジメしていたのでは行けませんわね。
胸を張り、兄様の為にユリ殿を説得せねば!!
ユリ様の後を追い、階段をあがり二階へと向かうと、わたくしたちは作業場のような場所へと案内されました。
「どうしたユリ、お客様か?」
「ええ、あ、私の夫のエンジュさんです」
「初めまして。わたくしは鉄の国サカマル帝国の王族が一人、華姫(かひ)と申します」
「は? 姫様が何でここにいんのさ」
「帝国は一体どうしたの?」
「えっと、その事をユリ様にお話すべくこちらに……その! 助けを乞いに参りました!」
よもやここにいる数名が鉄の国サカマル帝国の者とは知らず、言葉が震えてしまったのは許して欲しい。
この様な人前に出るのは初めてなのです!
「ハク達が話を一度聞けと」
「なるほど」
「なら良いんじゃない?」
「も、申し訳ありせぬ」
「気にしないで下さい。どうぞ椅子に腰かけられて。作業椅子なので良いものではありませんが」
「いいえ、そのような事は気に致しませぬ!」
そう言って私とヒイラギは椅子に座り、これまでの事を説明した。
幼少の頃より兄上は賢き子で、男尊女卑をとても憂いていた事。
また、帝王の座について色々仕事をする中で、法改正に力を入れており、400年変わらなかった男尊女卑を取り消そうとしていた事。
そんななおり、毒を飲まされ倒れた事も伝えた。
毒を飲ませたのは上層部の者達で、兄様が倒れたら進んでいた法改正を元に全て戻し、自分たちの都合のいいように国を動かし始めた事。
スタンピードも自分達の欲にかられ兵を動かした挙句負けた事を、全て寝たきりの兄様の所為に仕立て上げた事。
成功は自分たちのモノ。失敗は寝たきりの兄様の者にしたことを伝えた。
「兄様が毒で死ねば己たちの罪はリセットされると思っているのです」
「酷いな」
「上層部しか知らない事なのですか?」
「はい……国民には知らされておりません」
「上が馬鹿だと……って思ったけど、一番のトップが毒を下から受けて眠っているのなら、本当の今のトップはその上層部って事ね。一掃しないと駄目なのよね~……」
「一掃出来ればそれに越したことは御座いません。ですがそれもまた難しく」
「ソウ? ボクナラ ナントカデキソウダケド」
「タキちゃんそうなの?」
「おお、そうじゃったな。ワシ等はこの前のスタンピードの戦いでスキルが増えたのじゃよ」
「まぁ!?」
「タキは擬態と姿を消すことが可能になった。その兄様と言う帝王も治すことは可能じゃろうし、暫し帝王をこの国に隔離する事も可能じゃろう。新しい木偶の帝王が生まれなければじゃが」
「帝王は代々とある魔道具を持つ事で帝王と定められます。それさえあれば、次の王を選定したところで新たな帝王とは呼ぶことは不可能なのです」
「では、その病床にいる帝王を保護する所から始めたらどうかのう?」
そう言ったフェアリードラゴン様に周りの方々は驚き、ユリ様とユリ様の旦那様は――。
「まぁ、陛下に言わなくていいかしら?」
「お忍びだろう? 暫く家で囲ってもいいんじゃないか?」
「兄上、そうは言いますが一国の帝王ですよ?」
「だが命の危険にあるのなら、何とか出来る方法が俺達にあるならするべきだと思うが?」
「それは言えてるわね……詳しい情報も聞きたいし。どれだけ上層部が腐っているのかも知りたいし。ほら、タキちゃんが結界張った金鉱山、あそこも今凄いんでしょう?」
「スゴイネ ベッタベタダネ」
「そこも踏まえて、陛下にも伝えないといけないし……でも、帝王様と姫様が二人こっちに来ていてあの国成り立つかしら?」
「成り立っているから大変な事になっているのです!! 好きかってしてこのままでは帝国は本当に滅んでしまいます!」
思わず叫ぶと鉄の国サカマル帝国の女性二人と男性一人は溜息を吐き、わたくしは、わたくしはこれ以上何と言えばいいのか分からず涙が零れ落ちる。
嗚呼、兄様……やはりわたくしでは役不足だったのかも知れません。
そう思ったその時、わたくしは小さな手でポンポンと頭を叩かれ、顔を上げるとユリ様が笑顔で笑っておられました。
「タキちゃん、寝込んでいる帝王に擬態して、もう一匹で透明化して様子伺える?」
「イイヨ イロイロ キキミミ タテテクルネ」
「半年様子を見てから、動き出しましょうか。それからハクは帝王様をお迎えにお空の散歩できるかしら?」
「よかろう! 罪もない賢き者が毒を飲まされるのは、我としても面白くない。その様な真似をした者達には鉄槌を下さねばならぬと、我は思うが? 爺様はどうだ」
「ふむ……まぁ、お忍びならよいのではないか? 一応陛下には一言伝えねばならんだろうが、敢えて名目上はお忍び。理由は静養の為でよいじゃろう。何か言われたらワシ等が決めたと言えば文句も言うまい。やれやれ、城への報告はワシとユリとドマとで行くかのう」
そう言うとフットワークが早いのだろうか……ホワイトタイガーのレジェンド様の上に小さきレジェンドスライム様が乗り、「イッテキマース」と言うと去って行った。
あ、兄様は助かるのでしょうか……。
「あの、本当に兄様はこちらに?」
「来ると思います……ので、気を確かに持ってくださいね? 取り敢えずベッドは二つあるので倒れても問題はありませんが」
その言葉にフラリとしたわたくしをヒイラギが支え、氷と言う高価なものが入ったお茶を出されて一口飲む……。
ヒイラギの分も少女? 少年? どっちであろうか、やさし気な者に入れて貰いホッとした途端お腹が鳴ってしまった。
一週間水だけできたので今頃になってお腹が……。
「え! 一週間も食べずに来たんですか!?」
「はい……」
「僕、お粥を用意します」
「三人分お願いします」
「分かりました。卵は入れていいでしょうか?」
「卵は二日目くらいからで」
「分かりました!」
「ブンレツー タキガ オコメミルヨー」
と、此処の者達は本当にレジェンド様の行動を何とも思っていないのでしょうか?
それとも慣れ? 慣れの問題でしょうか?
「せめて糖分補給はした方がいいんじゃないかね?」
「ああ、それならいいものがありますよ。皆さんも食べます?」
そう言ってユリ様はアイテムボックスの中に手を入れて木皿に入った黒い何かを取り出しました……これは何でしょう?
「わ――! チョコレート!」
「疲れた時は甘い物ですよね。えっと、カヒさんとヒイラギさんも此方をどうぞ。甘いですよ」
「甘いのですか!?」
「ええ、甘味です」
その言葉にわたくしたちはドキドキしながら袋を開けて口に入れると――何という美味!
口の中で蕩ける甘さと滑らかさ……初めて食べた魅惑の甘さです!!
「姫様これは……」
「なんと甘い……」
「お一人三つ程どうぞ」
「いただきますわ!」
「わたくしも!」
こうして魅惑のチョコレートなるものを頂き、ホッと安堵していると兄様にも是非食べて頂きたいと思い一つだけ残しました。
それはヒイラギも。
「三つともお食べになって宜しいですよ?」
「いえ、一つは兄様に残して行こうかと」
「私も」
「ああ、沢山あるので気にしないで下さい。まずは糖分を取って休憩です」
「ですが……」
「良いのでしょうか?」
「良いのです!」
そう言って微笑んで頷いたユリ様に最後の一つを食べると、ホロホロと涙が溢れ……。
嗚呼、ユリ様に助けを乞えと言われたのに、わたくしの方が助けられて情けない!!
わたくしに出来る事は何でもして差し上げなくては!!
「ユリ様、わたくしに出来ることが御座いましたら何なりとお申し付け下さい! 兄様と鉄の国サカマル帝国の為、何でも致します!!」
「私も微力ながら!!」
「では、後でお手伝いして頂きたいことがあるので、後で手伝って下さいね?」
「「はい!!」」
「それと、そろそろお兄様がお付きになりますよ」
「「は、え!?」」
此処までの距離はとてもある筈なのにもう!?
そう思っていると空を走りながらやってくるホワイトタイガーのハク様の背に、お兄様が必死にしがみ付いておられますわ!?
「兄様!!」
「う……もう着いたのか……」
「ドクモ カラダガヨワッタ トコロモ ゼンブ チリョウズミダヨ!」
「流石タキちゃんです!」
「お粥出来ました~~! こちらでどうぞー!」
「いいタイミングです! お三方まずは食事にしましょう!」
「お茶持ってくるよ」
「ありがとう御座います!」
寝間着姿の兄様を見ても皆さん何の反応もなし……これは、何と言いましょうか?
興味がない訳ではないのでしょうが……肝が据わっていると言うのでしょうか?
「失礼、帝王様。一人で歩くのがお辛いようでしたら肩をお貸ししますが?」
「すまない青年、頼めるだろうか」
そう言ってドマと言う青年はお兄様を支えて椅子まで連れて行くと、わたくしたちも後ろに伴って席に付き、目の前には土鍋でお作りになったお粥が三つ……。
とても食欲をそそられ、その間にエンジュ様がお兄様用のお茶まで用意して下さると、お互い顔を見合わせ手を合わせてから頂きました。
熱い……あの帝国では熱いご飯等食べた事はありません。
必ず毒見役がいるので温かいご飯など皆無です。
しかもなんと美味……ただのお粥なのに、何故ここまで美味しいのでしょう。
絶妙な塩加減にお米本来の甘さ……わたくしたちは涙を流しながら食べましたわ。
でも、食べ終わるとホッとしたのか眠くなってしまって……。
支えられながら部屋に案内されると、二つあるベッドのうち一つに兄様を。
わたくしはもう一つのベッドを。
ヒイラギは椅子に座って眠り始めました。
起きたらもっと話さねば……そう思いながら意識を手放しました。
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