【完結】シロツメ草の花冠

彩華(あやはな)

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番外編.サシャ視点1

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 北の地はまだ春が遠く、わたしは白い雪が降る空を見上げた。
 吐く息が白く、水仕事で荒れた指先は血が滲んでいのに、それ以上に心が痛い。

 王都から来た見張り役の男が今日、ミリア様が亡くなったことを教えてくれた。

 なぜ、わたしはまだ生きているのだろうー。




 昔の優雅な生活を思い出す。
 輝かしい日々から転落した愚かな自分をー。

 「聖女」だからと慢心していた。わたしはすごいのだ。「聖女」だから何もかも許されると思っていた。
 それがパーティーの日、なにもかもなかったことにされた。理由はわたしが驕っていたから。
 神への祈りより欲にとりつかれたのが原因だった。それを理解したのは王宮の地下牢の中でだ。抵抗したことでできた傷を治そうとして、治療ができなかったからだ。

 そこで、初めて「聖女」の力が失われていることに気づいた。
 
 そのことに呆然としているうちに北の辺境地に送られた。修道女という身分でありながらわたしに課せられたのは、銅山を掘る罪人たちのご飯を炊く仕事と、死んだ者を送るために祈る仕事の手伝いだった。
 
 当初、自分を「聖女」だと言っても誰も信じてくれない。虚言女と扱われ無視された。

 断罪してきた王太子殿下よりわたしを裏切っていたミリア様に怒りを感じていた。
 もっとちゃんと言ってくれていたならーと。

「ねぇ、ミリア様はどうなったの?」

 わたしは来ていた見張り役でいる男に聞いた。
 初めは何も言ってくれなかったが、何人かめの、交代できた若い男に聞くと、教えてくれた。

「ミリア様は病気の治療でベラニージ国にいらっしゃいます」
「病気?」

 意外な言葉に首をかしげる。

「病気を治しにあなたの所に行って、あなたの力についてきづいたらしいですよ」

 草むしりの振りをしていた手を止めた。

 かわりに思い起こす。ミリア様との出会いを。
 確かー、そう、「頭痛」がすると言っていた。あの時、治療するにあたり違和感があった。あれは・・・治っていなかった??

「どうかしましたか?」
「なんでもない!!」
「サシャ!?」

 指導係のおばさんが諌めてきたが、それも無視して自分の部屋に駆け込んだ。
 質素なベッドの上で薄い毛布にくるまって何度も考えた。
 わたしがしたことをー。

 「聖女」として助けてきたはずなのに助けれていなかった?
 ミリア様はずっと調子が悪かったのを隠していた?思い出すと時折り眉を顰めていた気がする。わたしの行動に頭を痛めていたんじゃなくて本当に頭が痛かった??

 ずっと苦しんでたのに・・・、なんで責めなかってたの?
 わかんない・・・。

 父ちゃん・・・母ちゃん。会いたい。どうしてんだろ?

 今まで生活にいっぱいいっぱいで、ミリア様に対しての怒りなどでそれどころじゃなかったのに、急に寂しくなった。
 誰かに話を聞いて欲しくて泣きそうになる。

 なんで、わたしここにいるんだろう。「聖女」でないなら、みんなと暮らしたい。昔のように・・・。

 次の日、わたしは見張り役の青年に聞いた。






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