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第一章
僕は宮廷魔法使いです
一話
「フィン! 今から僕とお茶しない?」
右手を上げた少年が、小走りで近づいてくる。
キラキラと輝く金色の髪がふわりと揺れ、彼の蒼い瞳が一直線に僕を捉える。
「殿下! そのように走ってはいけないと何度も申し上げたじゃないですか~!!」
慌てて殿下に駆け寄る。
いくら整備された皇城の敷地内とはいえ、足元を見ないと転びますよ!
「行くよ~、受け止めてね」
「無茶言わないでくださいっ!」
顔面蒼白で駆け寄った僕に、殿下は満面の笑みを浮かべて飛び込んできた。
危ない・・・どうにか受け止められた。
殿下の肩口越しに見える太陽の姿に、ホッと心の中で胸を撫で下ろす。
「し、心臓が止まるかと思いました・・・・・・」
「皇族でも運動しないと不健康になるんだよ?」
「存じ上げておりますっ・・・!」
バクバクと主張する胸を抑える。
ああっ、せっかく整えられた髪が・・・・・・。
体勢をそのままに、殿下の髪を整える。
ふと、殿下の背後に不機嫌そうなお顔が現れた。
「いつまでそうしてるつもりだ? 早く行くぞ」
「カインは僕の扱いが雑だよね」
「抜け駆けするからだろ・・・・・・」
カーマイン様が殿下の後ろ襟を、まるで洗濯物のようにお掴みになった。
整いかけていた鼓動が、再び不規則になる。
「で、フィンは俺たちと過ごしたくないのか?」
「まさか! そんなことはありません!」
「ならさっさと行くぞ」
「うぅ・・・強制送還・・・・・・」
殿下と同じように襟を掴まれてしまった。
反対で一緒に引きづられる殿下が「こっちの方が移動楽だね」と、口にする。
殿下・・・、本当にそれで良いんですか・・・・・・?
僕たちを軽々と運ぶカーマイン様を見る。
燃えるような真っ赤な髪と瞳を持つ彼は、騎士団長のご子息で、将来殿下の護衛を務めるお方だ。
次期侯爵様となられるお方で、本当なら僕のような存在が軽々と話して良いような相手じゃない。
少しげんなりとしていたら、綺麗な庭園の中に建てられたガゼボが見えた。
そこに座る人物に、思わず目を輝かせる。
カーマイン様の瞳を見つめると、ムスッとした表情を浮かべながらも、手を放してくださった。
僕は魔法で黒猫の姿になると、ガゼボに座る彼の膝にポスリと飛び乗る。
「へいか! 休憩を取られているのですか・・・?」
「ああ。あまり長居は出来そうにないがな」
「ご無理はなさらないでください・・・・・・」
「フィンレーは優しいな」
フッと笑った陛下が、頭を撫でてくださる。
僕が本当に猫だったら、ゴロゴロとお腹を差し出す醜態を晒していたかもしれない。
「陛下、いらしたのですね」
「・・・・・・元気そうだな・・・」
「フィンが居てくれるおかげです」
カーマイン様から離れた殿下が、体勢を整えてニコニコと陛下とお話される。
陛下は少し気まずそうにされた。
殿下と同じ金色の髪を持つ膝の主は、このエディンス帝国の皇帝、アレクサンダー陛下だ。
そして、僕と一緒に引きづられていた彼が、この国の第一皇子レインハルト・エディンス殿下。
陛下のご子息だ。
おふたりを交互に見ると、親子なだけあって、本当によく似ていらっしゃる。
ゲームの殿下を知っていたから、初めて見た時は陛下を殿下だと勘違いしそうになった。
「どうしたの?」
「いえ、なんでもありません・・・・・・」
俯いた僕に、殿下が首を傾げる。
三人が揃った姿を見て、前世で遊んでいたゲームの世界に転生したのだと、改めて実感した。
「フィン! 今から僕とお茶しない?」
右手を上げた少年が、小走りで近づいてくる。
キラキラと輝く金色の髪がふわりと揺れ、彼の蒼い瞳が一直線に僕を捉える。
「殿下! そのように走ってはいけないと何度も申し上げたじゃないですか~!!」
慌てて殿下に駆け寄る。
いくら整備された皇城の敷地内とはいえ、足元を見ないと転びますよ!
「行くよ~、受け止めてね」
「無茶言わないでくださいっ!」
顔面蒼白で駆け寄った僕に、殿下は満面の笑みを浮かべて飛び込んできた。
危ない・・・どうにか受け止められた。
殿下の肩口越しに見える太陽の姿に、ホッと心の中で胸を撫で下ろす。
「し、心臓が止まるかと思いました・・・・・・」
「皇族でも運動しないと不健康になるんだよ?」
「存じ上げておりますっ・・・!」
バクバクと主張する胸を抑える。
ああっ、せっかく整えられた髪が・・・・・・。
体勢をそのままに、殿下の髪を整える。
ふと、殿下の背後に不機嫌そうなお顔が現れた。
「いつまでそうしてるつもりだ? 早く行くぞ」
「カインは僕の扱いが雑だよね」
「抜け駆けするからだろ・・・・・・」
カーマイン様が殿下の後ろ襟を、まるで洗濯物のようにお掴みになった。
整いかけていた鼓動が、再び不規則になる。
「で、フィンは俺たちと過ごしたくないのか?」
「まさか! そんなことはありません!」
「ならさっさと行くぞ」
「うぅ・・・強制送還・・・・・・」
殿下と同じように襟を掴まれてしまった。
反対で一緒に引きづられる殿下が「こっちの方が移動楽だね」と、口にする。
殿下・・・、本当にそれで良いんですか・・・・・・?
僕たちを軽々と運ぶカーマイン様を見る。
燃えるような真っ赤な髪と瞳を持つ彼は、騎士団長のご子息で、将来殿下の護衛を務めるお方だ。
次期侯爵様となられるお方で、本当なら僕のような存在が軽々と話して良いような相手じゃない。
少しげんなりとしていたら、綺麗な庭園の中に建てられたガゼボが見えた。
そこに座る人物に、思わず目を輝かせる。
カーマイン様の瞳を見つめると、ムスッとした表情を浮かべながらも、手を放してくださった。
僕は魔法で黒猫の姿になると、ガゼボに座る彼の膝にポスリと飛び乗る。
「へいか! 休憩を取られているのですか・・・?」
「ああ。あまり長居は出来そうにないがな」
「ご無理はなさらないでください・・・・・・」
「フィンレーは優しいな」
フッと笑った陛下が、頭を撫でてくださる。
僕が本当に猫だったら、ゴロゴロとお腹を差し出す醜態を晒していたかもしれない。
「陛下、いらしたのですね」
「・・・・・・元気そうだな・・・」
「フィンが居てくれるおかげです」
カーマイン様から離れた殿下が、体勢を整えてニコニコと陛下とお話される。
陛下は少し気まずそうにされた。
殿下と同じ金色の髪を持つ膝の主は、このエディンス帝国の皇帝、アレクサンダー陛下だ。
そして、僕と一緒に引きづられていた彼が、この国の第一皇子レインハルト・エディンス殿下。
陛下のご子息だ。
おふたりを交互に見ると、親子なだけあって、本当によく似ていらっしゃる。
ゲームの殿下を知っていたから、初めて見た時は陛下を殿下だと勘違いしそうになった。
「どうしたの?」
「いえ、なんでもありません・・・・・・」
俯いた僕に、殿下が首を傾げる。
三人が揃った姿を見て、前世で遊んでいたゲームの世界に転生したのだと、改めて実感した。
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