【完】出来損ない令嬢は、双子の娘を持つ公爵様と契約結婚する~いつの間にか公爵様と7歳のかわいい双子たちに、めいっぱい溺愛されていました~

夏芽空

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【9話】仲直りとモテ期の到来

 エレナはフレイと手を繋ぎ、一緒になって書斎へ戻った。
 
「お姉ちゃん!」

 入ってきた二人を見るなり、声を上げたアクアがこちらへ駆けてきた。
 目指す先はフレイだ。
 
 エレナは繋いでいた手を離す。
 
 アクアがフレイに抱き着いた。
 フレイもまた、しっかりと抱きしめ返す。
 
「ごめんなさい!」
「ううん。謝るのは私の方よ」

 フレイの声色はしおらしい。
 後悔と反省でいっぱいになっていた。
 
「冷たい態度ばかり取ってごめんなさい。でも私、もう一度あなたと仲良くなりたいわ。ワガママで勝手なお姉ちゃんだけど、許してくれる?」
「うん! 私、お姉ちゃんのこと大好きだもん!」

 アクアはすぐに答える。
 瞳からは涙が流れていた。

「ありがとう。私も大好きよ」

 フレイが優しく呟いた。
 アクアと同じように、涙を流す。
 
 抱き合う双子の姉妹は、二人とも涙を流している。
 その口元には、そっくりな笑みが浮かんでいた。

(よかったわね二人とも)

 双子は無事に仲直りできた。
 めでたしめでたしだ。
 
「ありがとうね」

 アクアから体を離したフレイが、エレナの方へ体を向けた。
 真剣な表情でまっすぐに見上げる。

「大人を信じることは難しいわ。でも、あなたの――エレナのことだったら信じてもいい。だから、これからよろしくね」

 フレイが片腕を伸ばしてきた。
 
「こちらこそ」
 
 微笑んだエレナは、フレイの手をがっちりと握る。
 熱い握手を交わした。
 
 この日から、フレイも令嬢教育に参加するようになった。

******

 それから一週間後。
 エレナは今、ドゥランシア邸の食堂で夕食を食べていた。
 
「エレナ様、どうぞ!」

 右隣に座るアクアが、エレナの口元へフォークを差し出した。
 先端には、一口サイズに切られたステーキが刺さっている。
 
 アクアはエレナに、あーん、をしてきていた。
 
「ちょっと!」

 それを許すまいと、左隣からピシャリと声が上がった。
 フレイの声だ。
 
 令嬢教育に参加するようになって以降、フレイも一緒に食事をするようになっていた。
 座る席は、エレナの左隣だ。
 
 右にはアクアがいるので、食事のときエレナは双子に挟まれる形となっている。
 
「あんたさっきもしたじゃない! 次は私の番よ!」

 フレイも負けじと、あーん、をしてきた。
 
 食堂では今、どちらがエレナにあーんをするかという双子の争いが繰り広げられていた。
 ちなみにこの争いは、食事のたびに毎回繰り広げられている。
 
 姉妹は毎回、エレナにあーんをしてくる。
 つまり、エレナはモテモテだった。人生初のモテ期到来だ。
 
(あぁ……なんて幸せなのかしら)
 
 そんな状況を、エレナは心から楽しんでいた。
 
 超絶美少女たちに取り合いされているのが、楽しくて仕方がない。
 人生のピークを味わっていた。
 
「こらこら二人とも。ケンカしちゃダメでしょ」

 一応注意はしてみる。
 でもその声色には、まったく威厳がない。
 
 ふわふわと甘くとろけていた。
 
「どういうことだこれは……」

 入り口の方から突然、驚愕に満ちた低音が響く。
 その声はエレナのものでなければ、双子のものでもない。
 
 約一週間ぶりに姿を見る、ジオルトのものだった。
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