71 / 249
第三章 誰がために、彼女は微笑んで
⑱ 『願いと決意』
しおりを挟む
船旅の間、ずっとこのボロボロの体が小康状態を保ち続けることができたのは、リットさんの魔法のおかげだ。
それだけではなく、彼はいつも軽妙にいろいろな話を聞かせてくれた。
さらには、神殿生活の禁忌に触れるギリギリの話を聞かせてくれて、ついつい聞き入ってしまうこともあった程だ。
まぁ、イルリアに彼が窘められるまでがいつものパターンではあったけれど、でもそのやり取りがとても楽しかった。
そう、イルリア。
同室であることと、同性の気軽さもあって、彼女とは一番多く会話をした。更に、彼女は本当に手厚く私の介助に努めてくれた。
私が、リットさんの魔法のおかげで、なんとか一人で物事をできるようになっても、彼女は甲斐甲斐しく私を助けて、そして見守っていてくれた。
感謝の言葉を述べると、しかし彼女は、「そういう取引でしょう。気にしないでよ」と言って笑う。
でも、いくら俗世に疎い私でも分かる。この献身的な介助は、彼女の優しい心根があってこそのもので、他の人がおいそれと真似できるものではないと。
そして、ジェノ。
いつも私のために美味しい食事を作ってくれた。
そして、私の大きな過ちに気づかせてくれた恩人。
寡黙だけれど、こちらが話しかければしっかりと応えてくれる。そして、無愛想な態度なのに、その中に温かみがあることが今はもう分かっている。
もしも、狙ってこんな話し方をしているのであれば、ジェノはリット以上の女ったらしなのだろうが、彼はどうやら天然でこういう話し方をしているようだ。
しかし、何故だろう。
彼は、無理に冷たい人間を演じようとしているのではと思えてしまうのは。
私は、カルラとレーリアと一緒にこの船に乗りたかった。けれど、彼女達の代わりに私と寝食を共にしてくれたのが、彼らで本当に良かったと思う。
彼らの恩義に、優しさに応えるためにとは思いながらも、この十日間の船旅は本当に楽しかった。
私だけが楽しい思いをしてと、カルラとレーリアに申し訳なく思う気持ちもあるが、それでも、彼女達は羨ましがることはあっても、私を恨んだりしないことはもう分かっている。信じられる。
あと少しで、この旅は終わる。
それは、私の命が終わりに近づくということだ。
けれど、後悔はもう……。
「……駄目ね」
そこまで思ったところで、私は苦笑した。
後悔はもうないと思いたかった。
けれど、私は、今頃になって何かを残したいと考えるようになってしまっていた。
私という人間。カルラという人間。そして、レーリアという人間。
成人を迎えることができず、十七歳で死んでいくことになる私達を、誰かに覚えていてほしいと願ってしまったのだ。
何かを、私は、私達は、残せないだろうか?
それは、形に残らないものでもいい。
ただ、誰かに、私達という人間がいたのだと覚えていてもらいたい。
……それは、悲しい記憶でしかなかったとしても……。
そんな事を考えていると、部屋のドアがノックされた。
どうぞ、と応えると、イルリアが部屋に入ってくる。
「サクリ。他の乗客は皆下船したようだから、私達もそろそろ行きましょう」
私は何もお願いしていないのに、彼女達は私が人前にこの醜い姿を晒したくないことを理解し、こういった配慮をしてくれるのがとても嬉しい。
「サクリ。降りる時は特に危険だから、しっかり私に掴まっていてよ」
私に手を差し伸べて、イルリアは微笑む。
「ええ。お願いね、イルリア」
私の返事を聞くと、彼女は意地の悪い笑みを浮かべる。
「サクリ。貴女さえ良ければ、またあの朴念仁にお姫様抱っこをさせてもいいわよ」
「それは嬉しいわね。お願いしようかしら?」
私がそう返すと、イルリアは驚いた顔をする。
「ふっ、ふふふっ。冗談よ。私をからかおうとしていたみたいだから、反撃させてもらったわ」
私がそう明るい声で言うと、イルリアは「してやられたわ」と少し悔しそうに言う。
けれど、すぐにどちらとなく笑みを浮かべて笑いあう。
本当に、彼女達と旅ができて良かった。
私はその思いを胸に、イルリアと一緒に十日間過ごした部屋を後にするのだった。
◇
空気の匂いが違う。
気温も、エルマイラムより涼しい気がする。
別の大陸にやって来たのだと、イルリアは体でその違いを感じ取る。
ここは、港町ルウシャ。
ナイムの街とは比較にならないが、流石に港町だということもあり、生活に必要な施設は全て整っていることは調査済みだ。
だが、呑気に物見遊山をしている暇はない。
早く目的を果たして、サクリの元に帰らなければ。
長かった船旅もようやく一段落し、イルリアは、目的の村のあるセラース大陸の地を踏みしめる事となった。
だが、ここからが本番だ。
今回の依頼である、サクリの護衛がまだ続いていることもそうだ。だが、イルリアには他に、是非とも聖女ジューナに会わなければならない理由がある。
「まずは、銀行にいかないと……」
念のため、お金はかなり多めに持ってきている。だが、いざという時に後悔しないように、小金貨をもう一枚用意して置いたほうが良いだろう。
相手は、高名な聖女。『銅貨一枚支払わずとも、病める人々に救いの手を差し伸べる』と謳われている。
だが、文明的な生活を送る上で、金銭が介在しないということはありえない。
病人のための施設を維持するだけでもお金はかかり続けるのだ。
下衆な考えだと思うが、そこが付け入る隙きだとイルリアは考えている。
まず、サクリに自分のことを目的地である『聖女の村』の関係者に紹介してもらう。そして、寄付の話を持ちかける。何とも単純な方法だが、これに勝る手段は生憎と考えつかなかった。
ただ、寄付と一口に言っても、イルリアは小金貨を五枚寄付するつもりでいる。
小金貨は、大銀貨十枚分の価値。
あくまでエルマイラム王国での基準だが、ナイムの街の一般的な世帯の平均月収が、大銀貨二枚程度なことを考えると、彼らの年収の二年分以上の金額を寄付するこの行為は、決して無下に扱えるものではないはずだ。
イルリアにとっても、おいそれと動かせる金額ではない。だが、これで悩みのタネが解消されるのであれば安いものだと彼女は思う。
「……お願いします。どうか今度こそ、あいつへの借りを返させて下さい」
誰にとなく、イルリアは心のなかで祈る。
自らの犯した罪を思えば、もっと自分は苦しむべきなのかもしれない。
けれど、それは同時にあいつを、ジェノを苦しめることにも繋がってしまう。
「捉えようによっては、あんたのほうがサクリよりも重体じゃない……。それなのに……」
サクリのことを優先し、ジェノは自分の体のことをまったく気にした様子はない。
何処までも他人が優先で、自己のことを顧みないあいつに、腹が立ってくる。
あまりにも腹が立って、涙が溢れそうになった事に気づき、イルリアはそれを腕で乱暴に拭う。
「泣いている場合じゃあない。私は自分の失態は自分で挽回する」
イルリアは決意を込めて自らの頬を両手で叩いて気合を入れると、小走りに繁華街に向かって走り出すのだった。
それだけではなく、彼はいつも軽妙にいろいろな話を聞かせてくれた。
さらには、神殿生活の禁忌に触れるギリギリの話を聞かせてくれて、ついつい聞き入ってしまうこともあった程だ。
まぁ、イルリアに彼が窘められるまでがいつものパターンではあったけれど、でもそのやり取りがとても楽しかった。
そう、イルリア。
同室であることと、同性の気軽さもあって、彼女とは一番多く会話をした。更に、彼女は本当に手厚く私の介助に努めてくれた。
私が、リットさんの魔法のおかげで、なんとか一人で物事をできるようになっても、彼女は甲斐甲斐しく私を助けて、そして見守っていてくれた。
感謝の言葉を述べると、しかし彼女は、「そういう取引でしょう。気にしないでよ」と言って笑う。
でも、いくら俗世に疎い私でも分かる。この献身的な介助は、彼女の優しい心根があってこそのもので、他の人がおいそれと真似できるものではないと。
そして、ジェノ。
いつも私のために美味しい食事を作ってくれた。
そして、私の大きな過ちに気づかせてくれた恩人。
寡黙だけれど、こちらが話しかければしっかりと応えてくれる。そして、無愛想な態度なのに、その中に温かみがあることが今はもう分かっている。
もしも、狙ってこんな話し方をしているのであれば、ジェノはリット以上の女ったらしなのだろうが、彼はどうやら天然でこういう話し方をしているようだ。
しかし、何故だろう。
彼は、無理に冷たい人間を演じようとしているのではと思えてしまうのは。
私は、カルラとレーリアと一緒にこの船に乗りたかった。けれど、彼女達の代わりに私と寝食を共にしてくれたのが、彼らで本当に良かったと思う。
彼らの恩義に、優しさに応えるためにとは思いながらも、この十日間の船旅は本当に楽しかった。
私だけが楽しい思いをしてと、カルラとレーリアに申し訳なく思う気持ちもあるが、それでも、彼女達は羨ましがることはあっても、私を恨んだりしないことはもう分かっている。信じられる。
あと少しで、この旅は終わる。
それは、私の命が終わりに近づくということだ。
けれど、後悔はもう……。
「……駄目ね」
そこまで思ったところで、私は苦笑した。
後悔はもうないと思いたかった。
けれど、私は、今頃になって何かを残したいと考えるようになってしまっていた。
私という人間。カルラという人間。そして、レーリアという人間。
成人を迎えることができず、十七歳で死んでいくことになる私達を、誰かに覚えていてほしいと願ってしまったのだ。
何かを、私は、私達は、残せないだろうか?
それは、形に残らないものでもいい。
ただ、誰かに、私達という人間がいたのだと覚えていてもらいたい。
……それは、悲しい記憶でしかなかったとしても……。
そんな事を考えていると、部屋のドアがノックされた。
どうぞ、と応えると、イルリアが部屋に入ってくる。
「サクリ。他の乗客は皆下船したようだから、私達もそろそろ行きましょう」
私は何もお願いしていないのに、彼女達は私が人前にこの醜い姿を晒したくないことを理解し、こういった配慮をしてくれるのがとても嬉しい。
「サクリ。降りる時は特に危険だから、しっかり私に掴まっていてよ」
私に手を差し伸べて、イルリアは微笑む。
「ええ。お願いね、イルリア」
私の返事を聞くと、彼女は意地の悪い笑みを浮かべる。
「サクリ。貴女さえ良ければ、またあの朴念仁にお姫様抱っこをさせてもいいわよ」
「それは嬉しいわね。お願いしようかしら?」
私がそう返すと、イルリアは驚いた顔をする。
「ふっ、ふふふっ。冗談よ。私をからかおうとしていたみたいだから、反撃させてもらったわ」
私がそう明るい声で言うと、イルリアは「してやられたわ」と少し悔しそうに言う。
けれど、すぐにどちらとなく笑みを浮かべて笑いあう。
本当に、彼女達と旅ができて良かった。
私はその思いを胸に、イルリアと一緒に十日間過ごした部屋を後にするのだった。
◇
空気の匂いが違う。
気温も、エルマイラムより涼しい気がする。
別の大陸にやって来たのだと、イルリアは体でその違いを感じ取る。
ここは、港町ルウシャ。
ナイムの街とは比較にならないが、流石に港町だということもあり、生活に必要な施設は全て整っていることは調査済みだ。
だが、呑気に物見遊山をしている暇はない。
早く目的を果たして、サクリの元に帰らなければ。
長かった船旅もようやく一段落し、イルリアは、目的の村のあるセラース大陸の地を踏みしめる事となった。
だが、ここからが本番だ。
今回の依頼である、サクリの護衛がまだ続いていることもそうだ。だが、イルリアには他に、是非とも聖女ジューナに会わなければならない理由がある。
「まずは、銀行にいかないと……」
念のため、お金はかなり多めに持ってきている。だが、いざという時に後悔しないように、小金貨をもう一枚用意して置いたほうが良いだろう。
相手は、高名な聖女。『銅貨一枚支払わずとも、病める人々に救いの手を差し伸べる』と謳われている。
だが、文明的な生活を送る上で、金銭が介在しないということはありえない。
病人のための施設を維持するだけでもお金はかかり続けるのだ。
下衆な考えだと思うが、そこが付け入る隙きだとイルリアは考えている。
まず、サクリに自分のことを目的地である『聖女の村』の関係者に紹介してもらう。そして、寄付の話を持ちかける。何とも単純な方法だが、これに勝る手段は生憎と考えつかなかった。
ただ、寄付と一口に言っても、イルリアは小金貨を五枚寄付するつもりでいる。
小金貨は、大銀貨十枚分の価値。
あくまでエルマイラム王国での基準だが、ナイムの街の一般的な世帯の平均月収が、大銀貨二枚程度なことを考えると、彼らの年収の二年分以上の金額を寄付するこの行為は、決して無下に扱えるものではないはずだ。
イルリアにとっても、おいそれと動かせる金額ではない。だが、これで悩みのタネが解消されるのであれば安いものだと彼女は思う。
「……お願いします。どうか今度こそ、あいつへの借りを返させて下さい」
誰にとなく、イルリアは心のなかで祈る。
自らの犯した罪を思えば、もっと自分は苦しむべきなのかもしれない。
けれど、それは同時にあいつを、ジェノを苦しめることにも繋がってしまう。
「捉えようによっては、あんたのほうがサクリよりも重体じゃない……。それなのに……」
サクリのことを優先し、ジェノは自分の体のことをまったく気にした様子はない。
何処までも他人が優先で、自己のことを顧みないあいつに、腹が立ってくる。
あまりにも腹が立って、涙が溢れそうになった事に気づき、イルリアはそれを腕で乱暴に拭う。
「泣いている場合じゃあない。私は自分の失態は自分で挽回する」
イルリアは決意を込めて自らの頬を両手で叩いて気合を入れると、小走りに繁華街に向かって走り出すのだった。
0
あなたにおすすめの小説
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる