王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!

gacchi(がっち)

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3章 将軍っていらないよね

13.陛下に報告

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すぐに兄貴に報告してリリーの所に帰ろうと、王宮に転移する。
兄貴の周りに他の者の気配がなかったから、
てっきり執務室に一人でいるのだろうと思ったのに、
転移した先は王妃の宮の廊下だった。

「うわっ。」

「あ、ごめん。いるのがここだと思わなくて。執務室にいると思ってたよ。
 軍の件終わったから、急いで報告したかったんだ。」

驚いて後ろに下がろうとして転んだのだろう。
座り込んでいた兄貴に手を貸して立たせる。

「転移するときに前触れとか何かないのか?」

「今度考えておくよ。で、報告して良いか?」

「ここでか?」

見ると、王妃の間の目の前だった。
ここから執務室まで戻るのも大変だよな。人に見られるのは嫌だし。
座りたくても王妃の間には入りたくないし。ここでいいか。

「悪いけど、ここで報告させてよ。簡単にするから。
 将軍は捕まえて侯爵家に軟禁してある。家族も一緒にね。
 あとで証拠書類が届くから、裁判のほうはそっちで何とかして。
 で、新しい将軍は副将軍に任せてきた。
 さすがに一人じゃ無理だと思って補佐を一人付けたよ。
 任命は王都の治安が落ち着いてからにしてくれ。
 他の役職のものも変えなればいけないだろうが、その辺は後で。
 将軍と一緒になって私物化していた者の名前も一覧にしてあるから。
 それらを排除したら人が本格的に足りなくなりそうだから、
 軍人を募集する部署も将軍補佐に任せてきた。」

「ああ、わかった。済まなかったな。」

「いや、兄貴も意外とちゃんと王政の仕事をしていたようだし、
 全部を見るにも限界があるだろう。
 今回の件はロードンナ国の問題も絡んでたしな。
 気が付いても、難しかったと思うぞ。」

「ロードンナ国が?」

「ああ。軍部を止めていたのはロードンナ国の公爵が将軍をそそのかしていた。
 内乱か戦争か、どちらかを狙っていたようだ。
 軍部だけじゃなく、境の侯爵領地まで貴族の手のものが入り込んでた。
 騒ぎが広がる前に止められて良かったよ…。」

「そうか。助かったよ、ありがとう。」

これで俺の仕事も終わりかな…じゃあ、リリーの所に帰るか。
そう思った俺に聞こえてきたのは、王妃の声だった。

「レオルド様!助けてください!お願い、リリーアンヌ様を返して!」

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