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回想、コンスタンス
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王妃様に会うため王宮に向かった日、オレリアン様は王宮で待っていてくださいました。
私は晴れ晴れとした気持ちで彼を見上げました。
この時すでに私は、王宮から戻ったらヒース侯爵邸に戻るつもりでいたからです。
たった半月程のお付き合いしかしておりませんが、私はオレリアン様の優しさ、あたたかさを知っています。
それで、十分だと思いました。
私は彼と、夫婦として歩んでいきたいと思ったのです。
お邸に戻ったら、私は妻として、彼を慕い、彼に尽くすでしょう。
そして、ヒース侯爵夫人として、世間にも、侯爵家にも受け入れられるよう頑張りたいと思うのです。
それが、私を根気強く待っていてくださったオレリアン様に対する、私の感謝の気持ちです。
でもまさか。
まさか、その直後にあんなことになるなんて。
自由のきかない手足と、火照る体。
私は恐れました。
今フィリップ殿下が現れて私に触れたりしたら、私は抗えないのではないのかと。
なんとか正気を保とうとする私の頭に浮かぶのは、オレリアン様の優しい笑顔でした。
私がこのまま殿下の妾になったりしたら、あの方はどんな顔をされるのでしょうか。
王命によって娶った妻をまた王家の勝手で奪われるなど、騎士としての彼の矜持も、どんなに傷つけられることでしょう。
そんなこと、絶対にあってはなりません。
私はペーパーナイフを自分の手首に当てました。
決して、自害しようと思ったわけではありません。
とにかく、正気を保たなくてはと思ったのです。
そうすれば、フィリップ殿下も私に触れようとはお思いにならないでしょう。
それに、そうして時間を稼げば、きっとあの方が助けに来てくれるような気がしたのです。
薄れゆく意識の中、私はオレリアン様に抱き上げられました。
そして彼の温かい胸に抱かれ、ようやく安堵いたしました。
彼は『貴女の騎士だ』と言ったことを、守ってくださったのです。
手首の傷による出血と、痺れ薬と媚薬を盛られた副作用で、私は再び眠り続けました。
そうして目覚めた時、私は『19歳の私』に戻っておりました。
目を開けると、目の前にはオレリアン様の端正な、けれど蒼ざめたお顔があります。
でも私が目覚めたことがわかると喜んで、涙を流されました。
その時私は一瞬、これは馬車の事故に遭った直後かと思いました。
彼の恋人を庇って私が怪我を負ったから、彼が責任を感じているのかと。
でも次の瞬間、私は全てを思い出しました。
この数ヶ月間に起きた出来事が、次々と頭の中に流れてこんできます。
『7歳の私』を、オレールはとても慈しんでくれました。
『16歳の私』に、オレリアン様はとても誠実に接してくださいました。
そして、『19歳の私』には…。
いいえ、『本当の私』には…。
私は、思い出しました。
事故に遭う直前、私は彼に離縁を申し出ていたことを。
7歳の私を彼が慈しんでくださったのは、私が何も知らない少女のようだったからです。
そう、長年この身に叩き込まれたお妃教育も何もかも忘れて、ただの少女に戻ってしまっていたから。
彼が愛してくれたのは、何も知らない、自由に跳ね回っていた頃の私だったのです。
また、16歳の私に『お付き合いから始めよう』と言ってくださったのは、彼の、事故に遭った私に対する贖罪の気持ちからです。
彼の恋人を庇って事故に遭ったから。
19歳の私は、彼に拒絶されていました。
それもそのはずです。
私はオレリアン様とセリーヌ様の仲を引き裂く邪魔な存在でしかなかったのですから。
そう、今の私では、彼に絶対に愛されないのです。
ああ、なんて残酷な運命なのでしょう。
記憶が戻った途端、そんな現実を思い知るだなんて。
いっそ、記憶なんて戻らなかったら良かったのに。
そう、あの、7歳の時の私のままでー。
でも、これは現実なのです。
私はヒース侯爵夫人として、現実を受け入れなくてはならない。
私はこの方を、セリーヌ様に返して差し上げなくてはならないのです。
だって彼には、幸せになって欲しいから。
たとえその隣が私の居場所じゃなくても、彼にはずっと笑っていて欲しいから。
私は晴れ晴れとした気持ちで彼を見上げました。
この時すでに私は、王宮から戻ったらヒース侯爵邸に戻るつもりでいたからです。
たった半月程のお付き合いしかしておりませんが、私はオレリアン様の優しさ、あたたかさを知っています。
それで、十分だと思いました。
私は彼と、夫婦として歩んでいきたいと思ったのです。
お邸に戻ったら、私は妻として、彼を慕い、彼に尽くすでしょう。
そして、ヒース侯爵夫人として、世間にも、侯爵家にも受け入れられるよう頑張りたいと思うのです。
それが、私を根気強く待っていてくださったオレリアン様に対する、私の感謝の気持ちです。
でもまさか。
まさか、その直後にあんなことになるなんて。
自由のきかない手足と、火照る体。
私は恐れました。
今フィリップ殿下が現れて私に触れたりしたら、私は抗えないのではないのかと。
なんとか正気を保とうとする私の頭に浮かぶのは、オレリアン様の優しい笑顔でした。
私がこのまま殿下の妾になったりしたら、あの方はどんな顔をされるのでしょうか。
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そんなこと、絶対にあってはなりません。
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決して、自害しようと思ったわけではありません。
とにかく、正気を保たなくてはと思ったのです。
そうすれば、フィリップ殿下も私に触れようとはお思いにならないでしょう。
それに、そうして時間を稼げば、きっとあの方が助けに来てくれるような気がしたのです。
薄れゆく意識の中、私はオレリアン様に抱き上げられました。
そして彼の温かい胸に抱かれ、ようやく安堵いたしました。
彼は『貴女の騎士だ』と言ったことを、守ってくださったのです。
手首の傷による出血と、痺れ薬と媚薬を盛られた副作用で、私は再び眠り続けました。
そうして目覚めた時、私は『19歳の私』に戻っておりました。
目を開けると、目の前にはオレリアン様の端正な、けれど蒼ざめたお顔があります。
でも私が目覚めたことがわかると喜んで、涙を流されました。
その時私は一瞬、これは馬車の事故に遭った直後かと思いました。
彼の恋人を庇って私が怪我を負ったから、彼が責任を感じているのかと。
でも次の瞬間、私は全てを思い出しました。
この数ヶ月間に起きた出来事が、次々と頭の中に流れてこんできます。
『7歳の私』を、オレールはとても慈しんでくれました。
『16歳の私』に、オレリアン様はとても誠実に接してくださいました。
そして、『19歳の私』には…。
いいえ、『本当の私』には…。
私は、思い出しました。
事故に遭う直前、私は彼に離縁を申し出ていたことを。
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そう、長年この身に叩き込まれたお妃教育も何もかも忘れて、ただの少女に戻ってしまっていたから。
彼が愛してくれたのは、何も知らない、自由に跳ね回っていた頃の私だったのです。
また、16歳の私に『お付き合いから始めよう』と言ってくださったのは、彼の、事故に遭った私に対する贖罪の気持ちからです。
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それもそのはずです。
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そう、今の私では、彼に絶対に愛されないのです。
ああ、なんて残酷な運命なのでしょう。
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いっそ、記憶なんて戻らなかったら良かったのに。
そう、あの、7歳の時の私のままでー。
でも、これは現実なのです。
私はヒース侯爵夫人として、現実を受け入れなくてはならない。
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だって彼には、幸せになって欲しいから。
たとえその隣が私の居場所じゃなくても、彼にはずっと笑っていて欲しいから。
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