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W UNIT
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オータスに到着した途端の矢の嵐に気がついた時にはまわりの兵士に囲まれ陛下と一緒に馬車から落下していた。視察なので民衆によく見えるように囲いのない場所を選んだのが仇になったか。盾になった兵士が俺にも陛下にも何人も重なり動きが取れなくなっている間に襲撃がありなすすべもなく囚われの身になってしまった。目隠しと耳栓をつけさせられてどこかに移動したようだ。
足元はひんやりしているので石造りか。声は反射するので狭い空間に感じる。鍵がかかる牢屋だと思う。見張りの声はしないからなにか問題が起きているのだろう。
静かになったところでおそるおそる声を出してみた。
「だれかいませんか?」
耳栓で聞こえにくいが確かにだれかいる。
「アーロか?わしじゃ」
「父上?」
気配を感じる。近くにすり寄っていく。父上の太ももあたりにぶつかった。耳元を気配で探り話をする。
「お怪我はありませんか?」
「大丈夫だ、お前は?」
「どこにも怪我はありません」
「目的はなんでしょうか?」
「今は静かにしておれ、宰相たちが駆けつけるはずだ。魔力を開放しろ」
「はい」
宰相以下ハンド―ラの重鎮が到着して視察団のメンバーを合流した。
「陛下と皇太子殿下の行方は不明か?」
「はっ!申し訳ございません。駐屯部隊と捜索中です」
「wunitは動いているか?」
「奇襲直後から行動をしています」
「了解」
宰相の下に情報が集まってくる。戦闘も散発的で反乱部隊はあちこちに潜伏しているようだ。陛下親子はどこか人目につかない牢屋のようなところに監禁されているはず。
「反乱部隊のリーダー格をだれか見ていないか?」
「頭も布を巻いて顔もほとんど隠している人物を見ました。その者かとみんな思っています」
「下っ端でも捕虜にできないか?」
「最初の二人捕まえたのですが一瞬の隙に仲間を殺して本人も自決しました。捕虜になるなら命を捨てる覚悟です」
「そうか。その二人の遺留品からなにか分からないか?」
「ここにお持ちしています。手がかりになればと」
「私ではわからないな。wunitから一人回すように頼んでくれ」
「了解!」
先ほどの父上との会話から三時間は経過しただろうか?のどが乾いたが何も手に入らない状況は精神的にもかなり苦しい。目隠しも余計に不安を煽るものだ。
「アーロ、感じたか?」
「父上?」
「魔力に反応があった」
「・・・」
「もう少しで入れ替わるぞ」
「え?」
次の瞬間に見知らぬ景色を見ていた。知らない人間に声をかけられる。
「ロロ!一緒に行くぞ!」
俺の幼少のあだ名、舌足らずの頃に自分のことを”ロロ”と発音したのがきっかけだ。
「ああ」
わかった。見た目は違うが陛下だ。入れ替わりの魔法は本当に存在したのだ。
今の私たちは普通の民衆だ。
しばらくついて歩くと俺たちが乗ってきた馬車があり多くの人間がいた。その中に宰相もいる。
「声は出すな」
「・・・」頷く
近くまで行き陛下と思われる人物は声をかけた。
「アーサー殿はいらっしゃるか?」
まわりに緊張が走る!
宰相が慌てて走ってきた。
「アーサーでございます。建物の中までご同行願います」
「承知した」
「ロロも一緒に」
「はい」
宰相と見張りの兵と一緒に頑丈な建物に入る。見張りの兵が入り口を封鎖する。宰相が膝をつく。
「陛下、皇太子殿下よくご無事でお戻り」
「宰相のアイデアで命拾いができた。感謝する!」
「アーロ驚いただろ。今頃は魔法使い部隊の入れ替わった人物がわしたちの代わりで人質になっておる」
「入れ替わりの魔法ができていたのですか?」
「そうだが、わしと宰相とwunitの数人しか知らない秘密にしてある」
「確かに秘密にしたほうがいいと私も思います」
「陛下、これからはいかがいたしますか?」
「首謀者を暴くためにわしとアーロは監禁されているとしてくれ。民衆の姿でしばらく潜伏する」
「承知いたしました。では我々が宿泊する宿で普通の部屋を用意しますのでしばらくそこでお泊まりください」
宿に移動してから父上を質問攻めにした。
「代わりの魔法使いは虐待とか拷問とか受けませんか?大丈夫ですか?」
「防御の魔法を身につけているから問題ない。定期的に入れ替わるので体力も大丈夫だ」
「そうですか。代わりに酷いことに合わないならホッとしました。入れ替わりの魔法はいつできたのですか?」
「今から半年前だ。どうしても視察の旅には襲撃などの危険もあるからな。どんなに土産も持って行っても受け入れることのできない事情が誰にもあるだろう」
「魔法の実験を父上も試されたのですか?」
「ああ、怖かったのも本音だ。しかしやってみる価値はあった。このシステムはある一定以上の魔力がある人間で事前にwunitと打ち合わせしておくことで探しに来ることができる」
「なるほど。父上と私と監禁された状況はいつまでですか?」
「長くても二週間と読んでいる」
「何故ですか?」
「反乱部隊は三日で疲れがピークになる。一週間すれば離脱するものが現れる。一人でも離脱をすれば残ったメンバーを買収するのも簡単なことだ」
「父上にははっきり見えているようですが、何故わかるのです」
「経験だ。予想通りになるから楽しみにして見ていろ。今は民衆の姿だから貴重な時間だ。飯食って酒飲んで寝ようか!」
「父上と二人きりなんて緊張しますね」
「父上は今はやめろ。親父でいい。お前はロロじゃなくて”ココ”にしよう」
「親父は髭剃ったらどう?」
「いいぞココ!もう慣れたかその言い方!ココも髪の毛短くしたらどうだ」
「そうですね。楽しいかも。でも親父お金もっているの?」
「監禁されたからもってないな。宰相に用意させる」
家族に連絡することを今はできないが、父上と二人今日はゆっくりと眠れそうだ。
足元はひんやりしているので石造りか。声は反射するので狭い空間に感じる。鍵がかかる牢屋だと思う。見張りの声はしないからなにか問題が起きているのだろう。
静かになったところでおそるおそる声を出してみた。
「だれかいませんか?」
耳栓で聞こえにくいが確かにだれかいる。
「アーロか?わしじゃ」
「父上?」
気配を感じる。近くにすり寄っていく。父上の太ももあたりにぶつかった。耳元を気配で探り話をする。
「お怪我はありませんか?」
「大丈夫だ、お前は?」
「どこにも怪我はありません」
「目的はなんでしょうか?」
「今は静かにしておれ、宰相たちが駆けつけるはずだ。魔力を開放しろ」
「はい」
宰相以下ハンド―ラの重鎮が到着して視察団のメンバーを合流した。
「陛下と皇太子殿下の行方は不明か?」
「はっ!申し訳ございません。駐屯部隊と捜索中です」
「wunitは動いているか?」
「奇襲直後から行動をしています」
「了解」
宰相の下に情報が集まってくる。戦闘も散発的で反乱部隊はあちこちに潜伏しているようだ。陛下親子はどこか人目につかない牢屋のようなところに監禁されているはず。
「反乱部隊のリーダー格をだれか見ていないか?」
「頭も布を巻いて顔もほとんど隠している人物を見ました。その者かとみんな思っています」
「下っ端でも捕虜にできないか?」
「最初の二人捕まえたのですが一瞬の隙に仲間を殺して本人も自決しました。捕虜になるなら命を捨てる覚悟です」
「そうか。その二人の遺留品からなにか分からないか?」
「ここにお持ちしています。手がかりになればと」
「私ではわからないな。wunitから一人回すように頼んでくれ」
「了解!」
先ほどの父上との会話から三時間は経過しただろうか?のどが乾いたが何も手に入らない状況は精神的にもかなり苦しい。目隠しも余計に不安を煽るものだ。
「アーロ、感じたか?」
「父上?」
「魔力に反応があった」
「・・・」
「もう少しで入れ替わるぞ」
「え?」
次の瞬間に見知らぬ景色を見ていた。知らない人間に声をかけられる。
「ロロ!一緒に行くぞ!」
俺の幼少のあだ名、舌足らずの頃に自分のことを”ロロ”と発音したのがきっかけだ。
「ああ」
わかった。見た目は違うが陛下だ。入れ替わりの魔法は本当に存在したのだ。
今の私たちは普通の民衆だ。
しばらくついて歩くと俺たちが乗ってきた馬車があり多くの人間がいた。その中に宰相もいる。
「声は出すな」
「・・・」頷く
近くまで行き陛下と思われる人物は声をかけた。
「アーサー殿はいらっしゃるか?」
まわりに緊張が走る!
宰相が慌てて走ってきた。
「アーサーでございます。建物の中までご同行願います」
「承知した」
「ロロも一緒に」
「はい」
宰相と見張りの兵と一緒に頑丈な建物に入る。見張りの兵が入り口を封鎖する。宰相が膝をつく。
「陛下、皇太子殿下よくご無事でお戻り」
「宰相のアイデアで命拾いができた。感謝する!」
「アーロ驚いただろ。今頃は魔法使い部隊の入れ替わった人物がわしたちの代わりで人質になっておる」
「入れ替わりの魔法ができていたのですか?」
「そうだが、わしと宰相とwunitの数人しか知らない秘密にしてある」
「確かに秘密にしたほうがいいと私も思います」
「陛下、これからはいかがいたしますか?」
「首謀者を暴くためにわしとアーロは監禁されているとしてくれ。民衆の姿でしばらく潜伏する」
「承知いたしました。では我々が宿泊する宿で普通の部屋を用意しますのでしばらくそこでお泊まりください」
宿に移動してから父上を質問攻めにした。
「代わりの魔法使いは虐待とか拷問とか受けませんか?大丈夫ですか?」
「防御の魔法を身につけているから問題ない。定期的に入れ替わるので体力も大丈夫だ」
「そうですか。代わりに酷いことに合わないならホッとしました。入れ替わりの魔法はいつできたのですか?」
「今から半年前だ。どうしても視察の旅には襲撃などの危険もあるからな。どんなに土産も持って行っても受け入れることのできない事情が誰にもあるだろう」
「魔法の実験を父上も試されたのですか?」
「ああ、怖かったのも本音だ。しかしやってみる価値はあった。このシステムはある一定以上の魔力がある人間で事前にwunitと打ち合わせしておくことで探しに来ることができる」
「なるほど。父上と私と監禁された状況はいつまでですか?」
「長くても二週間と読んでいる」
「何故ですか?」
「反乱部隊は三日で疲れがピークになる。一週間すれば離脱するものが現れる。一人でも離脱をすれば残ったメンバーを買収するのも簡単なことだ」
「父上にははっきり見えているようですが、何故わかるのです」
「経験だ。予想通りになるから楽しみにして見ていろ。今は民衆の姿だから貴重な時間だ。飯食って酒飲んで寝ようか!」
「父上と二人きりなんて緊張しますね」
「父上は今はやめろ。親父でいい。お前はロロじゃなくて”ココ”にしよう」
「親父は髭剃ったらどう?」
「いいぞココ!もう慣れたかその言い方!ココも髪の毛短くしたらどうだ」
「そうですね。楽しいかも。でも親父お金もっているの?」
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