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第3章
第三話
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十二月に入り、ジェンダー経済学の授業では中間レポートの課題が出された。
「テーマは自由です。ただし、必ずデータを用いた分析を含めること。また、単なる感想文ではなく、学術的な論証を心がけてください」
教授の説明を聞きながら、蛍はすでにテーマを決めていた。
レポートの提出期限まで二週間。蛍は図書館にこもって資料を集めた。
テーマは「オメガの就労環境改善に関する政策提言」。
自分自身がオメガであることから、このテーマには特別な思い入れがあった。
「また図書館? 蛍、最近すごく熱心だね」
真帆が心配そうに声をかけてきた。
「レポートが大変で」
「私なんて、適当にネットで調べて終わりよ」
「うん、でも、ちゃんとやりたくて」
「すごいね、蛍。私も頑張らないと」
蛍は労働統計や企業の採用データを分析し、オメガが直面する就職活動での困難や、職場での待遇格差について調べた。
同時に、自分が高校時代に感じた不安や孤独、体験談も織り交ぜた。
提出日当日、蛍は十ページに及ぶレポートを提出した。他の学生の多くが数ページ程度だったため、少し目立ってしまった。
「白石くん、気合い入ってるね」
隣の席の学生が苦笑いを浮かべた。
一週間後、レポートが返却された。
蛍の表紙には「A+」の評価と、教授と健吾からのコメントが書かれていた。
『実体験と学術的視点のバランスが非常に良く取れており、説得力のある論証となっています。
特に、統計データと当事者の声を組み合わせた分析手法は、この分野の研究において重要な視点です。
来年度以降の研究テーマとしても発展性があると思われます。』
蛍は何度も健吾のコメントを読み返した。
健吾が自分のレポートをこんなに真剣に読んでくれたのだと思うと、胸が熱くなった。
講義終了後、蛍は勇気を出して健吾に話しかけた。
「あの、レポートのコメント、ありがとう」
「いえいえ。良いレポートだったと思うよ。先生も褒めてた」
健吾が振り返る。
「データの扱い方も的確だったし」
健吾の言葉に、蛍は少し誇らしい気持ちになった。
「ありがとう」
廊下を歩きながら、蛍はレポートを大切に抱えていた。頑張って書いた甲斐があった。何より、健吾に認められたことが嬉しかった。
その夜、蛍は真帆に報告した。
「すごいじゃない! 芦原さんに褒められるなんて」
「うん、嬉しかった」
「で、来年のゼミはどうするの?」
「まだ分からないけど……考えてみる」
蛍は本当に迷っていた。
健吾のいる研究室に行けば、もっと近くで話せるかもしれない。
でも同時に、それが純粋に学問への興味からなのか、健吾への想いからなのか、自分でも区別がつかなくなりそうだった。
確かにジェンダー経済学は面白い。当事者としても思うところはある。
だが、他の分野ももっと深く知る必要がある気がした。
蛍は机の上にレポートを置いて、健吾のコメントをもう一度読み返した。
「テーマは自由です。ただし、必ずデータを用いた分析を含めること。また、単なる感想文ではなく、学術的な論証を心がけてください」
教授の説明を聞きながら、蛍はすでにテーマを決めていた。
レポートの提出期限まで二週間。蛍は図書館にこもって資料を集めた。
テーマは「オメガの就労環境改善に関する政策提言」。
自分自身がオメガであることから、このテーマには特別な思い入れがあった。
「また図書館? 蛍、最近すごく熱心だね」
真帆が心配そうに声をかけてきた。
「レポートが大変で」
「私なんて、適当にネットで調べて終わりよ」
「うん、でも、ちゃんとやりたくて」
「すごいね、蛍。私も頑張らないと」
蛍は労働統計や企業の採用データを分析し、オメガが直面する就職活動での困難や、職場での待遇格差について調べた。
同時に、自分が高校時代に感じた不安や孤独、体験談も織り交ぜた。
提出日当日、蛍は十ページに及ぶレポートを提出した。他の学生の多くが数ページ程度だったため、少し目立ってしまった。
「白石くん、気合い入ってるね」
隣の席の学生が苦笑いを浮かべた。
一週間後、レポートが返却された。
蛍の表紙には「A+」の評価と、教授と健吾からのコメントが書かれていた。
『実体験と学術的視点のバランスが非常に良く取れており、説得力のある論証となっています。
特に、統計データと当事者の声を組み合わせた分析手法は、この分野の研究において重要な視点です。
来年度以降の研究テーマとしても発展性があると思われます。』
蛍は何度も健吾のコメントを読み返した。
健吾が自分のレポートをこんなに真剣に読んでくれたのだと思うと、胸が熱くなった。
講義終了後、蛍は勇気を出して健吾に話しかけた。
「あの、レポートのコメント、ありがとう」
「いえいえ。良いレポートだったと思うよ。先生も褒めてた」
健吾が振り返る。
「データの扱い方も的確だったし」
健吾の言葉に、蛍は少し誇らしい気持ちになった。
「ありがとう」
廊下を歩きながら、蛍はレポートを大切に抱えていた。頑張って書いた甲斐があった。何より、健吾に認められたことが嬉しかった。
その夜、蛍は真帆に報告した。
「すごいじゃない! 芦原さんに褒められるなんて」
「うん、嬉しかった」
「で、来年のゼミはどうするの?」
「まだ分からないけど……考えてみる」
蛍は本当に迷っていた。
健吾のいる研究室に行けば、もっと近くで話せるかもしれない。
でも同時に、それが純粋に学問への興味からなのか、健吾への想いからなのか、自分でも区別がつかなくなりそうだった。
確かにジェンダー経済学は面白い。当事者としても思うところはある。
だが、他の分野ももっと深く知る必要がある気がした。
蛍は机の上にレポートを置いて、健吾のコメントをもう一度読み返した。
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