ある平凡な女、転生する

眼鏡から鱗

文字の大きさ
34 / 37

32話

しおりを挟む
1年後

私は、あの騒動からも変わらず自領内で冒険を続けてる

だいぶ旅行資金に、余裕を持たせることができたと自負してる

そろそろ、魔国へ行ってもいいよね?ってくらいは用意ができた

そして、今は少し脚を伸ばした奥の森で薬草採取をした帰り道

道の隅らへんに、小さく白く気持ちよさそうな丸いふわふわがあった

魔物ではないみたい?

なんだろう、鑑定出来るかな~

なんて考えていたら、ふわふわがこっちに向かってポテポテやってきた

あっ、何もないところでズッコケた

これは、昔動画でみた赤ちゃんマラミュートさんみたい!

かっ、可愛い!(ずっきゅんってなったわ)

鈍臭い感がするけど、なんともそこが愛らしいし、おっとり顔がまたキュート

思わず屈んで、両手を伸ばしてワンコをお迎え体勢

わふわふっと言って私の腕に収まるワンコ

人懐っこい!可愛い(2回目)

これは、お持ち帰りしていいよね?ウチの子で決定しちゃう?

家は前世と違って、仮にこの仔が大きくなっても今世は貴族だし、面倒みてあげられるくらい大丈夫な家だもん

お祖父様とお祖母様、賛成してくれる?

うわぁ~楽しみだなぁ~

あぁ~でも私少しの間家を留守にしちゃうけど、この仔大丈夫かなぁ

なぁ~んて、うきうきしてワンコを撫で撫でしたり、拾った棒で取ってこいしたりと遊びながら帰り道を進んでいた私たち

が、もう少しで町の入り口付近の森まで来たところで、とんでもない魔力がが私たちへ目掛ける様に迫って来た

なんなん、この恐怖の塊?!みたいな魔力

あり得ない!

私、巨大な魔物に喰われるの?ってくらい、魔力の圧倒的な強い塊が3つ同時発生&寄りにもよって、浮かれモードの私たちへとやってくる

不幸だ

何故?神は、私の幸福を感じることを妨げるのでしょうか!

嗚呼、不幸だ

そんな嘆きをしていたら、あっという間に恐怖に囲まれていた私たち

白銀の犬型の魔物2体と漆黒のドラゴン1体

いずれも、デカい





泣きそう

(ぉぃ、、、)



死ぬ

(ょ…ぅ…)






生存率0

(ゅぇ…ぁゃ…)







絶望

(ぉぃ…)








途方に暮れていた私に、男の声っぽい感じで白銀の犬型魔物が話しかけてきた

えっ、話しかけてきた?

「おい!小娘、我の話を聞いているのか!?」

「えっ、えっと、すみません。絶望で頭がいっぱいです。」

正直に絶望感を吐露した

「ん?何故絶望なんてしている?」

解ってない、、だと?

「あの、ご本人?に自覚がないと思いますが、私みたいな脆弱な人の子が3つも巨大な魔力の塊を目の前にしたら、普通に死を覚悟しなくちゃいけない事態です。」

白目になりながらも答えた私、偉くない?

その間も、私の腕の中で抱っこされてるもふもふワンコ

何かを察した白銀の犬型魔物さん、やや私から視線をそらした

「そ、そうか。わかった。ちぃっとばかし我らのチカラは抑えよう。」

そういうと、少しだけ生存率が上がる感覚になった

「して、小娘。お前の腕の中にあるものをどうする気だ?」

ん?腕の中?

ワンコ以外持ってませんが?

「えっと、もふもふワンコしか持っていませんが?私、薬草採取後ですので高価な物なんて採取してません。」

正直に話し、大事にワンコを抱っこした

「おい。小娘、お前が今抱えているフェンリルワンコはうちの子だ、返せと言っているんだ。」

ウチノコ、うちの子

「す、す、すみませんでした!!!」

膝をつき、頭を下げつつ、両腕でワンコを掲げて引き渡す形を取った私

そして、受け取るもう1体の白銀の犬型魔物様、多分お母様なんだと推察

しかし、ワンコちゃんったらお母様のところからキュ~ンキュ~ンって鳴くのよ

私と短い間だったけど、ずっと撫でたりあそんでたり抱っこしてたからねぇ

「まぁ、この子ったら!ママ心配してたのよ!それなのに、お姉ちゃんとまだ遊びたいだなんて。メッです。今日はもう帰りますからね!」

うっわぁ~、メッチャ綺麗な女性の声が聞こえてきたと思ったら、お母様の声なのね

しかも、ワンコがメッされてるぅ

少し和んだわぁ

気を緩めていたら、今度は違う男の声が聞こえてきた

「娘、貴様は何者だ?フェンリルの子どもをどうする気だったのだ!」

漆黒のドラゴンが、メッチャ牙を剥いてきた

「ふぇ、フェンリルゥ⁇」

伝説の?

あの?

口をぱくぱくしていた私

それを見たドラゴンが、急に呆れた顔になった(目がモノを言っていた)

「はぁぁぁぁ~。おい娘さん、もしや転生者だな。」

!!!

「な、な、な、な、な、何故それを!」

「いやいやいや、バレバレだ。普通、小型とはいえ魔物を自宅に連れて行こうとするヤツは、常識的に先ずいないぞ!は、前世日本人の思考だからだ!」

「な、なん、だと、、、」

あんなに可愛い子と将来暮らせない?

「絶望」

完全にorzになった私

「えっ!そんなにガッカリしなくても良くないか?」

ん?なんだか漆黒のドラゴンの口調が変わった?

「あの可愛い子と一緒に暮らすのが夢でしたが、一生叶わないことに打ちのめされています。魔国旅行とともにみた夢が、ひとつ消されガッカリもしますよ。」

「お、おう。なんかごめんな。」

漆黒のドラゴンさん、そっちが素なんですね。

「あらぁ~。じゃあ、時々ウチに遊びにいらっしゃい!」

ここで、神🟰お母様が私に降臨した

「是非、宜しくお願いします!」

ガッカリからの土下座へ移行

「おいおい!お前、こんな何処の小娘か分からんヤツを招くなんてどうかしてるぞ。」

お父様の意見もまた正しい

ので、姿勢を正した私

「私、この領地を治めるマクセル・モニター子爵の孫娘マーガレット・ワイヤードです。名乗りが遅くなり大変申し訳ございません。今は、魔国旅行費を稼ぐ為に冒険者をしております。」

食い気味で今更自己紹介

「まあまあ!モニター子爵様の孫娘ってことは、そうなのね。まさに良いご縁だわぁ!そうそう、セーラ様はお変わりないかしら?」

えっ?なにがそうなんです?

しかも、知り合い??

「はい。両祖父母、未だ衰え知らずでございます。本当に元気すぎております。」

困惑しつつ答えますよ

「あらあら、お二人まだ現役なのねぇ。今度お茶にでも招待するわ!」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

精霊士養成学園の四義姉妹

霧島まるは
ファンタジー
精霊士養成学園への入園条件は三つ。  1.学業が優秀な平民であること  2.精霊教神官の推薦を得られること  3.中級以上の精霊の友人であること ※なお、特待生に関してはこの限りではない 全寮制のこの学園には、部屋姉妹(スミウ)という強制的な一蓮托生制度があった。 四人部屋の中の一人でも、素行不良や成績不振で進級が認められない場合、部屋の全員が退園になるというものである。 十歳の少女キロヒはそんな情報を知るはずもなく、右往左往しながらも、どうにか学園にたどり着き、のこのこと「屋根裏部屋」の扉を開けてしまった。 そこには、既に三人の少女がいて── この物語は、波風の立たない穏やかな人生を送りたいと思っていた少女キロヒと、個性的な部屋姉妹(スミウ)たちの成長の物語である。 ※読んでくださる方へ  基本、寮と学園生活。たまに戦闘があるかも、な物語です。  人を理不尽に罵倒する言葉が出ます。  あなたの苦手な生き物の姿に似た精霊が出る場合があります。

無能だと思われていた日陰少女は、魔法学校のS級パーティの参謀になって可愛がられる

あきゅう
ファンタジー
魔法がほとんど使えないものの、魔物を狩ることが好きでたまらないモネは、魔物ハンターの資格が取れる魔法学校に入学する。 魔法が得意ではなく、さらに人見知りなせいで友達はできないし、クラスでもなんだか浮いているモネ。 しかし、ある日、魔物に襲われていた先輩を助けたことがきっかけで、モネの隠れた才能が周りの学生や先生たちに知られていくことになる。 小説家になろう、カクヨム、エブリスタにも投稿してます。

神に同情された転生者物語

チャチャ
ファンタジー
ブラック企業に勤めていた安田悠翔(やすだ はると)は、電車を待っていると後から背中を押されて電車に轢かれて死んでしまう。 すると、神様と名乗った青年にこれまでの人生を同情され、異世界に転生してのんびりと過ごしてと言われる。 悠翔は、チート能力をもらって異世界を旅する。

悪役令嬢になりましたので、自分好みのイケメン近衛騎士団を作ることにしました

葉月キツネ
ファンタジー
 目が覚めると昔やり込んだ乙女ゲーム「白銀の騎士物語」の悪役令嬢フランソワになっていた!  本来ならメインヒロインの引き立て役になるはずの私…だけどせっかくこんな乙女ゲームのキャラになれたのなら思うがままにしないと勿体ないわ!  推しを含めたイケメン近衛騎士で私を囲ってもらって第二の人生楽しみます

転生したら死んだことにされました〜女神の使徒なんて聞いてないよ!〜

家具屋ふふみに
ファンタジー
大学生として普通の生活を送っていた望水 静香はある日、信号無視したトラックに轢かれてそうになっていた女性を助けたことで死んでしまった。が、なんか助けた人は神だったらしく、異世界転生することに。 そして、転生したら...「女には荷が重い」という父親の一言で死んだことにされました。なので、自由に生きさせてください...なのに職業が女神の使徒?!そんなの聞いてないよ?! しっかりしているように見えてたまにミスをする女神から面倒なことを度々押し付けられ、それを与えられた力でなんとか解決していくけど、次から次に問題が起きたり、なにか不穏な動きがあったり...? ローブ男たちの目的とは?そして、その黒幕とは一体...? 不定期なので、楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです。 拙い文章なので、誤字脱字がありましたらすいません。報告して頂ければその都度訂正させていただきます。 小説家になろう様でも公開しております。

出来損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出来損ないを望む

家具屋ふふみに
ファンタジー
 この世界には魔法が存在する。  そして生まれ持つ適性がある属性しか使えない。  その属性は主に6つ。  火・水・風・土・雷・そして……無。    クーリアは伯爵令嬢として生まれた。  貴族は生まれながらに魔力、そして属性の適性が多いとされている。  そんな中で、クーリアは無属性の適性しかなかった。    無属性しか扱えない者は『白』と呼ばれる。  その呼び名は貴族にとって屈辱でしかない。      だからクーリアは出来損ないと呼ばれた。    そして彼女はその通りの出来損ない……ではなかった。    これは彼女の本気を引き出したい彼女の周りの人達と、絶対に本気を出したくない彼女との攻防を描いた、そんな物語。  そしてクーリアは、自身に隠された秘密を知る……そんなお話。 設定揺らぎまくりで安定しないかもしれませんが、そういうものだと納得してくださいm(_ _)m ※←このマークがある話は大体一人称。

捨て子の僕が公爵家の跡取り⁉~喋る聖剣とモフモフに助けられて波乱の人生を生きてます~

伽羅
ファンタジー
 物心がついた頃から孤児院で育った僕は高熱を出して寝込んだ後で自分が転生者だと思い出した。そして10歳の時に孤児院で火事に遭遇する。もう駄目だ! と思った時に助けてくれたのは、不思議な聖剣だった。その聖剣が言うにはどうやら僕は公爵家の跡取りらしい。孤児院を逃げ出した僕は聖剣とモフモフに助けられながら生家を目指す。

処理中です...