43 / 78
43
しおりを挟む
その頃韓媛は先程の場所にずっと隠れたままでいた。そして何とか兵に自身の住居に攻め込まれることがないよう、必死で祈っていた。
(もう!この剣もどうして全く反応がないのよ!!)
父の円から渡されたこの短剣は、相変わらず何の反応もない。
「ここからだと、遠くて家は余り良く見えない。でもとりあえず兵はまだ動いてなさそうね」
韓媛がそんなことを思っている丁度その時だった。
韓媛の住居から何やら黒い煙が立ち上がっているのが見える。さらに家も燃え始めているようで、その火もだんだんと大きくなっているようだ。
「え、家が燃えてるわ!!もしかしてお父様はまだ家の中にいるのでは?」
韓媛は何やら凄く嫌な予感がしてきた。
もしかすると、彼女の父親はこのまま焼き殺されてしまうかもしれない。
(お父様が死んでしまうなんて、そんなの絶対に嫌よ!!)
韓媛はすぐさま立ち上がり、家に戻ることにした。家の前には沢山の兵がいるがもうそんなことはどうでも良かった。それよりも自身の父親が死んでしまう方がよほど恐ろしい。
そして韓媛は必死で走って家へと向かった。
そしてやっとの思いで家の前までたどり着くと、彼女は家の前で大泊瀬皇子が立っていることに気付く。また彼も韓媛の姿を見てとても驚いた。
「か、韓媛!お前が何故ここにいるんだ」
韓媛はそんな大泊瀬皇子の言葉には全く気にもせず、自身の家を眺めた。
「お、お父様は無事なの?」
「葛城円は眉輪を引き渡すのを拒み、自身の家に火を付けたようだ。どうやら眉輪と一緒に自害するつもりらしい」
大泊瀬皇子は何とも複雑な表情をしながら彼女に説明した。
そんな彼の表情を見る限り、恐らく彼自身もこんな展開は望んではいなかったのだろう。
「そ、そんなことって……お、お父様が」
このままでは父親は死んでしまい、このまま会えなくなってしまう。韓媛はそんな後悔はしたくないと思った。
すると彼女は覚悟を決めて、すぐさま家の中に向かうことにした。
そんな彼女の様子に気が付いた大泊瀬皇子は、慌てて彼女をとめにかかる。
だがあと一歩のところで間に合わず、彼女の腕を掴みそびれてしまう。
そして韓媛の方はそのまま家の中へと入っていった。
「韓媛、中に入るなー!!」
大泊瀬皇子は大声で彼女に向かってそう叫んだ。だがその声は彼女に届くことはなかった。
大泊瀬皇子は衝撃の余り、その場に座り込んでしまう。
「う、うそだろ。あいつがこの燃え盛る炎の中、家の中に入っていってしまった……」
そして皇子はそんな彼女が向かっていった先を、ただひたすら眺めるほかなかった。
葛城円の家はなおも激しく燃え盛っている。他の兵達もそんな状況にどうしたら良いか分からず、皆唖然とその光景を見ていた。
(もう!この剣もどうして全く反応がないのよ!!)
父の円から渡されたこの短剣は、相変わらず何の反応もない。
「ここからだと、遠くて家は余り良く見えない。でもとりあえず兵はまだ動いてなさそうね」
韓媛がそんなことを思っている丁度その時だった。
韓媛の住居から何やら黒い煙が立ち上がっているのが見える。さらに家も燃え始めているようで、その火もだんだんと大きくなっているようだ。
「え、家が燃えてるわ!!もしかしてお父様はまだ家の中にいるのでは?」
韓媛は何やら凄く嫌な予感がしてきた。
もしかすると、彼女の父親はこのまま焼き殺されてしまうかもしれない。
(お父様が死んでしまうなんて、そんなの絶対に嫌よ!!)
韓媛はすぐさま立ち上がり、家に戻ることにした。家の前には沢山の兵がいるがもうそんなことはどうでも良かった。それよりも自身の父親が死んでしまう方がよほど恐ろしい。
そして韓媛は必死で走って家へと向かった。
そしてやっとの思いで家の前までたどり着くと、彼女は家の前で大泊瀬皇子が立っていることに気付く。また彼も韓媛の姿を見てとても驚いた。
「か、韓媛!お前が何故ここにいるんだ」
韓媛はそんな大泊瀬皇子の言葉には全く気にもせず、自身の家を眺めた。
「お、お父様は無事なの?」
「葛城円は眉輪を引き渡すのを拒み、自身の家に火を付けたようだ。どうやら眉輪と一緒に自害するつもりらしい」
大泊瀬皇子は何とも複雑な表情をしながら彼女に説明した。
そんな彼の表情を見る限り、恐らく彼自身もこんな展開は望んではいなかったのだろう。
「そ、そんなことって……お、お父様が」
このままでは父親は死んでしまい、このまま会えなくなってしまう。韓媛はそんな後悔はしたくないと思った。
すると彼女は覚悟を決めて、すぐさま家の中に向かうことにした。
そんな彼女の様子に気が付いた大泊瀬皇子は、慌てて彼女をとめにかかる。
だがあと一歩のところで間に合わず、彼女の腕を掴みそびれてしまう。
そして韓媛の方はそのまま家の中へと入っていった。
「韓媛、中に入るなー!!」
大泊瀬皇子は大声で彼女に向かってそう叫んだ。だがその声は彼女に届くことはなかった。
大泊瀬皇子は衝撃の余り、その場に座り込んでしまう。
「う、うそだろ。あいつがこの燃え盛る炎の中、家の中に入っていってしまった……」
そして皇子はそんな彼女が向かっていった先を、ただひたすら眺めるほかなかった。
葛城円の家はなおも激しく燃え盛っている。他の兵達もそんな状況にどうしたら良いか分からず、皆唖然とその光景を見ていた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
本能寺からの決死の脱出 ~尾張の大うつけ 織田信長 天下を統一す~
bekichi
歴史・時代
戦国時代の日本を背景に、織田信長の若き日の物語を語る。荒れ狂う風が尾張の大地を駆け巡る中、夜空の星々はこれから繰り広げられる壮絶な戦いの予兆のように輝いている。この混沌とした時代において、信長はまだ無名であったが、彼の野望はやがて天下を揺るがすことになる。信長は、父・信秀の治世に疑問を持ちながらも、独自の力を蓄え、異なる理想を追求し、反逆者とみなされることもあれば期待の星と讃えられることもあった。彼の目標は、乱世を統一し平和な時代を創ることにあった。物語は信長の足跡を追い、若き日の友情、父との確執、大名との駆け引きを描く。信長の人生は、斎藤道三、明智光秀、羽柴秀吉、徳川家康、伊達政宗といった時代の英傑たちとの交流とともに、一つの大きな物語を形成する。この物語は、信長の未知なる野望の軌跡を描くものである。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
裏長屋の若殿、限られた自由を満喫する
克全
歴史・時代
貧乏人が肩を寄せ合って暮らす聖天長屋に徳田新之丞と名乗る人品卑しからぬ若侍がいた。月のうち数日しか長屋にいないのだが、いる時には自ら竈で米を炊き七輪で魚を焼く小まめな男だった。
与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし
かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし
長屋シリーズ一作目。
第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。
十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。
頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。
一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
織田信長 -尾州払暁-
藪から犬
歴史・時代
織田信長は、戦国の世における天下統一の先駆者として一般に強くイメージされますが、当然ながら、生まれついてそうであるわけはありません。
守護代・織田大和守家の家来(傍流)である弾正忠家の家督を継承してから、およそ14年間を尾張(現・愛知県西部)の平定に費やしています。そして、そのほとんどが一族間での骨肉の争いであり、一歩踏み外せば死に直結するような、四面楚歌の道のりでした。
織田信長という人間を考えるとき、この彼の青春時代というのは非常に色濃く映ります。
そこで、本作では、天文16年(1547年)~永禄3年(1560年)までの13年間の織田信長の足跡を小説としてじっくりとなぞってみようと思いたった次第です。
毎週の月曜日00:00に次話公開を目指しています。
スローペースの拙稿ではありますが、お付き合いいただければ嬉しいです。
(2022.04.04)
※信長公記を下地としていますが諸出来事の年次比定を含め随所に著者の創作および定説ではない解釈等がありますのでご承知置きください。
※アルファポリスの仕様上、「HOTランキング用ジャンル選択」欄を「男性向け」に設定していますが、区別する意図はとくにありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる