モンド家の、香麗なギフトは『ルゥ』でした。~家族一緒にこの異世界で美味しいスローライフを送ります~

みちのあかり

文字の大きさ
14 / 21
四章 家族一緒に

第14話 リューの試練

しおりを挟む
 ここどこ? お母様は? ルー兄さまは? ルナちゃんは?

 ゴホゴホ。苦しい。
 寒い。苦しい。

「苦しいかい? リュミエル」

 誰?

「お前の願いはなんだ?」

「楽になりたい」

「それでいいか?」

「それで……。違う。それじゃダメ」

「ちがうのかい。残念。では何を願う?」

「なんだっけ。えーと」

「ほ~ら。早く答えないと病気をひどくするよ」

「願い。あれ? ゴホゴホ。苦しい。苦しいよ」

「願いはなんだい? もっと苦しくしたら思い出せるかな」

 楽になりたい。苦しいよ。でも、それはもう言っちゃダメなの。だってリューは……

 リューはみんなの役に立ちたいんだから!

「リューはみんなの役に立つんです! お母様のお手伝いをする。ルー兄さまにご飯を作る。ルナちゃんをなでなでするんです」
「そうかい? それは健気な願いだね。でも、そんな体じゃなにもできないよね」

「願いをかなえて」

「いいよ。あそこに薬がある。知っているだろう、カレーのスープだ。あたしの特製さ。激辛のルゥを溶かした熱々のカレースープ。いい薬ってのは、苦いものさ。全部飲み干したらあんたの病気は治る。ただし、飲み残したらもっと体は悪くなる。あんたは役立たずのまま、迷惑かけて生きていくのさ」

 辛いのやだ。でも役に立てないのはもっといや。

 少しだけ。ゆっくり飲めば飲めると思う。

 ん! 辛い! 痛い!

 でも。少しずつ。痛い。少しずつ。無理!

「おや、もう終わりかい。あんたが家族を思う心はその程度なのかい?」

 ルー兄さまの顔が浮かんだ。

 ルー兄さま、いつも疲れながらリューにカレールゥを取ってきてくれるの。怪我をしても疲れても、笑顔で帰ってきてくれる。

 これは辛いだけのスープじゃない。ルー兄ちゃんがリューを思って作ってくれたスープだって思おう。そう思えば飲めるはずです。

 一口飲んだら、さっきまでの痛さは感じなくなった。でもまだ辛いです。

 ルナちゃんの顔が浮かんだ。

 リューが熱を出した時、いつもくっついてきてもふもふで温めてくれる。

 がんばらなきゃ。元気になるんだ。

 ごくごく。少しずつ減っているけど、まだこんなにあるの?

 お母様の顔が浮かんだ。

 いつも笑顔で優しいお母様。みんなのためにおいしいご飯を作ってくれるお母様。

 お手伝いするんだ。元気になってお手伝いする!

 お母様のことを思いながら辛いスープを飲んだ。あれ?

 甘いシロップと白いミルクがカップの中に混ざり、カレーのドリンクになったよ。

 これ、リューが大好きなドリンク。

 ゴクゴクゴクゴク。思いっきり飲む。いつ辛くなるか分からないから。早く飲まなきゃ。

 気が付くと、カップの中身はからっぽ。


 パチパチパチって拍手が聞こえる。ん、猫ちゃん?

「おめでとう。薬は全部飲めたみたいね。家族への思い、堪能させてもらったわ」

 よくわからないけど、終わったの?

「じゃあ、ご褒美あげる。あなたには魔法が使えるようにしてあげるわ。本来なら、あなたが使えるようになる魔法は、ちょっとだけ他人に痛みを与える魔法なんだけど、あなたのお母さんが喜ぶ魔法に変えてあげる。それでいい?」

「うん。それがいいです」

「じゃあ手を貸して。あなたの魔法を書き換えるわ。クール。つめたくする魔法よ」

「冷たくすると喜ぶんですか?」

「あなたのお母さんなら、使い道がわかるはずよ。じゃあ戻っていいわよ」

 終わったの? 早くみんなに会いたいな。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

【完結】子爵令嬢の秘密

りまり
恋愛
私は記憶があるまま転生しました。 転生先は子爵令嬢です。 魔力もそこそこありますので記憶をもとに頑張りたいです。

【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました

いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。 子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。 「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」 冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。 しかし、マリエールには秘密があった。 ――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。 未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。 「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。 物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立! 数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。 さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。 一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて―― 「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」 これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、 ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー! ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

なぜ、私に関係あるのかしら?

シエル
ファンタジー
「初めまして、アシュフォード公爵家一女、セシリア・アシュフォードと申します」 彼女は、つい先日までこの国の王太子殿下の婚約者だった。 そして今日、このトレヴァント辺境伯家へと嫁いできた。 「…レオンハルト・トレヴァントだ」 非道にも自らの実妹を長年にわたり虐げ、婚約者以外の男との不適切な関係を理由に、王太子妃に不適格とされ、貴族学院の卒業式で婚約破棄を宣告された。 そして、新たな婚約者として、その妹が王太子本人から指名されたのだった。 「私は君と夫婦になるつもりはないし、辺境伯夫人として扱うこともない」 この判断によって、どうなるかなども考えずに… ※ 中世ヨーロッパ風の世界観です。 ※ ご都合主義ですので、ご了承下さい、 ※ 画像はAIにて作成しております

幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~

二階堂吉乃
恋愛
 同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。  1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。  一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。

前世の記憶を取り戻した元クズ令嬢は毎日が楽しくてたまりません

Karamimi
恋愛
公爵令嬢のソフィーナは、非常に我が儘で傲慢で、どしうようもないクズ令嬢だった。そんなソフィーナだったが、事故の影響で前世の記憶をとり戻す。 前世では体が弱く、やりたい事も何もできずに短い生涯を終えた彼女は、過去の自分の行いを恥、真面目に生きるとともに前世でできなかったと事を目いっぱい楽しもうと、新たな人生を歩み始めた。 外を出て美味しい空気を吸う、綺麗な花々を見る、些細な事でも幸せを感じるソフィーナは、険悪だった兄との関係もあっという間に改善させた。 もちろん、本人にはそんな自覚はない。ただ、今までの行いを詫びただけだ。そう、なぜか彼女には、人を魅了させる力を持っていたのだ。 そんな中、この国の王太子でもあるファラオ殿下の15歳のお誕生日パーティに参加する事になったソフィーナは… どうしようもないクズだった令嬢が、前世の記憶を取り戻し、次々と周りを虜にしながら本当の幸せを掴むまでのお話しです。 カクヨムでも同時連載してます。 よろしくお願いします。

置き去りにされた転生シンママはご落胤を秘かに育てるも、モトサヤはご容赦のほどを 

青の雀
恋愛
シンママから玉の輿婚へ 学生時代から付き合っていた王太子のレオンハルト・バルセロナ殿下に、ある日突然、旅先で置き去りにされてしまう。 お忍び旅行で来ていたので、誰も二人の居場所を知らなく、両親のどちらかが亡くなった時にしか発動しないはずの「血の呪縛」魔法を使われた。 お腹には、殿下との子供を宿しているというのに、政略結婚をするため、バレンシア・セレナーデ公爵令嬢が邪魔になったという理由だけで、あっけなく捨てられてしまったのだ。 レオンハルトは当初、バレンシアを置き去りにする意図はなく、すぐに戻ってくるつもりでいた。 でも、王都に戻ったレオンハルトは、そのまま結婚式を挙げさせられることになる。 お相手は隣国の王女アレキサンドラ。 アレキサンドラとレオンハルトは、形式の上だけの夫婦となるが、レオンハルトには心の妻であるバレンシアがいるので、指1本アレキサンドラに触れることはない。 バレンシアガ置き去りにされて、2年が経った頃、白い結婚に不満をあらわにしたアレキサンドラは、ついに、バレンシアとその王子の存在に気付き、ご落胤である王子を手に入れようと画策するが、どれも失敗に終わってしまう。 バレンシアは、前世、京都の餅菓子屋の一人娘として、シンママをしながら子供を育てた経験があり、今世もパティシエとしての腕を生かし、パンに製菓を売り歩く行商になり、王子を育てていく。 せっかくなので、家庭でできる餅菓子レシピを載せることにしました

幻獣保護センター廃棄処理係の私、ボロ雑巾のような「ゴミ幻獣」をこっそり洗ってモフっていたら、実は世界を喰らう「終焉の獣」だった件について

いぬがみとうま🐾
ファンタジー
「魔力なしの穀潰し」――そう蔑まれ、幻獣保護センターの地下で廃棄幻獣の掃除に明け暮れる少女・ミヤコ。 実のところ、その施設は「価値のない命」を無慈悲に殺処分する地獄だった。 ある日、ミヤコの前に運ばれてきたのは、泥と油にまみれた「ボロ雑巾」のような正体不明の幻獣。 誰の目にもゴミとしか映らないその塊を、ミヤコは放っておけなかった。 「こんなに汚れたままなんて、かわいそう」 彼女が生活魔法を込めたブラシで丹念に汚れを落とした瞬間、世界を縛る最凶の封印が汚れと一緒に「流されてしまう。 現れたのは、月光を纏ったような美しい銀狼。 それは世界を喰らうと恐れられる伝説の災厄級幻獣『フェンリル・ヴォイド』だった……。

転生幼女は追放先で総愛され生活を満喫中。前世で私を虐げていた姉が異世界から召喚されたので、聖女見習いは不要のようです。

桜城恋詠
ファンタジー
 聖女見習いのロルティ(6)は、五月雨瑠衣としての前世の記憶を思い出す。  異世界から召喚された聖女が、自身を虐げてきた前世の姉だと気づいたからだ。  彼女は神官に聖女は2人もいらないと教会から追放。  迷いの森に捨てられるが――そこで重傷のアンゴラウサギと生き別れた実父に出会う。 「絶対、誰にも渡さない」 「君を深く愛している」 「あなたは私の、最愛の娘よ」  公爵家の娘になった幼子は腹違いの兄と血の繋がった父と母、2匹のもふもふにたくさんの愛を注がれて暮らす。  そんな中、養父や前世の姉から命を奪われそうになって……?  命乞いをしたって、もう遅い。  あなたたちは絶対に、許さないんだから! ☆ ☆ ☆ ★ベリーズカフェ(別タイトル)・小説家になろう(同タイトル)掲載した作品を加筆修正したものになります。 こちらはトゥルーエンドとなり、内容が異なります。 ※9/28 誤字修正

処理中です...