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廊下を歩けば生徒達の話し声が聞こえてくる。どうやら昼休みと被ってしまった様だ。「こんにちは」と、挨拶してくる生徒が居るので笑顔で返す。
「理事長様の笑顔を拝見出来るなんて·······明日死ぬかもッ!」
「俺も、ちょっとヤバいかも·······」
「はぁ?! 気色の悪い目で神代様の事見んな!」
「君だってさっきまで顔真っ赤にしてたでしょ。今もある意味赤いけど」
私の挨拶を受けた生徒とその周囲に居る生徒達の、ギャーギャーとくだらない口論を右から左へ流し食堂へ向かう。神代様、そう呼ぶ生徒は基本的に親衛隊の人間だけだ。
この学園は同性愛者が殆どであり、容姿が整ったものには親衛隊が存在する。管轄は風紀委員会になっているが、全校生徒の過半数を占める親衛隊員を制御するのは難しいようだ。
転入生が来れば風紀委員長の実力を測る機会も訪れるだろう。風紀委員長は私を含む教職員によって決まるので生徒会に劣ることも無い。
成績も生徒会会長と並び同点一位。私が選んだこの学園で最も優秀な生徒だ。期待などという不確定な感情を持ち合わせては居ないが、多少好奇心をくすぐる案件なのは確かだろう。
今後の教育方針について考えながら歩き続け、目前に迫った大きな扉を開ける。
私を認識した生徒たちは一瞬静まり返り、すぐに叫び声が響き渡った。
「騒ぎたいなら防音室でやれよ」
舌打ちをしながらそう小さく呟き、煩わしい声を無視して厨房に向かう。
給仕をしていた生徒が私を見るなりピタリと固まり、落ちそうになった料理を隣に居たふくよかな男が辛うじて支える。
肉体的にハンデがある様に見えるが、食べ物が絡むと素早く動けるようだ。興味深い。生徒に『戻ってこい!』と声を掛け、体制を整え直した男がこちらに歩み寄ってくる。
「理事長! 何故いきなりこのような場所に!?」
「ここは私の学園です。どこにいようと問題無いと思いますが?」
「確かにそうですが、心の準備という物があります。危うく料理を落とす所でしたよ」
「そのようですね」
人の顔を見るなりあからさまに動揺する生徒に非があると思いますが。この程度でミスをするなら機械に任せた方が効率的だ。
興味は無いが『邪魔してすみませんでした』と、ブリキ人形の様になった生徒に笑顔を向ける。
「///······あ、謝らないでくださいっ······。ただの僕の不注意ですからッ!!!」
「あ、おい! ちょっと待て!!! 理事長、お話はまた後ほど!」
「ごゆっくりどうぞ」
まさか私が世間話をする為に来たとでも思っているのだろうか。一礼した高橋料理長が私を置いて生徒と追いかけっこを始める。
食堂は人手不足だと聞いて視察に来たのだが、どうやら虚偽の報告だったようだ。人員削減も視野に入れるべきか。
包丁を持ったまま走り回る料理長に食堂中から悲鳴が上がる。私が対処しても良いが、何もせずとも風紀に報告が入り鎮圧されるだろう。
このままここに居ても時間の無駄だ。次の仕事を済ませるとしよう。
「理事長様の笑顔を拝見出来るなんて·······明日死ぬかもッ!」
「俺も、ちょっとヤバいかも·······」
「はぁ?! 気色の悪い目で神代様の事見んな!」
「君だってさっきまで顔真っ赤にしてたでしょ。今もある意味赤いけど」
私の挨拶を受けた生徒とその周囲に居る生徒達の、ギャーギャーとくだらない口論を右から左へ流し食堂へ向かう。神代様、そう呼ぶ生徒は基本的に親衛隊の人間だけだ。
この学園は同性愛者が殆どであり、容姿が整ったものには親衛隊が存在する。管轄は風紀委員会になっているが、全校生徒の過半数を占める親衛隊員を制御するのは難しいようだ。
転入生が来れば風紀委員長の実力を測る機会も訪れるだろう。風紀委員長は私を含む教職員によって決まるので生徒会に劣ることも無い。
成績も生徒会会長と並び同点一位。私が選んだこの学園で最も優秀な生徒だ。期待などという不確定な感情を持ち合わせては居ないが、多少好奇心をくすぐる案件なのは確かだろう。
今後の教育方針について考えながら歩き続け、目前に迫った大きな扉を開ける。
私を認識した生徒たちは一瞬静まり返り、すぐに叫び声が響き渡った。
「騒ぎたいなら防音室でやれよ」
舌打ちをしながらそう小さく呟き、煩わしい声を無視して厨房に向かう。
給仕をしていた生徒が私を見るなりピタリと固まり、落ちそうになった料理を隣に居たふくよかな男が辛うじて支える。
肉体的にハンデがある様に見えるが、食べ物が絡むと素早く動けるようだ。興味深い。生徒に『戻ってこい!』と声を掛け、体制を整え直した男がこちらに歩み寄ってくる。
「理事長! 何故いきなりこのような場所に!?」
「ここは私の学園です。どこにいようと問題無いと思いますが?」
「確かにそうですが、心の準備という物があります。危うく料理を落とす所でしたよ」
「そのようですね」
人の顔を見るなりあからさまに動揺する生徒に非があると思いますが。この程度でミスをするなら機械に任せた方が効率的だ。
興味は無いが『邪魔してすみませんでした』と、ブリキ人形の様になった生徒に笑顔を向ける。
「///······あ、謝らないでくださいっ······。ただの僕の不注意ですからッ!!!」
「あ、おい! ちょっと待て!!! 理事長、お話はまた後ほど!」
「ごゆっくりどうぞ」
まさか私が世間話をする為に来たとでも思っているのだろうか。一礼した高橋料理長が私を置いて生徒と追いかけっこを始める。
食堂は人手不足だと聞いて視察に来たのだが、どうやら虚偽の報告だったようだ。人員削減も視野に入れるべきか。
包丁を持ったまま走り回る料理長に食堂中から悲鳴が上がる。私が対処しても良いが、何もせずとも風紀に報告が入り鎮圧されるだろう。
このままここに居ても時間の無駄だ。次の仕事を済ませるとしよう。
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