大和の風を感じて3~泡沫の恋衣~【大和3部作シリーズ第3弾】

藍原 由麗

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「確かにそうかもしれません。大王も皇后をとても信頼されていると聞いてますから」

  雄朝津間大王おあさづまのおおきみと皇后の忍坂姫おしさかのひめはとても仲睦まじいと聞く。それが今の大王にとって、どれだけ心の支えになっている事だろう。

(木梨軽皇子きなしのかるのおうじ軽大娘皇女かるのおおいらつめの問題も何とか上手く解決すると良いけれど)

「母上は本当にしっかりしている。たまに父上が頭に上がらない事もあったりするからな。たまに言い争いをする事もあるが、割りと仲の良い夫婦に俺は思える」

  そんな大王夫婦も、まさか自分達の子供がこんな問題事を起こすとは全く思ってもみなかっただろうと、韓媛からひめは思った。
  しかも色恋沙汰となると、かなり面倒な問題だ。

「とりあえずつぶらとの話しも終わり、お前にもここで偶然会えた。なのでお前の宮に預けている馬を取りに行ってから、そのまま自分の宮に帰る事にする」

  大泊瀬皇子はそう韓媛に言った。彼も円との話しが終われば、そこまで長居する気はないのだろう。

「まぁ、もうお帰りですか?  私もそろそろ戻らないと、使用人の人達が心配するかもしれません。なので私も途中までご一緒します」

  そう韓媛が言ってから、2人は韓媛の宮へと向かう事にした。

  季節もこれから秋になる頃で、韓媛はこの季節が好きだった。
  春や夏のような緑一面の景色も綺麗だが、秋の紅葉は、ひどく心を落ち着かせてくれる感じがする。

  そしてその後冬になると、この辺りは雪が降り、辺り一面が真っ白な世界になる。その光景がとても神秘的に見えて、まるで別世界のようだ。


  2人が宮に向かって歩いていると、大泊瀬皇子がふと彼女に話しかけてきた。

「そう言えば、お前の母親は2年程前に亡くなったと聞いた」

  彼女の母親も同じ葛城の娘で、紫津媛しずひめと呼ばれていた。

「はい、元々体の弱い人でしたから。父も母が亡くなった時は本当に悲しんでました」

  円は自身の妻をとても大事にしていた。そのためか、彼女が亡くなった以降も新しい妻を迎える気配は全くない。

「俺も昔ここに来ていた頃は、度々会ってはいたが、とても優しそうな人だと思った」

  大泊瀬皇子はその事については、それ以上は特に聞いて来る事はなかった。

  韓媛も母親の死は当時は酷く悲しかったが、今はだいぶ立ち直っている。


  その後2人は宮に付くと、韓媛は自分の部屋へと向かい、大泊瀬皇子はそのまま自分の宮へと帰って行った。
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