94 / 106
94 王様へのご報告と、帝王様達への配慮をある程度しつつの会話と。
しおりを挟む
温かいお粥を食べて眠られた三人。
さて、これからどう動きましょうか。
まぁ、陛下にお伝えするのは優先だけど……仕方ない、行ってきますか。
「さて、お伺い立ててからになりますけど陛下に会いに行きますか」
「お供します」
「ワシ等が良いと言ったと言えばそれまでじゃが、行くとするかのう。タキよ、見たままを説明できるか?」
「イイヨー」
「岩田はどうする?」
「ボクネ イマカラ オシゴトアルカラ♪」
そうなのだ、岩田は現在私の代わりに冒険者ギルドに向かい鉱石を出して貰っている。
最初はギルマスのドナンさんは驚いたけれど、ミスリルも出せる事を知り、是非にとなったのだ。
無論ミスリル等のレア素材はごく僅かしか出さないように注意は厳重にしたけれど、ドナンさんも「高級なレア素材がボロボロ手に入ったら市場が崩壊しちまうよ」と苦笑いしていたので実際そうなのだろう。
「じゃあ岩田はお仕事頑張ってね」
「ハーイ♪」
「我はヌシ達と行くとするか。元々我が許可を出したのだからな」
「そうね、最初の許可はそうね。説明して差し上げて」
「よかろう」
こうしてロザリンドさんに陛下に秘密のお伺いをと言うと、そのまま手紙を書いてくれて直ぐに執務室へと言う連絡を受けた。
きっと港での事が知れているのだろう。
その足で馬車に乗り込み城へと向かい、いつも通り……ではないけど、執務室に通されると陛下は頭を抱えて「鉄の国サカマル帝国の娘を入れたと聞いたが?」と聞いてきたのでニッコリ笑って「そうですね、私は指示してませんが」と口にする。
すると――。
「助けてほしいと言う匂いを強く感じてな。我が通した」
「ハク様……」
「ただ、今回はやむを得ない事情がありますので報告させて頂きますが。心をシッカリ持って聞いて下さいね? 実は鉄の国サカマル帝国の帝王様は毒で殺される一歩手前でして」
「は、それは誠か?」
「ええ、長い事患っていたそうです。国を動かしていたのはずっと重鎮達だそうです」
「……なんと」
「このままでは幾ばくも無いと判断した姫君が助けを求めてやって来まして。事情を色々聞くとボロボロと重鎮たちの悪事が判明致しました。帝王様はこのままでは半年もせず殺される予定だったそうなので、タキちゃんとハクに行って貰い保護しております」
「ほ、保護おおおお!?」
「所謂お忍びですね。国で保護をしているのではなく、レジェンドモンスターたちが勝手に動いて保護をした……と言う事にして下さい」
「ジッサイ ウゴイタヨ! アノクニ ヒドイネ! ミズサシノ ナカミハ ウスイドク」
「なんと……」
「タキちゃんが擬態を持っているので、帝王様に擬態して今は本物と分裂したタキちゃんとで入れ替わっています。本物の帝王様は第二工場にて現在食事の後眠っておられます。姫様もです」
そこまで伝えると陛下は溜息を吐き、「レジェンド様がしたのなら我々に止める術はないが」と口にし、更にタキちゃんは口にする。
「アト キンコウザン ケッカイ ハッテルケド タクサン アノクニカラキタ ミッテイガ ツカマッテルヨ」
「は――……結界を張って下さっていたのですね。しかもあの国の者達が張り付いていると」
「シンデルノモ イルカモシレナイケド イイヨネ?」
「一応兵士を出しますので、捕えさせて頂いてからまた結界を張って貰っても?」
「イイヨー ブンレツシテ ツイテクヨ」
「じゃあタキちゃん一匹分裂お願いね」
「ハーイ!」
そう言ってプルンッと分裂すると、陛下の頭に乗り手を振っている分裂したタキちゃん。
「シバラク 鉄ノ国サカマル帝国ノ ジョウホウ オシエルノニ イテイイ?」
「イイヨ。ボクモ テイオウサマニ オシエタイシネ」
「ジョウホウキョウユウ ダイジダネ!」
「ソウダネ!」
「と言う事ですので。一応名目はお忍びにして下さい。後は静養の為と言う事で」
「分かった……まずは君たちに暫くは任せる。大事に持て成してくれ」
「持て成したらバレるでしょう? 取り敢えず家で預かりますが半年は静養と言う事で。その後どうするか決めますね」
「分かった」
こうして有無を言わせぬと言う感じで伝え終ると私たちは馬車に乗って一路二号店に戻ると、皆さんと会話しながら取り敢えず帝王様のお召し物をエンジュさんが持っているような着流しに着替えて貰うべく購入して『速乾付与』と『吸収付与』を付けて行く。
中の肌着にも同じように。
後はカヒ様とヒイラギさんの服も適当に移動用と思って一着ずつ購入し同じ付与を行い、その間にエンジュさんがネックレスを三つ作り、【体感温度が下がる付与】を付けたネックレスと、紫外線防止の髪飾りを三つ作った。
「しかし、今の帝王様がずっと寝込んでいたのなら、女払いなんて始めたのも……」
「上層部だろうな」
「本当最低!!」
「帝王様は男尊女卑を辞めさせる為に法律改正をしようとしていたと言っていたもの。それを上層部は許せなくて毒を飲ませたのね」
「って事は、今あのお城馬鹿しかいないんじゃない?」
「そうね」
「タキちゃんにバチーンって壊して貰えないかしら!!」
「あははは! 最終的にはそうなるかも知れないけど、今はまだ様子見よ。帝王様から事情も聞かないといけないしね」
「それもそうね」
「しかし、生きていたら帝王様に会う事も、あるんだねぇ……びっくりだよ」
「凄く男らしい方でしたね……」
「何? 心配してるの? アタシはセンジュに一途だよ?」
「も――!!」
と、顔を赤くしてミモザさんに弄られているセンジュ君と弄ってるミモザさんが尊い。
是非、この二人には将来的にお付き合いして欲しい所だわ!!
私とドマが居ない間にお父様には話を付けていてくれたようで、エンジュさんには感謝しつつ三人が起きるまで仕事をしていたのだけれど、二時間もすればヒイラギさんが起きて来て、「姫様と帝王様をお守りください」と土下座された為、立って貰って「出来る事はある程度します」と約束した。
無論ある程度だ。
全部までは面倒は見切れない。
「帝王様や姫様が、あの国をどうしたいかによって変わってくるよねぇ」
「そうよね、重鎮達を一斉に殺していやりたい所だけど」
「同じく、アタシもそう思うよ」
「二人共物騒だなぁ……」
「そう言うセンジュはどう思ってるのさ」
「あの城、曰く付きなんじゃないですか? 城ごと壊せないんですか?」
「「曰く付き?」」
「俺の予感ですけど、そんな気がします」
そうセンジュ君が言うと、タキちゃんとハクは頷きながら「確かに曰く付きの城だな」と口にした。
「あの城は腐敗臭が凄いのだ」
「腐敗臭ですか?」
「うむ。まず鬼門と呼ばれる所と近いと言うのもあるのだが、その鬼門からの匂いが正に城に集まっている。あれでは良い政治は出来まい。あの鬼門を制御していた二つの民が居た筈だが、一つは消えたと聞いている。一つの力では到底結界等無意味。一つ方法が無くはないが……」
「と言うと?」
「ドマ、お主の刀は宝刀であろう」
その言葉にドマは驚き、私達も驚いた。
え、ドマそんな宝刀なんて持ち歩いてたの!?
「サクラギ一族の宝刀を何故ドマが持っておるのか不思議だったのだ。それを使えば、一族の代わりとしての結界は張れる。だが、サクラギ一族だとバレてしまう」
「そう……だな。俺には全く記憶がないのだが」
「サクラギ一族は前の帝王を許さなかったのであろう。言うなれば、滅べこの屑野郎。くらいは思っての事だろうが、その前帝王が毒を呷って死んでるのなら最早意味はない。その刀を鬼門にそっと供えて後は放置で良いだろう」
「そっと供えてそっと帰るって感じですか」
「新しい刀は鉱石さえあれば鉄の国サカマル帝国の刀鍛冶が打ってくれるけど」
「岩田が居ますから行けるかと」
「それもそうか」
「じゃあ、帝王様と姫様を半年面倒見る代わりに、刀作って貰ったら?」
「そうですね、俺もこの刀に愛着が無い訳ではありませんが、それで結界が出来るのならその方法を取るのもアリでしょう」
そう会話していると、泣きながら出て来た姫様と泣いている妹をあやしながら出て来た帝王様は、私たちに頭を下げた為、部屋に入ってくるようにエンジュさんが呼びに行き、作業部屋に入ってこられた。
「この度は我と妹を助けて下さり、なんとお礼を言えばいいか」
「この国の陛下にはお忍びで来られていると言う事にしていますので、名を教えてもらえれば助かります。仮名でもいいですよ」
「妹はなんと」
「カヒと聞いてます」
「では我は本当の名が長いので、ロウとお呼び下さい」
「ロウさんですね」
「へ――。帝王様って腰が低い人なんだね」
「意外~」
「そなた達は鉄の国サカマル帝国の者達か?」
「そうだよ、アタシは女払いされてこの国に売られたのさ」
「なっ!! 誰がその様な事を!!」
「毒にやられて寝てばっかりで知らないだろうけど、あの国では今は金が払えなければ女で払うってのが当たり前だよ?」
「そんなバカな!! それは禁じた筈だ!!」
「だって事実だもーん?」
「は――……我が寝ている間に何という事を……」
「取り敢えず色々知らねばならない事も多いと思いますので、まずは着替えて貰えます?」
そう言うとエンジュさんが陛下の着替えを、タキちゃんが女性二人の着替えを差し出し、「申し訳ない」と言いつつ、まずは女性陣二人が着替えるべく休憩室へ。
その後交代で陛下が入り着替えを済ませると出て来て、エンジュさんと余り変わらない見た目になった。
「まず一週間は身体を本来の状態に戻すべく治しましょう。その間に色々話をしつつ、今後について決めたほうが良さそうですが、一つだけお願いがあります」
「我に出来る事ならば」
「では、半年後国に帰ってからでいいので、鉱石を用意しますから刀を作って貰えません?」
「分かった。必ず約束しよう。名刀を作る鍛冶師を一人知っている。その者がまだいれば、頼むとしよう」
「ありがとう御座います」
こうして、一先ずはドマの刀問題は解決した。
また、「三十分程で帰ってきます」と伝えて各倉庫にアイテムを補充に行ったのだけれど、帰ってくるとロウさんが滅茶苦茶凹んでた。
何があったのかしら?
さて、これからどう動きましょうか。
まぁ、陛下にお伝えするのは優先だけど……仕方ない、行ってきますか。
「さて、お伺い立ててからになりますけど陛下に会いに行きますか」
「お供します」
「ワシ等が良いと言ったと言えばそれまでじゃが、行くとするかのう。タキよ、見たままを説明できるか?」
「イイヨー」
「岩田はどうする?」
「ボクネ イマカラ オシゴトアルカラ♪」
そうなのだ、岩田は現在私の代わりに冒険者ギルドに向かい鉱石を出して貰っている。
最初はギルマスのドナンさんは驚いたけれど、ミスリルも出せる事を知り、是非にとなったのだ。
無論ミスリル等のレア素材はごく僅かしか出さないように注意は厳重にしたけれど、ドナンさんも「高級なレア素材がボロボロ手に入ったら市場が崩壊しちまうよ」と苦笑いしていたので実際そうなのだろう。
「じゃあ岩田はお仕事頑張ってね」
「ハーイ♪」
「我はヌシ達と行くとするか。元々我が許可を出したのだからな」
「そうね、最初の許可はそうね。説明して差し上げて」
「よかろう」
こうしてロザリンドさんに陛下に秘密のお伺いをと言うと、そのまま手紙を書いてくれて直ぐに執務室へと言う連絡を受けた。
きっと港での事が知れているのだろう。
その足で馬車に乗り込み城へと向かい、いつも通り……ではないけど、執務室に通されると陛下は頭を抱えて「鉄の国サカマル帝国の娘を入れたと聞いたが?」と聞いてきたのでニッコリ笑って「そうですね、私は指示してませんが」と口にする。
すると――。
「助けてほしいと言う匂いを強く感じてな。我が通した」
「ハク様……」
「ただ、今回はやむを得ない事情がありますので報告させて頂きますが。心をシッカリ持って聞いて下さいね? 実は鉄の国サカマル帝国の帝王様は毒で殺される一歩手前でして」
「は、それは誠か?」
「ええ、長い事患っていたそうです。国を動かしていたのはずっと重鎮達だそうです」
「……なんと」
「このままでは幾ばくも無いと判断した姫君が助けを求めてやって来まして。事情を色々聞くとボロボロと重鎮たちの悪事が判明致しました。帝王様はこのままでは半年もせず殺される予定だったそうなので、タキちゃんとハクに行って貰い保護しております」
「ほ、保護おおおお!?」
「所謂お忍びですね。国で保護をしているのではなく、レジェンドモンスターたちが勝手に動いて保護をした……と言う事にして下さい」
「ジッサイ ウゴイタヨ! アノクニ ヒドイネ! ミズサシノ ナカミハ ウスイドク」
「なんと……」
「タキちゃんが擬態を持っているので、帝王様に擬態して今は本物と分裂したタキちゃんとで入れ替わっています。本物の帝王様は第二工場にて現在食事の後眠っておられます。姫様もです」
そこまで伝えると陛下は溜息を吐き、「レジェンド様がしたのなら我々に止める術はないが」と口にし、更にタキちゃんは口にする。
「アト キンコウザン ケッカイ ハッテルケド タクサン アノクニカラキタ ミッテイガ ツカマッテルヨ」
「は――……結界を張って下さっていたのですね。しかもあの国の者達が張り付いていると」
「シンデルノモ イルカモシレナイケド イイヨネ?」
「一応兵士を出しますので、捕えさせて頂いてからまた結界を張って貰っても?」
「イイヨー ブンレツシテ ツイテクヨ」
「じゃあタキちゃん一匹分裂お願いね」
「ハーイ!」
そう言ってプルンッと分裂すると、陛下の頭に乗り手を振っている分裂したタキちゃん。
「シバラク 鉄ノ国サカマル帝国ノ ジョウホウ オシエルノニ イテイイ?」
「イイヨ。ボクモ テイオウサマニ オシエタイシネ」
「ジョウホウキョウユウ ダイジダネ!」
「ソウダネ!」
「と言う事ですので。一応名目はお忍びにして下さい。後は静養の為と言う事で」
「分かった……まずは君たちに暫くは任せる。大事に持て成してくれ」
「持て成したらバレるでしょう? 取り敢えず家で預かりますが半年は静養と言う事で。その後どうするか決めますね」
「分かった」
こうして有無を言わせぬと言う感じで伝え終ると私たちは馬車に乗って一路二号店に戻ると、皆さんと会話しながら取り敢えず帝王様のお召し物をエンジュさんが持っているような着流しに着替えて貰うべく購入して『速乾付与』と『吸収付与』を付けて行く。
中の肌着にも同じように。
後はカヒ様とヒイラギさんの服も適当に移動用と思って一着ずつ購入し同じ付与を行い、その間にエンジュさんがネックレスを三つ作り、【体感温度が下がる付与】を付けたネックレスと、紫外線防止の髪飾りを三つ作った。
「しかし、今の帝王様がずっと寝込んでいたのなら、女払いなんて始めたのも……」
「上層部だろうな」
「本当最低!!」
「帝王様は男尊女卑を辞めさせる為に法律改正をしようとしていたと言っていたもの。それを上層部は許せなくて毒を飲ませたのね」
「って事は、今あのお城馬鹿しかいないんじゃない?」
「そうね」
「タキちゃんにバチーンって壊して貰えないかしら!!」
「あははは! 最終的にはそうなるかも知れないけど、今はまだ様子見よ。帝王様から事情も聞かないといけないしね」
「それもそうね」
「しかし、生きていたら帝王様に会う事も、あるんだねぇ……びっくりだよ」
「凄く男らしい方でしたね……」
「何? 心配してるの? アタシはセンジュに一途だよ?」
「も――!!」
と、顔を赤くしてミモザさんに弄られているセンジュ君と弄ってるミモザさんが尊い。
是非、この二人には将来的にお付き合いして欲しい所だわ!!
私とドマが居ない間にお父様には話を付けていてくれたようで、エンジュさんには感謝しつつ三人が起きるまで仕事をしていたのだけれど、二時間もすればヒイラギさんが起きて来て、「姫様と帝王様をお守りください」と土下座された為、立って貰って「出来る事はある程度します」と約束した。
無論ある程度だ。
全部までは面倒は見切れない。
「帝王様や姫様が、あの国をどうしたいかによって変わってくるよねぇ」
「そうよね、重鎮達を一斉に殺していやりたい所だけど」
「同じく、アタシもそう思うよ」
「二人共物騒だなぁ……」
「そう言うセンジュはどう思ってるのさ」
「あの城、曰く付きなんじゃないですか? 城ごと壊せないんですか?」
「「曰く付き?」」
「俺の予感ですけど、そんな気がします」
そうセンジュ君が言うと、タキちゃんとハクは頷きながら「確かに曰く付きの城だな」と口にした。
「あの城は腐敗臭が凄いのだ」
「腐敗臭ですか?」
「うむ。まず鬼門と呼ばれる所と近いと言うのもあるのだが、その鬼門からの匂いが正に城に集まっている。あれでは良い政治は出来まい。あの鬼門を制御していた二つの民が居た筈だが、一つは消えたと聞いている。一つの力では到底結界等無意味。一つ方法が無くはないが……」
「と言うと?」
「ドマ、お主の刀は宝刀であろう」
その言葉にドマは驚き、私達も驚いた。
え、ドマそんな宝刀なんて持ち歩いてたの!?
「サクラギ一族の宝刀を何故ドマが持っておるのか不思議だったのだ。それを使えば、一族の代わりとしての結界は張れる。だが、サクラギ一族だとバレてしまう」
「そう……だな。俺には全く記憶がないのだが」
「サクラギ一族は前の帝王を許さなかったのであろう。言うなれば、滅べこの屑野郎。くらいは思っての事だろうが、その前帝王が毒を呷って死んでるのなら最早意味はない。その刀を鬼門にそっと供えて後は放置で良いだろう」
「そっと供えてそっと帰るって感じですか」
「新しい刀は鉱石さえあれば鉄の国サカマル帝国の刀鍛冶が打ってくれるけど」
「岩田が居ますから行けるかと」
「それもそうか」
「じゃあ、帝王様と姫様を半年面倒見る代わりに、刀作って貰ったら?」
「そうですね、俺もこの刀に愛着が無い訳ではありませんが、それで結界が出来るのならその方法を取るのもアリでしょう」
そう会話していると、泣きながら出て来た姫様と泣いている妹をあやしながら出て来た帝王様は、私たちに頭を下げた為、部屋に入ってくるようにエンジュさんが呼びに行き、作業部屋に入ってこられた。
「この度は我と妹を助けて下さり、なんとお礼を言えばいいか」
「この国の陛下にはお忍びで来られていると言う事にしていますので、名を教えてもらえれば助かります。仮名でもいいですよ」
「妹はなんと」
「カヒと聞いてます」
「では我は本当の名が長いので、ロウとお呼び下さい」
「ロウさんですね」
「へ――。帝王様って腰が低い人なんだね」
「意外~」
「そなた達は鉄の国サカマル帝国の者達か?」
「そうだよ、アタシは女払いされてこの国に売られたのさ」
「なっ!! 誰がその様な事を!!」
「毒にやられて寝てばっかりで知らないだろうけど、あの国では今は金が払えなければ女で払うってのが当たり前だよ?」
「そんなバカな!! それは禁じた筈だ!!」
「だって事実だもーん?」
「は――……我が寝ている間に何という事を……」
「取り敢えず色々知らねばならない事も多いと思いますので、まずは着替えて貰えます?」
そう言うとエンジュさんが陛下の着替えを、タキちゃんが女性二人の着替えを差し出し、「申し訳ない」と言いつつ、まずは女性陣二人が着替えるべく休憩室へ。
その後交代で陛下が入り着替えを済ませると出て来て、エンジュさんと余り変わらない見た目になった。
「まず一週間は身体を本来の状態に戻すべく治しましょう。その間に色々話をしつつ、今後について決めたほうが良さそうですが、一つだけお願いがあります」
「我に出来る事ならば」
「では、半年後国に帰ってからでいいので、鉱石を用意しますから刀を作って貰えません?」
「分かった。必ず約束しよう。名刀を作る鍛冶師を一人知っている。その者がまだいれば、頼むとしよう」
「ありがとう御座います」
こうして、一先ずはドマの刀問題は解決した。
また、「三十分程で帰ってきます」と伝えて各倉庫にアイテムを補充に行ったのだけれど、帰ってくるとロウさんが滅茶苦茶凹んでた。
何があったのかしら?
246
あなたにおすすめの小説
妹が聖女に選ばれました。姉が闇魔法使いだと周囲に知られない方が良いと思って家を出たのに、何故か王子様が追いかけて来ます。
向原 行人
ファンタジー
私、アルマには二つ下の可愛い妹がいます。
幼い頃から要領の良い妹は聖女に選ばれ、王子様と婚約したので……私は遠く離れた地で、大好きな魔法の研究に専念したいと思います。
最近は異空間へ自由に物を出し入れしたり、部分的に時間を戻したり出来るようになったんです!
勿論、この魔法の効果は街の皆さんにも活用を……いえ、無限に収納出来るので、安い時に小麦を買っていただけで、先見の明とかはありませんし、怪我をされた箇所の時間を戻しただけなので、治癒魔法とは違います。
だから私は聖女ではなくて、妹が……って、どうして王子様がこの地に来ているんですかっ!?
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。
精霊の加護を持つ聖女。偽聖女によって追放されたので、趣味のアクセサリー作りにハマっていたら、いつの間にか世界を救って愛されまくっていた
向原 行人
恋愛
精霊の加護を受け、普通の人には見る事も感じる事も出来ない精霊と、会話が出来る少女リディア。
聖女として各地の精霊石に精霊の力を込め、国を災いから守っているのに、突然第四王女によって追放されてしまう。
暫くは精霊の力も残っているけれど、時間が経って精霊石から力が無くなれば魔物が出て来るし、魔導具も動かなくなるけど……本当に大丈夫!?
一先ず、この国に居るとマズそうだから、元聖女っていうのは隠して、別の国で趣味を活かして生活していこうかな。
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。
婚約破棄され森に捨てられました。探さないで下さい。
拓海のり
ファンタジー
属性魔法が使えず、役に立たない『自然魔法』だとバカにされていたステラは、婚約者の王太子から婚約破棄された。そして身に覚えのない罪で断罪され、修道院に行く途中で襲われる。他サイトにも投稿しています。
普段は地味子。でも本当は凄腕の聖女さん〜地味だから、という理由で聖女ギルドを追い出されてしまいました。私がいなくても大丈夫でしょうか?〜
神伊 咲児
ファンタジー
主人公、イルエマ・ジミィーナは16歳。
聖女ギルド【女神の光輝】に属している聖女だった。
イルエマは眼鏡をかけており、黒髪の冴えない見た目。
いわゆる地味子だ。
彼女の能力も地味だった。
使える魔法といえば、聖女なら誰でも使えるものばかり。回復と素材進化と解呪魔法の3つだけ。
唯一のユニークスキルは、ペンが無くても文字を書ける光魔字。
そんな能力も地味な彼女は、ギルド内では裏方作業の雑務をしていた。
ある日、ギルドマスターのキアーラより、地味だからという理由で解雇される。
しかし、彼女は目立たない実力者だった。
素材進化の魔法は独自で改良してパワーアップしており、通常の3倍の威力。
司祭でも見落とすような小さな呪いも見つけてしまう鋭い感覚。
難しい相談でも難なくこなす知識と教養。
全てにおいてハイクオリティ。最強の聖女だったのだ。
彼女は新しいギルドに参加して順風満帆。
彼女をクビにした聖女ギルドは落ちぶれていく。
地味な聖女が大活躍! 痛快ファンタジーストーリー。
全部で5万字。
カクヨムにも投稿しておりますが、アルファポリス用にタイトルも含めて改稿いたしました。
HOTランキング女性向け1位。
日間ファンタジーランキング1位。
日間完結ランキング1位。
応援してくれた、みなさんのおかげです。
ありがとうございます。とても嬉しいです!
【完結】義妹とやらが現れましたが認めません。〜断罪劇の次世代たち〜
福田 杜季
ファンタジー
侯爵令嬢のセシリアのもとに、ある日突然、義妹だという少女が現れた。
彼女はメリル。父親の友人であった彼女の父が不幸に見舞われ、親族に虐げられていたところを父が引き取ったらしい。
だがこの女、セシリアの父に欲しいものを買わせまくったり、人の婚約者に媚を打ったり、夜会で非常識な言動をくり返して顰蹙を買ったりと、どうしようもない。
「お義姉さま!」 . .
「姉などと呼ばないでください、メリルさん」
しかし、今はまだ辛抱のとき。
セシリアは来たるべき時へ向け、画策する。
──これは、20年前の断罪劇の続き。
喜劇がくり返されたとき、いま一度鉄槌は振り下ろされるのだ。
※ご指摘を受けて題名を変更しました。作者の見通しが甘くてご迷惑をおかけいたします。
旧題『義妹ができましたが大嫌いです。〜断罪劇の次世代たち〜』
※初投稿です。話に粗やご都合主義的な部分があるかもしれません。生あたたかい目で見守ってください。
※本編完結済みで、毎日1話ずつ投稿していきます。
悪役令嬢に転生したので、ゲームを無視して自由に生きる。私にしか使えない植物を操る魔法で、食べ物の心配は無いのでスローライフを満喫します。
向原 行人
ファンタジー
死にかけた拍子に前世の記憶が蘇り……どハマりしていた恋愛ゲーム『ときめきメイト』の世界に居ると気付く。
それだけならまだしも、私の名前がルーシーって、思いっきり悪役令嬢じゃない!
しかもルーシーは魔法学園卒業後に、誰とも結ばれる事なく、辺境に飛ばされて孤独な上に苦労する事が分かっている。
……あ、だったら、辺境に飛ばされた後、苦労せずに生きていけるスキルを学園に居る内に習得しておけば良いじゃない。
魔法学園で起こる恋愛イベントを全て無視して、生きていく為のスキルを習得して……と思ったら、いきなりゲームに無かった魔法が使えるようになってしまった。
木から木へと瞬間移動出来るようになったので、学園に通いながら、辺境に飛ばされた後のスローライフの練習をしていたんだけど……自由なスローライフが楽し過ぎるっ!
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。
婚約破棄されたので四大精霊と国を出ます
今川幸乃
ファンタジー
公爵令嬢である私シルア・アリュシオンはアドラント王国第一王子クリストフと政略婚約していたが、私だけが精霊と会話をすることが出来るのを、あろうことか悪魔と話しているという言いがかりをつけられて婚約破棄される。
しかもクリストフはアイリスという女にデレデレしている。
王宮を追い出された私だったが、地水火風を司る四大精霊も私についてきてくれたので、精霊の力を借りた私は強力な魔法を使えるようになった。
そして隣国マナライト王国の王子アルツリヒトの招待を受けた。
一方、精霊の加護を失った王国には次々と災厄が訪れるのだった。
※「小説家になろう」「カクヨム」から転載
※3/8~ 改稿中
【本編完結】ただの平凡令嬢なので、姉に婚約者を取られました。
138ネコ@書籍化&コミカライズしました
ファンタジー
「誰にも出来ないような事は求めないから、せめて人並みになってくれ」
お父様にそう言われ、平凡になるためにたゆまぬ努力をしたつもりです。
賢者様が使ったとされる神級魔法を会得し、復活した魔王をかつての勇者様のように倒し、領民に慕われた名領主のように領地を治めました。
誰にも出来ないような事は、私には出来ません。私に出来るのは、誰かがやれる事を平凡に努めてきただけ。
そんな平凡な私だから、非凡な姉に婚約者を奪われてしまうのは、仕方がない事なのです。
諦めきれない私は、せめて平凡なりに仕返しをしてみようと思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる