王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!

gacchi(がっち)

文字の大きさ
88 / 167
4章 王妃と側妃

18.到着

しおりを挟む
「陛下、令嬢たちが到着したそうです。」

「そうか、怪しんでいないか?」

「女性しかいないことで怪しんではいるそうですが、
 女官長から令嬢がいる場合の応対はこれが普通だという説明で納得したそうです。
 本当に納得したかはわかりませんけど、
 明日の昼に謁見する予定だから部屋にいるようにというと黙ったそうです。」

「そうか。レンメール国から来た他の者たちには会いたがってるか?」

「今のところは何も。予定通り、夕食と飲み物に薬は仕込んであります。」

「うん。眠ったのを確認したらあの部屋に運ぶように。
 最初に令嬢を女官たちで運んでしまえば、
 残りの二人は衛兵たちに運ばせてもいいだろう。
 さすがに女官に令息たちを運ばせるのは重そうだ。」

「そうですね。では、最初に令嬢を運ぶということで手配します。
 三人とも別々の区画であの部屋ですね。」

「ああ、頼んだ。」





「ねぇ、クリスティア~なーんでこの国は女の人しかいないの~?」

「まぁまぁジュリア、そう言わないで。
 ジュリアがいるから女性たちが対応してくれてるって言ってただろう?
 この国では令嬢には女性しか対応できないそうじゃないか。
 面白い接待の仕方ではあるけどね。」

「まぁいいけど。女性ばっかりなのは明日の謁見までなんでしょ?
 さすがに国王陛下の周りまで女性ばかりなわけはないよね。
 素敵だっていう王弟殿下もいるのかな。」

「さぁ、それはどうだろう。
 妬けるからあまりそんなこと言わないでよ、ジュリア。」

「やだ~王弟殿下は見てみたいだけよ?王弟妃いるんでしょ?
 それよりも留学先が楽しみ!ね、ゲイルもそうでしょ?
 この国のほうが魔術が発展してるって楽しみにしてたじゃない。」

「うん。ロードンナ国ほど魔術師はいないんだけど、
 さっきジュリアが言ってた王弟と王弟妃がすごい魔術師らしいよ。
 レンメール国には無い魔術具もあるって聞いたから、
 学園に行ったらいろいろと見れるかもしれない。」

「ふぅん。魔術具は嫌い。よくわかんないし、何となくイヤ。
 でも魔術が強くなるなら授業は楽しみかも。」

「ジュリア、魔術使えたっけ?魔力はあるんだよね?」

「魔術はどうだろう。そんなことより、王女たちには会えないのかな~?
 ねぇ、クリスティアの兄弟も来ているんでしょ?会わないの?」

「ああ、この王宮のどこかにはいるんだろう。
 明日の謁見では会えるかもしれないな。
 俺に何も言わないで留学するなんて何考えてるんだか。」

「でも、そのおかげで私も留学に連れて来てもらえたし、
 我がまま聞いてくれてありがとう。」

「良いんだよ、ジュリア。」



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

「身分が違う」って言ったのはそっちでしょ?今さら泣いても遅いです

ほーみ
恋愛
 「お前のような平民と、未来を共にできるわけがない」  その言葉を最後に、彼は私を冷たく突き放した。  ──王都の学園で、私は彼と出会った。  彼の名はレオン・ハイゼル。王国の名門貴族家の嫡男であり、次期宰相候補とまで呼ばれる才子。  貧しい出自ながら奨学生として入学した私・リリアは、最初こそ彼に軽んじられていた。けれど成績で彼を追い抜き、共に課題をこなすうちに、いつしか惹かれ合うようになったのだ。

貴方が側妃を望んだのです

cyaru
恋愛
「君はそれでいいのか」王太子ハロルドは言った。 「えぇ。勿論ですわ」婚約者の公爵令嬢フランセアは答えた。 誠の愛に気がついたと言われたフランセアは微笑んで答えた。 ※2022年6月12日。一部書き足しました。 ※架空のお話です。現実世界の話ではありません。  史実などに基づいたものではない事をご理解ください。 ※話の都合上、残酷な描写がありますがそれがざまぁなのかは受け取り方は人それぞれです。  表現的にどうかと思う回は冒頭に注意喚起を書き込むようにしますが有無は作者の判断です。 ※更新していくうえでタグは幾つか増えます。 ※作者都合のご都合主義です。 ※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。 ※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります) ※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。

【完結】夫は私に精霊の泉に身を投げろと言った

冬馬亮
恋愛
クロイセフ王国の王ジョーセフは、妻である正妃アリアドネに「精霊の泉に身を投げろ」と言った。 「そこまで頑なに無実を主張するのなら、精霊王の裁きに身を委ね、己の無実を証明してみせよ」と。 ※精霊の泉での罪の判定方法は、魔女狩りで行われていた水審『水に沈めて生きていたら魔女として処刑、死んだら普通の人間とみなす』という逸話をモチーフにしています。

婚約破棄ありがとう!と笑ったら、元婚約者が泣きながら復縁を迫ってきました

ほーみ
恋愛
「――婚約を破棄する!」  大広間に響いたその宣告は、きっと誰もが予想していたことだったのだろう。  けれど、当事者である私――エリス・ローレンツの胸の内には、不思議なほどの安堵しかなかった。  王太子殿下であるレオンハルト様に、婚約を破棄される。  婚約者として彼に尽くした八年間の努力は、彼のたった一言で終わった。  だが、私の唇からこぼれたのは悲鳴でも涙でもなく――。

平民とでも結婚すれば?と言われたので、隣国の王と結婚しました

ゆっこ
恋愛
「リリアーナ・ベルフォード、これまでの婚約は白紙に戻す」  その言葉を聞いた瞬間、私はようやく――心のどこかで予感していた結末に、静かに息を吐いた。  王太子アルベルト殿下。金糸の髪に、これ見よがしな笑み。彼の隣には、私が知っている顔がある。  ――侯爵令嬢、ミレーユ・カスタニア。  学園で何かと殿下に寄り添い、私を「高慢な婚約者」と陰で嘲っていた令嬢だ。 「殿下、どういうことでしょう?」  私の声は驚くほど落ち着いていた。 「わたくしは、あなたの婚約者としてこれまで――」

好きにしろ、とおっしゃられたので好きにしました。

豆狸
恋愛
「この恥晒しめ! 俺はお前との婚約を破棄する! 理由はわかるな?」 「第一王子殿下、私と殿下の婚約は破棄出来ませんわ」 「確かに俺達の婚約は政略的なものだ。しかし俺は国王になる男だ。ほかの男と睦み合っているような女を妃には出来ぬ! そちらの有責なのだから侯爵家にも責任を取ってもらうぞ!」

初夜に大暴言を吐かれた伯爵夫人は、微笑みと共に我が道を行く ―旦那様、今更擦り寄られても困ります―

望月 或
恋愛
「お前の噂を聞いたぞ。毎夜町に出て男を求め、毎回違う男と朝までふしだらな行為に明け暮れているそうだな? その上糸目を付けず服や装飾品を買い漁り、多大な借金を背負っているとか……。そんな醜悪な女が俺の妻だとは非常に不愉快極まりない! 今後俺に話し掛けるな! 俺に一切関与するな! 同じ空気を吸ってるだけでとんでもなく不快だ……!!」 【王命】で決められた婚姻をし、ハイド・ランジニカ伯爵とオリービア・フレイグラント子爵令嬢の初夜は、彼のその暴言で始まった。 そして、それに返したオリービアの一言は、 「あらあら、まぁ」 の六文字だった。  屋敷に住まわせている、ハイドの愛人と噂されるユーカリや、その取巻きの使用人達の嫌がらせも何のその、オリービアは微笑みを絶やさず自分の道を突き進んでいく。 ユーカリだけを信じ心酔していたハイドだったが、オリービアが屋敷に来てから徐々に変化が表れ始めて…… ※作者独自の世界観満載です。違和感を感じたら、「あぁ、こういう世界なんだな」と思って頂けたら有難いです……。

私も貴方を愛さない〜今更愛していたと言われても困ります

せいめ
恋愛
『小説年間アクセスランキング2023』で10位をいただきました。  読んでくださった方々に心から感謝しております。ありがとうございました。 「私は君を愛することはないだろう。  しかし、この結婚は王命だ。不本意だが、君とは白い結婚にはできない。貴族の義務として今宵は君を抱く。  これを終えたら君は領地で好きに生活すればいい」  結婚初夜、旦那様は私に冷たく言い放つ。  この人は何を言っているのかしら?  そんなことは言われなくても分かっている。  私は誰かを愛することも、愛されることも許されないのだから。  私も貴方を愛さない……  侯爵令嬢だった私は、ある日、記憶喪失になっていた。  そんな私に冷たい家族。その中で唯一優しくしてくれる義理の妹。  記憶喪失の自分に何があったのかよく分からないまま私は王命で婚約者を決められ、強引に結婚させられることになってしまった。  この結婚に何の希望も持ってはいけないことは知っている。  それに、婚約期間から冷たかった旦那様に私は何の期待もしていない。  そんな私は初夜を迎えることになる。  その初夜の後、私の運命が大きく動き出すことも知らずに……    よくある記憶喪失の話です。  誤字脱字、申し訳ありません。  ご都合主義です。  

処理中です...