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番外編.サシャ視点2
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「無理です」
「なんで!!聖女じゃないなら帰ってもいいじゃない。こんな所でいたくない。父ちゃんたちに会いたいの!」
納得がいかない。
「聖女」じゃなくなったんだもの。「普通」になってもいいでしょう。
もう、贅沢したいなんて言わない。貧しくてもいい。みんなといたい。
鼻息荒くして突っかかると、青年は呆れたように息を吐いた。
「一度は聖女だったのですよ。村を出る時どうでしたか?」
「そりゃぁ、みんなが祝ってくれ・・・」
最後まで言えなかった。
泣きながら見送ってくれた家族を思い出す。
「意味はわかりましたね。あなたが「聖女」であった事実はかわらないのですよ」
わたしは下を向き、汚れた床を見た。涙が落ちる。ぼたぼたと丸いシミをつけた。
ーもう村に帰れない。
小さな村だ。暮らす人数だってしれている。だからこそ結束は固い。
なにか一つでも悪いことがあれば排除する。罪人がでればその人だけでなく家族もが迫害されるような村なのだ。
わたしは「聖女」として村を出た。それが「聖女じゃなくなったから帰ってきたの。ごめんね⭐︎」と帰ればそれこそ嘘つきだと罵られる。村の恥だと石を投げられ村を追われるだろう。
父ちゃんたちは?わたしのせいで酷いことに・・・、大丈夫なのだろうか・・・。
「父ちゃんと母ちゃんは?妹、弟は?そうだ!お金送ってたからそれで!?」
「今更気づくとは・・・」
額に手をやり青年は重いため息をつく。
「すでにミリア様が手配して、別の地に移ってます。ずっと住んでいた土地を離れるのですから、だいぶ渋っていましたが、仕方なく移っていきました」
「よかった・・・」
「よくない。あなたが送っていた金銭なんて、善良なあなたの両親は村のみんなに与えて蓄えもなかったですよ。しかも途中からはその金銭も送ってなかったでしょう!司祭様がご両親を説き伏せて、ミリア様が金銭援助や住む地まで用意したのです!第一、昔からの土地を離れるなんて田舎の者はしませんよ!意味わかってますか?」
「あっ・・・」
言葉に詰まった。
そうだ。あの土地はじいちゃんのそのまたのじいちゃんが開墾した土地で父ちゃんはずっと自分の家を畑を大事にしていたのにー。
わたしは・・・父ちゃんたちになんてことをしたんだろう。
足の力が抜け、その場に座り込んでしまう。
「馬鹿ですね。「聖女」について何回もミリア様に言われたのではないのですか?」
「だって・・・」
「だってじゃない。あなたは自分の欲のせいで他人を不幸にしたんです」
不幸に・・・。わたしの行いで ・・・。
「ミリア様のご病気が治っていれば、・・・記憶をなくすこともなく幸せだったでしょう。あなたのご両親だって同じです」
「わたしのせい・・・?」
「そう。だからこそ償わなければならない」
ううっ・・・。
わたしが欲を見せずに「聖女」であれば違っていたのだろうか・・・。
わたしは青年がその場からいなくなっても泣き続けた。
その日を境に、わたしは少しずつ変わっていく。
自分の仕事に手を抜かなくなった。
でも逃げたくなることは何度もあった。
一番は他人の死を見ることだ。
罪人といってもわたしたちと変わらない。辺境すぎて薬もなかなか手に入らない。病気になれば高い確率で死ぬ。
そして崩落事故などでー。
「聖女」の力がないことがどれだけもどかしかったかー。
昔、妹の病気を治して欲しい願っていた気持ちを思い出すことがある。
純真に神様に祈っていた。今は神様やに願うことを躊躇う自分がいる。願っていいのだろうかと・・・。
この地に来て七年たったころ、ミリア様のことを教えてくれた青年が再びきた。あの頃より逞しくなっている。
「ミリア様・・・亡くなられました」
食事の下準備をしていたわたしを見るなり彼は静かな声で告げた。
皮を剥くていた芋が手から転がってゆく。
「病気治ったんじゃないの?」
声が震える。
「再発されたのです」
ミリア様が死んだー。
優しく微笑んでいた顔が浮かんでくる。あの顔はもう見れない?
わたしはゆっくりと芋を拾い上げる。
「ミリア様は・・・どんな最期を?」
彼はミリア様のこの七年のことを教えてくれた。
それを聞きながら料理を続ける。
泣きたい気持ちを抑え自分の仕事をこなした。
「あなたの部屋にお嬢様の大好きな花の栞を置いとおきます。大切な人にはよくお渡しになっていましたので・・・」
彼はそう言って去っていく。
夜、自分の部屋に行くと机の上に四葉のクローバーの栞が置かれていた。
その瞬間にブワッと感情が押し寄せてくる。
溢れだした涙は止まることがなく流れ落ちた。声を抑えることができず、子供のように泣く。
わたしー、ミリア様のことを知らない。クローバーが好きだったの?
何も聞いていなかったんだ。
後悔だけが押し寄せる。
本当は二年前、この地から出ることを許されている。でも、自分はまだ未熟でもっとミリア様に顔向けできるようにもう少し頑張ろうと思っていた。
恥ずかしくない自分になったらミリア様に会いに行こうと・・・。
なのに、こんなに早くいなくなるなんてー。まだ遠い話だと思っていた。
翌日、わたしはまだこの地にいた彼に聞いた。
「ねぇ、あんたはミリア様なに?あんたはミリア様の好きなこと知ってるの?」
「俺は・・・ロン。お嬢様・・・ミリア様が寄付していた孤児院出身で今はアルト様の従者をしてる。ずっとミリア様のそばでいた・・・」
「そっか、あの孤児院の・・・」
わたしは、ミリア様はことをたくさん質問した。
知りたかったからー。
人の死にたいして、わたしはちっぽけな存在だ。
今では一度でも「聖女」、その名前をあたえられたことが恥ずかしかった。
「なんで!!聖女じゃないなら帰ってもいいじゃない。こんな所でいたくない。父ちゃんたちに会いたいの!」
納得がいかない。
「聖女」じゃなくなったんだもの。「普通」になってもいいでしょう。
もう、贅沢したいなんて言わない。貧しくてもいい。みんなといたい。
鼻息荒くして突っかかると、青年は呆れたように息を吐いた。
「一度は聖女だったのですよ。村を出る時どうでしたか?」
「そりゃぁ、みんなが祝ってくれ・・・」
最後まで言えなかった。
泣きながら見送ってくれた家族を思い出す。
「意味はわかりましたね。あなたが「聖女」であった事実はかわらないのですよ」
わたしは下を向き、汚れた床を見た。涙が落ちる。ぼたぼたと丸いシミをつけた。
ーもう村に帰れない。
小さな村だ。暮らす人数だってしれている。だからこそ結束は固い。
なにか一つでも悪いことがあれば排除する。罪人がでればその人だけでなく家族もが迫害されるような村なのだ。
わたしは「聖女」として村を出た。それが「聖女じゃなくなったから帰ってきたの。ごめんね⭐︎」と帰ればそれこそ嘘つきだと罵られる。村の恥だと石を投げられ村を追われるだろう。
父ちゃんたちは?わたしのせいで酷いことに・・・、大丈夫なのだろうか・・・。
「父ちゃんと母ちゃんは?妹、弟は?そうだ!お金送ってたからそれで!?」
「今更気づくとは・・・」
額に手をやり青年は重いため息をつく。
「すでにミリア様が手配して、別の地に移ってます。ずっと住んでいた土地を離れるのですから、だいぶ渋っていましたが、仕方なく移っていきました」
「よかった・・・」
「よくない。あなたが送っていた金銭なんて、善良なあなたの両親は村のみんなに与えて蓄えもなかったですよ。しかも途中からはその金銭も送ってなかったでしょう!司祭様がご両親を説き伏せて、ミリア様が金銭援助や住む地まで用意したのです!第一、昔からの土地を離れるなんて田舎の者はしませんよ!意味わかってますか?」
「あっ・・・」
言葉に詰まった。
そうだ。あの土地はじいちゃんのそのまたのじいちゃんが開墾した土地で父ちゃんはずっと自分の家を畑を大事にしていたのにー。
わたしは・・・父ちゃんたちになんてことをしたんだろう。
足の力が抜け、その場に座り込んでしまう。
「馬鹿ですね。「聖女」について何回もミリア様に言われたのではないのですか?」
「だって・・・」
「だってじゃない。あなたは自分の欲のせいで他人を不幸にしたんです」
不幸に・・・。わたしの行いで ・・・。
「ミリア様のご病気が治っていれば、・・・記憶をなくすこともなく幸せだったでしょう。あなたのご両親だって同じです」
「わたしのせい・・・?」
「そう。だからこそ償わなければならない」
ううっ・・・。
わたしが欲を見せずに「聖女」であれば違っていたのだろうか・・・。
わたしは青年がその場からいなくなっても泣き続けた。
その日を境に、わたしは少しずつ変わっていく。
自分の仕事に手を抜かなくなった。
でも逃げたくなることは何度もあった。
一番は他人の死を見ることだ。
罪人といってもわたしたちと変わらない。辺境すぎて薬もなかなか手に入らない。病気になれば高い確率で死ぬ。
そして崩落事故などでー。
「聖女」の力がないことがどれだけもどかしかったかー。
昔、妹の病気を治して欲しい願っていた気持ちを思い出すことがある。
純真に神様に祈っていた。今は神様やに願うことを躊躇う自分がいる。願っていいのだろうかと・・・。
この地に来て七年たったころ、ミリア様のことを教えてくれた青年が再びきた。あの頃より逞しくなっている。
「ミリア様・・・亡くなられました」
食事の下準備をしていたわたしを見るなり彼は静かな声で告げた。
皮を剥くていた芋が手から転がってゆく。
「病気治ったんじゃないの?」
声が震える。
「再発されたのです」
ミリア様が死んだー。
優しく微笑んでいた顔が浮かんでくる。あの顔はもう見れない?
わたしはゆっくりと芋を拾い上げる。
「ミリア様は・・・どんな最期を?」
彼はミリア様のこの七年のことを教えてくれた。
それを聞きながら料理を続ける。
泣きたい気持ちを抑え自分の仕事をこなした。
「あなたの部屋にお嬢様の大好きな花の栞を置いとおきます。大切な人にはよくお渡しになっていましたので・・・」
彼はそう言って去っていく。
夜、自分の部屋に行くと机の上に四葉のクローバーの栞が置かれていた。
その瞬間にブワッと感情が押し寄せてくる。
溢れだした涙は止まることがなく流れ落ちた。声を抑えることができず、子供のように泣く。
わたしー、ミリア様のことを知らない。クローバーが好きだったの?
何も聞いていなかったんだ。
後悔だけが押し寄せる。
本当は二年前、この地から出ることを許されている。でも、自分はまだ未熟でもっとミリア様に顔向けできるようにもう少し頑張ろうと思っていた。
恥ずかしくない自分になったらミリア様に会いに行こうと・・・。
なのに、こんなに早くいなくなるなんてー。まだ遠い話だと思っていた。
翌日、わたしはまだこの地にいた彼に聞いた。
「ねぇ、あんたはミリア様なに?あんたはミリア様の好きなこと知ってるの?」
「俺は・・・ロン。お嬢様・・・ミリア様が寄付していた孤児院出身で今はアルト様の従者をしてる。ずっとミリア様のそばでいた・・・」
「そっか、あの孤児院の・・・」
わたしは、ミリア様はことをたくさん質問した。
知りたかったからー。
人の死にたいして、わたしはちっぽけな存在だ。
今では一度でも「聖女」、その名前をあたえられたことが恥ずかしかった。
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