出来損ない令嬢は、双子の娘を持つ公爵様と契約結婚する~いつの間にか公爵様と7歳のかわいい双子たちに、めいっぱい溺愛されていました~

夏芽空

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【2話】トラブル発生!?

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 翌朝。
 エレナは私室の大きなベッドの上で目覚めた。
 
「ぐっすり眠れたわ!」

 大きなベッドはふかふかで、最高の寝心地だった。
 ハーシス家で使っていた壊れかけのボロベッドとは、まるでものが違う。
 
 おかげで、質の良い睡眠をとることができた。
 こんなに気持ちいい気分で目覚めたのは、初めてのことだった。
 
「失礼します」

 声のあとに、ドアが開く。
 ドアの向こうから部屋に入ってきたのは、メイド服を着た年配の女性だった。
 
「おはようございますエレナ様。私はメイド長のイザベルと申します。今後とも、よろしくお願いいたします」
「こちらこそよろしくね」

 礼儀正しくお辞儀をするイザベルに、エレナもまた頭を下げた。

「朝食の準備が整いました。一階の食堂へご案内いたします」
「ありがとう」

 ベッドから降りたエレナは、パジャマから白いワンピースドレスに着替えた。
 二階にあるエレナの私室から、イザベルと一緒に食堂へ向かう。
 
 
 大きな両扉を開けて、二人は食堂に入る。
 このとき、エレナはワクワクしていた。
 
(やっと双子ちゃんと対面できるわ!)

 ジオルトの双子の娘――フレイ、アクアはものすごい美形らしいという噂を聞いている。
 そんな美少女双子姉妹に会えることをエレナは楽しみにしていた――のだが。
 
「あれ? ……双子ちゃんがいない」
 
 食堂には誰もいなかった。
 
 昨夜の話を聞いたから、ジオルトがいないのは知っている。
 でも双子の娘たちまでいないのは、どうしてだろうか。
 
「フレイ様とアクア様は、既に朝食を済ませております。今は令嬢教育の真っ最中ですね」
 
 固まっているエレナに、イザベルが答えを教えてくれた。
 
(そんな……会えるかと思って楽しみにしてたのに)
 
 美少女双子姉妹に会う機会は、どうもおあずけらしい。
 エレナはがっかりしながら、ひとりで朝食を食べた。


 食事を終えたエレナは、私室へ帰ってきた。
 ソファーに腰かけ、天井を見上げる。

「これからどうしようかしら?」

 公の場でドゥランシア公爵夫人として振る舞うこと――それが契約で定められているエレナの仕事だ。
 でも、それ以外の仕事はない。
 
 つまり、これからの予定がなにも決まっていなかった。
 
 ハーシス子爵家にいたときは父の命令で、家の雑用や家業に関わる書類仕事をやらされてきた。
 その仕事量は膨大で、自由時間なんてほとんどなかった。
 
 それから解放されたのは嬉しい。
 でもいざ自由となると、なにをしていいかわからなかった。
 
「……うーん」
「失礼します」

 贅沢な悩みで困っているところに、イザベルがやってきた。
 
「エレナ様にご報告がございます。本来であればジオルト様へお伝えすべき内容なのですが、不在ですのでこちらへ参った次第です」

 この屋敷では当主であるジオルトが最も偉くて、その次に偉いのが公爵夫人であるエレナだ。
 当主であるジオルトがいない今、エレナがその代理ということだろう。
 
 昨日ここにきたばかりで右も左もわからないが、ともかく話だけでも聞いてみるしかない。

「フレイ様とアクア様の令嬢教育を担当していた教育係が、たった今おやめになってしまいました」
「…………え?」

 エレナは目を丸くする。
 悠々自適な生活を送れると思っていたのに、いきなりトラブルに直面してしまった。

「教育係はフレイ様から繰り返し罵倒を受けていたようで、ついに耐えられなくなってしまったみたいです」

 これで何度目でしょうか――そう呟くイザベルは、困り顔をしていた。
 
「フレイが原因で教育係がやめたのは、これが初めてじゃないの?」
「はい。フレイ様が原因で、もう何人もの教育係がやめております」
「どうしてフレイはそんなことをするの?」
「それがわからないのです」
「……ともかく、早く新しい教育係を探さないと!」

 このままでは、双子が令嬢教育を受けられれない。
 
 令嬢教育は将来立派な淑女になるために必要なことだ。
 一刻も早く代わりを見つける必要がある。

「その通りなのですが……すぐには難しかもしれません」

 イザベルは苦い顔をした。

「これまでのことがあって、ドゥランシア公爵令嬢を担当した教育係がすぐやめるというのは有名な話となっています。そのため教育係をしてくれそうな方にオファーを出しても、断られてしまうのです。先ほどやめられてしまった方も、かなり苦労して見つけてきたのですよ」

 問題のある場所に行きたがる人間はいないだろう。
 イザベルの言う通り、新たな教育係を見つけるのはかなり難しいかもしれない。

「……アクア様が不憫でなりません」

(確かにそうね)

 イザベルの小さな呟きに、エレナは心の中で同意した。
 
 双子のもう一人であるアクアはなにもしてないというのに、令嬢教育を受けられなくなってしまった。
 それはかわいそうだ。
 
(どうにかできないかしら…………そうだわ!)
 
「……イザベル。令嬢教育で使う教材を、大至急用意してちょうだい!」

 どうにかしてアクアを助けたいエレナは、自らが教育係になろうと考えた。
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