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しおりを挟む「ごめんね。気付かなくて」千夏同様に頭を下げた。
「叶ちゃんのせいじゃないよ。怖くて言いだせなかったあたしが悪いの」
「千夏は勇気を出して言えたじゃない」
「それは……」
千夏の視線が左右に往復した後で、私の目へと帰ってきた。
「叶ちゃんがいてくれたからだよ。別れる前に、自分の気持ちをちゃんと伝えておきたかったの」
思い出したというか、遥が消えたことで、話の流れで告白されたことをようやく飲み込めた。
千夏はまだ私を好きだと言ってくれた。遥ではなく私を愛していると言ってくれた。それを聞いて、私は。
「本当に、これで終わりなの?」
胸に広がるぬくもりを隠せなかった。こんなことになっても千夏を嫌いになれない。千夏に向けていた想いを断ち切ったと思っていても、心の奥底に仕舞っていただけだった。
それならもう、やるべきことは決まっている。
「もう一度、やり直せないかな」
「やり直すって……そんな、駄目だよ。あたしのわがままで叶ちゃんを傷付けたのに、虫が良過ぎるよ」
「いいって言ってるの」
聞きたくない言葉をふさぐよう、千夏に唇を重ねて黙らせた。かつてそばにあった柔らかさと熱さに、胸がじんじんと痛む。この痛みから離れたくない。ずっとそばにいたい。それほどまでの愛を、いつしか抱えてしまっていた。
「千夏は、終わりにしたいの?」
顔を離せば千夏がまだ物欲しそうな顔をしている。
「したくない、けど」
「それなら」
千夏を抱き寄せた。
「私のそばで償って。千夏を許せるまでそばにいて。幸せで上書きできるようになるまで一緒にいてよ。そうじゃないと許さないから」
わがままのように、拗ねるように。呟きながら千夏の背中に手を回した。
しばらく返事がなくてどうしようかと思った矢先、千夏の手がそっと背中に触れた。今はまだ指の腹で触れているだけ。しかし確かに伝わる胸の鼓動が、小さな愛を囁いている。
今はこれでいい。いつかちゃんと抱きしめ合えるよう、二人で罪を償っていけばいい。
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