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23.アルト視点
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「アルト、いつから・・・」
僕は答えなかった。
それより、バードが慌てて隠そうとする手紙を強引に奪い取る。
昨日、殿下の部屋に行った時に隠したのはこの手紙だったのだろう。
二人は僕に見せまいとしていた。
だからこそ絶対にミリアの手紙だと確信していた。握りしめられくしゃくしゃになった手紙に目を通すと、それはミリアの侍女であるマヤからのものだった。
そこには日記のような短文で夏からあったミリアの行動と病気のことが簡単に書き綴られている。
最後の一文には「ミリア様の気持ちを汲み取ってほしい」と。
どういうことだー。
ミリアが僕を避けた理由がわからない。
なぜ、僕に病気のことを言ってくれなかったのかが理解できなかった。
「・・・ミリア様はアルト様に、嫌われたかった、のです」
それは小さな声だった。
顔を上げ、その声の主であるアリナ嬢を見る。
「アリナ?何か知っているの?」
アリナ嬢は下を向き、誰も見ようとはしない。ドレスを握りしめる手が震えていた。
「アリナ嬢?なぜわかるのです」
僕に嫌われるため?
そんなはずはない。
「アリナ、教えてちょうだい?」
メリアーナ嬢が真っ青になっているアリナ嬢の背中に手をやる。
「ミリア様がメリアーナと口論した日、わたしはミリア様の落としたハンカチを拾いました・・・。そこに・・・サシャ様をアルト様と一緒に探るように書かれていたんです。だから、わたしっ、ミリア様に理由を聞こうと追いかけたのです。そうしたら・・・ミリア様はわたしのそばに来て・・・「アルト様に嫌われたいの」とおっしゃられてっ・・・」
「アリナ・・・」
「今なら・・・ミリア様の気持ちわかります。もし、わたしが命の期限がわかっているなら・・・、大好きな人を縛りたくない、幸せになって欲しいって思います・・・。自分から嫌いになれないなら相手に嫌いになって欲しいって。ミリア様は自分の病気でアルト様に悲しい想いをさせたくなかったのですわ」
胸が痛い。
ミリアの僕を想う気持ちが痛い。
もしかしてずっと僕を避けていたのは病気を悟られまいとして?パーティーの時の化粧は顔色を隠すため?
考えれば考えるほど、ミリアの行動が僕のためだったのではと思えてきた。
あの婚約破棄を言った時の笑顔は・・・安堵?ずっと微笑んでいたのは僕の幸せを願ったから?
でも最後の礼はー。
小さい頃、僕に見せた出来損ないのカーテシーを思い出す。
もしかしてあの時・・・。
「アルト様。わたしはあなたをお慕いしています。すぐにミリア様を忘れることができなくてもかまいません。少しでもわたしを想ってくださるなら・・・」
アリナ嬢の必死な声に現実に引き戻される。
「死にゆく者より生きる者を見てくださりませか?」
「アリナ!」
メリアーナ嬢が嗜めた。
だが、アリナ嬢は涙を流しながら僕を見つめてくる。
「酷いことを言っているのはわかっていますっ。ですが、ミリア様はアルト様の幸せを願ったのです。わたしはあなたの生きる糧になりたい。あなたを幸せにしたいのです。だからどうか、わたしの手をとってくださいませ」
アリナ嬢の白い手が差し出された。
ミリアの笑顔が見える。
ミリアの好きなシロツメ草の四葉を思い起こす。
君は僕の「幸福」をずっと願っていたのかー。
僕は・・・。
僕は答えなかった。
それより、バードが慌てて隠そうとする手紙を強引に奪い取る。
昨日、殿下の部屋に行った時に隠したのはこの手紙だったのだろう。
二人は僕に見せまいとしていた。
だからこそ絶対にミリアの手紙だと確信していた。握りしめられくしゃくしゃになった手紙に目を通すと、それはミリアの侍女であるマヤからのものだった。
そこには日記のような短文で夏からあったミリアの行動と病気のことが簡単に書き綴られている。
最後の一文には「ミリア様の気持ちを汲み取ってほしい」と。
どういうことだー。
ミリアが僕を避けた理由がわからない。
なぜ、僕に病気のことを言ってくれなかったのかが理解できなかった。
「・・・ミリア様はアルト様に、嫌われたかった、のです」
それは小さな声だった。
顔を上げ、その声の主であるアリナ嬢を見る。
「アリナ?何か知っているの?」
アリナ嬢は下を向き、誰も見ようとはしない。ドレスを握りしめる手が震えていた。
「アリナ嬢?なぜわかるのです」
僕に嫌われるため?
そんなはずはない。
「アリナ、教えてちょうだい?」
メリアーナ嬢が真っ青になっているアリナ嬢の背中に手をやる。
「ミリア様がメリアーナと口論した日、わたしはミリア様の落としたハンカチを拾いました・・・。そこに・・・サシャ様をアルト様と一緒に探るように書かれていたんです。だから、わたしっ、ミリア様に理由を聞こうと追いかけたのです。そうしたら・・・ミリア様はわたしのそばに来て・・・「アルト様に嫌われたいの」とおっしゃられてっ・・・」
「アリナ・・・」
「今なら・・・ミリア様の気持ちわかります。もし、わたしが命の期限がわかっているなら・・・、大好きな人を縛りたくない、幸せになって欲しいって思います・・・。自分から嫌いになれないなら相手に嫌いになって欲しいって。ミリア様は自分の病気でアルト様に悲しい想いをさせたくなかったのですわ」
胸が痛い。
ミリアの僕を想う気持ちが痛い。
もしかしてずっと僕を避けていたのは病気を悟られまいとして?パーティーの時の化粧は顔色を隠すため?
考えれば考えるほど、ミリアの行動が僕のためだったのではと思えてきた。
あの婚約破棄を言った時の笑顔は・・・安堵?ずっと微笑んでいたのは僕の幸せを願ったから?
でも最後の礼はー。
小さい頃、僕に見せた出来損ないのカーテシーを思い出す。
もしかしてあの時・・・。
「アルト様。わたしはあなたをお慕いしています。すぐにミリア様を忘れることができなくてもかまいません。少しでもわたしを想ってくださるなら・・・」
アリナ嬢の必死な声に現実に引き戻される。
「死にゆく者より生きる者を見てくださりませか?」
「アリナ!」
メリアーナ嬢が嗜めた。
だが、アリナ嬢は涙を流しながら僕を見つめてくる。
「酷いことを言っているのはわかっていますっ。ですが、ミリア様はアルト様の幸せを願ったのです。わたしはあなたの生きる糧になりたい。あなたを幸せにしたいのです。だからどうか、わたしの手をとってくださいませ」
アリナ嬢の白い手が差し出された。
ミリアの笑顔が見える。
ミリアの好きなシロツメ草の四葉を思い起こす。
君は僕の「幸福」をずっと願っていたのかー。
僕は・・・。
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