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一章
5 夢
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ここ数週間で主人公は大きく成長したように思う。骨の様に痩せ細っていた体にも肉がついてきた。何よりの変化は身長が伸びたことだ。お金を得たことにより食事には困らなくなったから。最初は少しづつ胃に優しいものから食べさせて、今ではお肉を食べても平気なくらいだ。僕が作ったわけでは無いけれど、美味しそうに食べてくれるので嬉しい。
本当は主人公を助けるべきか迷っていた。ゲーム通りに進めるならこのまま放置するべきだったから。まぁ、僕がミカエラに転生?してる時点でイレギュラーなんだけど。でも今の主人公を見てやっぱり助けてよかったなぁ、なんて思っている。立派に成長して僕を殺して欲しい。
主人公が聖剣を抜く、つまり勇者として覚醒するのは18歳の時。その時の主人公は痩せ細る所か腹筋が割れている位だ。主人公は12歳になると魔力が暴走して事件を起こす。そこから両親や使用人たちが恐れて距離を置くようになる。主人公は主人公で周りを傷つけて少し病んでしまうんだっけか。公式が出している本に書かれていたのを思い出した。何だか考えれば考える程主人公が不憫でならない。復讐をしたって話も無かったし、僕と違って主人公は善人なんだろうね。
僕は両親を殺した強盗を許せなかったよ。僕の両親は優しかったから、いつも口癖のように人を恨んではいけないよと言っていた。だから僕は死刑になるかもしれない強盗の減刑を求めて、結果死刑にはさせなかった。恨んでもいないし復讐しようとも思ってはいない。けれど、どうしても許すことだけは出来ないんだ。だってそれは僕が両親の死を軽んじている事になってしまうから。もうそろそろ両親の命日だ。今年はお墓に行けそうには無いけど、必ず向こうの世界に戻って逢いに行くよ。
*******
最近の主人公は泉を見ていない。僕を来るのを待っているのかずっと空を見ていた。首が辛いだろうからやめて欲しいんだけど、言っても聞いてくれないんだよね。良い子だけど少し困った子だ。何をするのかは彼の勝手だから強制はできないけど。そんな事を考えながらボーっと、泉を眺めていると、肩を軽く叩かれた。
「ん? どうしたの?」
主人公の顔は心臓に悪いな。整った顔立ちも然ることながら燃えるような赤い瞳がなんともまぁ。至近距離で表情なく見つめられると少し怖い。
「········天使さんは、俺をどうしたいんですか?」
「どうしたい、か。君はどう思う?」
「···············分かりません」
「そっか」
やっぱり僕を警戒してるのかな。少し残念そうな表情をした気がするけど、直ぐに無表情に戻った。僕は主人公に見つめられて、少し気まずくて顔を逸らした。僕が主人公に求めている事はふたつ。ひとつは僕を殺して貰い元の世界に戻ること。もうひとつは主人公がハッピーエンドを迎えることだ。もちろんゲームのキャラとしてでは無く一人の人間として。流石に年下の子供に僕を殺してとは言えないから何か理由を作ろうか。嘘はつきたくないなぁ。子供達に読み聞かせていた本の内容を少し借りよう。
「僕は君を救いたいんだよ」
「救う、ですか·······」
「········そう。不幸な子を無くしたいんだ」
「···········それは、天使さんだから?」
いいや。前世から僕がしたかった事だよ。そして今もその途中だ。不思議そうに首を傾げている主人公が面白くてつい笑ってしまう。特に深い意味は無いのになぁ。本の話では天使じゃなくて妖精だし。森で母と暮らす男の子の話だ。病気で母が他界している所は主人公に似ている。ひとりぼっちなところもね。
「これは僕個人の問題だよ。種族は関係無い」
「············解決すると、良いですね········」
「そうだね。君が頑張ってくれたらあっという間なのにね」
主人公は自分のことを不幸だとは思っていないだろうけど。今もよく分からないといったように目を点にしている。何か既視感を感じるけれど、これはきっと主人公が猫に似ているせいかな。頭を撫でてしまうのは仕方のない事だよね。
本当は主人公を助けるべきか迷っていた。ゲーム通りに進めるならこのまま放置するべきだったから。まぁ、僕がミカエラに転生?してる時点でイレギュラーなんだけど。でも今の主人公を見てやっぱり助けてよかったなぁ、なんて思っている。立派に成長して僕を殺して欲しい。
主人公が聖剣を抜く、つまり勇者として覚醒するのは18歳の時。その時の主人公は痩せ細る所か腹筋が割れている位だ。主人公は12歳になると魔力が暴走して事件を起こす。そこから両親や使用人たちが恐れて距離を置くようになる。主人公は主人公で周りを傷つけて少し病んでしまうんだっけか。公式が出している本に書かれていたのを思い出した。何だか考えれば考える程主人公が不憫でならない。復讐をしたって話も無かったし、僕と違って主人公は善人なんだろうね。
僕は両親を殺した強盗を許せなかったよ。僕の両親は優しかったから、いつも口癖のように人を恨んではいけないよと言っていた。だから僕は死刑になるかもしれない強盗の減刑を求めて、結果死刑にはさせなかった。恨んでもいないし復讐しようとも思ってはいない。けれど、どうしても許すことだけは出来ないんだ。だってそれは僕が両親の死を軽んじている事になってしまうから。もうそろそろ両親の命日だ。今年はお墓に行けそうには無いけど、必ず向こうの世界に戻って逢いに行くよ。
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最近の主人公は泉を見ていない。僕を来るのを待っているのかずっと空を見ていた。首が辛いだろうからやめて欲しいんだけど、言っても聞いてくれないんだよね。良い子だけど少し困った子だ。何をするのかは彼の勝手だから強制はできないけど。そんな事を考えながらボーっと、泉を眺めていると、肩を軽く叩かれた。
「ん? どうしたの?」
主人公の顔は心臓に悪いな。整った顔立ちも然ることながら燃えるような赤い瞳がなんともまぁ。至近距離で表情なく見つめられると少し怖い。
「········天使さんは、俺をどうしたいんですか?」
「どうしたい、か。君はどう思う?」
「···············分かりません」
「そっか」
やっぱり僕を警戒してるのかな。少し残念そうな表情をした気がするけど、直ぐに無表情に戻った。僕は主人公に見つめられて、少し気まずくて顔を逸らした。僕が主人公に求めている事はふたつ。ひとつは僕を殺して貰い元の世界に戻ること。もうひとつは主人公がハッピーエンドを迎えることだ。もちろんゲームのキャラとしてでは無く一人の人間として。流石に年下の子供に僕を殺してとは言えないから何か理由を作ろうか。嘘はつきたくないなぁ。子供達に読み聞かせていた本の内容を少し借りよう。
「僕は君を救いたいんだよ」
「救う、ですか·······」
「········そう。不幸な子を無くしたいんだ」
「···········それは、天使さんだから?」
いいや。前世から僕がしたかった事だよ。そして今もその途中だ。不思議そうに首を傾げている主人公が面白くてつい笑ってしまう。特に深い意味は無いのになぁ。本の話では天使じゃなくて妖精だし。森で母と暮らす男の子の話だ。病気で母が他界している所は主人公に似ている。ひとりぼっちなところもね。
「これは僕個人の問題だよ。種族は関係無い」
「············解決すると、良いですね········」
「そうだね。君が頑張ってくれたらあっという間なのにね」
主人公は自分のことを不幸だとは思っていないだろうけど。今もよく分からないといったように目を点にしている。何か既視感を感じるけれど、これはきっと主人公が猫に似ているせいかな。頭を撫でてしまうのは仕方のない事だよね。
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