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番外編.サシャ視点3
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ミリア様の死を知ったからといって、わたしの生活は変わらない。でもわたしはこの地でいることを選び、毎日自分の仕事をこなした。
「崩落事故だ。怪我人がいる!急いで」
野菜の下ごしらいをしていると、鉱山の役人が慌ててやってきた。
「サシャ!」
他の修道女が医療具の入ったカバンを投げつけながらわたしの名前を叫んだ。
「先に行きます!」
カバンを受け止め、叫び返すと走り出した。
鉱山の入り口へ行くと埃がすごい。
そんななか血まみれの男たちが何人もうずくまっていた。
「助けてくれ!」
「サシャッ!!」
なんど目にしても慣れない。
歯を食いしばり治療にあたる。
泣くな!
少しでも助けないと・・・。
それでも、無理なことはあった。
早く楽にして欲しいと願う人がいる。死ぬことを怖がり叫ぶ人、うめき苦しみ泣きながら死んでゆく。
苦しい。
わたしは手を取る。握りしめる手が緩やかに力を失うのがわかる。
「大丈夫よ。ゆっくり休んで・・・」
そんな言葉しかでてこない自分が情けない。
「サシャ様。ありがとよ」
小さなお礼。
嬉しくないお礼。こんなお礼なんていらない。
それよりも生きて欲しい・・・
以前にも感じた不思議な感覚がわきあがる。
ー治して・・・
その感覚に従って強く願う。
すると、あたたかな光に包まれた。
「サシャ様?」
目の前にいた男があれ?といった感じでわたしを見ていた。
「これ・・・?」
「なぜだ?傷がない?」
驚いている男を無視して立ち上がった。
なぜ、また?
だが、理由より目の前のことを優先する。
「重傷者から見るわ!」
助けたいー。
その思いで、わたしは覚悟を決めた。
その数ヶ月後、久しぶりに司祭様の顔を見ることになった。
「サシャ。久しぶりだね」
昔に比べ、顔や手にシワが増えら背中が丸くなっていてどこか頼りなく見える。
「司祭様、お久しぶりです」
わたしたちは教会の談話室で話をすることになった。
「サシャ。聞いたのだがー」
「わたしは「元聖女」で、今はただの修道女です」
司祭様の言葉を遮り、自分の思いを先に伝える。
「・・・きっとこの地にいるからこそある力だと思っています。わたしはこの地にいる人が少しでも幸せであって欲しい。どんな犯罪を犯している人でも幸せになる権利はあると思います。それを許したくない人がいるのもわかります。でも・・・罪を償う時間は必要なのではないでしょうか?」
「サシャ・・・」
「償いの中にだって幸せがあっていいと思います。幸せがあるからこそ自分を見つめるきっかけになると思っているからです。確かに自分から逃げようとする人も一握りいるでしょう。でもわたしは信じたいのです。それに・・・冬に向かうこの地は病気にもなりやすい。わたしの力をここで役立てたいのです」
真っ直ぐに司祭様を見た。
「わたしはミリア様に恥じない生き方をしたい。あの方は愚かなわたしに詰りもしませんでした。ミリア様に誇れるように、わたしは、この地で一生を終える気でいます」
「サシャ・・・。よいのですか?」
「はいっ。みんなわたしを待ってくれています。わたしにとってこの生活が幸せなんです」
「そうか、これ以上はいいません」
司祭様は優しく笑ってくれた。
その日、司祭様とたくさん語った。
次の日、帰る前に司祭様は一枚の紙をわたしに差し出してくれた。
「一度、ご両親に手紙を出してあげなさい」
「えっ・・・」
「心配されてましたよ」
「でも・・・」
きっと、恨んでいる・・・。
「どんなものであれ、自分の子供を心配しないで親はいませんよ」
涙が伝う。
もう、一生関わることがないと諦めていた。
「サシャ。元気で」
「はい。司祭様もお身体に気をつけください」
司祭様の乗る馬車を見送ると、わたしは踵を返した。
今日も忙しい。今日もご飯炊きが待っている。メニューを思い出しながら手紙をポケットの中に突っ込み、ふんっと気合いをいれて、食堂へと向かった。
これが、後に「北の聖女」と言われるようになった・・・わたしの人生の始まりである。
ーおわりー
「崩落事故だ。怪我人がいる!急いで」
野菜の下ごしらいをしていると、鉱山の役人が慌ててやってきた。
「サシャ!」
他の修道女が医療具の入ったカバンを投げつけながらわたしの名前を叫んだ。
「先に行きます!」
カバンを受け止め、叫び返すと走り出した。
鉱山の入り口へ行くと埃がすごい。
そんななか血まみれの男たちが何人もうずくまっていた。
「助けてくれ!」
「サシャッ!!」
なんど目にしても慣れない。
歯を食いしばり治療にあたる。
泣くな!
少しでも助けないと・・・。
それでも、無理なことはあった。
早く楽にして欲しいと願う人がいる。死ぬことを怖がり叫ぶ人、うめき苦しみ泣きながら死んでゆく。
苦しい。
わたしは手を取る。握りしめる手が緩やかに力を失うのがわかる。
「大丈夫よ。ゆっくり休んで・・・」
そんな言葉しかでてこない自分が情けない。
「サシャ様。ありがとよ」
小さなお礼。
嬉しくないお礼。こんなお礼なんていらない。
それよりも生きて欲しい・・・
以前にも感じた不思議な感覚がわきあがる。
ー治して・・・
その感覚に従って強く願う。
すると、あたたかな光に包まれた。
「サシャ様?」
目の前にいた男があれ?といった感じでわたしを見ていた。
「これ・・・?」
「なぜだ?傷がない?」
驚いている男を無視して立ち上がった。
なぜ、また?
だが、理由より目の前のことを優先する。
「重傷者から見るわ!」
助けたいー。
その思いで、わたしは覚悟を決めた。
その数ヶ月後、久しぶりに司祭様の顔を見ることになった。
「サシャ。久しぶりだね」
昔に比べ、顔や手にシワが増えら背中が丸くなっていてどこか頼りなく見える。
「司祭様、お久しぶりです」
わたしたちは教会の談話室で話をすることになった。
「サシャ。聞いたのだがー」
「わたしは「元聖女」で、今はただの修道女です」
司祭様の言葉を遮り、自分の思いを先に伝える。
「・・・きっとこの地にいるからこそある力だと思っています。わたしはこの地にいる人が少しでも幸せであって欲しい。どんな犯罪を犯している人でも幸せになる権利はあると思います。それを許したくない人がいるのもわかります。でも・・・罪を償う時間は必要なのではないでしょうか?」
「サシャ・・・」
「償いの中にだって幸せがあっていいと思います。幸せがあるからこそ自分を見つめるきっかけになると思っているからです。確かに自分から逃げようとする人も一握りいるでしょう。でもわたしは信じたいのです。それに・・・冬に向かうこの地は病気にもなりやすい。わたしの力をここで役立てたいのです」
真っ直ぐに司祭様を見た。
「わたしはミリア様に恥じない生き方をしたい。あの方は愚かなわたしに詰りもしませんでした。ミリア様に誇れるように、わたしは、この地で一生を終える気でいます」
「サシャ・・・。よいのですか?」
「はいっ。みんなわたしを待ってくれています。わたしにとってこの生活が幸せなんです」
「そうか、これ以上はいいません」
司祭様は優しく笑ってくれた。
その日、司祭様とたくさん語った。
次の日、帰る前に司祭様は一枚の紙をわたしに差し出してくれた。
「一度、ご両親に手紙を出してあげなさい」
「えっ・・・」
「心配されてましたよ」
「でも・・・」
きっと、恨んでいる・・・。
「どんなものであれ、自分の子供を心配しないで親はいませんよ」
涙が伝う。
もう、一生関わることがないと諦めていた。
「サシャ。元気で」
「はい。司祭様もお身体に気をつけください」
司祭様の乗る馬車を見送ると、わたしは踵を返した。
今日も忙しい。今日もご飯炊きが待っている。メニューを思い出しながら手紙をポケットの中に突っ込み、ふんっと気合いをいれて、食堂へと向かった。
これが、後に「北の聖女」と言われるようになった・・・わたしの人生の始まりである。
ーおわりー
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