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第1章
生徒会と王道君①
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食堂の目立たない隅っこの席。そこには、カメラを構えた雷斗が居た。
「お、王道君見っけ! 腐腐腐、しっかり爽やか君と一匹狼君を手なずけてますな!」
気色の悪い笑みと声を上げる雷斗。周囲から向けられる冷ややかな視線には、気づいていない様子だった。
「ちょっと雷斗。僕まで変な目で見られるから辞めてくんない?」
ピンク髪の、女の子と見間違えるほど可愛らしい少年が、雷斗を睨みつける。
篠原 柚。彼は雷斗の友達だ。柚は小柄で可愛らしい見た目をしているが、その見た目と反して喧嘩が強かったりする。しかも腹黒なのだ。
雷斗が柚で妄想をする度に、雷斗のみぞおちには拳がめり込む。最早日常化した光景だった。
「怖いって! 柚も早く彼氏作って受けに······ぐはっ···」
「僕で妄想するの辞めてって言ったよね?」
お腹を抑えて泣き真似をする雷斗を、柚が見下ろす。
「ひゃ···ひゃい」
「ふんっ、分かれば良いんだよ」
柚は鼻を鳴らすと、何事も無かったかのように座るので、雷斗も席に座り直す。
そうして、王道君を盗撮しては柚に黒い笑顔を向けられるを繰り返していると、食堂に大きな叫び声が響き渡る。
「キタッ!」
雷斗は待ってましたと言わんばかりにバッと席を立ち、食堂の入口に目を向けた。
そこには、生徒会メンバーが勢揃いしていた。
「腐腐腐、副会長と王道君がキッスしたのは調査済み! つまり、これは王道君総受けフラグが──ぐ腐腐」
腐男子友達から送られてきた副会長と王道君のキスシーンを思い出してニヤけていると、生徒会メンバーの一人、銀髪金眼の男、生徒会副会長の泉 玲於が王道君に駆け寄る。
「蒼葉! 捜しましたよ。昼食は私と二人きりで食べるって約束したじゃないですか」
「うわっ! 危ないだろ! 急に抱きつくなよ!」
「恥ずかしがらなくても良いんですよ、蒼葉」
副会長を剥がそうとする王道君に、副会長が頬を赤く染める。
しかし、そんな副会長と王道君を、生徒達が許すはずも無かった。
「あいつ······副会長様に気安く触りやがってッ」
「副会長様が汚れるッ!」
「あのクソ毬藻···ッ···」
「僕の副会長様がぁぁあああああ!」
「あいつ、絶対殺すッ!」
王道君に悪口を、憎悪を、嫉妬を、様々な悪意が向けられる。
「じ、実際に見ると結構迫力あるなぁ······」
想像以上の空気に、雷斗は冷や汗を流す。周囲の様子を見て、王道最高! 等と叫べる雰囲気ではなかった。
そんな周囲を無視して、事態は進んでいく。
「そいつがお前のお気に入りなのか? ただの毬藻じゃねえか」
生徒会会長の宮鷹 皇幹が鼻で笑う。
「なっ! 蒼葉の可愛さが分からないんですか? さすがはバ会長ですね、一度眼科に行ってみては如何ですか?」
「あぁ? 喧嘩売ってんのか?」
副会長の言葉に、会長の額に青筋が浮かぶ。
「このもじゃもじゃ~」
「いったい~」
「「どうなってるの~?」」
喧嘩している2人を無視して、生徒会庶務の杠葉 海と杠葉 穹が、王道君のもじゃもじゃ髪の毛を触る。
食堂は、かなりカオスな状況になっていた。
副会長と王道君の接触にキレる者、双子庶務と王道君の接触にキレる者、会長と副会長の喧嘩を痴話喧嘩だと言う者。王道展開に鼻血を流す腐男子。
そして雷斗は、あるひとつのことに気がついた。
「あれ、わんこ書記とチャラ男会計どこ行った!?」
「お、王道君見っけ! 腐腐腐、しっかり爽やか君と一匹狼君を手なずけてますな!」
気色の悪い笑みと声を上げる雷斗。周囲から向けられる冷ややかな視線には、気づいていない様子だった。
「ちょっと雷斗。僕まで変な目で見られるから辞めてくんない?」
ピンク髪の、女の子と見間違えるほど可愛らしい少年が、雷斗を睨みつける。
篠原 柚。彼は雷斗の友達だ。柚は小柄で可愛らしい見た目をしているが、その見た目と反して喧嘩が強かったりする。しかも腹黒なのだ。
雷斗が柚で妄想をする度に、雷斗のみぞおちには拳がめり込む。最早日常化した光景だった。
「怖いって! 柚も早く彼氏作って受けに······ぐはっ···」
「僕で妄想するの辞めてって言ったよね?」
お腹を抑えて泣き真似をする雷斗を、柚が見下ろす。
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柚は鼻を鳴らすと、何事も無かったかのように座るので、雷斗も席に座り直す。
そうして、王道君を盗撮しては柚に黒い笑顔を向けられるを繰り返していると、食堂に大きな叫び声が響き渡る。
「キタッ!」
雷斗は待ってましたと言わんばかりにバッと席を立ち、食堂の入口に目を向けた。
そこには、生徒会メンバーが勢揃いしていた。
「腐腐腐、副会長と王道君がキッスしたのは調査済み! つまり、これは王道君総受けフラグが──ぐ腐腐」
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「蒼葉! 捜しましたよ。昼食は私と二人きりで食べるって約束したじゃないですか」
「うわっ! 危ないだろ! 急に抱きつくなよ!」
「恥ずかしがらなくても良いんですよ、蒼葉」
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そんな周囲を無視して、事態は進んでいく。
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