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あの日、あの場所で
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あの日、あの場所で馬車にはねられた。
そのことを、コンスタンスは思い出した。
そしてー。
「私、思い出したのです。
あの事故に遭う前、私は、貴方に離縁を申し出ていたのですね」
全てを思い出したコンスタンスは、そう言ってオレリアンに寂しそうに笑った。
その笑顔に、オレリアンは胸を切り裂かれたかのような痛みを覚えた。
彼女にこんな言葉を言わせてしまうなんて。
もし過去に戻れるなら、あの頃の自分を殴りつけてやりたい。
いや、最初から…、出会ったその日から、全てをやり直したい。
「コニー…」
オレリアンは妻の手を握りしめ、その顔を切なげに見つめた。
何から、どう話せばいいのだろう。
とにかく、今までのことを全て謝って、離縁の話など全て白紙に戻して、新しく夫婦としてやり直して…。
しかし次の妻の言葉は、再びオレリアンの希望を打ち砕いた。
「私が記憶を失っている間に、とうに結婚1周年は過ぎましたのね。
これで、『白い結婚』が成立しますわ」
「コニー…!」
オレリアンは絶望に顔を歪めた。
『白い結婚』は正式な離縁理由になり、妻の方から申し立てることも可能だ。
もし本気でコンスタンスが申し立てたら、オレリアンになす術は無い。
なんとしてもその前に阻止しなければ。
「待ってくれコニー。
俺は貴女と離縁したいなど、考えたこともないんだ。
貴女にずっと冷たい態度をとり続けたことも、貴女を1年近くも領地に放置したことも、夫として貴女と向き合おうとしなかったことも、全部、全部謝る。
全て俺が未熟で愚かな男だったせいだ。
貴女を傷つけたこと、事故に遭わせたこと、記憶を失わせたこと、それも全部謝るから。
謝ってすむほど安易なものではないこともわかっている。
でも、これからそれを、全部償わせて欲しいんだ。
許せないと言うならそれでもいい。
どうか、どうか離縁ではなく、貴女の側で、俺の生涯を通じて償わせてくれないか?」
オレリアンはコンスタンスに口を挟ませることなく、一気に言い切った。
妻を見つめる彼の目は切実で、かつ真摯なものだ。
そこにはなんら自分をとり繕う言葉も嘘もない。
開き直りさえ感じられる言葉や、妻にみっともなく縋る姿を、軽蔑されたって構わないとオレリアンは思った。
どうしても、どうしても離縁だけは受け入れられないのだ。
コンスタンスは驚いたように目を見開き、夫の顔を見つめた。
今にも泣き出しそうな目で懇願する彼に、本心からの言葉だとわかる。
それを、信じられるとも思っている。
でも、償い?
夫が離縁したくないのは、私に負い目があるから?
彼は、償うために私と一緒にいたいの?
コンスタンスは混乱した。
彼が愛しているのはセリーヌのはずだ。
そもそも、政略結婚の犠牲者である彼に罪などあるはずもなく、償うことも何一つ無いのだ。
ここで、コンスタンスさえ身を引けば彼は愛する人と結婚出来る。
そう、全て丸く収まるのだ。
コンスタンスは自分の手を包み込む夫の手を見つめた。
そして、静かに引き抜いた。
「…コニー…?」
オレリアンが顔を歪ませる。
そんな夫を見据え、コンスタンスは口を開いた。
「セリーヌ様は、どうされたのですか?」
そのことを、コンスタンスは思い出した。
そしてー。
「私、思い出したのです。
あの事故に遭う前、私は、貴方に離縁を申し出ていたのですね」
全てを思い出したコンスタンスは、そう言ってオレリアンに寂しそうに笑った。
その笑顔に、オレリアンは胸を切り裂かれたかのような痛みを覚えた。
彼女にこんな言葉を言わせてしまうなんて。
もし過去に戻れるなら、あの頃の自分を殴りつけてやりたい。
いや、最初から…、出会ったその日から、全てをやり直したい。
「コニー…」
オレリアンは妻の手を握りしめ、その顔を切なげに見つめた。
何から、どう話せばいいのだろう。
とにかく、今までのことを全て謝って、離縁の話など全て白紙に戻して、新しく夫婦としてやり直して…。
しかし次の妻の言葉は、再びオレリアンの希望を打ち砕いた。
「私が記憶を失っている間に、とうに結婚1周年は過ぎましたのね。
これで、『白い結婚』が成立しますわ」
「コニー…!」
オレリアンは絶望に顔を歪めた。
『白い結婚』は正式な離縁理由になり、妻の方から申し立てることも可能だ。
もし本気でコンスタンスが申し立てたら、オレリアンになす術は無い。
なんとしてもその前に阻止しなければ。
「待ってくれコニー。
俺は貴女と離縁したいなど、考えたこともないんだ。
貴女にずっと冷たい態度をとり続けたことも、貴女を1年近くも領地に放置したことも、夫として貴女と向き合おうとしなかったことも、全部、全部謝る。
全て俺が未熟で愚かな男だったせいだ。
貴女を傷つけたこと、事故に遭わせたこと、記憶を失わせたこと、それも全部謝るから。
謝ってすむほど安易なものではないこともわかっている。
でも、これからそれを、全部償わせて欲しいんだ。
許せないと言うならそれでもいい。
どうか、どうか離縁ではなく、貴女の側で、俺の生涯を通じて償わせてくれないか?」
オレリアンはコンスタンスに口を挟ませることなく、一気に言い切った。
妻を見つめる彼の目は切実で、かつ真摯なものだ。
そこにはなんら自分をとり繕う言葉も嘘もない。
開き直りさえ感じられる言葉や、妻にみっともなく縋る姿を、軽蔑されたって構わないとオレリアンは思った。
どうしても、どうしても離縁だけは受け入れられないのだ。
コンスタンスは驚いたように目を見開き、夫の顔を見つめた。
今にも泣き出しそうな目で懇願する彼に、本心からの言葉だとわかる。
それを、信じられるとも思っている。
でも、償い?
夫が離縁したくないのは、私に負い目があるから?
彼は、償うために私と一緒にいたいの?
コンスタンスは混乱した。
彼が愛しているのはセリーヌのはずだ。
そもそも、政略結婚の犠牲者である彼に罪などあるはずもなく、償うことも何一つ無いのだ。
ここで、コンスタンスさえ身を引けば彼は愛する人と結婚出来る。
そう、全て丸く収まるのだ。
コンスタンスは自分の手を包み込む夫の手を見つめた。
そして、静かに引き抜いた。
「…コニー…?」
オレリアンが顔を歪ませる。
そんな夫を見据え、コンスタンスは口を開いた。
「セリーヌ様は、どうされたのですか?」
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